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ディープ産の破壊力と横山典の再着火と田辺の3歳力とピオネロのモコモコ

  • 2014年02月13日(木) 12時00分


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京都記念
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去年のトーセンラー1着は京都記念的にはなかなか衝撃的な出来事だった。
京都記念は12月か1月に使われた馬が超圧倒的に強かったからだ。
しかしトーセンラーは9月2日(新潟記念)以来の出走で、1着してしまった。

トーセンラーが勝つ前までのこの10年で、いや20年で、いやスダホークが勝った1986年までさかのぼっても、前走が12月か1月以外で京都記念を勝った馬はいなかった。
そのくらい京都記念は2か月半以上の休み明けの馬には過酷なレースだったわけだ。

厳寒の2月に行われる重賞だけに休み明けで使う陣営も慎重に調整をしていたという理由もあろう。しかも前走有馬記念や香港国際競走といったG1組が幅を利かせる舞台でもある。中途半端な態勢では、なかなか勝てないレースが京都記念だったのではないか。
だとしても、1度や2度休み明けの馬が勝ったっていいはず。しかしいなかった。
「10年続けば傾向、20年続けば伝統」という人もいる。その表現を借りるならば、「京都記念は前走が直近の12月か1月の馬以外は勝てない」は伝統とも言える。

トーセンラーはそんな伝統を覆した。
天皇賞春を2着して、マイルチャンピオンを1着したのもドエライけれど、京都記念の伝統を打ち破ったことも、小さいことだけどドエライ気がするわけだ。
では、なぜラーは勝てたのか?

ふつうに考えると「調教技術の向上」がその答えだろう。
実際、この10年で2か月半以上の休み明けで馬券圏内に入った馬は去年を含めて4頭いるけれど、その内3頭は去年と2年前だ。

04年 2着テンザンセイザ   前走11月29日
12年 2着ダークシャドウ   前走10月30日
13年 1着トーセンラー    前走9月2日
   3着ショウナンマイティ 前走6月24日

近年の調教技術の向上でこの時期の休み明けでも走れるようになったと捉えるのが正しいように思える。

この流れを強調するかのように今年は13頭登録中7頭が11月、10月出走組。もはや半分以上が前走12月、1月ではない。
しかも予想では1人気〜5人気までが11月出走組でもある。
もはや20年以上つづいた伝統も完全に吹っ飛んだ感じだ(だ〜れも気にしてなかったって話かもしれませんけど。ワハハー)。
ただこうなると、それゆえにふつうに12月1月に出走してきている馬を狙いたくもなる。

いくら調教技術が向上したとしても、順調に使われている馬が色褪せる理由にはならないからだ。まして人気が下がるならば……ムフフ。

ふつうに考えると(この場合のふつうは去年以外の傾向読みということです)、
前走は有馬記念か香港国際か日経新春杯がいい。
該当馬は、2頭しかいない。

コウエイオトメ 日経新春杯 4着
デスペラード  有馬記念 7着

牝馬で勝ったのはブエナビスタしかいない。日経新春杯から勝った馬は日経新春杯で1人気に支持されていた馬だった。コウエイオトメは7人気で4着だった。京都2200は0-3-1-0と得意で、むげにはできないけれど1着ではなさそう。

デスペラードはステイヤーズS1着(1人気)→有馬記念7着(7人気)という臨戦。
有馬記念は最後の直線で詰まって、抜け出すのに少々手間取って、消化不良のレースだったはず。
今回、引き続き横山典が騎乗するならば、位置取りにも期待できて頼もしい。

全成績7-3-2-17
ダ成績4-2-1-10
芝成績3-1-1-7
京都芝2-0-0-3

はまれば1着系、はまらなきゃ着外系。
こういう成績の馬は馬単で買いやすいから、予想6人気ならばいろいろと膨らんでしまう。
そもそも有馬記念も横山典から「使って欲しい」と懇願されて出走した馬。そのような馬で消化不良だったとしたら、横山典の過去歴からもここでの巻き返し欲は高いとも読める。

ケイアイチョウサンで狙った横山典の導火線は、中山金杯・AJCCと不発で終わったけれど、デスペラードでは1回成功している。スターホース相手にもう1回着火が成功しないか期待いっぱいだ。

