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プレイ&リアル&セレン&ディピティ 川田騎手と和田騎手はディピティを持っているか?

  • 2013年12月12日(木) 12時00分
朝日杯FSの週が訪れるたびに強迫観念と闘っている気がする。
信頼に足る1番人気がいたらあれこれ考えずに黙ってその馬を軸にして買えという強迫観念と。
毎年書いているけれど今年も基本はそう。だから書く。

「簡単な競馬は簡単に考えるにこしたことはない」

(できるできないに関わらず)簡単な競馬を難しく、難しい競馬を簡単に考える事をモットーにしている身としては、これがなかなか難しい。

今年は重賞勝利をほとんど牝馬に持っていかれたからか、牡馬陣に重賞1着の勲章を持つ馬が少ない。その牡馬の重賞ホースも出走してないから、ますますはったりの厚みに欠けるメンバーになってしまったように思える。

しかも出走が確定している馬の中に社台系生産馬が2頭(ショウナンアチーヴ&ツィンクルソード)しかおらず、その2頭も悪くはないけれど勝ち切るにはどうなんだろう……、少なくとも1番人気で期待に応える強さまではないように思えるけど……、それでも大生産者系の力に委ねたほうがいいのだろうか……結局人気次第か………などと思ったりもして、少々躊躇してしまう。

むしろ抽選組に社台系で面白そうなのが何頭かいる。けれどそれだって抽選だから週中に何かを考えても、週末に一掃される怖れもある。

だから簡単に考えようにもなかなかどうして考えにくい週中でもある。

しかし、そんなことは過去の朝日杯FSでもあった。ここまで薄かった年はないかもしれないけれど、2年前だってメンバー的に薄いと感じていた。
それでも結果的には自分が思う「例年の簡単ポイント」からはズレなかった。
だからやっぱり思う。

簡単な競馬は簡単に考えるにこしたことはない。
だから思え!
今年も朝日Fは簡単だと思え!
と自分を強迫してみる。
ただし、今年は例年よりも薄口メンバーにも思える。いつもの年より、プレイやリアルやセレンやディピティなんかをまぶしながら自分を強迫する必要はあるかと思っている。

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♯1 恒例・朝日杯FSの強迫材料
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「朝日杯FSは1番人気馬の前走の位置取りがわかれば解決する」

1 「1番人気馬が前走・先行していれば、朝日杯では○。馬券圏内確定」

2 「1番人気馬が前走・先行していなくても、朝日杯で先行すれば○。馬券圏内確定」

3 「1番人気馬が前走・差しで、朝日杯でも差しに回ったら、△。馬券圏内だったり、圏外だったり」

【参考文献】
過去12年の朝日杯FS1番人気馬の位置取りと着順と前走の位置取りと着順
◎・連対
◯・3着
×・圏外

01年 16頭立て
1番人気 アドマイヤドン 7-6-4-3 で1着
前走 5-4-2 で1着
「先行」(前走)→「先行」(今走)で◎

02年 15頭立て
1番人気 サクラプレジデント (遅)13-10-10-8 で2着
前走 5-5-8-6 で1着
「先行」→「差し」で◎

03年 16頭立て
1番人気 メイショウボーラー 1-1-1-1 で2着
前走 1-1-1 で1着
「先行」→「先行」で◎

04年 16頭立て
1番人気 ペールギュント 11-11-14-15 で3着
前走 8-8-9-8 で2着
「差し」→「差し」で○

05年 14頭立て
1番人気 ジャリスコライト 3-6-5-3 で3着
前走 4-5-5 で1着
「先行」→「先行」で○

06年 15頭立て
1番人気 オースミダイドウ 2-1-1-1 で3着
前走 9-8-6 で1着
「差し」→「先行」で○

07年 16頭立て
1番人気 スズジュピター 7-8-10-9 で5着
前走 (遅)9-9-9-8 で2着
「差し」→「差し」で×

08年 16頭立て
1番人気 ブレイクランアウト 14-13-9-6 で3着
前走 10-10-9-9 で2着
「差し」→「差し」で○

09年 16頭立て
1番人気 ローズキングダム 7-9-9-8 で1着
前走 4-5-4-4 で1着
「先行」→「差し」で○

10年 16頭立て
1番人気 サダムパテック (遅)11-10-7-7 で4着
前走 (遅)12-8-9-8 で1着
「差し」→「差し」で×

11年 16頭立て
1番人気 アルフレード 4-3-4-3 で1着
前走 6-6-6 で1着(10頭立て・ゆえに差しと仮定)
「差し」→「先行」で◎

12年 16頭立て
1番人気 コディーノ 7-7-2-5 で2着
前走 3-4-4-4 で1着
「先行」→「先行」で◎

この12年で1番人気は(3-3-4-2)。1番人気の馬券圏内率は基本高い。
前走と今走の脚質もこのとおり。
「先行」→「先行」で4馬券圏内
「先行」→「差し」で2馬券圏内
「差し」→「先行」で2馬券圏内
「差し」→「差し」で2馬券圏内、2馬券圏外

