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今年も願いを託すは「ヒモ穴」で!/有馬記念

  • 2013年12月18日(水) 18時00分
■有馬記念(G1・中山芝2500m)フルゲート16頭/登録17頭

【コース基本情報】中山芝2500m Aコース使用
・コース回収率
 [やや低め] 単74%・複勝69% 人気サイド、特に6番人気以内馬が強い

・馬連万馬券出現率
 [低め] 6.2%(平均値↓5.8% 馬連平均配当3563円)

・枠番別成績(14頭立て以上) ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 勝率 8.3% 連対率13.9% 複勝率18.5% 複回率 77% 枠番値+0.1
 [3枠〜6枠] 勝率 7.4% 連対率16.1% 複勝率23.9% 複回率 74% 枠番値±0
 [7枠〜8枠] 勝率 4.2% 連対率 7.6% 複勝率13.9% 複回率 59% 枠番値±0
 ────────────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 勝率 7.2% 連対率14.8% 複勝率20.8% 複回率 69% 枠番値+0.3
 [5枠〜8枠] 勝率 6.3% 連対率12.2% 複勝率19.5% 複回率 72% 枠番値-0.2
 →やはり外枠の不利が目立つ。フルゲートの外枠に限定するとさらに厳しい。

・脚質別信頼度
 逃げ>先行>差し>>>追込 中山らしく前有利。最悪でも中団は取りたい。

・推定ラップ&タイム
 [平均] 35.9-80.8-35.1=2.31.8 長く脚を使えるタイプに有利な流れか。

 中山芝2500mは開催レース数が非常に少なく、過去10年を対象としても114レースしかない。フルゲートで行われたレースとなるとたったの15回であり、正直なところデータ不足は否めない。データを出しておいてこんなことを言うのもアレだが、あまりアテにはならないと考えていただきたい。母数の少ないデータとは、そういうものだ。

 しかし、この少ないデータでもハッキリ言い切れるのが、外枠の不利さ。上記データは14頭立て以上に限定して抽出しているが、16頭立てに限定すると、外枠の信頼度はさらに低下。8枠から連対した例は一度もなく、3着に来るのも難しい。07年有馬記念を例に出すと「あのウオッカが11着に惨敗するほど」不利なのである。

 意外に5枠〜6枠が健闘しているように「内枠有利」ではないのだが、7枠〜8枠は間違いなく割引。また、4角を10番手以下で通過した馬も、16頭立てのレースでは[1-3-4-83]と信頼度はきわめて低い。しかも、この条件下で馬券に絡んでいる8頭のうち3頭は、ゴール昨年の有馬記念1着〜3着馬。あれほど追い込みがきいた有馬記念はちょっと記憶にないほどで、昨年来ているのだから今年も──といった発想で追い込み脚質を狙うのは、絶対にオススメしない。

【レース基本情報】有馬記念(G1) 過去10年
・レース平均配当
 単勝951円 馬連6422円 3連複3万2464円

・1番人気馬成績
 [6-3-0-1] 勝率60.0% 連対率90.0% 複勝率90.%

・3番人気以内馬成績
 [8-4-3-15] 勝率26.7% 連対率40.0% 複勝率50.0%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [2-4-4-50] 勝率 3.3% 連対率10.0% 複勝率16.7%

・10番人気以下馬成績
 [0-2-3-51] 勝率 0% 連対率 3.6% 複勝率 8.9%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 10.0% [先行] 50.0% [差し] 40.0% [追込] 0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 6.7% [先行] 46.7% [差し] 36.7% [追込] 10.0%

