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枠番次第も基本的には死角なし!?/桜花賞

  • 2014年04月09日(水) 18時00分
■桜花賞(G1・阪神芝1600m外)フルゲート18頭/登録20頭

【コース基本情報】阪神芝1600m外 Bコース使用
・コース回収率
 [やや低め] 単69%・複勝76% 多頭数で人気馬の強さが目立つコース

・馬連万馬券出現率
 [標準] 13.2%(平均値↑0.8% 馬連平均配当6384円)

・枠番別成績(18頭立て) ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 勝率 5.6% 連対率 8.8% 複勝率11.4% 複回率 30% 枠番値-0.9
 [4枠〜6枠] 勝率 5.2% 連対率11.1% 複勝率18.3% 複回率 93% 枠番値+0.4
 [7枠〜8枠] 勝率 5.9% 連対率13.4% 複勝率20.3% 複回率 94% 枠番値+0.5
 ────────────────────────────────────
 [01番〜09番] 勝率 5.4% 連対率 8.9% 複勝率12.6% 複回率 51% 枠番値-0.4
 [10番〜18番] 勝率 5.7% 連対率13.3% 複勝率20.7% 複回率 94% 枠番値+0.4
 →1枠〜3枠の連対率と複勝率が抜けて低い。複回率と枠番値からも大幅割引か。

・脚質別信頼度
 先行>差し>逃げ>追込 期待値の高さは先行勢が圧倒的に上

・推定ラップ&タイム
[平均]34.8-24.1-35.2=1.34.1 瞬発力だけでなく持久力も要求される流れ

 コース形態からすると考えづらい結果なのだが、阪神芝1600mは前々から「内枠の不利」が目立っているコース。勝率こそ中枠〜外枠と差が見られないが、連対率や複勝率の低さは露骨なほどだ。1枠〜3枠の複勝回収率は30%という信じがたいほどの低さで、枠番値も-0.9と大きなマイナスに。これはもう「内枠不利」と断じていい。

 コース全体の回収率は、多頭数のレースに限定してもほとんど変化ナシ。1番人気〜2番人気の強さが目立っているが、この傾向は多頭数になっても崩れず、それどころか加速している感がある。それでいて、馬連万馬券の出現率や馬連平均配当は低くないのがこのコース。ヒモ紛れでの高配当出現も、けっこう多いのである。

 直線の長い外回りコースだけあって差しは決まりやすいが、高配当の立役者となっているのは、圧倒的に先行勢。イメージすべきは、人気の差し馬がキッチリ勝ち、先行していた人気薄が最後まで粘りきる──といった決着パターンだろう。イメージよりは格段に「前が残せる」コースであるのは間違いない。

 また、近年の桜花賞は前半3ハロンが34秒8前後で流れるというのも、意識しておくべきポイント。序盤〜中盤が極端に緩むわけでもなく、だからといって速くもないという、持久力が問われるラップが刻まれやすいのだ。つまり、極端な「上がり特化型」よりも、これまでにある程度の持久力を示していた馬のほうが向く流れだと言える。

【レース基本情報】桜花賞(G1) 過去7年
・レース平均配当
 単勝1143円 馬連2万9250円 3連複12万8801円

・1番人気馬成績
 [2-2-0-3] 勝率28.6% 連対率57.1% 複勝率57.1%

・3番人気以内馬成績
 [5-5-1-10] 勝率23.8% 連対率47.6% 複勝率52.4%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [1-1-4-36] 勝率 2.4% 連対率 4.8% 複勝率14.3%

・10番人気以下馬成績
 [1-1-2-58] 勝率 1.6% 連対率 3.2% 複勝率 6.5%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 28.6% [差し] 42.9% [追込] 28.6%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 4.8% [先行] 23.8% [差し] 38.1% [追込] 33.3%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 0-0-1-41 連対率 0% 複勝率 2.4% 枠番値-0.7
 [4枠〜6枠] 5-1-3-32 連対率14.6% 複勝率22.0% 枠番値+0.8
 [7枠〜8枠] 2-6-3-31 連対率19.0% 複勝率26.2% 枠番値-0.2
 ─────────────────────────────
 [01番〜09番] 4-1-2-55 連対率 8.1% 複勝率11.3% 枠番値-0.1
 [10番〜18番] 3-6-5-49 連対率14.3% 複勝率22.2% 枠番値+0.1

・厩舎所属別成績
 [美浦] 2-2-3-45 連対率 7.7% 複勝率13.5%
 [栗東] 5-5-4-58 連対率13.9% 複勝率19.4%

・前走距離別成績
 [芝1200m] 0-0-0-8 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝1400m] 1-0-1-39 連対率 2.4% 複勝率 4.9%
 [芝1600m] 6-6-5-45 連対率19.4% 複勝率27.4%
 [芝1800m] 0-1-1-8 連対率10.0% 複勝率20.0%
 [芝2000↑] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [ダート戦] 0-0-0-3 連対率 0% 複勝率 0%
 ─────────────────────────
 [芝1400m以下] 1-0-1-47 連対率 2.0% 複勝率 4.1%
 [芝1600m以上] 6-7-6-54 連対率17.8% 複勝率26.0%

