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2014年、はじまりはディープインパクト産との第三種接近遭遇

  • 2013年12月26日(木) 12時00分


京都金杯のトーセンレーヴに武豊騎手が騎乗しそうだ。
デビュー以来ずっと外国人騎手を鞍上に迎えてきただけに、武豊騎乗で騒がれていることだろう。
だけど自分的には鞍上以上に人気のほうが気になって仕方がない。理由は前走トーセンレーヴは初めて1番人気で馬券圏外に敗れたからだ。

去年、2012年の毎日王冠のときにこのコラムでこんなことを書いた。
「トーセンレーヴはお蝶夫人みたいな馬で(プライドの高い馬とも言う)、1番人気のときしか走る気を見せなくてよ!」と。
だから毎日王冠では1番人気にならなければ馬券圏外とした。
結果は3番人気で11着。上手くいった。
その後もそのプライドは継続していた。

しかし前走、ついにそのプライドは砕けた。
六甲Sを1番人気になって、6着に敗れたのだ。ちなみに鞍上はシュタルケ。

トーセンレーヴの成績はこうなってしまった。
1人気 6-0-3-1
1人気以外 0-0-0-6

1人気で6着に負けて、デビュー以来最長の休養(9か月半)に入った。筋肉痛のための休養と言われているが、そこには心の休養も入っていたかもしれない。1人気では馬券圏外に敗れたことがなかった馬が初めて圏外に敗れたのだから当然だろう。それも重賞ではなくオープンのレースで。

で、じっくり立て直して、京都金杯に登録してきた。競馬週刊誌等の発表どおりならば武豊騎手で。
単純に外国人騎手に空きがなかったのかもしれないけれど、武豊騎手に騎乗依頼したことには意味を感じずにはいられない。
理由は武豊騎手が岩田騎手と並びディープインパクト産重賞リーディングのトップだからだ。

1位 武豊 7勝
1位 岩田 7勝
3位 内田博6勝
4位 ルメール3勝
4位 蛯名 3勝
4位 川田 3勝

もしかしたら今回の休養でトーセンレーヴの内面をも立て直しているかもしれない。1番人気でしか走らない馬には1番人気に喜びを感じる外国人騎手はピッタリとも以前書いた。それを厩舎が狙ってやってきたとは言わないけれど、結果的にはそれは功を奏してきたとも言える。
つまり今回の武豊騎手への依頼は、1人気でなくても一生懸命走るようなキャラクターに変身してきたことを意味するかもしれない。少なくとも外国人騎手にこだわる必要がなくなってきたことは事実だろう。
だとすると、1番人気でなくても怖い怖いトーセンレーヴになっているかもしれない。

1番人気でなくても買えるとなると急に親近感がわくというものだ。いや今までもそれなりに接近遭遇してきたけれど、それは1人気でないときに安心して馬券から外せるというレベルでのものだ。1人気のときに3連系の軸として利用するというより、馬券的見切りとして利用してきたにすぎない。つまり接近遭遇系業界で言うところの第一種接近遭遇にすぎない。
トーセンレーヴが走って、自分も馬券を取って、ともに喜びを分かち合う類の遭遇、第三種接近遭遇は今までにはほとんどなかった。

9か月半の休み明けで1人気になるはずはない。この10年で見ても、3ヶ月以上の休み明けの馬は1頭も馬券圏内に入ったことはないからだ。だから逆に自分的には遭遇しどころが来た! そう思いながら、一応netkeiba.comの予想オッズを見た。
ワオ! 水曜お昼現在で予想1番人気になってる!

