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どこまで行っても順当決着/共同通信杯

  • 2014年02月12日(水) 18時00分
■共同通信杯(G3・東京芝1800m)フルゲート16頭/登録20頭

【コース基本情報】東京芝1800m Dコース使用
・コース回収率
 [低め] 単65%・複勝66% 人気馬が強く超人気薄は多頭数でも絶不調

・馬連万馬券出現率
 [低め] 5.2%(平均値↓7.2% 馬連平均配当4079円)

・枠番別成績(16頭立て以上) ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 勝率 8.3% 連対率13.9% 複勝率21.0% 複回率 74% 枠番値+0.4
 [3枠〜6枠] 勝率 5.0% 連対率10.9% 複勝率17.1% 複回率 56% 枠番値+0.2
 [7枠〜8枠] 勝率 5.5% 連対率11.7% 複勝率16.3% 複回率 51% 枠番値-0.6
 ────────────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 勝率 7.1% 連対率12.7% 複勝率20.0% 複回率 72% 枠番値+0.4
 [5枠〜8枠] 勝率 4.8% 連対率11.1% 複勝率15.7% 複回率 47% 枠番値-0.4
 →すべての指標が内枠の傾向を裏付ける。勝率と複勝回収率は顕著。

・脚質別信頼度
 先行>>>差し≧逃げ>追込 逃げ馬は残らないが先行馬は非常に強い

・推定ラップ&タイム
 [瞬発] 36.4-37.0-34.2=1.47.6 中盤で緩み上がりで急加速する瞬発ラップ

 ポケットからバックストレッチへと斜めに進入するという、特殊なコース形態である東京芝1800m。芝2000mほどではないが、内枠のほうが取りたいポジションがスムーズに取れるのは間違いない。それは実際にデータにも現れており、内枠である1枠〜2枠は勝率、連対率、回収率など、いずれの指標においてもトップの数値を叩き出している。

 また、堅く決着する傾向が非常に強いのも、このコースの大きな特徴。通常であれば、頭数が増えるにしたがって波乱決着が増えて回収率も高くなるものだが、当コースの場合は16頭以上で行われたレースに限定すると、逆に回収率が低くなってしまう。13番人気以下の[1-0-3-369]という壮絶に悪い成績を見てもわかるように、超人気薄を狙う価値はゼロに等しいと言える。

 東京芝の中距離戦でもあって「差し優勢」というイメージがあるが、実際にデータを確認してみると、圧倒的に強いのは先行脚質。中盤が緩む流れになりやすいことで、前に位置取っても息を入れやすいのだろう。逃げ馬はそうそう残らないが「先行馬が圧倒的に強いコース」くらいに思っておいたほうがいい。

【レース基本情報】共同通信杯(G3) 過去10年
・レース平均配当
 単勝588円 馬連1970円 3連複1万3583円

・1番人気馬成績
 [3-3-1-3] 勝率30.0% 連対率60.0% 複勝率70.0%

・3番人気以内馬成績
 [7-6-3-14] 勝率23.3% 連対率43.3% 複勝率53.3%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [3-4-6-47] 勝率 5.0% 連対率11.7% 複勝率21.7%

・10番人気以下馬成績
 [0-0-1-26] 勝率 0% 連対率 0% 複勝率 3.7%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 10.0% [先行] 40.0% [差し] 30.0% [追込] 20.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 10.0% [先行] 43.3% [差し] 26.7% [追込] 20.0%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 3-3-0-17 連対率26.1% 複勝率26.1% 枠番値+0.8
 [3枠〜4枠] 3-1-4-18 連対率15.4% 複勝率30.8% 枠番値-0.1
 [5枠〜6枠] 2-4-1-23 連対率20.0% 複勝率23.3% 枠番値+0.5
 [7枠〜8枠] 2-2-5-29 連対率10.5% 複勝率23.7% 枠番値-0.8
 ──────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 6-4-4-35 連対率20.4% 複勝率28.6% 枠番値+0.3
 [5枠〜8枠] 4-6-6-52 連対率14.7% 複勝率23.5% 枠番値-0.2

・厩舎所属別成績
 [美浦] 6-5-6-56 連対率15.1% 複勝率23.3%
 [栗東] 4-5-4-27 連対率22.5% 複勝率32.5%

・前走距離別成績
 [芝1400m] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝1600m] 4-5-5-20 連対率26.5% 複勝率41.2%
 [芝1800m] 1-1-1-12 連対率13.3% 複勝率20.0%
 [芝2000m] 5-4-4-36 連対率18.4% 複勝率26.5%
 [ダート戦] 0-0-0-18 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 2-3-1-4 連対率50.0% 複勝率60.0%
 [中央G3] 3-4-4-18 連対率24.1% 複勝率37.9%
 [OP特別] 3-2-2-18 連対率20.0% 複勝率28.0%
 [500万下] 2-1-3-26 連対率 9.4% 複勝率18.8%
 [未勝利] 0-0-0-11 連対率 0% 複勝率 0%
 [新馬戦] 0-0-0-3 連対率 0% 複勝率 0%

