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あの馬の取捨がすべてを決する!?/NHKマイルカップ

  • 2014年05月07日(水) 18時00分
■NHKマイルカップ(G1・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録23頭

【コース基本情報】東京芝1600m Aコース使用

・全体回収率
 [標準] 単勝81%・複勝79% 中穴ゾーンの好走率が高く妙味アリ

・馬連万馬券出現率
 [低め] 13.5%(平均値↑1.1% 馬連平均配当7742円)

・枠番別複勝率(18頭立て)
 [1枠〜3枠] 勝率 5.3% 連対率 9.0% 複勝率16.1% 複回率 58% 枠番値+0.1
 [4枠〜6枠] 勝率 6.5% 連対率13.9% 複勝率18.5% 複回率126% 枠番値+0.2
 [7枠〜8枠] 勝率 5.0% 連対率10.6% 複勝率15.6% 複回率 73% 枠番値-0.3
 →それほど差はないが、もっとも成績がいいのは中枠で回収率も優秀

・脚質別信頼度
 先行≧差し>逃げ>追込 頭を決め打つなら差し脚質、信頼度なら先行脚質

・推定ラップ&タイム
 [底力] 34.2-24.0-34.6=1.32.8 序盤から終盤まで一貫して速い厳しい流れ

 まず意識しておきたいのが、東京芝1600mでの多頭数&上級条件が、意外なほど荒れる傾向にあるということ。コース全体での回収率は単勝81%、複勝79%と標準的なのだが、条件を「18頭立て、かつ1000万下〜重賞」に限定すると、単勝回収率は178%、複勝回収率も98%と大幅にアップする。かなり波乱含みの舞台と考えたほうがよさそうだ。

 また、7番人気〜11番人気あたりのゾーンが高期待値であるのも、ぜひ押さえておきたいポイント。18頭立てにおけるトータル成績は[14-13-14-229]と、人気薄とは思えないほど勝率・連対率ともに高い。12番人気以下の超人気薄を狙うよりも、このゾーンを網にかけるような買い方のほうが、効率は格段によくなるはずである。

 続いて枠番別成績だが、紛れのないコースらしく「大きな差はない」というのがざっくりとした印象。4枠〜6枠の「中枠」が好成績ではあるのだが、枠番値には大きな差が見られないことからも、さほど意識する必要はなさそうだ。取捨選択に迷った場合に「中枠やや優勢」くらいの補正をかければ、それでオッケーだろう。

 直線が長く末脚のキレが大きな武器となるコースでもあり、脚質的には差し優勢。とくに勝ち馬に関しては差し脚質が圧倒的であり、1着固定で狙うならここが断然オススメ。「差し→先行」という決着パターンが、いちばんイメージしやすい。道中で厳しいラップが刻まれるケースが多いというのも、この傾向を加速させていると思われる。

 昨年覇者のマイネルホウオウや2010年の勝ち馬ダノンシャンティのように、道中最後方追走からでも突き抜けられるのが、このレース。カレンブラックヒルやジョーカプチーノのように前々から押し切るケースもあるが、序盤〜中盤の流れはかなり速く、展開利はそうそう見込めないはず。ラップ的にも「差し優勢」と結論づけたい。

【レース基本情報】NHKマイルカップ(G1) 過去10年
・レース平均配当
 単勝1815円 馬連8588円 3連複18万2930円

・1番人気馬成績
 [5-1-0-4] 勝率50.0% 連対率60.0% 複勝率60.0%

・3番人気以内馬成績
 [7-4-2-17] 勝率23.3% 連対率36.7% 複勝率43.3%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [0-5-4-51] 勝率 0% 連対率 8.3% 複勝率15.0%

・10番人気以下馬成績
 [3-1-4-82] 勝率 3.3% 連対率 4.4% 複勝率 8.9%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 10.0% [先行] 20.0% [差し] 40.0% [追込] 30.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 3.3% [先行] 33.3% [差し] 43.3% [追込] 20.0%

