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キレよりも短距離戦向きの持久力重視!/フィリーズレビュー

  • 2014年03月12日(水) 18時00分
■フィリーズレビュー(G2・阪神芝1400m内)フルゲート16頭/登録30頭

【コース基本情報】阪神芝1400m内 Aコース使用
・コース回収率
 [高め] 単勝83%・複勝84% 全体でも屈指の人気薄激走コース

・馬連万馬券出現率
 [高め] 17.1%(平均値↑4.7% 馬連平均配当7063円)

・枠番別成績(16頭立て以上) ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 勝率 6.6% 連対率11.1% 複勝率17.4% 複回率 68% 枠番値-0.2
 [3枠〜4枠] 勝率 4.2% 連対率11.1% 複勝率19.2% 複回率112% 枠番値+0.2
 [5枠〜6枠] 勝率 4.9% 連対率10.8% 複勝率14.6% 複回率 45% 枠番値-0.3
 [7枠〜8枠] 勝率 7.1% 連対率12.9% 複勝率18.1% 複回率 85% 枠番値+0.2
 ────────────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 勝率 5.4% 連対率11.1% 複勝率18.3% 複回率 90% 枠番値+0.1
 [5枠〜8枠] 勝率 6.1% 連対率12.0% 複勝率16.6% 複回率 68% 枠番値±0
 →枠番による有利・不利がそれほどないコース

・脚質別信頼度
 逃げ>>先行>差し>追込 上級戦でも逃げ馬の強さは驚異的なほど

・推定ラップ&タイム
 [前傾]34.3-11.9-36.3=1.22.5 3歳牝馬限定戦でも前傾の厳しい流れに

 フィリーズレビュー以外にも、阪神カップや阪急杯といった重要なレースが行われる、阪神芝1400m。全体での回収率が単勝83%・複勝84%と非常に高いのを見てもわかるように、波乱傾向のきわめて強いコースである。中穴はもちろんのこと、ふたケタ人気の超人気薄が好走するケースも多々。3連複の平均配当は3万6270円、3連単では21万5114円という高さで、「万馬券が出て当たり前」といっても過言ではない。

 そんな紛れが非常に多いコースでありながら、枠番別成績には意外なほど偏りが見られない。内枠〜外枠までまんべんなく馬券に絡んでおり、とくに有利な枠番も不利な枠番もないといった印象だ。ただし、脚質については話が別。先行勢、なかでも逃げ馬の強さは圧倒的で、当コースが荒れる理由の最たるものがコレ。上級条件でも完全に先行有利で、ハナに行けるというだけで「買い」なのである。

 3歳牝馬限定戦ながら流れはそれなりに厳しく、前半3ハロンが34秒台前半なるケースも少なくない。いわば、マイル戦の流れではなく、スプリント戦の流れとなるレース。一昔前ならばともかく、外回りになって以降の桜花賞とは、明らかに性質が違う。取捨選択の際には、本番で通用「しない」馬が来るということを、しっかり意識しておきたい。

【レース基本情報】フィリーズレビュー(G2) 過去10年
・レース平均配当
 単勝1266円 馬連5694円 3連複2万6541円

・1番人気馬成績
 [3-2-0-5] 勝率30.0% 連対率50.0% 複勝率50.0%

・3番人気以内馬成績
 [7-3-1-19] 勝率23.3% 連対率33.3% 複勝率36.7%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [2-6-7-45] 勝率 3.3% 連対率13.3% 複勝率25.0%

・10番人気以下馬成績
 [1-1-2-65] 勝率 1.4% 連対率 2.9% 複勝率 5.8%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 50.0% [差し] 10.0% [追込] 40.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 3.3% [先行] 36.7% [差し] 26.7% [追込] 33.3%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 2-4-3-30 連対率15.4% 複勝率23.1% 枠番値+0.4
 [3枠〜4枠] 4-3-2-31 連対率17.5% 複勝率22.5% 枠番値-0.9
 [5枠〜6枠] 3-0-2-35 連対率 7.5% 複勝率12.5% 枠番値±0
 [7枠〜8枠] 1-3-3-33 連対率10.0% 複勝率17.5% 枠番値+0.7
 ─────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 6-7-5-61 連対率16.5% 複勝率22.8% 枠番値-0.2
 [5枠〜8枠] 4-3-5-68 連対率 8.8% 複勝率15.0% 枠番値+0.3

