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上位拮抗も決め手は枠番か!?/阪神ジュベナイルF

  • 2013年12月04日(水) 18時00分


■阪神ジュベナイルF(G1・阪神芝1600m外)フルゲート18頭/登録23頭

【コース基本情報】阪神芝1600m外 Aコース使用
・コース回収率
 [低め] 単60%・複勝74% 順当決着傾向で妙味追求なら中穴狙いか

・馬連万馬券出現率
 [標準] 12.9%(平均値↑0.9% 馬連平均配当6007円)

・枠番別成績(16頭立て以上) ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 勝率 3.4% 連対率 8.3% 複勝率12.0% 複回率 36% 枠番値-0.4
 [3枠〜6枠] 勝率 6.7% 連対率11.9% 複勝率17.3% 複回率 73% 枠番値±0
 [7枠〜8枠] 勝率 6.1% 連対率13.2% 複勝率21.0% 複回率102% 枠番値+0.3
 ────────────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 勝率 5.5% 連対率10.0% 複勝率13.4% 複回率 45% 枠番値-0.3
 [5枠〜8枠] 勝率 5.9% 連対率12.8% 複勝率20.5% 複回率 97% 枠番値+0.4
 →データ的には内枠不利・外枠有利であるのが確実。回収率も外枠。

・脚質別信頼度
 逃げ>先行>差し>追込 1着馬は差し優勢もイメージよりは格段に前有利

・推定ラップ&タイム
 [底力] 35.3-24.8-35.0=1.35.1 2歳戦ながら先行勢強力で速いペースとなりそう

 騎手のレース後コメントなどで「外枠の不利」について何度も触れられている、阪神芝1600m。外回りになって以降は敗因として挙げられるケースは減ったが、それでも頻繁に聞いているイメージである。

 しかし、実際にコースデータを精査してみると、完全に「外枠有利」といえる内容。昨年も驚いたのだが、1年が経過してもこの傾向に変化はまったく見られない。特に成績の悪さが目立っているのが1枠〜2枠の内枠で、16頭立て以上に限定したデータでは、勝率わずか3.4%。複勝回収率の低さも目立っており、とにかく買いづらい。

 対照的に外枠は絶好調で、16頭立て以上における複勝回収率は100%オーバー。枠番値で比較しても、外の枠になればなるほど高くなる傾向にあり、データ的にはどう見ても内枠が不利で外枠が有利なのだ。コース形態を考えると意外な結果ではあるが、ここまでハッキリとした数字が出てくると、納得するしかない。

 また、直線の長い外回りコースながら、イメージ以上に前が強いというのも、覚えておきたい特徴。もちろんペース次第ではあるし、1着馬に関しては差し優勢なのだが、瞬発力勝負で外差しがバンバン決まる──といった認識だと、手痛いしっぺ返しを食らう可能性が大。前残りを常に警戒しておくべきコースである。

【レース基本情報】阪神ジュベナイルF(G1) 阪神過去7年
・レース平均配当
 単勝586円 馬連7371円 3連複7万6177円

・1番人気馬成績
 [2-1-1-3] 勝率28.6% 連対率42.9% 複勝率57.1%

・3番人気以内馬成績
 [4-2-3-12] 勝率19.0% 連対率28.6% 複勝率42.9%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [3-4-3-32] 勝率 7.1% 連対率16.7% 複勝率23.8%

・10番人気以下馬成績
 [0-1-1-61] 勝率 0% 連対率 1.6% 複勝率 3.2%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 0% [差し] 85.7% [追込] 14.3%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 4.8% [先行] 23.8% [差し] 52.4% [追込] 19.0%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 2-3-1-36 連対率11.9% 複勝率14.3% 枠番値±0
 [4枠〜6枠] 1-4-3-34 連対率11.9% 複勝率19.0% 枠番値-0.1
 [7枠〜8枠] 4-0-3-35 連対率 9.5% 複勝率16.7% 枠番値+0.2
 ──────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 2-4-1-49 連対率10.7% 複勝率12.5% 枠番値±0
 [5枠〜8枠] 5-3-6-56 連対率11.4% 複勝率20.0% 枠番値±0