てっきり1番人気は叩き2戦目で今年はマイル路線で大暴れを目論むメイケイペガスターだと思っていた。しかし現状人気はトーセンレーヴ。すごい!ふつうに大人気ホースじゃないか!!
今は「適性」だの「リピーター」だのを重視する時代ではなかったのか!?
トーセンレーヴは去年の京都金杯で、57.5キロ(今回と同じハンデ)を背負って、4人気で7着に負けた馬だ! 去年は(去年も?)内有利な馬場で8枠16番だったことは考慮できるけれど、だからって今年1番人気に支持されるほどの『適性』が見えたとは思えない。一昨年の16番アスカトップレディは3着に来たし…。

うむ、まだわからない。今は年末休暇中だ。いつも以上に時間はある。これから揉みに揉まれて、人気はきっと2,3番人気に落ち着くはずだ。
仮に1番人気になったからといって、今までの1人気成績6-0-3-1を否定することも今回はできない。
武豊はディープ産では別格で、1人気にも慣れてるから「外国人枠」と捉えることもできなくはないからだ。ただ今後のトーセンレーヴとのつき合い方を見極めるためにはぜひとも2、3人気になっていただきたいところ。
しばらくは静かに人気を見守っていよう。

にしても、今年の暮はずっとディープインパクト産に振り回されていた気がする。
漫画家のグラサン師匠さんが血統ビームの亀谷敬正さんに「たとえディープ産の適性から外れたレースがあったとしても、(それでも)どうせディープが2、3着でっしゃろ」とツッコミを入れたところ、亀ちゃんもそれを否定せずに面白がるという出来事があった。それ以後、自分もディープ産が重賞に出走するたびに「どうせディープが2、3着でっしゃろ」を意識するようになってしまった。

その話で盛り上がったのが11月中旬のエリ女近辺だった。それ以後、ディープインパクト産が出走したレースはこんな感じ。

○エリザベス女王杯 ディープ産4頭出走(以後、頭数のみ記載)
2着 ラキシス(6人気)

×東スポ杯 3頭 圏内 0頭

◯マイルチャンピオン 5頭
1着 トーセンラー(2人気)
3着 ダノンシャーク(1人気)

×福島記念 1頭 圏内 0頭

×京阪杯 1頭 圏内 0頭

○ジャパンカップ 3頭
1着 ジェンティルドンナ(1人気)
2着 デニムアンドルビー(7人気)

×ステイヤーズS 1頭 圏内0頭

×朝日CC 2頭 圏内0頭

○阪神JF 1頭
2着 ハープスター(1人気)

○愛知杯 2頭 
2着 キャトルフィーユ(14人気)

×朝日FS 1頭 圏内0頭

○ラジオNIKKEI杯 1頭
3着 サトノアラジン(1人気)

○中山大障害 1頭
3着 メイショウブシドウ(2人気)

×有馬記念 1頭 圏内0頭

○阪神C
1着 リアルインパクト(8人気)

15レースに出走し、ディープ産が馬券に絡んだレースは8レース。
特に12月は優秀で、出走頭数10頭で、1-2-2-5。
単回収率154% 複回収率218%だった。
中でも今年の最終3日間開催は印象深い。4頭出走して、3頭が馬券になり、その1つに中山大障害も含まれていたからだ。
ラジオNIKKEI 3着 でっしゃろ
中山大障害 3着 でっしゃろ
有馬記念 15着 惨敗
阪神C 1着 スーパーでっしゃろ(ムーアでっしゃろとの掛け合わせで1着とか言ってみたりして)

実はディープインパクト産はデビューして4年が経ったけれど、年々重賞回収率は上がってきており、馬券的にも使える種牡馬になりつつあるのがわかる。

10年 1-2-3-10 勝率6.3% 連対率18.8% 複勝率37.5
11年 8-7-11-73 勝率8.1% 連対率15.2% 複勝率26.3%
12年 18-25-23-99 勝率10.9% 連対率26.1% 複勝率40.0% 
13年 19-20-19-118 勝率10.8% 連対率22.2% 複勝率33.0%

10年 単回収率 43% 複勝回収率101%
11年 単回収率 65% 複勝回収率68%
12年 単回収率 48% 複勝回収率91%
13年 単回収率 84% 複勝回収率98%