・厩舎所属別成績
 [美浦] 3-3-0-18 連対率25.0% 複勝率25.0%
 [栗東] 7-7-10-107 連対率10.7% 複勝率18.3%

・前走距離別成績
 [芝1200m] 2-0-0-25 連対率 7.4% 複勝率 7.4%
 [芝1400m] 0-3-2-17 連対率13.6% 複勝率22.7%
 [芝1600m] 8-5-7-50 連対率18.6% 複勝率28.6%
 [芝1800↑] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
 [ダート戦] 0-2-1-34 連対率 5.4% 複勝率 8.1%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 4-1-2-12 連対率26.3% 複勝率36.8%
 [中央G3] 2-1-1-28 連対率 9.4% 複勝率12.5%
 [OP特別] 2-4-4-26 連対率16.7% 複勝率27.8%
 [500万下] 2-4-3-42 連対率11.8% 複勝率17.6%
 [新馬戦] 0-0-0-6 連対率 0% 複勝率 0%
 [未勝利] 0-0-0-9 連対率 0% 複勝率 0%

・注目出走パターン
 [特注] 前走芝マイル戦にて着差0秒5以内で敗北(連対率33.3%)
 [全滅] 前走で新馬&未勝利戦に出走(0-0-0-15)
 [全滅] 前走500万下のレースで2着以下(0-0-0-15)
 [全滅] 前走芝1200m戦で2着以下(0-0-0-13)
 [不振] 前走6番人気以下かつ3着以下(0-0-2-37)
 [不振] 連闘〜中3週での出走(1-1-2-56)
 [不振] 騎手が乗り替わるキャリア4戦以下馬(2-0-1-34)

 コースデータの項目でも述べたとおり、かなり高配含みの舞台。実際にフィリーズレビューでも波乱決着が頻発しており、過去10回のうち実に7回までが3連複万馬券。平均配当は3連複が2万6541円、3連単が17万7494円という、かなりの荒れ模様である。やはり、ある程度は荒れる前提で予想したほうがいいと思われる。

 1番人気は[3-2-0-5]とまずまずの信頼度だが、2番人気は対照的に[1-0-0-9]とサッパリ。面白いデータとしては「奇数人気が妙に強い」という点をあげておきたい。奇数人気がトータル[8-5-9-58]で複勝率27.5%、複勝回収率120%であるのに対して、偶数人気は[2-5-1-71]で複勝率10.1%、複勝回収率52%と、明暗クッキリ。理由が説明できないジンクス的な話ではあるが、判断に迷った際は考慮してもいいかもしれない。

 続いて脚質だが、こちらは「かなり差せる」といった印象。コースデータではかなり逃げ優勢と解説したが、近年このレースを逃げて馬券に絡んだのは、昨年のティズトレメンダスくらいのもの。この時期の牝馬にとっては厳しいペースとなるため、前崩れでの台頭が起こりやすいのだろう。

 枠番では内枠のほうが好成績となっているが、これは人気の偏りによる影響が大きい。枠番による有利・不利がそれほどないコースであるのはコースデータで解説したとおりで、外枠を理由に評価を割り引く必要はない。また、関東馬もなかなかの強さを見せており、厩舎の東西も気にする必要はなさそうだ。

 ……といったカンジで評価の材料に欠けるため、好走パターンを読みづらい面があるレース。しかし、阪神ジュベナイルFやエルフィンSなど、前走で芝1600m戦に出ていた馬が優勢であるのは間違いない。なかでも注目したいのが、注目出走パターンの筆頭にあげた「前走芝マイル戦チョイ負け」組の強さ。本来は芝マイル戦に向かない馬が、適した条件に戻って好走──というのが、イメージしやすい勝ちパターンである。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 引き続きAコースで時計も速い。内回りは内枠の先行馬が優勢か。

・天候予測
 気温は低いが天候には恵まれそうな週末。良馬場前提でオッケー。

・勝利数トップ種牡馬
 タニノギムレット 勝率12.3% 連対率22.8% 複勝率29.8%

・著者の注目血統
 ダイワメジャー産駒○、クロフネ産駒○、フジキセキ産駒○、サクラバクシンオー産駒△

 勝利数の多い順に、タニノギムレット、アグネスタキオン、アドマイヤムーン、サクラバクシンオー。当コースで要求される適性が「末脚のキレ」ではないのが、ありありと浮かび上がってくる種牡馬ラインナップだ。サンデー系でも好調なのは、パワー型であるアグネスタキオンやダイワメジャー、フジキセキなど。同じ阪神の芝でも、外回りの1600mとは性格がまったく違うといえそうだ。

 さらに、現在の馬場が前優勢&内枠優勢な印象を受けるのも、しっかり意識しておきたいファクター。スプリント指向が強いコースで前優勢&内枠優勢の馬場バイアスになると、当然ながら「内枠の先行勢」が最も有利に。また、馬格もある程度はあったほうが良さそうで、小柄で末脚がキレるタイプには向かない馬場となる可能性もある。

 血統と馬格というふたつのファクターから面白そうなのは、アドマイヤビジン、エスメラルディーナ、グランシェリー、シーロアあたりで、ベルカントも悪くはなさそう。ホウライアキコはもう少し馬格が欲しいところだが、どうか。