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京都記念注目馬
デスペラード
&ディープインパクト産3頭
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去年1着できたのは父がディープインパクトだったからということはないか?
それはベールドインパクト(父ディープインパクト)が2着したことからも伝わってくる。ベールドインパクトの前走はオープンのディセンバーSだった。前走が重賞ではない馬が3着以内に入ったのはこの10年ではベールドインパクトを含めても2頭だけ。そう考えるとトーセンラーもベールドインパクトもディープ産だったから、京都記念の屈強な傾向を蹴散らせたとも思えなくはないのだ。

今回出走するディープインパクト産は3頭。
トーセンラー 前走11月17日
ジェンティルドンナ 前走11月24日
ラキシス 前走11月10日

トーセンラーは去年勝っているからローテは問題なし。取りこぼすとしたら58キロか(去年は56キロ)。
ジェンティルドンナはジャパンカップ1着馬で問題なし。取りこぼすなら56キロか。
ラキシスは実績的に2頭に劣るけれど、53キロは魅力的ではある。別定のG2戦らしく、54キロ以下の馬は来たことはないけれど、そういうのも打ち破るのがディープ産ともいえ、まだわからない。

もし今年もディープインパクト産が1着したら、来年から3か月以上の休み明け馬はディープ産にかぎると言える。それはそれで面白い。来るなら3頭まとめて来て!

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共同通信杯&クイーンC
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今年の関東馬の3歳世代は戸崎と田辺で回っているのではないか? そんなことを去年の暮れくらいから思うようになった。
戸崎はレッドリヴェールでの阪神JF1着やサトノアラジン、ラングレーといった関西の注目ディープ産に騎乗しているのを見て、田辺はアルテミスSのマーブルカテドラル1着や京王杯2歳Sのカラダレジェンド1着を見て感じていたのかもしれない。

イメージとしては、戸崎は関西の大物の騎乗依頼が多く、牡馬で好成績を残しているのではないか? 田辺は逆に関東を中心に牝馬で好成績を残しているのではないか? そう思っていた。
ただこれはあくまでもイメージだから、正確に数値の裏付けも欲しい。

ということで去年の2歳馬だけのリーディングジョッキーを出してみた。
思ったとおりだったり、思った以上だったりしたのが以下のランキング。

2歳全体
1位 福永 32-19-25- 95 勝率18.7% 連対率29.8% 複勝率44.4% 単回101円 複回 82円
2位 田辺 31-21-25-106 勝率16.9% 連対率28.4% 複勝率42.1% 単回136円 複回136円
3位 浜中 23-22-15- 90 勝率15.3% 連対率30.0% 複勝率40.0% 単回 70円 複回 69円

2歳牡馬・セン馬
1位 福永 19-16-19-49 勝率18.4% 連対率34.0% 複勝率52.4% 単回 66円 複回 90円
2位 田辺 17- 9-11-54 勝率18.7% 連対率28.6% 複勝率40.7% 単回144円 複回111円
3位 戸崎 13-20-12-83 勝率10.2% 連対率25.8% 複勝率35.2% 単回154円 複回 89円

2歳牝馬
1位 田辺 14-12-14-52 勝率15.2% 連対率28.3% 複勝率43.5% 単回128円 複回161円
2位 福永 13- 3- 6-46 勝率19.1% 連対率23.5% 複勝率32.4% 単回154円 複回 68円
3位 蛯名 12- 4- 8-43 勝率17.9% 連対率23.9% 複勝率35.8% 単回160円 複回122円

戸崎は全体では6位、牝馬では9位だったけれど、牡馬では3位で、単勝回収率も優秀だった。これはイメージどおり。
勝ち星では田辺に負けていたけれど、単密度は濃かったか。

一方、田辺は予想以上だった。
2013年関東馬2歳リーディングは田辺だった。
牝馬1位も田辺だった。しかも全国1位でもあった。
ただ田辺は牝馬だけでなく牡馬でも関東1位だった。
2歳ベスト10騎手で、牡馬でも牝馬でも単回収率・複回収率ともにプラスだったのは田辺ただ一人。

通常リーディングで田辺は去年88勝で全国9位だったから、田辺がいかに2歳で勝ち星を量産していたかがわかる。
一応、上記データから無理矢理馬券的利用法を導き出すなら、
「戸崎は3歳牡馬を単厚めに、田辺は3歳牡馬を単厚めに、3歳牝馬を複厚めに」となる。