・前走レース別成績
 [チューリ賞] 5-2-3-17 連対率25.9% 複勝率37.0%
 [エルフィン] 1-1-0-2 連対率50.0% 複勝率50.0%
 [フィリーズ] 1-0-1-38 連対率 2.5% 複勝率 5.0%
 [クイーンC] 0-3-1-10 連対率21.4% 複勝率28.6%
 [フラワーC] 0-1-1-8 連対率10.0% 複勝率20.0%
 [アネモネS] 0-0-1-14 連対率 0% 複勝率 6.7%
 [上記以外R] 0-0-0-15 連対率 0% 複勝率 0%

・注目出走パターン
 [絶好] 元地方&外国人ジョッキー騎乗馬(連対率36.0%、複勝率44.0%)
 [全滅] 前走1400m以下戦に5番人気以下で出走(0-0-0-31)
 [全滅] チューリップ賞組とクイーンC組以外で前走6番人気以下(0-0-0-35)
 [全滅] チューリップ賞組とクイーンC組以外で前走5着以下(0-0-0-31)
 [不振] 前走3番人気以下の中央生え抜きジョッキー騎乗馬(0-1-3-63)
 [不振] 1枠〜3枠に入った馬(0-0-1-41)
 [割引] 中央はえぬきジョッキー騎乗馬(1-4-5-90)

 レジネッタが制した2008年が3連単700万馬券の大波乱。そして昨年も3連単67万馬券が飛び出しているように、桜花賞は今も波乱傾向が強いレース。さすがに単勝オッズ1倍台の人気馬がいるような年は堅く決まっており、今年がそのパターンに該当する可能性もありそうだが、波乱含みのレースであることはしっかり意識しておきたい。

 その特徴として真っ先にあげたいのが、差し〜追い込み勢が非常に強いレースであるということ。差し馬が優勢であるのはコース形態からも当然の話だが「馬券に絡んだ馬の3分の1が追い込み脚質」というのは、かなり珍しい。逃げ・先行勢のシェアが3割にも満たないという、圧倒的に差し優勢のレースなのである。

 コースデータでも顕著だった「内枠の不振」は、レースデータでも健在だ。1枠〜3枠に入った馬はトータル[0-0-1-41]で複勝率2.4%、枠番値-0.7という超・低空飛行。単純に複勝率だけを見ると外枠が最も高いのだが、枠番値を加味して考えると、4枠〜6枠の「中枠」が最も優秀。序列は「中枠>外枠>内枠」としたい。

 ローテ面に関しては、かなり雑だが「チューリップ賞組とクイーンC組=買い」という認識でオッケー。この2レースからのローテが[5-5-4-27]で複勝率34.1%、複勝回収率202%で、それ以外が[2-2-3-77]で複勝率8.3%、複勝回収率32%なのだから、比較するまでもない。後者で馬券絡みする余地があるのは「人気での好走馬」だけだ。

 あとは、ジョッキーも要注目。注目出走パターンにもあげたが、桜花賞では「元地方ジョッキー」と「外国人ジョッキー」が異様なまでに強く、そのトータル複勝率は44.0%にものぼる。今年この条件を満たすのは、おそらくニシノミチシルベ、ヌーヴォレコルト、レッドリヴェールの3頭だけ。人気薄でも、押さえておいて損はない。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 引き続きBコース。外差しが決まりやすいコンディションにある印象。

・天候予測
 日曜日の降水確率が高め。当日は雨での開催となる可能性も。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率17.9% 連対率30.1% 複勝率41.0%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ステイゴールド産駒○、ダイワメジャー産駒▲

 阪神芝1600mは、Aコース→Bコース替わりで差し馬が台頭してくる傾向にあるコース。今開催も同様のようで、外差しや追い込みが決まりやすい馬場コンディションになりつつある印象を受ける。前が残せないわけではないのだが、どちらが有利かといえば、やはり差し・追い込み勢だろう。

 そして血統面も、わかりやすく「キレ型」が優勢。複勝率41.0%をマークしたディープインパクト産駒に、同32.1%のステイゴールド産駒、同30.7%のダイワメジャー産駒など、成績上位は見事にサンデー系ばかりだ。また、シンボリクリスエス産駒の不振やキングカメハメハ産駒の伸び悩みから考えても、瞬発力型の馬場であるのは明白。末脚がキレそうなサンデー系を買うのが、いちばん効率がいいはずである。

★総論×各論

 3月には、春の結果次第では秋に凱旋門賞への挑戦も──との報道があった大器・ハープスター。阪神ジュベナイルFではレッドリヴェールの後塵を拝したが、前哨戦のチューリップ賞でその能力の高さを改めて見せつけている。この中間もいたって順調で、断然の1番人気に推されることは間違いない。