・注目出走パターン
 [買い] 前走朝日杯FS出走馬(複勝率60.0%)
 [買い] 前走オープンで4番人気以内かつ4着以内(複勝率58.1%)
 [不振] 前走5番人気以下かつ4着以下馬(0-0-1-26)
 [全滅] 前走で新馬・未勝利に出走(0-0-0-14)

 勝ち負けになりそうな馬が順当に好走している印象で、平均配当も単勝588円、馬連1970円とかなり低めの数値。6番人気以内馬はトータル[10-10-7-33]という成績で、連対馬はすべてここから出ている。つまり、当日6番人気以内に推されることが、ここで勝ち負けする上での必要条件ということだ。

 対照的に7番人気以下はトータル[0-0-3-54]とサッパリ。昨年はマイネルストラーノが9番人気で3着に食い込んだが、これはかなりのレアケースと言える。しかも、馬券に絡んでいる3頭はいずれも11番人気以内で、それ以下は全滅。コースデータの場合と同じく、ブンブン振り回すようなレースではないという結論となる。

 脚質についてはやはり先行有利なのだが、コースデータほどではないといったところ。中団〜後方から追い込んで馬券圏内に入った馬が5割近くを占めており「展開やペース次第でどこからでも来られる」レースであるようだ。それでも、最も信頼できるのは先行脚質。そこに軸足を置きつつ、取捨選択を行いたい。

 このレースの特徴が色濃く出ているのがクラス別成績で、前走で出走していたレースの「格」に正比例して、好走率が高くなっているのがよくわかる。当然、最も期待できるのはG1である朝日杯FSからのローテで、前走での着順や人気などを問わず好走。また、前走人気や着順がそのまま今回の結果に直結するというのも、大きな特徴である。

 というわけで、徹底的にひねらず素直に買うべき──というのが、共同通信杯というレース。人気薄はバッサリ切り捨て、順調さや「格」を重視して、上位人気から「高確率で好走する馬」をいかに絞り込むかが焦点となりそうだ。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 引き続きDコース。先週の降雨により馬場が少し荒れて時計もかかるか。

・天候予測
 金曜日〜土曜日にかけて降雨や降雪がありそうだが降雨量は少なめ。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率18.2% 連対率28.8% 複勝率40.2%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ハーツクライ産駒◎、フジキセキ産駒○

 ディープインパクト産駒が連対率28.8%、複勝率40.2%。そしてハーツクライ産駒が連対率31.4%、複勝率38.6%という好成績。完全に「キレ型」向きのコースであるのは間違いなく、道中でどれだけ脚をタメて直線で弾けられるか勝負。実際にラップを見ても中盤が緩むことが多く、ここが二強というのも頷ける結果である。

 注目はフジキセキ産駒。東京芝マイルで異様に強いことは古くからよく知られているが、芝1800mでも連対率27.4%、複勝率33.9%と絶好調だ。回収率も単385%、複118%と非常に高く、しかも唯一のフジキセキ産駒であるイスラボニータは、当コースで現在2連勝中。ここは当然、高評価しておかねばなるまい。

★総論×各論

 登録馬20頭のうち、確実に出走できるのは900万以上の賞金を既に持っている5頭だけ。残りの11頭はすべて抽選対象だが、自己条件に回る馬やクイーンCとのダブル登録馬も多く、実際にはフルゲートを切る頭数での開催となりそうだ。

 人気の中心は、東京スポーツ杯2歳Sの勝ち馬であるイスラボニータ。新潟2歳Sではハープスターの鬼脚の前に屈したが、東京3戦3勝でコース適性は証明済みであり、実績については断然と言える存在。レースの傾向から考えても「買い」なのは間違いなく、前々で流れに乗れる脚質なのもプラス評価の対象。一本かぶりの人気になってもおかしくない。

 ただし、気になる材料がないワケではない。同馬は「中12週での出走」と前走から間隔が開いているのだが、共同通信杯において過去10年、中9週よりも長いローテで出走した馬は[0-1-0-11]と、かなり不振なのだ。2着に来ているのは、後のダービー馬であるディープブリランテ。これがどのように影響するかは、判断が難しいところである。

 それでもやはり、総合的に考えればトップ評価はイスラボニータ。となれば、そのイスラボニータと僅差のレースをしているクラリティシチーも高く評価してしかるべき存在となるが、こちらは自己条件に回る可能性が高いとのこと。おびやかす存在が減ったことで、なおさらここは負けられないレースとなった。

 評価二番手にショウナンワダチ。ここで唯一の「朝日杯FSからのローテ」であり、これが非常に好走率の高いパターンであるのは前述したとおり。着順こそ6着だったが、大外枠だったことを考えると、これは上々といえる結果。広々とした東京に替わって、持ち味をフルに生かせそうだ。配当妙味がありそうなのも魅力的である。

