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徹底的に素直に買うべきレース!?/弥生賞

  • 2014年03月05日(水) 18時00分
■弥生賞(G2・中山芝2000m)フルゲート16頭/登録13頭

【コース基本情報】中山芝2000m Aコース使用
・コース回収率
 [低め] 単57%・複勝70% 2番人気以内馬が非常に強いコース

・馬連万馬券出現率
 [高め] 12.9%(平均値↑0.5% 馬連平均配当5831円)

・枠番別成績(10頭〜13頭立て) ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 勝率 8.5% 連対率17.1% 複勝率25.6% 複回率 59% 枠番値-0.1
 [3枠〜4枠] 勝率 6.5% 連対率15.2% 複勝率27.2% 複回率 98% 枠番値+0.2
 [5枠〜6枠] 勝率 9.7% 連対率15.7% 複勝率24.6% 複回率 66% 枠番値-0.1
 [7枠〜8枠] 勝率 9.1% 連対率20.1% 複勝率26.8% 複回率 95% 枠番値-0.1
 ────────────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 勝率 7.5% 連対率16.1% 複勝率26.4% 複回率 80% 枠番値+0.1
 [5枠〜8枠] 勝率 9.4% 連対率18.1% 複勝率25.8% 複回率 82% 枠番値-0.1
 →枠番による成績の偏りがほとんど見られない。外枠でも気にする必要ナシ。

・脚質別信頼度
 先行>差し>>逃げ>追込 上級戦では逃げ馬の信頼度が意外なほど低い

・推定ラップ&タイム
[中緩み]36.0-51.4-35.4=2.02.8 勝負所から一気に加速。中盤までは緩む。

 中山芝の中距離といえば「荒れる」「紛れる」といったイメージが非常に強いが、コース全体での回収率は単勝57%、複勝70%と低めの水準であり、しかも2番人気以内馬の信頼度はかなり高め。馬連万馬券の出現率こそ低くないが、基本的には堅く決着する傾向が強いコースと言えそうである。

 しかも今年の弥生賞は登録段階で13頭と、かなり少頭数での開催となりそう。10頭立て〜13頭立てにおける枠番別成績を見てもわかるように、中山芝のお決まりである「内枠有利」の傾向が、この条件下ではまったく見られない。勝率や連対率に至っては外枠のほうが良いくらいで、少頭数で枠番を気にする必要はいっさいナシだ。

 序盤〜中盤が意外に緩むため、勝ち負けに高いレベルの瞬発力が要求されるというのも、このコースを攻略する上で意識すべきポイント。スローで一団の馬群となり勝負所からの瞬発力勝負に→差し馬が一気に台頭というのが、イメージしやすい決着パターンか。前に行く馬も、相応の瞬発力を持ち合わせていないと勝ち負けは厳しいはず。前々で流れに乗って、直線でもそれなりにキレる脚を使える──といった器用なタイプを狙いたい。

【レース基本情報】弥生賞(G2) 過去10年
・レース平均配当
 単勝677円 馬連7188円 3連複9426円

・1番人気馬成績
 [6-1-0-3] 勝率60.0% 連対率70.0% 複勝率70.0%

・3番人気以内馬成績
 [8-5-3-14] 勝率26.7% 連対率43.3% 複勝率53.3%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [2-4-7-47] 勝率 3.3% 連対率10.0% 複勝率21.7%

・10番人気以下馬成績
 [0-1-0-30] 勝率 0% 連対率 3.2% 複勝率 3.2%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 10.0% [先行] 40.0% [差し] 20.0% [追込] 20.0% [マクリ] 10.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 6.7% [先行] 43.3% [差し] 30.0% [追込] 13.3% [マクリ] 6.7%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 3-3-2-15 連対率26.1% 複勝率34.8% 枠番値+1.3
 [3枠〜4枠] 2-4-3-18 連対率22.2% 複勝率33.3% 枠番値+0.9
 [5枠〜6枠] 3-1-2-25 連対率12.9% 複勝率19.4% 枠番値-0.7
 [7枠〜8枠] 2-2-3-33 連対率10.0% 複勝率17.5% 枠番値-0.8
 ─────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 5-7-5-33 連対率24.0% 複勝率34.0% 枠番値+0.9
 [5枠〜8枠] 5-3-5-58 連対率11.3% 複勝率18.3% 枠番値-0.7

・厩舎所属別成績
 [美浦] 4-2-7-47 連対率10.0% 複勝率21.7%
 [栗東] 5-8-3-42 連対率22.4% 複勝率27.6%
 [地方] 1-0-0-2 連対率33.3% 複勝率33.3%