 コレをどう扱うかだが、ローテや実績、血統、脚質など、データ的にもあらゆる面で高評価に。気がかりなのは「中央プロパーの川田ジョッキーが騎乗する」という点くらいのものだが、今年に入ってから驚異的な成績(連対率32.9%、複勝率48.4%)を考えると、コレを割り引くのはどうよ?という気持ちになる。これはもう、素直に買いジャッジを下すのが正解だろう。

 2歳女王レッドリヴェールも高評価となった1頭だが、こちらは「阪神ジュベナイルFからの直行」というローテが減点材料。対象が少ないとはいえ、中8週よりも長い間隔で馬券に絡んだ馬がいないという事実は、やはり無視できない。能力・実績ともに文句なしだが、この点を考慮して、少し割り引きたいところである。

 クイーンCを制したフォーエバーモア、チューリップ賞2着のヌーヴォレコルトも、当然ながら上位評価組。実績的にはフォーエバーモアのほうが上だが、ここは「岩田ジョッキー騎乗」という点を高く評価して、ヌーヴォレコルトを上に評価する。序列は、ハープスターヌーヴォレコルトレッドリヴェールフォーエバーモアとなった。

 人気薄では、ニシノミチシルベに激走の期待をかけたいところ。アネモネSでは2着に敗れたが「外国人ジョッキー騎乗&差し脚質」で、1勝馬ながら戦ってきた相手や着差から、ここでは能力上位と見る。あとは、チューリップ賞組からリラヴァティとシャイニーガール。上位に食い込める余地があるとすれば、ここまでだろう。

 ベルカントやホウライアキコも実績上位だが、ハープスターから入ると正直なところ、そこまで手が回らない。今年に関しては荒れそうな気配がサッパリ感じられないので、フィリーズレビュー組はスパッと切り捨てたい。あとは、1枠〜3枠にどの馬が入るか次第。もしハープスター内枠を引きでもしたら、馬券的にもかなり面白いレースになりそうだ。

■ニュージーランドT(G2・中山芝1600m) フルゲート16頭/登録19頭

 1番人気馬の[5-0-0-4]という成績を見てもわかるように、ニュージーランドTは両極端な結果が出やすいレース。カレンブラックヒルが制した2012年は順当決着で、エーシントップが勝った昨年は3連単19万馬券。果たして今年がどちらに振れるかだが……現在のところ、登録メンバーから「荒れるほう」と読む。

 このレースで言えるのが、中山芝1600mらしく「内枠の先行馬」が非常に強いということ。まずは枠番だが、16頭立てにて行われた過去8回で、馬番1番〜8番がトータル[6-5-5-48]で複勝率25.0%、馬番9番〜16番が[2-3-3-56]で複勝率12.5%と、明らかに内のほうが好成績だ。また、4コーナーを7番手以内で回った馬も、トータル[7-6-4-44]で複勝率27.9%と高信頼度。つまり、コースの特性にかなり忠実な結果となっている。

 それ以外にも、昨年も注目ファクターとしてあげた「人気薄で好走しているのが関西馬ばかり」という傾向や、馬格のない馬(具体的には馬体重459キロ以下馬)の成績が非常に悪いこと、人気薄での好走馬に距離延長組が圧倒的に多いことなども、注目しておきたいデータである。

 断然の注目株が、現在未勝利と500万下を連勝中のイダス。さすがに枠番については現時点では何ともいえないが、2枠〜4枠あたりを引いてくれれば、かなり期待できるはずだ。それほど人気も集めないだろうし、プロフィール的にも血統的にも脚質的にも「買い」といえる、今年の登録馬で唯一の存在である。

■阪神牝馬S(G2・阪神芝1400m) フルゲート18頭/登録16頭

 さすがに繰り返しすぎて飽きられている気がしないでもないが、阪神芝1400mでは「末脚がキレそうなマイラーや中距離馬」を嫌って、「しぶとく粘れそうなスプリンター」から狙うのが、高配当を狙う上でのセオリー。ヴィクトリアマイルのトライアルとはいえ、マイラーを積極的に買うべき舞台ではないと断言しよう。

 これが妄言でないのは、レースデータの前走距離別成績が証明している。現在の開催時期に変更されて以降、前走マイル戦出走馬はトータル[1-4-3-31]で勝率わずか2.6%。平均人気7.1に対して平均着順7.8と、大きく負け越している。また、範囲を「前走1600m以上戦出走馬」に拡大しても、この傾向は同じ。[1-6-4-55]という成績を見てもわかるように、好走はしてもアタマではめったに来ないのである。

 しかも今年は、出走馬のレベルが全体的に低めの印象。人気のマイラーがことごとく凡走する可能性まであると見て、スプリント寄りの適性を持つ馬を徹底的に狙いたい。具体的には、エピセアロームローガンサファイアウイングザムーントーホウアマポーラビキニブロンドサマールナの6頭。なかでもエピセアロームはかなりアツいと見るが、どうか。

※コースデータ&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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