 そして三番手に、サトノアラジン。デビュー前から評判になっていた大器で、馬っぷりの良さは誰の目にも明らかなほど。着実に良化を遂げているが、クラシックに乗るにはこのあたりで賞金を加算しておかないと──という切実さもあるはず。こちらも、コース替わりがプラスに働くクチだろう。

 以下の評価順も、ローハイド、ガリバルディ、ピオネロ、マイネルフロスト、デルフィーノと、どこまでいっても順当の二文字。穴っぽい馬がことごとく回避しそうで、今年は例年にも増して堅く決着する可能性が高い。馬券的な面白味には欠けるが、人気馬には徹底的に「巻かれる」スタンスのほうが、このレースに関してはベターだ。

■京都記念(G2・京都芝2200m外)フルゲート16頭/登録13頭

 昨年1番人気のジャスタウェイは人気を裏切ったが、京都記念は本来、人気サイドが素直に強い傾向のレース。その昨年にしても馬券に絡んだのはすべて6番人気以内馬であり、7番人気以下は過去10年のトータル[0-0-4-59]と、3着に来るのが精一杯だ。

 しかも今年は、女傑ジェンティルドンナに、昨年覇者であり秋のマイル王でもあるトーセンラーの2頭が出走。アンコイルドやラキシスなども侮れないが、実績的に上記2頭から大きく落ちるのは否めない。結論から言ってしまえば、データ分析の結果もトップ評価がジェンティルドンナで、二番手がトーセンラーである。この相手関係でこの2頭を、特にジェンティルドンナを蹴飛ばすのは、単なる暴挙だろう。

 問題は三番手以下だ。京都コースに向く先行力やそれなりの若さを備えている馬をチョイスすべきで、当然ながら重賞での連対実績や、前走で出走しているレースの「格」も重要となる。となると、エリザベス女王杯を好位追走から2着に好走したラキシス……といきたくなるが、牝馬限定戦からのローテは信頼度がイマイチ。ならば、前走JC組からアンコイルドを三番手評価としたい。

 以下はヒットザターゲット、ラキシス、コウエイオトメ、マイネオーチャードという評価順。紛れたとしても3着「だけ」となる可能性が高いことから、ここも人気を素直に信頼するスタンスをオススメしておきたい。

■クイーンカップ(G3・東京芝1600m)フルゲート16頭/登録32頭

 大挙32頭が登録してきた、今年のクイーンC。確実に出走できるのはニシノアカツキ、フォーエバーモア、マジックタイム、カクシアジの4頭だけで、残り12頭が抽選という出走馬の読めない状況。推した馬がことごとく除外されるという結果もありそうだが、その際はご容赦いただきたい。

 ポイントは、東京替わりで人気を集めそうな「前走上がり最速組」の扱い。いかにも来そうなパターンなのだが、前走で最速上がりを出していた馬はトータル[0-3-3-28]と意外なほど低調な成績。昨年は唯一の該当馬であるスイートサルサが2着に好走したが、それでもやはり、アタマまでは突き抜けていない。馬券に絡んだ馬の4割以上を先行脚質が占めているように、アッサリ差せそうで差せないのが、このレースなのである。

 とはいえ、4番人気以内馬の[10-5-6-19]という成績を見てもわかるように、基本的には堅く決着する傾向のレース。レースの回収率も単31%、複60%と非常に低く、少なくとも1着に関しては、「前走最速上がりではない人気馬」を選んでおくべきだろう。人気を集めそうなデルフィーノだが、1着率はそれほど高くはないはずだ。

 また、連闘〜中2週での出走はサッパリの成績で、中8週よりも長いローテも信頼度はイマイチ。つまり、中3週〜中8週での出走が望ましい。また、前走マイル戦出走組が圧倒的に強いのも、このレースの大きな特徴。さらに、好位〜中団で流れに乗れる馬であることが望ましいのは、前述したとおりだ。

 以上の条件から、トップ評価はフォーエバーモア。そして相手候補は、イントロダクション、スイートガーデン、タカラジャンヌ、ペイシャフェリス、マリーズケイとなった。フォーエバーモアから相手5頭を経由して流す3連複や3連単のフォーメーションを、現時点ではオススメしておきたい。

■東京新聞杯(G3・東京芝1600m)フルゲート16頭/登録20頭

 降雪による順延で、出馬投票からの仕切り直しとなった東京新聞杯。人気の一角であったダノンシャークが回避するという大きな変更があるものの、それ以外はそれほど変化なし。こちらについては、詳しくは先週分の当コラムをご参照いただきたい。

 過程をすっ飛ばしてここで結論だけ述べておくと、トップクラスの評価となったのはサトノギャラント、クラレントの2頭で、あとはエールブリーズ、ショウナンマイティ、エキストラエンドまでが上位評価組である。

※コース&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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