★総論×各論

 ホウライアキコやベルカントなど、阪神ジュベナイルFからのローテで出走する組が主力となりそうな、今年のフィリーズレビュー。それ以外にも、紅梅Sを制したアドマイヤビジンや、牡馬を相手にジュニアCを競り勝ったエスメラルディーナなど、なかなか面白いメンバーとなった。

 登録してきた30頭のうち、900万円以上の賞金を持っているのが12頭。抽選組は18分の4という狭き門であり、出走にこぎ着けるだけでもかなりの運が必要となりそうだが……こちらは通用する可能性がきわめて低いというのが、当データ分析からの結論。新馬や未勝利を勝ったばかりの馬や、500万下で負けていたような馬では、さすがに通用しない。

 トップ評価はホウライアキコ。阪神ジュベナイルFでも2番人気に推されていた実力馬で、そのスピードと持久力は世代でもトップクラス。イレ込みがキツかったのも前走の敗因だが、スピードで押し切れる条件に向く適性の持ち主だというのも大きかったと思われる。このコース替わりが、大きなプラス材料となるのは確実だ。

 以下は僅差だが、二番手に抜擢したのがエスメラルディーナ。このレースに強い関東馬で、マイル戦からの距離短縮。牝馬としてはかなり恵まれた馬格の持ち主で、Storm Cat系×Unbridled系という血統らしい先行力と持久力も魅力の1頭である。胴に伸びやかさがあって「短距離バチコイ!」というタイプではなさそうだが、この距離と相手でどのようなレースを見せてくれるか、ホウライアキコ以上に楽しみと言える。

 以下、三番手がアドマイヤビジンで、四番手にベルカント、五番手評価が穴馬リアルヴィーナスと、ここまでが上位評価組。あとは、グランシェリー、フクノドリーム、レムミラスまでを押さえ評価とした。人気サイドでは唯一、ローテなどが気になるヤマノフェアリーが大幅割引の対象に。能力の高さは疑いようもないが、ここは度胸一発「無印」で臨みたいところだ。

■中日新聞杯(G3・中京芝2000m) フルゲート18頭/登録22頭

 開催時期が春に変更されてから、今年で3年目になる中日新聞杯。かつてのようなドカ荒れこそ今のところ出現していないが、3番人気以内馬は過去2年[0-1-2-3]とイマイチの信頼度。ハンデ戦で、しかもフルゲートになりそうな登録状況を考えると、そろそろ10番人気以下馬の激走も期待できそうだ。

 今年は好位から競馬をする組が人気を集めそうだが、ここはコースの特性から「中団から一気の差し脚を使える」ようなタイプを狙いたいところ。速い上がりが繰り出せることが勝ち負けする上での必要条件であるのは、当コースでディープインパクト産駒やハーツクライ産駒が非常に強いことからも明らかだ。

 ならば、人気サイドではアンコイルドやラブリーデイよりもラキシスレッドレイヴンのほうが期待できそうで、人気薄ではカルドブレッサや軽ハンデのマーティンボロがオススメ。出走が叶えば、アクションスターやコアレスドラードも面白い存在といえそう。軸もヒモも、末脚のキレ重視の姿勢で臨みたいレースである。

■中山牝馬S(G3・中山芝1800m) フルゲート16頭/登録23頭

 昨年こそソコソコ順当な結果に落ち着いた中山牝馬Sだが、人気馬のコケっぷりではかなり定評があるレース。1番人気と2番人気が馬券絡みを果たした昨年のデータを含めても、3番人気以内馬はトータル[2-3-2-20]で連対率18.5%、複勝率25.9%と、その信頼度は非常に低い。ブンブン振り回して高配当を狙うのに、うってつけといえるだろう。

 とはいえ、軽ハンデの格下がバンバン走るといった傾向にはなく、「ハンデをしっかり背負った前走重賞組」を重視したほうが好結果を呼び込めるレース。昨年6番人気で1着に好走したマイネイサベルにしても、前走でエリザベス女王杯に出走し、ここでは56キロのハンデを背負っていた実績馬であった。

 というわけで、ここは「前走重賞出走&ハンデ55キロ以上」という条件を満たす馬を積極的に狙っていくスタンスを推奨。4歳馬の成績がイマイチなことや、差し馬が優勢であることも加味して考えると、人気サイドではアロマティコエクセラントカーヴの2頭が高信頼度といえそうだ。

 人気薄では「前走重賞大敗組」の巻き返しに期待。前走で0秒6以上の着差をつけられて完敗していた馬が、アッサリ巻き返してくるのが中山牝馬Sである。とくにオススメしたいのが牡馬混合のレースで大敗していた馬で、こちらの候補はエディンコウエイオトメサクラプレジールサンシャインの4頭。このあたりを組み合わせて、高配当を積極的に狙っていきたい。

※コース&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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