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枠番次第では振り回すのもアリか!?/朝日杯フューチュリティS

  • 2013年12月11日(水) 17時59分


■朝日杯フューチュリティS(G1・中山芝1600m)フルゲート16頭/登録33頭

【コース基本情報】中山芝1600m Aコース使用
・コース回収率
 [やや高め] 単80%・複勝73% 人気薄の激走が目立つ波乱含みのコース

・馬連万馬券出現率
 [高め] 15.5%(平均値↑3.5% 馬連平均配当6987円)

・枠番別成績(16頭立て) ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 勝率 7.0% 連対率14.2% 複勝率21.8% 複回率 72% 枠番値-0.2
 [3枠〜6枠] 勝率 6.6% 連対率12.2% 複勝率18.1% 複回率 69% 枠番値±0
 [7枠〜8枠] 勝率 5.1% 連対率11.6% 複勝率17.2% 複回率 72% 枠番値±0
 ────────────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 勝率 7.6% 連対率14.1% 複勝率20.6% 複回率 70% 枠番値±0
 [5枠〜8枠] 勝率 5.1% 連対率10.9% 複勝率17.0% 複回率 71% 枠番値+0.1
 →ひと頃よりはマシになったが外枠不利であることに変化なし。割引。

・脚質別信頼度
 逃げ>先行>>差し>>>追込 上級戦でも後方に置かれた時点で敗色濃厚

・推定ラップ&タイム
 [前傾] 34.3-23.8-35.5=1.33.6 キレよりも持久力が要求される流れに

 G1が開催されるコースとしては、かなり「荒れる」部類である中山芝1600m。1コーナー横のポケットから発走する上に最初のコーナーまでが非常に短く、外枠からいいポジションを取りに行くのはきわめて難しい。外枠からスタートで立ち後れでもしたら、もうその時点でアウトといっても過言でないのが、このコース。やはり、外枠に入った馬は割り引いて考えるべきだ。

 また、マイル戦ながら「猛烈に前有利」というのも、このコースの大きな特徴。他のコースのマイル戦であればともかく、カーブがキツい上に直線が短い中山芝1600mでは、コーナー部分から加速できる馬でなければ間に合わない。大トビの差し馬が直線に入ってからの加速で頭まで突き抜けるのは、事実上不可能。現在のG1にあって、これほど「器用さ」を要求されるレースも珍しい。

 レースの流れも前半のほうが速い「前傾」となることが多く、同じマイル戦でも阪神芝1600m外などとは対照的。高いレベルの持久力や先行力が要求されるため、瞬発力に特化したような血統、馬体に出た馬には鬼門となりうる。軸馬には「内枠から先行して早め先頭から押し切る」といったレースができるタイプがベストだろう。

【レース基本情報】朝日杯フューチュリティS(G1) 過去10年
・レース平均配当
 単勝926円 馬連2768円 3連複6146円

・1番人気馬成績
 [2-2-4-2] 勝率20.0% 連対率40.0% 複勝率80.0%

・3番人気以内馬成績
 [7-4-6-13] 勝率23.3% 連対率36.7% 複勝率56.7%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [3-5-3-49] 勝率 5.0% 連対率13.3% 複勝率18.3%

・10番人気以下馬成績
 [0-1-1-65] 勝率 0% 連対率 1.5% 複勝率 3.0%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 10.0% [先行] 50.0% [差し] 30.0% [追込] 10.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 13.3% [先行] 36.7% [差し] 40.0% [追込] 10.0%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 5-5-6-42 連対率17.2% 複勝率27.6% 枠番値+0.4
 [4枠〜6枠] 4-4-3-48 連対率13.6% 複勝率18.6% 枠番値+0.1
 [7枠〜8枠] 1-1-1-37 連対率 5.0% 複勝率 7.5% 枠番値-0.5
 ──────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 7-6-8-57 連対率16.7% 複勝率26.9% 枠番値+0.3
 [5枠〜8枠] 3-4-2-70 連対率 8.9% 複勝率11.4% 枠番値-0.3

・厩舎所属別成績
 [美浦] 4-5-5-47 連対率14.8% 複勝率23.0%
 [栗東] 6-3-4-74 連対率11.6% 複勝率16.8%
 [地方] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%

