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ドバイ組のガチ度と俺の背後に立つな

  • 2014年02月20日(木) 12時00分


ベルシャザール(JCD1着)、
ホッコータルマエ(JBC1着・JCD3着・東京大賞典1着・川崎記念1着)、
ワンダーアキュート(JBC2着・JCD2着・東京大賞典2着)、
ニホンピロアワーズ(JCD5着・東京大賞典3着・東海S1着)らがいて、
さらに一発狙ってそうな面々が何頭もいる。外国人騎手は4人もいる(最多)。

今年のフェブラリーSは格的なヒエラルキーのバランスがよく、見応えがありそう。
だからどこに注目してもありだと思うけれど、自分はホッコータルマエVSニホンピロアワーズの取り合いに注目している。JRAの最終馬連キャンペーン・キャラのゴルゴ13を借りるならば、「俺の背後に立つな」バトルとでも言いましょうか。

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ホッコータルマエVSニホンピロアワーズ
お前の背後に立ってやる対決
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とにかく、
枠・スタート・3角・4角・直線
すべての項目で2頭がどんな動きをするのか気になってしょうがない。

たとえば、ジャパンカップダート。

ニホンピロアワーズの位置は2-3-2-2だった。
ホッコータルマエの位置は2-2-2-2だった。

もうちょっと詳しく書くと、スタートして1角に入るときにすでに2頭はほぼ並んでいた。
内にホッコータルマエ、外にニホンピロアワーズ。つまり形としてはニホンピロアワーズが外からビッチリとマークした感じだ。言うなれば、ホッコーの背後(正確には外付けでちょい後ろ)にニホンピロが立った形だ。

2頭はほぼその体勢のまま1角から2角、向正面、3角、4角と進み、直線に入った。ふつうならば、直線では外のニホンピロが内のホッコーを被せるようにしてスパートするはずだけど、マークしたはずのニホンピロは逆に力つきて脱落した。
休み明けの分、息が持たなかったのかもしれない。

ニホンピロにず〜っとプレッシャーをかけられながらも、直線でニホンピロを振り切ったホッコータルマエは強かったけれど、ちょっとだけその代償が出たのか、最後の最後に中団にいたベルシャザール&ワンダーアキュートに差されてしまった。

コメントでは1頭で抜け出して、ソラを使ったとあったけれど、終始プレッシャーを受けての闘いはホッコータルマエにとってもキツかったのではないか? 

つづく東京大賞典では、道中の位置の構図は逆転した。
ニホンピロアワーズ 3-3-2-2
ホッコータルマエ  4-4-2-3

向正面までは3番手ニホンピロで、その後ろにホッコー。
今度はホッコーがニホンピロの背後につけた。
3角に入るときに外からホッコーがニホンピロに合わせていき、この2頭で2番手を追走していたワンダーアキュートに詰めていった。
で、4角回って直線に向いたときには内ワンダーアキュート・中ニホンピロアワーズ・外ホッコータルマエとなって、
中のニホンピロが脱落して、内のワンダーと外のホッコーが抜けて、最後の叩き合いを外のホッコーが制して1着した。ホッコータルマエにしてみたら、ニホンピロだけでなく、JCDで差されたワンダーもまとめて差したのだから、さぞ溜飲を下げたことだろう。

実は東京大賞典の位置取りの構図は6月に行われた帝王賞とまったく同じだった。
逃げるワンダー、番手にニホンピロ、その後ろ4、5番手にホッコー。
3角回って、ホッコーが外からニホンピロに合わせていき、最後の直線で、内ワンダー・中ニホンピロ・外ホッコーとなって、ここでは内のワンダーが脱落して、ニホンピロとホッコーで叩き合って、ホッコーが勝った。

つまり、こうなる。

帝王賞 内ニホンピロ 外ホッコー →ホッコー1着 ニホンピロ2着
JCD  内ホッコー  外ニホンピロ →ホッコー3着 ニホンピロ5着
大賞典 内ニホンピロ 外ホッコー →ホッコー1着 ニホンピロ3着

一応すべてホッコーが先着。
だけど思う。
酒井騎手にしてみれば、ホッコーの背後につけたのは(外につけたのは)JCDしかない。そのときは最後力つきたけれど、休み明けでなかったら、もっとやれたのではないか? 状態さえ上がってくれば、もっとやれるのではないか?
そんなことを考えてないかと。

今年に入って、2頭は別のレースを使った。
ホッコーは川崎記念。
ここでもホッコーは2番手を進みつつ、3角から逃げるトウショウフリークを外から捕らえにかかり、一騎に突き抜けた。と思いきや、その背後から来た(外からやって来た)ムスカテールには最後まで食い下がられた。

