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回避馬の有無で結果が変わる!?/天皇賞・春

  • 2014年04月30日(水) 18時00分


■天皇賞・春(G1・京都芝3200m)フルゲート18頭/登録23頭

【コース基本情報】京都芝3200m Cコース使用

※以下は京都芝2400m以上の「外回り」を集計対象としています

・全体回収率
 [高め] 単勝109%・複勝78% 人気薄がアタマで来る傾向アリ

・馬連万馬券出現率
 [低め] 7.8%(平均値↓4.6% 馬連平均配当5200円)

・枠番別複勝率(16頭立て以上)
 [1枠〜3枠] 勝率12.1% 連対率15.2% 複勝率22.7% 複回率124% 枠番値+0.8
 [4枠〜6枠] 勝率 1.5% 連対率 6.1% 複勝率10.6% 複回率 29% 枠番値+0.3
 [7枠〜8枠] 勝率 3.4% 連対率13.8% 複勝率19.0% 複回率 75% 枠番値-1.3
 →内枠の強烈なまでの強さが目立つ。対照的に外枠はかなり不振。

・脚質別信頼度
 先行>差し>>逃げ>>>追込 直線一気はまず決まらないコース

・推定ラップ&タイム
[瞬発]36.7-122.6-35.2=3.14.5 序盤〜中盤でかなり緩むケースもありうる

 京都芝3200mは事実上「天皇賞・春」専用コース。コースデータ=レースデータであるため、これらを分けて分析を行う意味がなくなってしまう。そういう大人の事情もあって、今回は京都芝2400m以上の外回りコース全体を分析の対象とした。つまり、菊花賞や京都大賞典、日経新春杯などのデータも含まれている。

 まずは回収率だが、単勝回収率109%とイメージ以上の高さ。もっとも、データの母数が小さいので、12年の天皇賞・春(ビートブラック14番人気1着で単勝1万5960円)一発で大きく引き上げられているのは事実だ。とはいえ、人気薄での1着が意外に多いのは事実。超人気薄が来るときは「アタマで来る」のが、このコース条件の特徴といえそうだ。

 続いて枠番別成績だが、多頭数における1枠〜3枠、つまり内枠の強さが非常に目立っている。とくに目立っているのが勝率の高さで、これはもう「ぶっちぎり」というレベル。枠番値や複勝回収率ベースの比較でも圧倒的な高さを誇っており、イメージ以上に内枠有利・外枠不利であると思っておいたほうがいい。

 また、マクリはきくが追い込みは届かないというのも、このコース条件の大きな特徴。「4コーナーを7番手以内」で回れるかどうかが分水嶺で、この条件を満たせない馬は、勝率が一気に落ちるのである。つまり、後方待機組が勝つには、早めにマクって4角では前を射程圏に捉えておく必要アリ。これは、絶対に押さえておくべきポイントだ。

【レース基本情報】天皇賞・春(G1) 過去10年
・レース平均配当
 単勝3526円 馬連2万2892円 3連複8万7220円

・1番人気馬成績
 [1-0-1-8] 勝率10.0% 連対率10.0% 複勝率20.%

・3番人気以内馬成績
 [5-5-2-18] 勝率16.7% 連対率33.3% 複勝率40.0%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [1-3-7-49] 勝率 1.7% 連対率 6.7% 複勝率18.3%

・10番人気以下馬成績
 [4-2-1-76] 勝率 4.8% 連対率 7.2% 複勝率 8.4%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 20.0% [先行] 30.0% [差し] 40.0% [追込] 0% [マクリ] 10.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 6.7% [先行] 53.3% [差し] 36.7% [追込] 0% [マクリ] 3.3%

・年齢別成績
 [4歳馬] 5-3-3-39 連対率16.0% 複勝率22.0%
 [5歳馬] 3-3-5-35 連対率13.0% 複勝率23.9%
 [6歳馬] 2-2-1-27 連対率12.5% 複勝率15.6%
 [7歳↑] 0-2-1-42 連対率 4.4% 複勝率 6.7%
 ────────────────────────
 [5歳以下] 8-6-8-74 連対率14.6% 複勝率22.9%
 [6歳以上] 2-4-2-69 連対率 7.8% 複勝率10.4%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 6-2-3-47 連対率13.8% 複勝率19.0% 枠番値+1.5
 [4枠〜6枠] 3-2-4-51 連対率 8.3% 複勝率15.0% 枠番値-0.8
 [7枠〜8枠] 1-6-3-45 連対率12.7% 複勝率18.2% 枠番値-0.7