・前走距離別成績
 [芝1200m] 0-0-0-17 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝1400m] 3-5-3-52 連対率12.7% 複勝率17.5%
 [芝1600m] 3-2-5-24 連対率14.7% 複勝率29.4%
 [芝1800m] 4-3-2-22 連対率22.6% 複勝率29.0%
 [芝2000m] 0-0-0-3 連対率 0% 複勝率 0%
 [ダート戦] 0-0-0-8 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [前走中央G2] 3-6-4-41 連対率16.7% 複勝率24.1%
 [前走中央G3] 5-3-2-17 連対率29.6% 複勝率37.0%
 [前走OP特別] 0-0-1-20 連対率 0% 複勝率 4.8%
 [前走500万下] 2-1-3-40 連対率 6.5% 複勝率13.0%
 [前走未勝利] 0-0-0-4 連対率 0% 複勝率 0%
 [前走新馬戦] 0-0-0-4 連対率 0% 複勝率 0%

・注目出走パターン
 [絶好] 前走重賞1着馬(連対率39.1%、複勝率52.2%)
 [買い] 1枠〜4枠に入った前走2番人気以内馬(複勝率46.9%)
 [全滅] 前走でダート戦か芝1200m戦に出走(0-0-0-25)
 [全滅] 7枠〜8枠に入った前走2着以下馬(0-0-0-20)
 [全滅] 新馬&未勝利勝ちからのローテ(0-0-0-8)
 [不振] 前走1番人気馬をのぞく前走4角10番手以下馬(0-0-1-20)
 [不振] 東スポ杯組をのぞく前走上がり順位6位以下(0-0-1-24)

 荒れているイメージのある朝日杯FSだが、平均配当は単勝926円、馬連2768円、3連複6146円とかなり低めの数値。荒れやすいコースで行われるレースだが、堅く決着する傾向にあると言える。特に馬連平均配当はかなりの低さで、これは3番人気以内馬が[7-4-6-13]と非常に強いことによるもの。10番人気以下馬の弱さを考えると、あまりブンブン振り回すのはオススメしかねる。

 脚質については、意外に逃げ馬が残せていない点が特徴的。コース形態を考えるともっと馬券に絡んでいておかしくないのだが、前傾で厳しいペースになることで、コースデータよりも差し馬が台頭しやすくなっているようだ。ただし、追い込み馬が期待薄であるのはコースデータと同じ。中団を取れないようでは、やはり厳しい。

 枠番別成績では、コースデータ以上に外枠の不利が目立っている。昨年こそロゴタイプが外枠から制しているが、7枠〜8枠に入った馬はトータル[1-1-1-37]とかなりの低空飛行。前走2着以下馬となると、1頭も馬券に絡めていない。外枠を引いた場合は、よほどの実力&実績馬でもないかぎり、重い印を回す必要はなさそう。押さえるとしても、△〜×といった程度の評価に止めたほうがいい。

 前走距離別で見ると、前走は「距離が長いほうがベター」という傾向アリ。1400mよりも1600m、1600mよりも1800mのほうが期待値は高いと捉えておこう。また、関東馬が関西馬と互角どころか、それを上回る成績を残しているのも大きな特徴。関東馬であることを理由に、評価を下げる必要はまったくない。

 注目出走パターンは7つあげたが、扱いが悩ましいのがベルカント。というのも、登録馬で唯一の「前走重賞1着馬」なのだが、同時に「前走上がり順位6位以下馬」でもあるのだ。しかも同馬は、07年のフォーチュンワード以来となる牝馬のエントリー。レベルの低い今年だとアッサリ通用の可能性もあるが、だからといって過信もできないという、レースの面白さと難解さを引き立てる存在となりそうである。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 先週は時計のかかる馬場だった印象。キレ型よりもパワー型向きか。

・天候予測
 週末まで好天継続。降雨の心配はなさそうなので良馬場前提で。

・勝利数トップ種牡馬
 キングカメハメハ 勝率13.6% 連対率25.0% 複勝率31.4%

・著者の注目血統
 ゼンノロブロイ産駒◎、キングカメハメハ産駒○、母父サンデー&母父トニービン△

 ダイワメジャー産駒が出てきたら迷わず重い印を回したかったのだが、残念ながら登録はナシ。となると、登録馬の父で高く評価できるのは、ゼンノロブロイとキングカメハメハくらいのものだ。それ以外では、母父サンデーおよび母父トニービンの配合馬が好成績。特に注目しておきたいのが、回収率が単複ともに100%オーバーの「母父サンデー」だ。