前走で先行してれば、圏内確定。
前走で差しても、今回、先行できれば、これまた圏内確定。
危ういのは前走・差しで、今回も差しの馬のみ。
(※1番人気馬についてであることをお忘れなく)

朝日FSは5年前から1週遅い開催になったけど、基本的に「先行力」を兼ね備えてないと話にならないと言える(今回差しに回ったとしても)。

今年の1番人気は接戦だ。
今のところプレイアンドリアルとアトムが争っているけれど、ベルカントだってまだわからない。

だから一応、3頭を強迫してみる。

プレイアンドリアル 前走15頭立て 4-4-3-3 2着 先行だ。
アトム 前走12頭立て 7-7-7 2着 やや差しだ。
ベルカント 前走18頭立て 1-1-1 1着 先行だ。

前走先行している2頭プレイアンドリアルとベルカントはデビュー以来の臨戦を加味すると、ここでも間違いなく先行してきそう。
だからこの2頭のどちらかが1番人気になったら馬券圏内の信頼性は相当高いと言える。

問題はアトム。
今回先行してくれば馬券圏内だし、差しに回れば50:50(フィフティ:フィフティ)と判定できる。
ここは微妙だ。

アトムはデビュー戦は13頭立てのレースで6-6-7で1着した。
13頭立てだからちょうど真ん中だ。
2戦目の前走は12頭立ての7-7-7。やや差しとしてみたけれど、真ん中より前につけようと思えばつけられる可能性も感じられる。

前走のデイリー杯を取りこぼしたと考えていれば、ここではもうちょっと前につけるかもしれない。
もしくは川田騎手に先週ハープスターでの取りこぼしの残像がいっぱい残っていれば、もう少し攻めてくるかもしれない。

そこがわかりにくい。
外枠ならば差しに徹するかもしれないし、内枠ならばいつもより前につけるかもしれない。

つまりアトムが1人気になったらちょっと面倒というわけだ。自分はあくまでも簡単に片付けたいスタンスなので、あとは祈ってみる。
プレイアンドリアルかベルカントが1人気になってくれるように祈ってみる。
プレイだけに祈ってみた。うは。

馬券圏内の軸はだいたい見つかった。祈り付きではあるけれどだいたい見当がついた。

問題はここからだ。リアル(現実)の方だ。

プレイアンドリアル・ベルカント・アトム、もしくはそれ以外の馬が1人気になったとして、
はたして頭(1着)はあるのだろうか?
ここはけっこう大事なとこだ。

馬券圏内の軸はカタくても、1着は危ういとなれば馬券的広がり、もしくは絞り込みができる。
馬単ならば2着付け、
3連単ならば2着・3着付け、
別の馬の単勝勝負でもいい。

今回のメンバー全体を見渡して、はったりに欠けると感じるのは、重賞勝利の少なさだけでなく、1番人気での勝利経験の少なさにもよる気がする。

今回のメンバーで新馬・未勝利を除くレースで1人気1着したことのある馬は3頭。
アジアエクスプレス オキザリス賞1人気1着 ダ1600
テイエムキュウコー ひまわり賞1人気1着 芝1200
プレイアンドリアル ジュニアグランプリ1人気1着 芝1600

アジアエクスプレスはダート経験しかない馬で、テイエムキュウコーのひまわり賞は九州産限定戦で、プレイアンドリアルのジュニアグランプリは中央馬の参戦しない地方競馬でのもの。少々心もとない。

アジアエクスプレスは初芝でさらに超特急ぶりを発揮するかもしれない。
テイムキュウコーも右回りの中山の芝で急行ぶりを発揮するかもしれない。
プレイアンドリアルも前走東スポ杯2着はほんまもんだと主張するような走りをみせるかもしれない。

けれど、3頭ともに戦歴としての1人気1着のはったり度は、ここでは少し弱い。

今回のメンツは重賞勝ち経験のある馬が牝馬のベルカント1頭というだけでなく、
重賞での善戦経験も少ないメンツであるというだけでなく、
特別レースでの1人気1着経験も少ないメンツでもある。

そのような馬たちにとって、1番欲しくないのは1人気だろう。
唯一の重賞ウィナー・ベルカントも新馬以外での1人気1着はない。

朝日杯FSの伝統として、先行する1人気馬の馬券圏内の信頼は高いけれど、今回のメンツはできれば1人気を避けたい馬ばかり。つまり、今年の1人気馬は何がなろうと、1着はないのではないか? そんな見立てはできる。

前記したようにおそらく1人気はプレイアンドリアル・ベルカント・アトムの3頭のどれか。
プレイアンドリアルかベルカントならば先行するはずだから、改めて先行を祈る必要はない。アトムが1人気になったら、ちょっと面倒だから1人気にならないように祈るけれど、なったらなったで先行するように祈る。