コメントではどこまで叩き合っても抜かれる気はしなかったとあったけれど、約3年ぶりにダート出走したムスカテールに外から食い下がれたことは事実でここは注目に値するポイントにも思えた。

抜け出した後、どう凌ぐか。東京の直線でどう凌ぐか。

一方、ニホンピロは左回りの東海Sに出走して、5-6-4-4の位置で1着した。
ホッコーとやりあってきたことに比べれば、ここは楽だったかもしれないけれど、先行する3頭に外から並びかけるように4角を回って、一気に先行馬を呑み込んで2馬身突き抜けた戦法は、仮想ホッコータルマエと思わずにはいられなかった。

だから今週のフェブラリーSが楽しみでしょうがない。
ホッコータルマエとニホンピロアワーズが今回どのような競馬をするのかが気になってしょうがない。っていうか、今回も背後を取り合うような競馬をしてもらいたくってしょうがない。

なぜなら今回ほど相手の力を利用したい舞台はないように思えるからだ。

ホッコータルマエは3回走って、3回ともニホンピロを負かした。だから勝負付けという意味では負けるはずはないと思っているかもしれない。
けれど、今回のフェブラリーSの問題点は頼りになる逃げ馬がいないというところだ。
ここはけっこうなポイントでもある。

一応エーシントップが逃げ宣言をしたと一部報道にあった。
コパノリッキーも出走が叶えば逃げたいらしい(事情通より)。
けれど、ここは明確ではないし、直近の2頭の成績は芳しくなく、ホッコータルマエが欲しているであろう「直線に向いても頑張れるタイプ」の逃げ馬には思えない。

ジャパンカップダートでの敗戦理由としてあげられた「1頭になってソラを使った」が本当だとしたら、
直線に向いてすぐに垂れるのではなく、けっこう頑張ってくれる逃げ馬、もしくは直線で先頭に立って、そこから頑張ってくれる馬を内に置きたいはず。

東京の長い直線では、4角回って、すぐに先頭に立つ競馬はしたくないであろうからだ。
地方交流では前で相当頑張ってくれるワンダーアキュートがいた(前記どおり)。しかしワンダーも中央だとけっこうな割合で差しに回る。だからワンダーを頼りにはしづらいはず。

ベルシャザールはJCDでは差しに回ったけれど、武蔵野Sでは先行した。だけど今回の鞍上はCデムーロで、先行するか差しに回るか一応読みにくい(後述)。

つまり先行したいであろうホッコーよりも前にいて、直線に向いても頑張ってくれると信頼できる相手はニホンピロしかいないとも言えるわけだ(実績を加味しての信用という意味です)。
ホッコーにとってはニホンピロの存在はいつも以上にありがたい存在ではないか?

しかしそれはニホンピロにも言えるはず。3回連続で負けたけれど、今回こそ外にピッタリとつけて競馬をしてみたいのではないか? 東海Sでの競馬を見ているとホッコーを想定して競馬をしているようにしか自分には見えなかった。

東京の長い直線を想定して、お互いにお互いの背後をつく(もしくは外側ちょっと後方をつく)。でも相手には背後を取らせたくない。そんなやり取り、そんなサーティーンごっこ。それが見たくてしょうがない。

しかし、今回は角4競馬ではない。距離も短い。
コーナーは2つしかなく、スタートしてすぐにポジションを取りにいく必要もある。度重なる雪で馬場も例年よりも速くなっているかもしれない。
当たり前だけど、いつもより忙しい競馬になる。

こうなると「枠」の重要度が増す可能性が高い。
もちろん相手より外の枠に入るほうが背後(外側)は取りやすい。

というわけで、ホッコータルマエとニホンピロアワーズが何番枠に入るのか、大いに注目している。
どうしよう。どちらかが13番に入ってしまったら。
なんだか相手の背後を取る番号にどんどん思えてきた。

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ベルシャザールの本気度
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ホッコータルマエ・ニホンピロアワーズ、どっちが背後を取ろうが、前方にいることには変わらないはず。で、そのちょっと背後にベルシャザール。

ベルシャザールはJCDの週のコラムで、「なんだ、この馬。すげえな」コメントを絡めながら、1着に期待し、期待どおりに1着した馬。
しかし、もはやあの頃の挑戦者的立場ではない。おそらく今回は1、2番人気。
だから今さらこの馬について書くことはない。興味はむしろドバイでも羽ばたけるか、そこだ。