今週は関東で3歳牡馬と3歳牝馬の重賞がある。
もちろん注目したいのは田辺&戸崎だ。

共同通信杯
戸崎 ローハイド 松田博厩舎 父ディープインパクト 白老F生産
田辺 現状騎乗予定馬 なし

クイーンC
戸崎 カノーロ 堀厩舎 父ディープインパクト ノーザンF生産
田辺 ガーリッシュハート 野中厩舎 父ハーツクライ 社台F生産

該当3頭はすべて社台系生産。乗れてる騎手は強い生産牧場から騎乗依頼を受けやすい?
しかも戸崎はどちらもディープインパクト産。先週のゆりかもめ賞でも話題のディープ産ラングレーを1着させた。騎乗馬の平均価格も高そうだ。

田辺のガーリッシュハートは野中厩舎の馬。田辺といえば、そもそも松田博厩舎が騎乗依頼をするようになって、頭角を現してきた騎手だけど、今は関東の3歳世代で勝ち星を量産している印象の方が強い。それを思うと、野中厩舎からの騎乗依頼は田辺的には悪い話ではないはず。

ちなみに田辺=野中厩舎の成績は、
2-1-1-8 勝率16.7% 連対率25.0% 複勝率33.3% 単100円 複105円
生涯12回しか騎乗がなく、去年も2回のみ。だからこの成績からはなんとも言えないけれど、今回の馬が社台F生産の社台RHの馬であることを考慮すると、最近の活躍を見ての依頼とは言えそう。

とはいえ、冷静に考えると、
今回の該当3頭は臨戦的にちょっと弱さもある。
先週のきさらぎ賞とは違って、クイーンCも共同通信杯も前走「新馬」や「未勝利」の馬に厳しいレースだからだ。

クイーンC 前走新馬戦1着馬は10年で3頭馬券圏内、前走未勝利は0。
共同通信杯 前走新馬戦、前走未勝利の馬券圏内は0。

共同通信杯
戸崎 ローハイド 前走新馬戦
クイーンC
戸崎 カノーロ 前走新馬戦
田辺 ガーリッシュハート 前走未勝利

ローハイドとカノーロはディープ産だけに過去の傾向を打破する可能性もあるけれど、心配指数は高い。
ガーリッシュハートは特記事項が見つからないのでもっと心配だ。
そこを戸崎と田辺でなんとかうやむやにできないか? もはやそこだけだ。

ローハイド 予想7人気
カノーロ  予想4人気
ガーリッシュハート 予想9人気

この人気ならばカノーロはちょっとリスキー。うやむやにしにくい。6番人気くらいになったらうれしい。
ローハイドとガーリッシュはちょうどいい気がする。

クイーンCは1、2人気が揃って馬券圏外には消えにくいレース。
予想では、
フォーエバーモア 前走阪神JF 蛯名
マジックタイム 前走阪神JF 後藤

どっちも前走阪神JFで、頼もしい。しかも前記したように蛯名はこの世代の牝馬成績3位で、しかも回収率もいい。
後藤もこの世代では牝馬の方が成績がいい。秋復帰したことを思えば、むしろ好成績とも言える[8-4-2-33]。

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クイーンC注目馬
ガーリッシュハート 9人気前後でなんとかうやむやでお願いします。
カノーロ 6人気くらいでなんとかうやむやで……。
デルフィーノ 前走の若竹賞の走りっぷりはふつうに魅力的に思えました。

フォーエバーモア&マジックタイム ふつうに大切にします。

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共同通信杯注目馬
ピオネロ…前走ピオネロに騎乗した蛯名騎手は「馬がモコモコしていてコーナーでもう一つだった」と語っていた。モコモコとは諸説あるらしいけれど、この場合は反応が悪かったと取りたい(ズブイの軽い版)。その一方で「それでも手応えの割に伸びている」とも語っていた。
このような馬には外国人騎手(リスポリ)が合うのではないか?

イスラボニータ…その蛯名騎手がこちらに騎乗するのだからうやむやにはできない。そのイスラボニータは予想1人気。

共同通信杯 1人気成績 3-3-1-3
 前走朝日杯だった馬の1人気 2-2-0-0
 前走ラジオNIKKEI杯だった馬の1人気 1-0-0-3
 前走東スポ杯の1人気 0-1-0-0
 前走ホープフルSの1人気 0-0-1-0

危ういのは前走がラジオNIKKEI杯だった馬の1人気で、信頼できそうなのは前走が朝日杯だった馬の1人気。
前走が東スポ杯だったイスラボニータはサンプル1例で、さすがに信頼できるとは言えない。おそらく「まだわからない」が正解か。でもラジオNIKKEI杯以外の1人気が馬券圏内なのも事実で、敬意を示す必要はありとみた。

(ローハイド…7人気前後でうやむやでお願いします。)

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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