・年齢別成績
 [3歳馬] 3-4-2-29 連対率18.4% 複勝率23.7%
 [4歳馬] 6-3-1-22 連対率28.1% 複勝率31.3%
 [5歳馬] 1-1-4-30 連対率 5.6% 複勝率16.7%
 [6歳馬] 0-0-1-21 連対率 0% 複勝率 4.5%
 [7歳↑] 0-2-2-14 連対率11.1% 複勝率22.2%
 ────────────────────────
 [4歳以下] 9-7-3-51 連対率22.9% 複勝率27.1%
 [5歳以上] 1-3-7-65 連対率 5.3% 複勝率14.5%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 3-2-2-24 連対率16.1% 複勝率22.6% 枠番値+0.9
 [3枠〜6枠] 4-7-7-57 連対率14.7% 複勝率24.0% 枠番値-0.3
 [7枠〜8枠] 3-1-1-35 連対率10.0% 複勝率12.5% 枠番値-0.1
 ──────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 4-8-6-49 連対率17.9% 複勝率26.9% 枠番値+0.8
 [5枠〜8枠] 6-2-4-67 連対率10.1% 複勝率15.2% 枠番値-0.7

・厩舎所属別成績
 [美浦] 3-0-5-30 連対率 7.9% 複勝率21.1%
 [栗東] 7-10-5-80 連対率16.7% 複勝率21.6%

・前走距離別成績
 [芝1600m] 0-0-2-0 連対率 0% 複勝率 100%
 [芝1800m] 0-0-0-7 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝2000m] 3-1-3-15 連対率18.2% 複勝率31.8%
 [芝2200m] 0-2-0-8 連対率20.0% 複勝率20.0%
 [芝2400m] 5-4-4-60 連対率12.3% 複勝率17.8%
 [芝2500〜] 2-3-1-24 連対率16.7% 複勝率20.0%
 [ダート戦] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 10-7-9-75 連対率16.8% 複勝率25.7%
 [中央G2] 0-1-0-20 連対率 4.8% 複勝率 4.8%
 [中央G3] 0-0-1-13 連対率 0% 複勝率 7.1%

・主要ステップ別成績
 [ジャパンC] 5-3-4-55 連対率11.9% 複勝率17.9%
 [天皇賞・秋] 3-0-2-6 連対率27.3% 複勝率45.5%
 [菊 花 賞] 2-2-1-6 連対率36.4% 複勝率45.5%

・注目出走パターン
 [絶好] 前走3着以内の4歳以下馬(連対率37.8%、複勝率40.5%)
 [買い] 外国人ジョッキー騎乗馬(複勝率37.9%)
 [買い] 前走での上がり3F順位が2位以内(複勝率31.8%、複回率130%)
 [不振] 前走JCで4着以下、かつ人気>着順(0-1-1-21)
 [不振] 前走JCで4角10番手以下かつ3着以下(0-1-1-16)
 [全滅] 前走でG2〜G3に出走して2着以下(0-0-0-17)
 [全滅] 日本人ジョッキー騎乗の前走G1以外出走馬(0-0-0-30)

 1番人気馬は[6-3-0-1]という素晴らしい成績を残しており、単勝平均配当も951円と低めの水準。しかし、馬連6422円、3連複3万2464円と連勝系や3連勝系の平均配当は高く、ヒモ荒れの発生率が非常に高いレースであることがわかる。アタマは堅いがヒモが荒れる、これが有馬記念なのである。

 脚質面はコースデータと同じく「先行有利」の傾向。昨年は4角10番手以下馬によるワン・ツー・スリー決着だったが、ここまで綺麗に追い込みが決まるケースは非常に珍しく、例外として扱ってもいいほど。逃げ切りが決まりやすいレースではないが、前有利であるのは間違いない。

 いささか極端な結果が出ているのが年齢別成績。4歳以下馬が[9-7-3-51]と圧倒的な成績を残しており、逆に5歳以上馬は[1-3-7-65]と低空飛行。今年は4歳以下馬のエントリーが5頭とかなり少なく、人気も5歳以上馬が集めそうな雰囲気だが、レースの傾向として「若駒優勢」であるのは忘れないようにしたい。

 過去10年の1着馬がすべて「前走G1出走組」であるのも大きな特徴。年末の総決算らしく、前走で出走していたレースの格がモノを言う。昨年は金鯱賞からのローテでオーシャンブルーが2着に激走したが、これは過去の傾向からいえば、かなりのレアケース。前走G2〜G3組で2着以下だった馬は、1頭も馬券に絡めていない。