そう考えると、逆にこのフェブラリーSをどこまで本気で勝ちたいと思っているのか? 取りこぼす可能性はないのか? そっちの興味は沸いてしまう。

松田国師のコメントは当たり障りないものが発表されている。
「フェブラリーSをドバイへの叩き台とは考えていない、ここも勝って、ドバイへ行くつもりだ」。

だいたいこういうコメントは馬主に向けられていたりもする。
「国内できちんと賞金を稼いだ上で海外に行くつもりですから、安心してください。」そんなニュアンスか。
ベルシャザールは社台Fの会員様の馬だから大事なコメントだろう。それが本音ではないとしても、目標は完全にドバイだとしても、そう言わなければならないときもある。それが大人の社会ってやつだろう。

だから逆に心配にもなる。フリじゃなきゃいいなぁ〜。実際は緩めの調整じゃないのか? すでにドバイから招待も届いたし、フェブラリーで結果を残す必要もないし……。

しかしこの馬を管理するのは、かつて西のコメント大将と勝手ながら見立てていた松田国師だ。
最近は東の大将・小島太師同様にすっかり控えめになってしまったのが残念だけど、エキスは今でも含まれているはず。だから前述のコメントをちょっと深読みしてみた。

『去年の最優秀ダート馬に選出されたけれど、ホッコータルマエこそ相応しい的な意見が、一部、いや二部、いやいや三部くらい出ていたように思う。そういう意味でも、ここは負けられない。ホッコータルマエに勝って、国内を黙らせてから、ドバイへ行くつもりだ。2回負かせば文句もでないでしょう』

あくまでも妄察です。自分なりに過去歴から総合的に膨らませた妄察です。でも少しくらいはリアリティーもあるのではないかと思っています。

要は、今回のベルシャザールは人気だけれど、なかなか切るのは難しそうと言いたいのであります。(強いから人気なのであって、切るのが難しいのは当然っちゃー当然だけど……)

前方に強い先行馬がいる。こういう目標がはっきりしているときの、外国人騎手は上手だ。それはフェブラリーSの過去を見ても証明されている。
外国人騎手が馬券圏内に入るときは1人気馬ももれなく圏内に入っている(ペリエばっかりだけど)。
Cデムーロはルメールに比べれば、経験値は浅いけれど、今回はレースは組み立てやすいのではないか。スタートで出遅れなければ、だいたい、だいたいなんじゃないか。

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フェブラリー注目馬
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つまり、整理するとこなる。

「ホッコータルマエとニホンピロアワーズはどちらが背後を取るか」
→注目は枠番。ニホンピロが外の方がテンションは上がる。いずれにせよレースのカギを握るのは酒井騎手かもしれない。
もし13番に入ってしまったら、テンションが上がりすぎて、冷静さを失いかねないので、できれば入らないで欲しい。

「ホッコータルマエとベルシャザールの距離感」
→ベルシャザールはホッコーに負けたくないと書いたけれど、ホッコーにしてもベルシャザールには勝ちたいと思っているはず。みんな大人だから剥き出しにならないけれど、2頭ともに実はドバイよりここを重視していたとしたら、楽しい。

この2点に大注目の今年のフェブラリーでございます。

小注目系ヒモ馬
ソロル&ベストウォーリアの「4歳ヤング枠」とブライトライン&ゴールスキー

おそらく週末に向けて、どんどん脚光を浴びるのは「レジェンド枠」のはず。
レジェンド枠とはもちろん8歳のワンダーアキュート&シルクフォーチュン。騎手もベテランだし、騒ぎやすいはず。
そうなってくれたら、ヤング枠が買いやすくなる。ヤングだって活躍しているからだ。
また、ソロルとブライトラインは「先行枠」で、ベストウォーリアとゴールスキーは「差し枠」としても期待できそうで、ヒモのバランスもちょーどいい。

ソロル・先行系が強いときは同じ脚質の馬が残るときがある。ブノワ連続騎乗でより粘りが増すことはないか。
ブライトライン・同じく先行系。福永騎手は東京ダートでは先行系の方が上手なイメージあり。JCDのレース後コメント「来年のフェブラリーSは楽しみですよ」には未来があった。
ベストウォーリア・差し系。前走騎乗した浜中騎手のコメント「非常に強いレースでした。重賞はもちろん、G1も取れる馬だと思います」。
浜中騎手は去年1着したグレープブランデーと今回出走するベルシャザールとゴールスキーの騎乗経験がある。
ゴールスキー・差し系。ベリーさん騎乗だから。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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