・前走距離別成績
 [芝1600m] 2-3-6-9 連対率25.0% 複勝率55.0%
 [芝1800m] 3-4-2-25 連対率20.6% 複勝率26.5%
 [芝2000m] 5-3-2-32 連対率19.0% 複勝率23.8%
 [芝2400m] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%
 [ダート戦] 0-0-0-19 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 1-2-4-5 連対率25.0% 複勝率58.3%
 [中央G3] 7-4-5-28 連対率25.0% 複勝率36.4%
 [OP特別] 1-1-0-10 連対率16.7% 複勝率16.7%
 [500万下] 1-1-1-35 連対率 5.3% 複勝率 7.9%
 [新馬戦] 0-1-0-2 連対率33.3% 複勝率33.3%
 [未勝利] 0-1-0-6 連対率14.3% 複勝率14.3%
 ─────────────────────────────
 [前走中央重賞] 8-6-9-33 連対率25.0% 複勝率41.1%
 [上記以外出走] 2-4-1-58 連対率 9.2% 複勝率10.8%

・注目出走パターン
 [買い] 前走中央重賞で1着(連対率41.2%、複勝率52.9%)
 [買い] 1枠〜3枠に入った前走中央重賞出走馬(連対率47.4%)
 [全滅] 前走ダート戦に出走(0-0-0-19)
 [全滅] 前走4番人気以下で中央重賞以外に出走(0-0-0-23)
 [不振] 前走2番人気以下かつ6着以下(連対率0%、複勝率15.0%)

 昨年は500万下を勝ったばかりのカミノタサハラが制したが、弥生賞をこのようなローテで制するというのは、かなり珍しいパターン。既に重賞戦線で結果を残していた馬が順当に勝ち負けすることがほとんどで、かなり「格」を問われるレースという印象を受ける。

 また昨年は、馬連5万2300円、3連単46万1810円という高配当決着だったのもレアケース。とはいえ、この結果を含めても3連複の平均配当が1万円の大台を割り込んでいるのだから、基本的にはかなり堅く決着する傾向にある。10番人気以下で馬券絡みを果たした馬も1頭だけで、ブンブン振り回すのには向かないレースだといえる。

 コースデータとまったく異なる結果が出てるのが、枠番別成績だ。馬券に絡んでいる数自体は同じようなものなのだが、複勝率や枠番値は、単純に内外で比較しても内の圧勝。とくに素晴らしいのが内枠である1枠〜3枠の成績で、トータル複勝率41.7%、複勝回収率116%、枠番値+1.2というハイアベレージ。外枠を大きく割り引く必要はないが「内枠のほうがベター」とは思っておいたほうが良さそうだ。

 注目出走パターンを見てもわかるように、ここまで順調に結果を残してきた馬が、キッチリ好走する傾向にあるレース。前走で中央重賞に出走していた組とそれ以外では、もう露骨なまでに、前者のほうが強い。オープン特別や条件戦からも好走は可能だが、そこから入るのは明らかに分が悪く、これは避けたほうがベターである。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 引き続きAコース。パワー要求度の高い馬場で時計もかかり気味。

・天候予測
 天候自体は良好も最低気温は下手すると氷点下。馬場の変化に注意。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率14.4% 連対率25.2% 複勝率38.7%

・著者の注目血統
 ハーツクライ産駒◎、ディープインパクト産駒◎、キングカメハメハ産駒○

 3月に入ったというのに、今週またしても寒波が到来。幸い、降水確率は低めなので雪を気にする必要まではなさそうだが、先週は柔らかかった中山の芝コンディションが、この冷え込みで一気に変化する可能性もある。先週はかなりパワー型の馬に向いていた印象を受けるが、硬い高速馬場となって一気に傾向が変わってくるかもしれない。

 血統に関しては、ディープインパクト産駒やハーツクライ産駒が強い、典型的な「キレ優勢」のコース。実際にレースの流れも瞬発力勝負となることが多く、こういった種牡馬が上位を占める結果にもうなずける。いわゆる「ベタ良血」で、値段が高そうな血統の馬をプラス評価。キレよりも持久力といったタイプは、もっと厳しい流れになる皐月賞で狙ったほうが良さそうである。

★総論×各論

 フルゲート16頭に対して登録が13頭と、皐月賞の重要トライアルとしてはちょっと寂しい開催となりそうな、今年の弥生賞。ここは現在3連勝中の良血馬トゥザワールドと、ラジオNIKKEI杯2歳Sを制したワンアンドオンリー、京成杯2着からのローテで出走するキングズオブザサンの3頭が主力となりそうだ。

 実績が結果に直結する「素直な」レースであるのは、ここまでに何度も述べたとおり。コースもイメージよりは格段に順当決着傾向であり、しかも今年は確実に少頭数。昨年のような波乱決着となりえない──というのが、今年の弥生賞についてのデータ面からの見解である。