・性別成績
 [牡馬] 8-9-9-140 連対率10.2% 複勝率15.7%
 [牝馬] 2-1-1-10 連対率21.4% 複勝率28.6%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 3-4-4-49 連対率11.7% 複勝率18.3% 枠番値-0.7
 [4枠〜6枠] 3-1-3-53 連対率 6.7% 複勝率11.7% 枠番値+0.2
 [7枠〜8枠] 4-5-3-48 連対率15.0% 複勝率20.0% 枠番値+0.5
 ──────────────────────────────
 [01番〜09番] 5-4-4-77 連対率10.0% 複勝率14.4% 枠番値-0.6
 [10番〜18番] 5-6-6-73 連対率12.2% 複勝率18.9% 枠番値+0.6

・厩舎所属別成績
 [美浦] 2-3-5-66 連対率 6.6% 複勝率13.2%
 [栗東] 8-7-5-84 連対率14.4% 複勝率19.2%

・前走距離別成績
 [芝1200m] 0-0-1-15 連対率 0% 複勝率 6.3%
 [芝1400m] 0-1-2-26 連対率 3.4% 複勝率10.3%
 [芝1600m] 7-3-3-71 連対率11.9% 複勝率15.5%
 [芝1800m] 2-3-0-10 連対率33.3% 複勝率33.3%
 [芝2000m] 1-3-4-26 連対率11.8% 複勝率23.5%
 [ダート戦] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
 ──────────────────────────────
 [距離延長] 0-1-3-41 連対率 2.2% 複勝率 8.9%
 [同距離戦] 7-3-3-71 連対率11.9% 複勝率15.5%
 [距離短縮] 3-6-4-36 連対率18.4% 複勝率26.5%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 2-4-2-31 連対率15.4% 複勝率20.5%
 [中央G2] 5-4-4-63 連対率11.8% 複勝率17.1%
 [中央G3] 3-2-1-13 連対率26.3% 複勝率31.6%
 [OP特別] 0-0-3-32 連対率 0% 複勝率 8.6%
 [条件戦] 0-0-0-11 連対率 0% 複勝率 0%

・主要ステップ別成績
 [NZトロフ] 5-2-3-58 連対率10.3% 複勝率14.7%
 [毎 日 杯] 3-1-0-4 連対率50.0% 複勝率50.0%
 [桜 花 賞] 2-1-0-4 連対率42.9% 複勝率42.9%
 [皐 月 賞] 0-3-2-24 連対率10.3% 複勝率17.2%
 [ファルコS] 0-1-0-4 連対率20.0% 複勝率20.0%
 [上記以外R] 0-2-5-56 連対率 3.2% 複勝率11.1%

・注目出走パターン
 [買い] 毎日杯からのローテ(勝率37.5%、連対率50.0%)
 [買い] 前走G1で1着もしくは着差0秒5以内(連対率36.4%、複勝率54.5%)
 [買い] 前走ニュージーランドTで3番人気以内かつ3着以内(複勝率38.5%)
 [買い] 前走ひとケタ人気で1800m以上戦に出走(連対率30.0%、複勝率40.0%)
 [不振] 前走で1400m以下戦に出走(0-1-3-42)
 [不振] 前走ニュージーランドTで5番人気以下かつ4着以下(0-0-1-23)
 [不振] 連闘〜中1週での出走(0-0-1-21)

 昨年は10番人気の伏兵マイネルホウオウが制して、3連単100万馬券が飛び出したNHKマイルカップ。それ以外にも過去10年で3連単238万馬券、973万馬券が出ているという、きわめて波乱傾向の強いレースとなっている。1番人気は[5-1-0-4]と信頼度が高いのだが、その場合もヒモに人気薄を連れてくることが多く、人気どおりの順当な決着はちょっとイメージしづらい一戦である。

 4番人気〜9番人気の中穴ゾーンも[0-5-4-51]で複勝率15.0%と悪くない結果を残しているが、やはり注目すべきは[3-1-4-82]と8回もの馬券絡みがある、ふたケタ人気馬。このレースの場合、コースデータの場合よりもさらに穴方向に振ったほうが好結果を呼び込めそうだ。脚質に関してはコースデータと同様の傾向で、やはり頭で来る確率が高いのは差し・追い込み脚質。先行して勝つのはそうとう難しいと考えるべきだろう。

