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内から差せる有力馬で勝負せよ!/東京優駿(日本ダービー)

  • 2014年05月28日(水) 18時00分
■東京優駿(G1・東京芝2400m)フルゲート18頭/登録22頭

【コース基本情報】東京芝2400m Cコース使用

※今回は2009年以降の春開催(4月〜6月)のみを集計対象としています

・コース回収率
 [低め] 単勝65%・複勝67% 1着馬の8割以上が3番人気以内と順当決着傾向強し

・馬連万馬券出現率
 [標準] 12.9%(平均値↑0.5% 馬連平均配当5443円)

・枠番別複勝率(18頭立て)
 [1枠〜3枠] 勝率 9.5% 連対率14.2% 複勝率19.6% 複回率 67% 枠番値±0
 [4枠〜6枠] 勝率 5.3% 連対率12.6% 複勝率21.9% 複回率 80% 枠番値±0
 [7枠〜8枠] 勝率 6.8% 連対率14.9% 複勝率20.5% 複回率 52% 枠番値±0
 →勝率は内枠が高いがそれ以外は差がない。枠番による有利・不利は小さそう。

・脚質別信頼度
 差し>先行>逃げ>追込 1着馬に関してはかなり差し優勢で頭固定もアリか。

・推定ラップ&タイム
 [瞬発] 35.8-74.4-35.6=2.25.8 序盤〜中盤ともに緩くはならないが瞬発力必須

 コース全体を対象とした分析については、先週のオークスで触れている。そこで今回は「春の東京開催」に限定したデータを元に、コースデータ分析を進めていきたい。具体的には、2009年以降に東京芝2400mで行われたレースのうち、4月〜6月に行われたものだけを集計対象としている。

 まずはコースの波乱度についてだが、回収率が単複ともに70%以下で、馬連平均配当も5443円と、いずれも水準以下。3番人気以内馬の信頼度は[46-30-31-100]で連対率36.7%、複勝率51.7%とソコソコといった印象なのだが、大きく荒れるケースは考えづらい。「あって中波乱」程度に考えておいたほうがいいと思われる。

 続いて枠番。枠番値がいずれも±0というのは驚異的で、枠番による有利・不利は、イメージ以上に小さい。連対率や複勝率などで比較しても大きな差は見られず、あえて言うならフルゲートの「馬番1番〜5番」が有利という程度。ここに入った馬は少しプラスに評価しておきたいが、それ以外を割り引く必要まではなさそうだ。

 続いて脚質面だが、これはやはり差し優勢。差し馬の連対率や複勝率が逃げ・先行馬とそう変わらないという点が、このコースがいかに差し優勢であるかを物語っている。逃げ切って勝つのは至難の業で、先行勢ですら残すのはかなり難しいはず。もっとも効率がいいのは「差し馬の1着固定」である。

【レース基本情報】東京優駿(G1) 過去10年
・レース平均配当
 単勝756円 馬連1万240円 3連複4万96円

・1番人気馬成績
 [6-0-1-3] 勝率60.0% 連対率60.0% 複勝率70.0%

・3番人気以内馬成績
 [9-2-2-17] 勝率30.0% 連対率36.7% 複勝率43.3%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [1-5-8-46] 勝率 1.7% 連対率10.0% 複勝率23.3%

・10番人気以下馬成績
 [0-3-0-86] 勝率 0% 連対率 3.4% 複勝率 3.4%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 40.0% [差し] 40.0% [追込] 20.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 10.0% [先行] 30.0% [差し] 43.3% [追込] 16.7%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 8-3-2-47 連対率18.3% 複勝率21.7% 枠番値+0.3
 [4枠〜6枠] 2-6-3-49 連対率13.3% 複勝率18.3% 枠番値-0.2
 [7枠〜8枠] 0-1-5-53 連対率 1.7% 複勝率10.2% 枠番値-0.1
 ──────────────────────────────
 [01番〜09番] 8-7-4-71 連対率16.7% 複勝率21.1% 枠番値±0
 [10番〜18番] 2-3-6-78 連対率 5.6% 複勝率12.4% 枠番値+0.1

・厩舎所属別成績
 [美浦] 1-2-2-48 連対率 5.7% 複勝率 9.4%
 [栗東] 9-8-8-100 連対率13.6% 複勝率20.0%

・前走距離別成績
 [芝1600m] 3-1-1-24 連対率13.8% 複勝率17.2%
 [芝1800m] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝2000m] 6-4-6-79 連対率10.5% 複勝率16.8%
 [芝2200m] 1-2-1-18 連対率13.6% 複勝率18.2%
 [芝2400m] 0-3-2-22 連対率11.1% 複勝率18.5%
 [ダート戦] 0-0-0-4 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 9-5-6-87 連対率13.1% 複勝率18.7%
 [中央G2] 1-5-3-40 連対率12.2% 複勝率18.4%
 [中央G3] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [OP特別] 0-0-1-19 連対率 0% 複勝率 5.0%

・主要ステップ別成績
 [皐 月 賞] 6-4-5-63 連対率12.8% 複勝率19.2%
 [NHKマイ] 2-1-1-24 連対率10.7% 複勝率14.3%
 [京都新聞杯] 1-2-1-18 連対率13.6% 複勝率18.2%
 [青 葉 賞] 0-3-2-22 連対率11.1% 複勝率18.5%
 [プリンシパ] 0-0-1-16 連対率 0% 複勝率 5.9%
 [上記以外R] 1-0-0-6 連対率14.3% 複勝率14.3%

