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ブエナビスタでもハナ差じゃないか。

  • 2014年05月22日(木) 12時00分


もっと正確にいえば、
ブエナビスタでもハナ差じゃないか、シーザリオでもクビ差じゃないか、アパパネなんて同着じゃないか。

過去10年でオークスを1番人気で勝った馬の2着馬との着差です。
ギリ勝ちです。タイム差なし!
みんなギリギリで勝ってます。

シーザリオ単150円 エアメサイアにクビ差
ブエナビスタ単140円 レッドディザイアにハナ差
アパパネ単380円(同着だったから配当は210円) サンテミリオンと同着

オークスはこの10年で1番人気が3勝しかしてなく、勝ち方もすべてギリギリ。
ダービーが6勝だからオークスで1番人気が勝つことの厳しさがわかる。

(桜花賞・オークスを連覇した馬といえばジェンティルドンナが一番新しい記憶で、さらに勝ち方も5馬身差と衝撃的だったけれど、ジェンティルドンナは桜花賞もオークスも1人気ではなかった。
桜花賞は2人気、オークスはあろうことか3人気だった。今では信じられませんね。でも自分はブエナビスタもシーザリオもアパパネも3人気だったら、同じように圧勝したかもしれないと考える派。それだけ1人気というのは大変だと思う派。
だからここではジェンティルドンナは外して考えます。ここでこだわるのはあくまでも1番人気です。)

特に今回は単勝150円以内濃厚の圧倒的1番人気だから、
単勝140円のブエナビスタ、150円のシーザリオが恰好のビジネスモデルになるのではないか? そんなことを空想している。

この2頭でもハナ差&クビ差だった。圧勝できなかった………………………………。

そう、つまり自分はハープスターを心配しようとしているわけです。
単勝100円台とは基本的には心配指数が限りなく少ないからこその支持率と言えます。
でもことオークスになると自分は心配に心配を重ねてしまいます。

だとしても、ブエナビスタもシーザリオも勝ったじゃないか!
接戦だとしても勝った! ここは重要でっしゃろ!
そんな突っ込みも聞こえてきます。

たしかにこの2頭に関してはそうです。しかしその他の単勝100円台の馬たちはどうだったでしょう。

ダンスインザムード 単140円 4着
テイエムオーシャン 単180円 3着
アドマイヤグルーヴ 単170円 7着

この10年で見ると、ダンスインザムードが単140円で馬券圏外に負けています。
この20年にすると3頭も負けていたことがわかります。
つまり単勝100円台の1番人気馬は5頭該当して、勝ったのは2頭だけとなります。

たしかにハープスターは強い。今回のメンバーならばこの20年で初の単勝100円台での1人気での圧勝もあるかもしれません。しかし過去からは、勝つにしてもギリギリもギリギリ、タイム差なしの決着であることが伝わってきます。ちなみにこの20年で1人気は5勝のみ。タイム差ありの1着はエアグルーヴ(単250円)の0.2差のみ。

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ハープスターを心配してみる。
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おそらくハープスターの単勝は150円を切るのではないか(netkeiba.comの予想では水曜日でほぼ160円。桜花賞は120円だった)。

だから150円を切って、さらに脚質もハープスターに似てる差し・追い込み系で勝ったシーザリオとブエナビスタについてさらってみる。

・シーザリオ
【オークス】
1着シーザリオ 14-16-13-12
2着エアメサイア 8-8-7-6
着差クビ(タイム差なし)

【桜花賞】
2着シーザリオ 6-11-11-10
4着エアメサイア 12-11-11-10
着差0.4秒

桜花賞ではエアメサイアとは0.4差だったのにオークスではクビ差だった。

・ブエナビスタ
【オークス】
1着ブエナビスタ 15-16-15-14
2着レッドディザイア 9-10-9-6
着差ハナ(もちろんタイム差なし)

【桜花賞】
1着ブエナビスタ 17-16-16
2着レッドディザイア 9-10-9-8
着差0.1(2分の1馬身)

桜花賞ではレッドディザイアとは0.1秒差だったのにオークスではハナ差だった。

シーザリオもブエナビスタも桜花賞で着けたタイム差をオークスではタイム差なしまで縮められている。
エアメサイアは桜花賞ではほぼ同じ位置だったけれど、オークスでは明らかにポジションを上げて勝負に出たことがわかるし、
レッドディザイアもオークスではちょっと早めの勝負に出たことが3角9番手→4角6番手の仕掛けからわかる。