 この「差し優勢」が大きく影響しているのが、枠番別成績だ。コースデータでは中枠優勢と結論づけたが、このレースでもっとも成績がいいのは、7枠〜8枠の「外枠」だ。単純に内外での比較を行っても、枠番値の差は歴然。「人気薄&外枠&差し脚質」といった条件を満たす馬だと、かなりの確率で好走が期待できると考えていい。人気馬に関しては枠番を気にする必要はないが、人気薄は中枠〜外枠重視の姿勢がオススメだ。

 また、前走距離別での比較において、キッチリ「距離短縮組>同距離>距離延長組」であるのも、このレースの大きな特徴。なかでも注目なのが「前走ひとケタ人気の距離短縮組」で、その複勝率はなんと40.0%という高さ。ちなみに、今年の登録馬でこの条件を満たすのは、エイシンブルズアイとロサギガンティアの3頭だけである(クリスマスも条件を満たすが回避の予定)。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 いい意味でものすごくフツー。内外の差も感じず、非常にいい状態。

・天候予測
 日曜日〜月曜日にかけて天候が崩れそうな気配。馬場悪化の可能性も。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率11.7% 連対率22.8% 複勝率32.7%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒◎、クロフネ産駒○、フジキセキ産駒△

 今年の芝マイルで異様な強さを見せているディープインパクト産駒だが、当コースでも集計期間内に19勝をあげる大活躍。とはいえ、連対率22.8%、複勝率32.7%という数値を見てもわかるように「アホほど強い」ワケではない。シンボリクリスエス産駒やステイゴールド産駒、クロフネ産駒あたりは互角に張り合えるフィールドだ。

 それ以外では、一昔前に当コースの最強種牡馬だったフジキセキの産駒もプラス評価。ショウナンアチーヴ、ショウナンワダチと2頭の産駒を送り込むショウナンカンプだが、これについては何とも言いかねる。ただし、脚質的に考えても東京替わりがマイナスとは思えず、実際に上記の2頭はコース実績も上々。母父サンデーや母父クロフネといった血統構成を考えても、フツーに「買い」というジャッジでいいと思われる。

 馬場については、時計が速すぎることもなく、かといって遅すぎることもなく。さらに、内が伸びるワケでもなく、外差しがバンバン決まるワケでもないという、非常にフラットな状況だった印象。つまり、いきなり芝を刈り込んできたりでもしないかぎり、あまり気にする必要がないと思われる。それよりも気になるのが天候で、こちらはちょっと雲行きが怪しいカンジ。馬場悪化も想定に入れた上で、事前予想を進めたい。

★総論×各論

 先週の天皇賞・春とはまた違った面白味を感じる、今週のNHKマイルカップ。波乱傾向が強いレースであるのはこれまでに述べたとおりで、今年の登録メンバーも「いかにも」といった印象。アテになりそうでならない、信じたいけど怖いという、競馬の面白さを存分に味わえるレースになること間違いナシだ。

 それを象徴する存在となりそうなのが、現在破竹の4連勝中で、おそらく当日も1番人気に推されるであろうミッキーアイル。これを積極的に買うか、消極的に押さえるか、それともケンカを売りにいくか。その判断によって勝敗が決するといっても過言ではない。その上で最大のファクターとなるのが、同馬の「逃げ」という脚質である。

 このレース&コースでの逃げ切りが難しいのはデータにも色濃くあらわれており、先行脚質の多さから道中のペースが緩むことも考えづらい。また、前走での先行内容は確かに優秀なのだが、それでも今回は相手関係がまるっきり違う。そうそう楽に逃げ切れるとは考えられない──というのが、当データ分析での現時点での判断だ。

 もっとも、この「脚質」という要素以外に、同馬を割り引く材料はない。しかし、それを補ってあまりあるプラスのデータがあるかといえば、それもないのである。臨戦過程やプロフィールなどプラス評価の項目は適度にあるので、ここは「消極的に押さえる」とのジャッジを下しておきたい。