・厩舎所属別成績
 [美浦] 1-4-3-31 連対率12.8% 複勝率20.5%
 [栗東] 6-3-4-74 連対率10.3% 複勝率14.9%

・前走距離別成績
 [芝1200m] 0-0-0-12 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝1400m] 1-5-4-46 連対率10.7% 複勝率17.9%
 [芝1600m] 4-2-3-34 連対率14.0% 複勝率20.9%
 [芝1800m] 2-0-0-8 連対率20.0% 複勝率20.0%
 [ダート戦] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [前走中央G2] 1-1-1-4 連対率28.6% 複勝率42.9%
 [前走中央G3] 1-3-2-33 連対率10.3% 複勝率15.4%
 [前走OP特別] 0-0-1-16 連対率 0% 複勝率 5.9%
 [前走500万下] 3-2-1-34 連対率12.5% 複勝率15.0%
 [前走未勝利] 1-0-0-8 連対率11.1% 複勝率11.1%
 [前走新馬戦] 1-1-2-9 連対率15.4% 複勝率30.8%

・注目出走パターン
 [買い] 前走2番人気以内、かつ上がり3F順位が2位以内(複勝率36.7%、複回率129%)
 [全滅] 前走1400m以下戦で着差0.6秒以上で敗北(0-0-0-19)
 [不振] 前走での上がり3F順位が3位以下(0-1-2-54)
 [不振] 前走3着以下馬(0-1-1-42)

 昨年が大荒れの結果となったのもあって、平均配当は馬連7371円、3連複7万6177円と、かなり高めの数値に。人気馬の信頼度はソコソコといったところだが、10番人気以下馬も[0-1-1-61]と低調な成績に終わっており、4番人気〜9番人気のゾーンに妙味を感じる結果となっている。

 コースデータとは「正反対」といえる結果が出ているのが、脚質別成績。もともと1着馬については差し脚質が優勢のコースではあるが、レースデータでは1着馬における差し脚質のシェアが85.7%、追い込み脚質が14.3%と高く、先行勢は1頭も勝てていない。3着以内馬に関してもかなり旗色が悪く、もう完全に「差し優勢」といえる内容。前残りを狙うのは、かなり厳しいレースといえる。

 となれば、勝ち負けに要求されるのはマイル適性と瞬発力。前走距離別成績を見てもわかるように、前走で1400m以下に出走していた馬と1600m以上戦に出走していた馬では、明らかに後者のほうが好成績だ。ファンタジーS組など、前走1400m組もナシではないのだが、来るのは重賞などで勝ち負けしてきた実績がある馬だけ。昨年2着のクロフネサプライズのようなパターンは、きわめてレアな例だと言えそうだ。

 そして、レースデータから取捨選択を行う際に何よりも重視したいのが、前走での「上がり3ハロン順位」である。注目出走パターンにも挙げたが、トータル[0-1-2-54]という結果を見てもわかるように、これがこれが3位以下の時点でかなり期待薄。登録馬のうち、この条件を満たさない14頭は、バッサリ切り捨てるのをオススメする。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 時計は全体的に速かった印象。開幕前半でもあり内有利・前有利の傾向か。

・天候予測
 週末まで好天継続。パンパンの良馬場でスピード勝負となりそう。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率17.3% 連対率26.9% 複勝率38.5%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ダイワメジャー産駒○、ハーツクライ産駒▲

 好天が続いて空気も乾燥していることから、かなり含水率の低い堅い馬場でのレースとなりそう。しかも、芝コンディションが良好となると、高速決着となる可能性が非常に高そうだ。脚質的には前のほうが有利そうな状況で、差した馬も、道中は内を通っているほうが伸びている印象。外差しがバンバン決まる状況ではないのだが、これがレースにどのような影響を及ぼすかを読み切るのは、かなり難しい。

 対照的にわかりやすいのが血統面。完全にサンデー系が優勢で、なかでもディープインパクト産駒やハーツクライ産駒など、瞬発力要求度が高いコースに適性を持つタイプが非常に強いコースだ。ダイワメジャー産駒やフジキセキ産駒なども強いが、基本的にはキレ型の血統&馬体に向くコース。非力なところがある馬でも、良馬場であればまったく問題なく、能力を発揮してくれそうだ。

★総論×各論

 コースデータからは先行有利と判断できるし、現在の馬場もそれなりに前が有利な状況。しかし、レースデータや血統データからは差し優勢という、何とも悩ましい分析結果となった。アラが出るのは承知の上で、開き直って総合分析を進めるとしよう。
 