 トップ評価はワンアンドオンリー。東京スポーツ杯2歳Sでは6着に敗れたが、このレースが非常にハイレベルだったというのは、イスラボニータなどの活躍を見ても明白。この馬も次戦でキッチリ巻き返して、その能力の高さを見せつけた。芝重賞好走からというローテは理想的で、血統的にもプラスに評価できる馬。トゥザワールドよりもこちらのほうが、信頼度は高いと見ている。

 二番手評価に、キングズオブザサン。京成杯ではプレイアンドリアルに完敗しているが、なかなか味のあるレース内容。また、中山芝コースで2戦2連対と、既に結果を残しているのも心強い。器用さを持ち合わせている馬なので、東京よりも中山のほうが向くのは確実。ここも好勝負が期待できそうだ。

 トゥザワールドは三番手。3連勝と勢いに乗って重賞制覇を目論むが、若駒Sを勝って弥生賞でも好走したのは、2005年のディープインパクトただ1頭。これを例外として扱うと、馬券絡みゼロになってしまう。黄菊賞でキングズオブザサンに完勝しているのだから能力は間違いなく重賞級だが、G1級と言い切れるまでのパフォーマンスを見せているかといえば、ちょっとビミョー。少し評価を割り引いて考えたい。

 以下は、アデイインザライフ、アズマシャトル、イタリアンネオという評価順。馬券的な面白味には欠けてしまいそうだが、トゥザワールドのオッズ次第では、ここの1着付けを買わない手で意外に悪くない配当が獲れてしまう可能性もありそう……ではあるのだが、こういうひねった馬券を買うと裏目に出るのが、弥生賞というレース。堅く決着すると決め打ち、人気スジから絞り込んだ買い目で勝負したほうが、好結果を呼び込めそうだ。

■チューリップ賞(G3・阪神芝1600m外) フルゲート16頭/登録14頭

 阪神の外回りコースで開催されるようになってから、今年で8年目。桜花賞へ向けての最重要ステップレースであるのは言うまでもなく、名牝ブエナビスタのように、阪神JF→チューリップ賞→桜花賞という王道を歩む馬も少なくない。

 というわけで、今年はハープスターだけが該当する、阪神JF組の取捨から。全体でも過去7年でトータル[3-4-3-3]と高信頼度のローテで、阪神JF勝ち馬をここから除外した場合でも、[1-2-2-2]で連対率42.9%、複勝率71.4%と、その信頼度はかなりのものだ。また、ハープスターのように「阪神JFで最高上がりをマークしていた馬」は非常に強く、3戦して2勝3着1回と、すべて馬券に絡んでいる。つまり、ここは「買い」が正解だ。

 それ以外のローテで出走する馬については「前走5番人気以内かつ2着以内」であるのが、ここで好走するための必要条件。また、高いレベルの瞬発力が要求されるレース&コースであるため、前走での上がり3F順位が「3位以内」であるのが望ましい。となると、この両条件を満たすブランネージュルミナスパレードの2頭が注目株に。いずれも格上挑戦での出走だが、上位に食い込める余地は十分ある。

■オーシャンS(G3・中山芝1200m) フルゲート16頭/登録31頭

 ロードカナロア引退後のスプリント界を背負って立つ存在になりそうなハクサンムーンが、今期はここから始動。阪神カップを人気薄で制したリアルインパクトなども出走を予定しているが、ムードとしては完全に「一強」で、軸はともかくヒモに関しては大きく紛れてもおかしくない。

 出走例が最も多いのはシルクロードS組だが、こちらはトータル[0-6-1-50]で連対率10.5%、複勝率12.3%と信頼度がイマイチ。最低でもシルクロードSでひとケタ人気、かつひとケタ着順だった馬でないと厳しい。つまり、ケイアイアストンやスギノエンデバー、レオンビスティーなどは期待薄ということ。あとは、前走で芝マイル以上戦に出走していたレッドスパーダも、大幅に割り引くべき出走パターンである。

 また、前走で「4角13番手以下」からの競馬だった馬も、大幅割引の対象。となると、インプレスウィナーやサイレントソニックあたりも信用はできない。逆に、積極的に狙いたいのが、これまでに2勝をあげている「前走で条件戦を勝っていた馬」。人気サイドで勝っている馬であれば、人気薄でも勢いに乗っての激走が期待できる。

 このようなデータから、ここでは完全に実績上位であるハクサンムーンリアルインパクト以外に、スマートオリオンミヤジエムジェイの2頭も注目馬に。ドカ荒れ決着も少なくないレースなので、あえて人気薄の2頭から入るのも面白いかもしれない。

※コース&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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