単勝100円台の強い馬が相手でも、しかも東京の長い直線でも、仕掛け次第ではタイム差なしにまで迫れるとも言えるわけだ。もちろん脚質は大事だろう。シーザリオもブエナビスタもオークスで取った戦法は追い込み系。それゆえに早めの仕掛けが上手くいった、いや上手くいきかけたと言えるからだ。

シーザリオは先行するレースもしていたので、ここまで後方を位置取るとは予想できなかったかもしれないけれど、結果的には後方だった。圧倒的1人気の重圧がポジションを慎重にさせたのかもしれない。しかしブエナビスタの戦法は、闘う前からある程度読めたはず。

つまり、脚質が追い込みで大外をぶん回す競馬をするとはじめから読めるならば、なんらかの策を練るのは難しいことではないと思うわけだ(成功するか、しないかは別にして)。

ハープスターで考えられる作戦はどう見ても追い込み。
1番やっかいであるはずのレッドリヴェールが出走しないとあっては、ふつうに安心して最後方追走と想定できる。
(レッドリヴェールがいても同じ策だろうけど、安心度は違うはず)

チューリップ賞でも桜花賞でも「ふつうに騎乗」することをコメントしていた陣営だけど、結局、この馬にとってのふつうとは追い込んで、大外を回すということで決着がついた(ついたはず)。だとするならば、おそらく今回も「ふつう」のはず。つまりハープスターに挑む姿勢のある陣営にも作戦は立てられやすいことになる。

で、改めてシーザリオとブエナビスタにタイム差なしに迫った馬の桜花賞での着差を考えてみる。

エアメサイア 0.4 
レッドディザイア 0.1

最大で0.4差までなら、乗り方次第でタイム差なしに迫れるという仮想はできる。

今回出走するメンバーで、桜花賞で0.4差以内だった馬は以下の2頭。
ヌーヴォレコルト 0.1差 3着 11-12-12
レーヴデトワール 0.3差 5着 16-16-13

ヌーヴォレコルトはチューリップ賞では0.4差だった。上りは34.7秒。
ハープスターは33.7秒。上がり差1秒。
桜花賞でのヌーヴォは0.1差で上りは33.8秒だった。
ハープスターは32.9秒。その差は0.9秒。

この2戦でわかること。
ヌーヴォレコルトとハープスターの上りの力差は約1秒あるということ。
チューリップ賞で0.4差だったけれど、桜花賞では0.1差に詰められたということ。
つまり、上がり力に1秒の違いがあっても、騎乗次第では0.4差を0.1差に詰められるということ。

0.1差、桜花賞では4分の3馬身差。

ヌーヴォレコルトは桜花賞では11-12-12の位置で中を通った。
ハープスターは桜花賞では18-18-18の位置で大外を通った。

オークスでもハープスターは18-18-18のはずだから、
ヌーヴォレコルトは4角で10番手以内で、内から中を通って抜け出せれば、勝てるとは言わないまでもタイム差なしに迫れるという算段はつく。

レーヴデトワールは抽選待ちということもあるけれど、桜花賞では最内を通って0.3差だったことを考慮すると中を通ったヌーヴォレコルトの方が上と見立てられる。だからレーヴはスルーしておく。

むしろ、それならば、桜花賞でハープスターと同じように大外を通って追い込んで0.5差に負けたマーブルカテドラルの方が迫れるように思える。

マーブルカテドラルは阪神JFでも、桜花賞でも外を回っており、まだハープスターに対して、小技を利かせた闘いをしてない。
アルテミスSでは馬群の中でじっとして、直線で抜け出す競馬で1着しており、内〜中から抜け出す競馬ができない馬ではない。まあ阪神JFは7枠13番、桜花賞は7枠14番だったがゆえに外を回らざるを得なかったのかもしれない。だとしたら、まだ一縷の望みはあるはず。内枠〜中枠に入れば、まだわからないし、真っ向勝負に挑まずに小技を利かせられれば……タイム差なしで迫れるかはともかく、0.1秒差くらいに迫れる可能性はある。0.1差なら馬券圏内にいる可能性大。うは!ホントなら勝たなくてもおいしいよ!