 前述したように、このレースで勝ち負けするには「前走での上がり3F順位が2位以内」であることが必要条件。この条件をクリアしないクリスマスなど14頭は、この時点でスパッと切り捨てた。この段階で残っているのは9頭である。

 このうち、阪神ジュベナイルFで好走実績の多い「前走2番人気以内」という条件も満たすのが7頭。信頼度の高い「前走1600以上戦出走組」であるのも7頭。3条件すべてを満たすのが、ハープスター、ホウライアキコ、マジックタイム、マーブルカテドラル、レッドリヴェール、レーヴデトワールの6頭である。つまり、好走条件をクリアしているのが人気馬しかいないワケで、この時点で大波乱はないと言える。

 あとは序列をどうするかだが、休養明けからの直行組がイマイチな成績に終わっていることから、ハープスターとレッドリヴェールの評価は少し落とすべき。同様に、現在の条件となってからまったく好走例がない、連闘〜中1週での出走馬も割引が必要だろう。あとは、1頭くらいは穴馬を混ぜておかねば面白味にも欠ける。

 というわけで、トップ評価はホウライアキコで、マーブルカテドラル、マジックタイム、インヴォークの4頭を上位に評価。唯一の穴馬としてデータ面からも推奨できるのが、最後に名前を挙げたインヴォークである。あとは、レーヴデトワール、ハープスター、レッドリヴェールまで。もっとも、コースデータの項目で解説したように、ここは外枠のほうがアツいコース。枠番決定後に、このファクターによる評価の微調整を、必ず行うようにしていただきたい。

■朝日チャレンジC(G3・阪神芝1800m外)フルゲート18頭/登録23頭

 昨年から開催時期と開催コースが変更され、名前は同じでもまったく別のレースと化した朝日チャレンジC。1番人気〜3番人気馬が全滅で3連単90万馬券が飛び出すなど、いきなりから大波乱の結果となっている。しかも、コンマ6秒の間に出走全馬がひしめくという、超のつく大接戦。今年も、昨年のような白熱したレースを期待したいところだ。

 今年は23頭が登録しており、ラウンドワールド、マイネルラクリマといったあたりが人気の中心となりそう。とはいえ、ハンデ戦でもあり、アテになりそうな馬もかなり少ないメンバー構成。人気馬の過信は絶対に禁物である。

 当コースで目立っているのが、差し脚質の活躍。同じ外回りでも芝1600mよりも格段に差しが決まる印象で、最速上がりをマークした馬のトータル連対率は59.7%、トータル複勝率は74.5%という非常に高いもの。血統面から見ても、ダイワメジャー、ディープインパクト、そしてハーツクライの産駒が複勝率上位を占めるなど、瞬発力の要求度は非常に高いと言える。

 ……というわけでシンプルに、ここは近走で使っている上がりが安定して速い、アルキメデス、カワキタフウジン、コアレスドラード、ヒストリカル、ラウンドワールドの5頭を注目馬に。大波乱となった昨年の結果を踏まえて、人気のラウンドワールドやヒストリカル、アルキメデスではなく、カワキタフウジンやコアレスドラードから入る馬券を推奨しておきたい。

■カペラS(G3・中山ダ1200m)フルゲート16頭/登録59頭

 総勢59頭と、思わず絶句してしまうほどの特別登録頭数となった今年のカペラS。昨年も50頭近かった記憶があるが、今年はさらに多い。しかも、過去5年で1番人気が馬券に絡んだのは1回だけ。10番人気以下馬の好走率もかなり高く、波乱含みの混戦となっている。

 というわけで、ここはバットをブンブン振り回す高配当狙いがオススメ。というのも、人気の中心となる前走重賞組が、トータル[1-1-1-10]とかなりアテにならないのである。また、前走でも1200m戦を使われてきた組も、トータル[0-2-2-37]と低空飛行。このあたりをバッサバッサと切り捨て、穴馬を積極的に狙いたいところだ。

 オススメは、11月24日に行われたオープン特別「京都オータムリーフプレミアム」からのローテ。京都ダート1400mからの距離短縮であり、人気薄での好走条件にピタリと当てはまる臨戦過程。同レースを制したノーザンリバーが最も信頼できそうだが、スノードラゴン、スリーボストンなどの巻き返しもありそう。開き直って「同レースから出走する最も人気薄の馬」に狙いを定めるのも面白そうである。

※レースデータは2003年以降、コース&血統データは2010年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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