 このレースでの上位評価組は、エイシンブルズアイロサギガンティアショウナンアチーヴホウライアキコキングズオブザサンの5頭。トップ評価となったエイシンブルズアイは、データ的には申し分ないほど買い材料が揃っている。とはいえ、こちらも先行脚質であり、1着候補という観点ならば、ロサギガンティアやショウナンアチーヴのほうが評価は上となる。

 以下についても詳しく述べると、ミッキーアイル、ショウナンワダチ、アドマイヤビジン、アトム、ベルルミエール、サトノルパン、カラダレジェンドといった序列に。あとはここから、枠番や直前気配、オッズや天候などで絞り込んでいくつもりだ。「ミッキーアイルの1着を買わない」というスタンスで、手広く流すフォーメーション勝負。で、堅く決着した場合は、素直に白旗をあげる開き直ったスタンスでレースに臨みたい。

■京都新聞杯(G2・京都芝2200m)フルゲート18頭/登録24頭

 キズナにトーセンホマレボシと、勝ち馬が2年連続でダービーでも好走している京都新聞杯。前走500万下1着から10頭が馬券絡みを果たしているように、実績よりも勢いが問われるレースといえそうだ。

 さすがに1勝馬ではお話にならないので、ここはサクッと消去。また、前走で1800m以下戦に出走しており、当日3番人気以内に推されなかった馬も[0-1-2-50]と信頼度はきわめて低い。つまり、アズマシャトルやモーリス、ミヤビジャスパーなどは、当日の人気次第で評価がガラッと変わってくる。4番人気以下なら「消し」が正解だ。

 前走で500万下戦に出走していた馬は、前走での人気が好走・凡走の判断基準に。こちらは「前走2番人気以内」であるのが好走の必要条件となっており、これを満たせないようだとかなり厳しい。つまり、この組で買えそうなのはサウンズオブアース、シャドウダンサー、ハギノハイブリッド、ミヤビジャスパーの4頭だけとなる。

 あとは、間隔を詰めて使われている馬よりも、ゆったりとした余裕のあるローテで出走してくる馬のほうがベター。となると、もっとも好走期待度が高いパターンといえるのがシャドウダンサーだ。キズナやトーセンホマレボシと同様に名牝系の出自というのも、心強い材料。ここから、モーリス、アズマシャトル、サウンズオブアース、ミヤビジャスパーに流す馬券を、現時点ではオススメしておく。

■新潟大賞典(G3・新潟芝2000m)フルゲート16頭/登録43頭

 今年も43頭が登録と、フルゲート間違いなしの新潟大賞典。ハンデ戦ながら1着馬の波乱傾向はそれほどでもなく、過去10年の勝ち馬はすべて6番人気以内である。ただし、2着〜3着のヒモには、ふたケタ人気馬が平気で突っ込んでくるレース。ソコソコ人気の馬から手広く流す投網系の馬券が、ここはもっとも効率がよさそうだ。

 ハンデ戦でもあり、まずは斤量から。目立っているのが軽ハンデ馬の不振で、ハンデ54キロ以下馬はトータル[0-2-2-45]とかなりの低信頼度。また、ハンデ56.5キロ以上馬もトータル[1-1-1-39]で連対率4.8%、複勝率7.1%と低空飛行。つまり、好走馬のほとんどがハンデ55キロか56キロという、かなり極端な結果が出ているのである。

 また、前走での上がり3F順位が2位以内だった馬が猛烈に強いのも、新潟大賞典の特徴。直線が長く平坦の新潟で、末脚のキレを存分に発揮できるようなタイプを積極的に狙っていきたい。今年の登録馬、かつ出走できそうなところでこの条件を満たすのは、ケイアイチョウサンとユールシンキング、レッドレイヴンの3頭しかいない。

 この3頭のうち、前述の「斤量55キロ〜56キロ」という条件を満たすのが、ケイアイチョウサンユールシンキング。当然ながらここでは断然の「買い」といえる2頭で、注目馬にあげておきたい。さらなる高配当を求めるなら、カチューシャ、ダノンヨーヨーあたりを果敢に攻める手もあるか。

※コースデータ&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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