 そして最後に、注目出走パターンについて。有馬記念は「前走上がり最速馬」が非常に強いレースなのだが、今年この条件に合致するのは、デスペラードとラブイズブーシェの2頭だけ。とはいえ、こちらはいずれも前走G2〜G3組であり、高評価はできない。また、念のため凱旋門賞の上がりも手作業で測ってみたが、どう見てもオルフェーヴルよりトレヴのほうが上。よって本稿では、オルフェーヴルを「前走上がり3F順位2番手」として扱っている。

 あとは、外国人ジョッキーの騎乗馬が猛烈に強いことや、JC組が意外にアテにはならないことなども、有馬記念攻略のポイント。ヒモ荒れが発生しやすいという前提に立ち、今年はどの馬が波乱の立役者となってくれそうなのか。それを、じっくり考えてみたいところである。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 相変わらず時計のかかる馬場で、キレ型よりもパワー型に向きそうな印象。

・天候予測
 中間降雨があるも週末には回復。好天に恵まれて良馬場で開催となりそう。

・勝利数トップ種牡馬
 ステイゴールド 勝率22.6% 連対率34.0% 複勝率43.4%

・著者の注目血統
 ステイゴールド産駒◎、ハーツクライ産駒○、キングカメハメハ産駒△

 有馬記念といえばステイゴールド産駒。そもそも「東京よりも中山」というタイプに出すことが多い種牡馬だが、過去10年で8頭が出走して[3-1-0-4]と半数が馬券に絡んでいるのだから、そのコース適性の高さは図抜けている。またコースデータで見ても、期間内にあげた12勝という勝ち鞍は、勝利数2位のアグネスタキオン(4勝)にトリプルスコアをつける圧倒的なもの。もう「素直に買い」としか言えない。

 それ以外で健闘が目立つのが、父自身も有馬記念を制しているハーツクライの産駒。当コースでの出走例はまだ少ないが、トータル[2-3-1-5]で複勝率54.5%と、意外なほどの強さを見せている。パワー型に向きそうな現在の馬場が合うかどうかは微妙なところだが、ディープインパクト産駒やキングカメハメハ産駒よりも適性が上であるのは確実。侮れない存在となってきそうだ。

★総論×各論

 JCを制した女傑ジェンティルドンナやダービー馬キズナの参戦がないのは残念だが、ここは一時代を築いた最強馬オルフェーヴルの引退レース。そして、ムーアを鞍上に迎えるゴールドシップや実績馬エイシンフラッシュ、JCで久々に好走した古豪トーセンジョーダンなど、オルフェーヴルに立ち向かう面々もクセ者ぞろい。今年もかなり面白いレースが期待できそうだ。

 データ面からの評価も非常に難しいが、筆頭評価はやはりオルフェーヴル。凱旋門賞からの直行でデキや馬体の面で不安は残るが、その実績とコース適性の高さは、やはりピカイチ。「1番人気馬が非常に強い」というレースデータもあり、状態面に不安さえなければ好走必至と見る。しかし、頭鉄板!というほど評価が高いわけではないので、取りこぼすケースも想定に入れておきたい。

 二番手評価はアドマイヤラクティ。前走のJCで「上がり3F順位2位」にて4着に好走していること、ならびに鞍上が引き続きウィリアムズであることを高く評価した。有馬記念が前走の「格」を問うレースであるのは前述したとおりで、菊花賞や天皇賞(秋)で好走して出走する馬が見当たらない以上、JC好走の実績は高く評価してしかるべきもの。また、ハーツクライ産駒であることも加点の対象となった。

 そして以下は「グッチャグチャ」の混戦だが、ちょっと面白そうなのが三番手に評価したラブイズブーシェ。福島記念3着から出走する馬を高評価するというのは、例年であれば「アホか」と言われてもおかしくない話。しかし、ここまで混戦となると、浮上する余地もいくらかは出てくる。「前走最速上がりの4歳馬」で、母父は奇しくも、オルフェーヴルやゴールドシップと同じメジロマックイーン。さらに鞍上には武豊と、有馬記念「らしい」夢を追うならぜひ狙ってみてほしい。