 ディープインパクト産駒も成績はけっして悪くはないのだが、勝ち負けになっているのは下級条件までが多く、1000万下〜重賞での信頼度はソコソコといった程度。朝日杯FSでは過去に2頭が出走していずれも馬券に絡んでいるのだが、それでも適性が高いかといえば、正直ビミョー。個人的には、ディープ産駒であることがプラス評価の対象にはならないコース&レースだと考える。あとは、サクラバクシンオー産駒も1000万下〜重賞では大不振。こちらはハッキリと割引の対象としたい。

★総論×各論

 2周前登録を見た段階から「こりゃカオスだな」と思っていた、今年の朝日杯FS。重賞勝ち実績のある馬が1頭しかおらず、しかもそれが牝馬なのだから、一筋縄ではいかない。ここまでつらつらとレースの傾向について解説してきたわけだが、ここまでメンバーが手薄になると、過去とはまったく傾向が異なる結果が出てもおかしくないはず。何とも難しく、そして面白いレースになったものだ。

 現在のところ、人気を集めそうなのはアトムとプレイアンドリアルの2頭。甲乙つけがたいところだが、前走でのレース内容を評価して、ここはアトムを筆頭評価したい。キャリアわずか2戦ながら、デイリー杯2歳Sで見せたレース内容は、いかにも朝日杯FSに繋がりそうなもの。気がかりなのは、信頼度がやや低めであるデイリー杯2歳Sからのローテである点くらいのものだ。

 そしてプレイアンドリアルも素直に「買い」評価。[4-2-2-13]の東京スポーツ杯2歳S組である点が大きな強調材料だが、こちらは川崎の河津厩舎へと転厩したばかりで、その状態やメンタル面が気がかり。もっとも、中央でいきなりあの時計で走れるのだから能力があるのは間違いないし、血統的に見てもその奥はかなり深そう。有力候補の一角であるのは間違いない。

 以下は大混戦だが、ウインフルブルームモーリスハイアーレートまでが上位評価組。あとは押さえで、ショウナンアチーヴ、ツィンクルソード、ピークトラム、アポロスターズ、キーンソードといった序列となった。ここから、抽選による除外馬と「7枠〜8枠に入った馬」を省くと、わりといいカンジになるのではないかと思われる。

 枠番による影響が非常に大きいレースなので、トップクラスの評価であるアトムやプレイアンドリアルも、7枠〜8枠に入った瞬間に「押さえ」への降格は必至。片方だけでも外枠に入ると、高配当出現の期待度が一気に高まる。例年ならば堅く決着するレースだが、今年は例外的に振り回してみるのも面白いかもしれない。

■愛知杯(G3・中京芝2000m)フルゲート18頭/登録24頭

 2006年から暮れの開催となった愛知杯だが、新装後の中京芝2000mで開催されたのは昨年が初回であり、データ的には「今年が2回目」と考えるべきレース。しかも、牝馬限定のハンデ戦で、昨年が7番人気と10番人気で決まる波乱決着。今年も、すんなり決まるとは思えないレース条件と言える。

 開催時期的に秋華賞やエリザベス女王杯といった牝馬G1からのローテが人気の中心となるレース。今年もアロマティコやスマートレイヤーが人気を集めそうだが、これをどう扱うかが勝敗の分かれ目。昨年も一応はオールザットジャズ(前走エリザベス女王杯5着)が3着に来てはいるのだが、1番人気のピクシープリンセスが6着に終わっているのだから、これがアテになるかどうかは微妙なところだ。

 また、昨年が「完全な前残り」で、しかも「軽ハンデ馬のワンツー」であったというのも、アロマティコとスマートレイヤーを素直に信頼できない理由のひとつ。以前は斤量を背負っている組のほうが期待できたレースなのだが、どうも大幅に傾向が変わった印象を受ける。また、今年の人気馬が揃いも揃って「前走で後方からの競馬」というのも、波乱を予感させる。

 あとは、中京芝2000mがディープインパクト産駒とハーツクライ産駒が異様なまでに強い「超キレ型コース」であるのも、押さえておきたい要素。というわけで、人気馬ではアロマティコよりもスマートレイアーを上に評価したい。人気薄では、ウエスタンレベッカコウエイオトメサンシャインセキショウの4頭が注目馬。軽ハンデの人気薄が前で粘るところに、スマートレイアーが突っ込んでくる──といったイメージである。

※レースデータは2003年以降、コース&血統データは2010年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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