・厩舎所属別成績
 [美浦] 4-2-0-34 連対率15.0% 複勝率15.0%
 [栗東] 6-8-9-106 連対率10.9% 複勝率17.8%
 [地方] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [外国] 0-0-1-2 連対率 0% 複勝率33.3%

・前走距離別成績
 [芝2000m] 2-3-2-20 連対率18.5% 複勝率25.9%
 [芝2200m] 1-1-1-8 連対率18.2% 複勝率27.3%
 [芝2400m] 0-0-1-23 連対率 0% 複勝率 4.2%
 [芝2500m] 3-6-2-40 連対率17.6% 複勝率21.6%
 [芝3000m] 3-0-3-45 連対率 5.9% 複勝率11.8%
 [芝3400m] 0-0-0-6 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝以外戦] 1-0-1-0 連対率50.0% 複勝率 100%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
 [中央G2] 8-9-8-101 連対率13.5% 複勝率19.8%
 [中央G3] 0-0-0-6 連対率 0% 複勝率 0%
 [OP特別] 1-1-1-24 連対率 7.4% 複勝率11.1%

・主要ステップ別成績
 [阪神大賞典] 3-0-3-45 連対率 5.9% 複勝率11.8%
 [日 経 賞] 2-5-2-36 連対率15.6% 複勝率20.0%
 [大 阪 杯] 2-3-2-17 連対率20.8% 複勝率29.2%
 [大阪−ハン] 1-1-1-22 連対率 8.0% 複勝率12.0%
 [京都 記念] 1-1-1-3 連対率33.3% 複勝率50.0%

・注目出走パターン
 [買い] 前走中央G2で1番人気1着(勝率36.4%、連対率45.5%)
 [買い] 外国人ジョッキー騎乗馬(複勝率44.4%)
 [不振] 前走日経賞で3着以下(0-1-0-27)
 [全滅] 前走4番人気以下かつ3着以下の6歳以上馬(0-0-0-43)
 [全滅] 馬番18番(0-0-0-7)

 1番人気の弱さはよく知られるところだが、昨年も1番人気のゴールドシップが5着に敗れて、2009年以降は3着以内に入れてさえいないというていたらく。過去10年で勝ったのがディープインパクト1頭というのも、いかにこのレースで人気を背負って勝つのが難しいかを物語っている。当然、今年も波乱含みと見るべきだろう。

 人気別成績では、やはり目立っているのが超人気薄である、10番人気以下馬の成績。トータル[4-2-1-76]と過去10年で4勝と絶好調で、もう平気で突っ込んでくるという状況。また、4番人気〜9番人気馬が[1-3-7-49] と、やたらと3着に来ているのも注目したいポイント。いずれにせよ、人気馬の過信は禁物だ。

 年齢別成績では、4歳〜5歳の強さが目立っている。6歳以上馬も来ないわけではないのだが、こちらは「前走4番人気以下かつ3着以下」という条件に引っかかっていないことが、好走の絶対条件。そして枠番別成績ではコースデータと同様に、1枠〜3枠の「内枠」が枠番値+1.5という突出した数値をマーク。その期待値の高さは群を抜いている。

 それ以外にも面白いデータ項目がいくつも見当たるレースなのだが、穴党寄りの視点から注目したいのだが、前走「大阪−ハンブルクC」組の成績。今年はタニノエポレットとバンデの2頭が登録しているが、ここが意外に侮れない。ハイレベルなメンツがそろった今年も通用するかはビミョーではあるのだが、マークしておいて損はない。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 先週の京都がビビるくらいの高速馬場。今週もかなり速そうな予感。

・天候予測
 木曜日の降水確率が少し高い程度で、降っても週末までに乾くはず。

・勝利数トップ種牡馬(京都芝外回り2400m以上)
 ディープインパクト 勝率20.0% 連対率38.6% 複勝率48.6%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ハーツクライ産駒○

 昨年の時点でも強烈な強さを誇っていたディープインパクト産駒だが、その後もいっさい衰えを見せていない。産駒のトータル出走数がもっとも多い種牡馬であるにもかかわらず、連対率38.6%、複勝率48.6%というのは驚異的な数値。もともと京都に強いイメージがある種牡馬だが、それにしても強い、強すぎる。

 また「ディープ産駒が強いコースはだいたいハーツ産駒も強い」の法則は、この条件下でもキッチリ当てはまる。ハーツクライ産駒も複勝率42.5%という信頼度の高さで、ここは完全にこの二強の独壇場。天皇賞・春における「トニービンを内包する血統が強い」という傾向を考えると、余計に買いたくなってしまう。