10年は2歳しかいないから参考外。実質12年13年が大事。
今年(13年)より去年(12年)の方が着成績は若干いい。けれど回収率は今年の方が断然いい。
回収率は75-80%で平均と言われており、それで見ると13年は単回収率、複回収率ともに80%を超えており、我々が思っているより(人気より)、ディープインパクト産が走っていることがわかる。特に複勝回収率98%は重賞出走のディープ産を全部買っても、ほぼとんとんになることを意味しており、これは「どうせディープが2、3着でっしゃろ」とややヤケクソ気味に発言してもよろしいことを間接的に証明していることになる。

ディープインパクト産の繁殖牝馬の質は3年目、4年目は落ちたと言われている。それでこの成績ということは、ディープインパクト産のポテンシャルの高さを表すとともに、厩舎・育成側もディープインパクト産の仕上げ方、適性距離、適性コース等を学んできたからとも言える。

つまり、14年になってもまだまだ「どうせディープが2、3着でっしゃろ」は使えると言えるわけだ。
グラサン師匠の体感的発言、それを否定せず面白がる亀谷敬正さんは馬券的に正しいわけだ。

京都金杯はディープ産のダノンシャークが去年1着、一昨年2着したレースだ。「どうせディープが2、3着でっしゃろ」、略して「どデっしゃろ」の裏付けは十分にある。
今年登録しているディープ産は3頭。

オースミナイン 54 騎手未定
トーセンレーヴ 57.5 予定・武豊
エキストラエンド 55 予定・ルメール(フルゲート16頭で現状18位)

トーセンレーヴはもちろんだけど、オースミナインもエキストラエンドも京都芝での勝利経験はあって、3着してもおかしくない。ルメールはディープインパクト産重賞リーデイングでも4位に入っており、トーセンレーヴ同様に騎手的にも頼りになる。

もし、ディープ産以外で軸馬が決まっているなら、その馬から上記3頭のディープ産に流すだけでよいことになる。

中山金杯には2頭のディープ産が登録している。
ディサイファ 55 予定・四位
サクラアルディート 55 予定・内田博(フルゲート16頭で、現状19位)

ディサイファは見れば見るほど「どデっしゃろ」な気がする。
中山芝 0-2-1-2
中山芝2000 0-2-1-2
まだ中山で勝ち星なし。だけど5回走って3回馬券圏内している。
いかにもだ。
前走、初重賞の福島記念を1人気でハナ差4着。ほぼ「どデっしゃろ」だった。
まったくもっていかにもだ。
今回も人気になりそうで(予想1-3番人気)、人気のディープが3着か4着する「裏切りのでっしゃろパターン」にいかにも該当しそうだ。

ということで、東西金杯はディープインパクト産に注目している。
京都芝16外回り 勝率13.8% 連対率24.1% 複勝率37.9% 単回57% 複回85%
中山芝2000  勝率9.5% 連対率14.3% 複勝率23.8% 単回115% 複回60%

13年のディープ重賞の成績と比べて、上回っているところがあったり、下回っているところがあったりで、なかなかスリリングだ。
もちろん別の馬が見つかれば、その馬からディープ産にワイド、もしくはディープ産と3連複を買えばいいわけで、超カンタンになる。
思えば毎年「一年の計」を探していた気がする。でも今年はカンタンに計画が立てられるかもしれない。だから東西金杯はぜがひでも引っ掛けたい。

もし東西で引っ掛けられたら、言うまでもなく今年の計は「ディープ産との第三種接近遭遇」に決定だ!

京都金杯・注目馬
ディープインパクト産
トーセンレーヴ(の人気と行く末)
エキストラエンド
オースミナイン
ーーーーーーーーー
シャイニープリンス(和田の先行力が気になる)
メイケイペガスター(来るなら1着じゃないか?)

中山金杯・注目馬
ディープインパクト産
ディサイファ(の裏切りパターン)
サクラアルディート
ーーーーーーー
ケイアイチョウサン(横山典はまだこの馬で1度もマクってない。そろそろ位置を変えてきそうだ)


■お知らせ■
次回の更新は、年明けの1/9(木)になります。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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