 以下はエイシンフラッシュ、ルルーシュ、ダノンバラード、ヴェルデグリーン、カレンミロティックといった評価順。ムーア騎乗で注目を集めるゴールドシップは、JCの結果から「消し」扱いとした。前走での敗戦があまりにも不可解で、メンタル面の問題である可能性が高そう。それでいて人気を背負うとなると、かなり手を出しづらいからだ。

 あとはいつものように「枠番」で最終調整。7枠〜8枠(特に8枠)に入った馬は、それがたとえオルフェーヴルであってもぶった切る!というスタンスで臨みたい。

■ラジオNIKKEI杯2歳S(G3・阪神芝2000m)フルゲート16頭/登録24頭

 まだキャリアの浅い2歳馬限定戦ながら、過去10年の連対馬はすべて5番人気以内馬。6番人気以下馬はトータル[0-0-4-68]で複勝率わずか5.6%と、ものすごく分が悪い。穴を狙うのは有馬記念や阪神カップに任せて、ここは徹頭徹尾、堅い馬券を狙うべきレースと言えそうだ。

 好走馬に共通するのが「前走4角5番手以内」「前走上がり順位3位以内」「前走3番人気以内かつ2着以内」「関西馬」「中2週よりも長いローテ」「キャリア4戦以内(2戦〜3戦ならなお良し)」といった条件。出走馬がほとんど読めない状況でもあるので、これらの条件からフィルタリングを行ってみたい。

 すべての条件をパーフェクトに満たす登録馬はシンガンセセリモンドシャルナの3頭だけで、最も高く評価したのは「キャリア3戦」のシンガン。以下は1項目について条件を満たせなかった馬たちで、コウエイワンマン、ジョウノムサシ、タガノグランパと、一転して人気のなさそうな馬ばかりとなった。3着候補に向きそうなラインナップだ。

 人気の中心となりそうなサトノアラジン、デリッツァリモーネの2頭は、2項目を満たしておらず三番手グループ。とはいえ、このレースの「とんでもなく堅い」という傾向を考えると、やはり軽くは扱えない。ここもしっかり押さえつつ、シュアなバッティングでシングルヒット狙いをオススメしたい。

■阪神カップ(G2・阪神芝1400m内)フルゲート18頭/登録27頭

 過去7年のうち5回でふたケタ人気馬が馬券に絡むという、中央競馬の全重賞のなかでも屈指の波乱度を誇る阪神カップ。ここまで来ると、もう「荒れないワケがない」「絶対にふたケタ人気馬が絡む」くらいの勢いで買ったほうがいい。ある意味、有馬記念以上のドリームレースである。

 これもすべては「阪神芝1400m内」というコースのなせるわざ。過去にも何度か解説しているが、スプリンターとマイラーが激突する距離ながら、きわめてスプリント指向が強い流れになりやすいコース。人気のマイラーがコケて人気薄のスプリンターが来る──というのが、荒れる場合の最もありがちなシナリオなのだ。

 というわけで、大本命となりそうな上にマイル適性も高いダイワマッジョーレを消すことからスタート。さらに、前走オープン特別組と、このレースで[1-0-1-16]と結果がイマイチである「前走4角2番手以内馬」もサクッと消去。我ながらメチャクチャやっとるなあ……とは思うのだが、このレースの場合はそれくらいのさじ加減でちょうどいい。

 となると、人気薄での激走が期待できそうなのがスギノエンデバーサンカルロエピセアロームの3頭。ここにラトルスネークを加えた4頭を、このレースの注目馬としたい。人気馬からもう1頭加えるなら、スプリント適性の高さでマジンプロスパーか。

※レース&コースデータは2003年以降、血統データは2008年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。


■お知らせ■
次回の更新は、年明けの1/3(金)になります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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