 そして、馬場についても触れておこう。先週のマイラーズCで1分31秒4というレコードが出ているように、かなり芝を短く刈り込んできている印象。好位で流れに乗ったワールドエースが33秒2で上がり、最速上がりのサンカルロにいたっては32秒8を計時しているのだから、そうそう前が止まる馬場ではない。直線一気型の扱いが難しいところだ。

★総論×各論

 近年まれに見るほどの好メンバーが登録してきた、今年の天皇賞・春。大阪杯を快勝してきたキズナに、日経賞でその強さを改めて見せつけたウインバリアシオン、昨年の雪辱を期するゴールドシップに、ディフェンディングチャンピオンであるフェノーメノなど、超豪華。これでエピファネイアとトーセンラーが出走していれば……というのは、さすがに贅沢すぎる願いか。

 では、人気上位陣についての「各論」だが、人気を裏切る可能性がもっとも高いと判断したのがフェノーメノ。昨年の覇者が長期休養明けをひと叩きされ、調子も順当に上向いてくるとは思うのだが……それでも、前走の日経賞で5着に終わったというのは大きすぎるマイナス。2007年2着のエリモエクスパイアという前例はあるが、日経賞3着以下からのローテで人気となると、これはデータ的には嫌ってナンボである。

 続いて気になるのが、ゴールドシップ。阪神大賞典を楽勝した順調さに、今回は鞍上にウィリアムズ騎手を迎えるといったプラス要素は魅力的で、データ的にも「買い」といえるのは間違いない。しかし、この馬にとって最大の敵が「高速馬場」であるのもよく知られるところで、実際に昨年も人気を裏切っている。過信は禁物と見て▲評価で。

 そして、大阪杯ですばらしい末脚を見せたキズナ。昨年よりもかなり成長している印象で、血統的にも京都は大歓迎のクチ。データ的にもゴールドシップ同様、非常に買い材料が多い。この馬の問題は脚質で、鞍上の武豊ジョッキーがこの馬をどのように乗るのか次第といっても過言ではないほど。個人的には、今回は脚をタメずに早くからマクる競馬を仕掛けると見て(※根拠はない)、トップクラスの評価としている。

 となると、もっとも信頼できるのは「回避馬が1頭も出なかった場合」のウインバリアシオンだ。早くから積極的にマクる競馬で結果をすでに出しているし、その能力の高さは疑いようがないもの。回避馬が出ずにシュタルケ騎手が騎乗できるならば、データ的にも力強い後押しとなる。この場合は、キズナよりも上の評価に。回避馬が出てバンデが出走した場合は、キズナよりも下の評価としたい。

 伏兵では、(出走できれば)バンデ、アドマイヤラクティ、タニノエポレット、ホッコーブレーヴの4頭が、好走可能なパターン。外国馬レッドカドーは昨年3着の実績馬だが、昨年とは出走馬のレベルが違うことから、今年は軽視の方向で。あとは、「内枠に入った人気薄の先行脚質」も、忘れずに押さえておきたい。

■青葉賞(G2・東京芝2400m)フルゲート18頭/登録20頭

 ワールドインパクトやラングレーといったディープインパクト産駒に、ピオネロやナスノアオバなどのネオユニヴァース産駒、そして実績馬マイネルフロストなど、かなりの混戦となりそうな今年の青葉賞。堅めの決着が多いレースではあるが、今年は馬券的にもかなり面白そうで、ダービーへの切符をどの馬が手にするのかじつに興味深い。

 まずはローテ面から。昨年も述べたのだが、青葉賞は「連闘〜中2週」で出走する馬がものすごく弱いレースで、こちらはトータル[0-0-1-46]と、まず来ないパターンだと考えていい。中3週での出走になると少しマシにはなるが、それでも[0-3-3-29]とイマイチ。さらに、中8週よりも長い間隔での出走も[0-1-0-11]と割引の対象となる。

 つまり、中4週〜中8週で出走する馬が圧倒的に強いということ。ただし、この条件をクリアしていたとしても、前走で条件戦に出走していた馬では[1-2-2-26]とさすがに分が悪い。逆に、前述の条件をクリアしつつ、さらに「前走でオープン特別〜重賞に出走していた馬」だと、トータル[9-4-4-32]と信頼度はかなり高くなる。

 さらに、前走でのふたケタ人気馬&ふたケタ着順馬の割引や、前走での上がり3F順位が3位以内であった馬のプラス評価などから、ここはマイネルフロストが断然のトップ評価に。二番手評価がワールドインパクトで、以下ヤマノウィザードラングレーシャンパーニュという評価順となった。データ分析の結果に大きな差が出ているので、ここは素直にマイネルフロストから流す馬券をオススメしておこう。

※コースデータ&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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