だけど1着はなし、2着か3着の軸としての1人気。そんな現実もありそう。
これが今年の朝日杯FSの1人気のプレイ・アンド・リアル。うむ、なんか上手いこと言えた気がする。

おっと、忘れていた。今年は枠も大事かもしれない。過去12年で1人気が8枠に入ったのは1回。

このときの鞍上はペリエでメイショウボーラーを逃がして2着に導いた。しかし8枠の馬がそもそも馬券圏内に入れたのも、メイショウボーラー1頭で、ペリエだったから2着できたともいえる。

8枠に入ったらアウト(圏外)の可能性も頭に入れる必要もあるかもしれない。だから祈る。1番人気が8枠に入らないように祈る。
今年は1番人気に祈ることが多いなぁ〜。

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#2 朝日杯FSのセレンディピティ
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偶然を幸運に替える力をセレンディピティという。
自分はこのセレンディピティが2歳のG1や3歳クラシックでたまに宿るような気がしている。
抽選で出走権を獲得し、激走するアレだ。

今回の抽選の400万組にはセレンディピティが宿りそうな馬がいるような気がする。

ミッキーアイルはディープインパクト産で、逃げ先行脚質なのがいい。一戦目に番手で2着して、2戦目で逃げて圧勝したのもいい。抽選なのに浜中騎手が待機してそうなのがいい(抽選だと関東の騎手に依頼しがち)。なんだか宿っていそうだ。生産はノーザンF。

モーリスは抽選でも内田博騎手に戻りそうなのがいい(名手系はノン抽選馬に持っていかれがち)。前走は出遅れたけれど、ふつうにスタートすれば先行できそうな脚質もいい。なんだか宿っていそうだ。馬主・ノーザンF系。

ピークトラムは新潟2歳3着、デイリー杯3着と2回重賞で3着しているのがいい。ハープスター、ホウライアキコというタイプの違う馬が勝った重賞で3着しているからだ。小牧騎手じゃなさそうなのが残念だけど、社台F生産で吉田照哉氏名義の馬に大野騎手(?)なら宿っていそうだ。

タガノグランパは1戦1勝馬で通年ならばまったくいらないけれど、今年のメンツならありか。松田博厩舎の牡馬のレベルは把握しきれてないけれど、抽選なのに、さらに非系生産馬でありながら、戸崎を確保してそうなのもいい。モーリスと同様に何かが宿っていても不思議でない。

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朝日杯FSのプレイ&リアル&セレン&ディピティ
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というわけで今年も朝日杯FSでは1人気に最大の敬意を払ってみる。ただし1着という敬意を外したところでの敬意。8枠に入らないことを祈りつつの敬意。現実的にはプレイアンドリアルかアトムが1人気になりそう。プレイアンドリアルならノータイムで2着か3着馬券。アトムならやや長考して結論を出したい。

抽選を突破した馬にセレンディピティが宿っていそうか検討して、宿っていそうなら1人気と絡めて馬券を買ってみたい。前記した4頭が入るといいけれど、騎手ディピティや生産者ディピティだけでなく、枠のディピティも重視して抽出を試みたい。今はフレンチデピュティを混ぜていいか悩んでいる。ディピティとデピュティは似てるけれど、英字にするとdipityとdeputyでぜんぜん違う。ダジャレ枠でありとするか、なしとするか。ここは大きな問題だ。

抽選組ならハイアーレートの母父がフレンチデピュティだ。
900万組にも母父父にフレンチデピュティがいる(ショウナンワダチ)。
ピークトラムやアジアエクスプレスにも遠くに(4代前)デピュティ(ミニスター)がいる。

ちなみに900万以上馬は、けっこう宿っていそうな馬が多く、ちょっとしたことで激走しそうでもある。これこそ枠ディピティ、馬場ディピティ、人気ディピティなんぞを駆使して、抽出したいところだ。

先週の阪神JFで1人気で2着したけれど、取りこぼした感もある川田騎手と、2人気で7着に敗れて、和田アキコー!と勝利インタビューで洒落込めなかった和田騎手の二人が今週の朝日杯でそれなりの馬に騎乗できていることに注目している。
二人が何らかのディピティを持っているのなら、ここで巻き返せるはずだ。


朝日杯FS注目馬
8枠以外で1人気ならば2着3着で軸にしないダメ!な〜んも考えちゃダメ!(あくまでも自分に命令してます)…プレイアンドリアル
8枠以外で1人気ならば4着もあるかも?とちょっと長考した上で軸にしないとダメ!(結局買え!と自分に命令してます)…アトム

もし抽選で通ったら,人気とか枠とか馬場とかディピティしながら拾え!…ピークトラム・ミッキーアイル・モーリス・タガノグランパ

川田(アトム)
和田(ウインフルブルーム)

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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