いくら瞬発力に秀でたディープインパクト産のハープスターといえども、立ち回りの作法が完全に確立していて、しかもそれが最後方からの大外競馬だとしたら、それだけで常にリスクはつきまとう。それでも勝つからこそ劇的なカタルシスも生まれるわけで、それを否定するつもりはない。ただ1人気が苦戦し、勝ってもタイム差なしの戦いを強いられるオークスで、後方〜大外の大立ち回りを演じるとわかっていて、しかも単150円くらいの圧倒的人気もわかっている状況で、その馬を心配しない精神力を自分は持ち合わせていない。

かくて、ハープスターは心配というわけです。

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オークスとはそもそも単勝を買ってスカットするレースである。
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オークスは単を狙いたいレースだ。

去年も一昨年もそれを書いたけれど、去年、一昨年の結果を見て、ますますその意を強くした。

ダービーは1番人気に最大の敬意を払い、オークスは1番人気を少しないがしろにして、別の馬の単でスカットを狙う。そんな解釈だ。

以下は過去12年の1着馬の単(カッコ内の数字はオークス前までの成績)

02年 1着スマイルトゥモロー(3-0-0-3) 4人気 単1050円

03年 1着スティルインラブ(3-1-0-0) 2人気 単560円

04年 1着ダイワエルシエーロ(2-1-0-1) 6人気 単2140円

05年 1着シーザリオ(3-1-0-0) 1人気 単150円

06年 1着カワカミプリンセス(3-0-0-0) 3人気 単670円

07年 1着ローブデコルテ(2-2-0-3) 5人気 単1170円

08年 1着トールポピー(2-3-0-1) 4人気 単970円

09年 1着ブエナビスタ(4-0-1-0) 1人気 140円

10年 1着アパパネ(4-1-1-0) 1人気 単210円
   1着サンテミリオン(3-0-1-0) 5人気 単380円(実質850円)

11年 1着エリンコート(3-0-2-3) 7人気 単3720円

12年 1着ジェンティルドンナ(3-1-0-1) 3人気 単560円

13年 1着メイショウマンボ(3-1-0-2) 9人気 単2850円

一昨年までは600円以上つけばスカットできると書いたけれど、去年から40円おまけした。
おまけすると560円は2回あるから、12年で10回スカットできたことになる(同着の10年も含める)。もちろん全部当ててればの話です……。

この12年で1番人気は3勝(20年で5勝)。
今年はハープスターがいるから、1人気が4年に1回くらい勝つオークスうるう年の可能性が限りなく高いけれど、勝つにしたって勝ち方はスリリングだ。
ハープスターから買って味わうスリリングと別の馬から買って味わうスリリング、どっちを選ぶかだろう。
もちろん自分の出発は1人気ではない馬の単探し。週末までにギブする可能性もなくはないけど、ハープスターがいるからといって、週中で白旗を上げるのはオークスの過去歴に対して失礼だ。

というわけで、netkeiba.comの予想オッズ(水曜日)を参考に単勝560円以上つきそうな馬を見てみる。

1人気ハープスター 1.6倍前後
2人気サングレアル 6.2倍前後
3人気ヌーヴォレコルト 6.7倍前後

おっと、2人気からいきなり560円以上だ。ハープスターが100円台なのだから当然か。
ヌーヴォレコルトは予想3人気で670円。うむ、なかなかだ。
そもそもこのレースで2人気になるべき馬はレッドリヴェールだったはず。その馬がダービーに回ったのだから逆に2人気になる馬は押し出された2人気になる可能性あり(実は2人気が一番心配だったりする。ハープスターより心配)。
ヌーヴォレコルトは3人気のままでいられるか? そこが焦点かもしれない。

マーブルカテドラルは予想12人気で57.4倍前後。
ヌヌヌ…この12年での最高配当か…

マーブルカテドラルの場合は、1着というより、レースぶり次第では馬券圏内? と期待した馬だから、単勝期待馬としては薄かった。ただこの馬の成績3-0-0-4は走るときは1着を期待させるから、人気を見るとどうしてもそそられる。

他には左回り3-0-0-0の成績から予想4人気のフォーエバーモア(12.4倍)、全成績3-0-0-3の気分系成績の予想5人気のバウンスシャッセ(16.7倍)…なんかに目は行くけれど、ここから先は枠を見ながら検討だ。エアメサイアもレッドディザイアも内枠だった。

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オークス注目馬
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3番人気以下でヌーヴォレコルト
外枠でなければマーブルカテドラル

ヒモで注目
パシフィックギャル…ウィリアムズなら掲示板に持ってきそう。その先は運。
ブランネージュ…前でしぶとい馬は念のため残しておきたい。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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