・注目出走パターン
 [買い] 前走中央G1で1着(勝率35.7%、複勝率42.9%)
 [買い] 1枠〜4枠に入った前走1番人気(連対率33.3%、複勝率38.1%)
 [買い] 前走青葉賞&京都新聞杯で1着(連対率31.6%、複勝率42.1%)
 [買い] 馬体重480キロ以上(複勝率21.5%、複回率101%)
 [全滅] 前走5番人気以下かつ4着以下(0-0-0-46)
 [不振] 前走中央G1以外に出走して2着以下(0-0-2-36)
 [不振] 騎手が乗り替わる前走4番人気以下(0-0-1-32)
 [不振] 5枠〜8枠に入った前走4番人気以下(0-0-3-54)
 [不振] 前走2番人気以下の関東馬(0-1-2-40)

 過去10年の勝ち馬のうち、9頭までが3番人気以内。単勝平均配当も756円と非常に低く、1着馬に関しては非常に堅いレースといえる。ただし、3番人気以内馬の[9-2-2-17]という成績を見てもわかるように、人気馬は圧倒的に1着馬が高く、2着〜3着にはあまり来ないというのがミソ。頭は堅いがヒモは意外に荒れるのが、ダービーというレースだ。

 続いて脚質だが、コースデータと比較すると格段に「先行勢が残せる」結果に。さすがに逃げた馬の馬券絡みは望み薄だが、先行馬からは4頭の勝ち馬が出ている。差し優勢ではあるのだが、前もそれなりに残ると考えるべきで、「差し→差し」や「差し→追込」だけでなく「差し→先行」での決着パターンも想定しておきたい。

 そして枠番だが、これは圧倒的に内枠優勢。1枠〜3枠から8頭もの勝ち馬が出ていること、そして7枠〜8枠の連対率がわずか1.7%に過ぎないことからも、内枠重視の姿勢が望ましいといえる。いちばんベタな決着が「内枠が勝って相手は中枠」というパターン。また、過去4年のうち3回までが「ひとケタ馬番のワン・ツー・スリー」であるのも象徴的。枠番は、かなり重視したいファクターである。

 臨戦過程については前走G1組であるか、青葉賞か京都新聞杯を勝っていることが勝ち負けの必要条件。この条件を満たさない馬はトータル[0-0-2-51]と、好走はほぼ期待できない。つまり、出走が叶いそうな18頭のうち、アズマシャトル、エキマエ、サウンズオブアース、スズカデヴィアス、ベルキャニオン、マイネルフロスト、ワールドインパクトの7頭はきわめて期待薄なのだ。

 もうひとつの必要条件が、注目出走パターンにもあげた「前走5番人気以下かつ4着以下」に該当しないこと。先にあげた7頭以外では、アドマイヤデウスとタガノグランパが、この条件に該当している。つまりレースデータ的には、今年のダービーは9頭立ての少頭数。馬券を的中させること自体は、それほど難しくないはずである。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 徐々に差せるようになってきているが、Bコース→Cコース替わり。

・天候予測
 週末まで好天が続きそうな空模様。パンパンの良馬場となる可能性高し。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率17.8% 連対率26.7% 複勝率36.7%

・著者の注目血統
 ハーツクライ産駒◎、ディープインパクト産駒○、ゼンノロブロイ産駒▲、スペシャルウィーク産駒△、ステイゴールド産駒△

 血統的にも完全な瞬発力型のコース&馬場であるのは、先週のオークス分析でもお伝えしたとおり。ハーツクライ、ディープインパクト、ゼンノロブロイが当コースの「三強」であり、それに続くのがスペシャルウィーク産駒やステイゴールド産駒など。キングカメハメハ産駒やシンボリクリスエス産駒は、悪くはないが上位には少し劣る印象だ。

 もう、徹底的に「末脚がキレそうな血統」に向く条件であり、血統や過去のパフォーマンスから自然と評価が高くなるのが、ワンアンドオンリー。弥生賞、皐月賞と2戦連続で最速上がりをマークしているハーツクライ産駒であり、今回のコース替わりがいい方向に出ることは確実。また、トーセンスターダムもコース替わりが歓迎となる血統&プロフィールの持ち主といえそうである。

★総論×各論

 さて、今年もこの日がやってきた。皐月賞の上位馬はもちろんのこと、トライアルで出走権を得た上がり馬や、紅一点となる桜花賞2着馬レッドリヴェールの参戦など、楽しみな馬が非常に多い今年の日本ダービー。過去のデータからどのような結果が予測されるのか、まずは「総論」から述べていきたい。

 東京芝2400mがきわめて差し優勢であるのは、先週から繰り返し述べているとおり。オークスでも4角8番手以下の馬が上位を独占しているように、先行して最後まで粘りきるのは非常に難しい。このCコース替わりで極端な内伸び馬場にでもならないかぎり、やはり差し馬が優勢と考えるべきだろう。

 また、今年の登録馬に積極的に行きたい馬がほとんどいないというのも、しっかり押さえておくべきポイントだ。皐月賞では逃げたウインフルブルームにしても、今回はできれば好位に控えたいと考えるはずで、結果的に誰も積極的に主導権を握ろうとせず、勝負所まで延々とスローで流れる可能性が非常に高いのである。エキマエあたりが果敢に飛ばしても、後続はあえて追わないだろう。

 こうなると馬群はダンゴ状態となり、内ラチ沿いをロスなく走れる内枠の好位〜中団待機組に向く流れに。縦長の馬群であれば外から一気の差しも決められるが、この形になると外を回される組は本当に厳しい。明日には枠番が発表されるが、外枠はスッと前に行ける馬でもないかぎり、徹底的に割り引いたほうがいいかもしれない。

 以上を踏まえた上で、今度は「各論」に入ろう。まずは、皐月賞馬イスラボニータについて。遺伝子検査云々が話題となっているが、皐月賞を勝っている時点で距離適性は気にする必要ナシ──というのが個人的な考え。また、スローの上がり勝負で、スタミナを問われない展開になりそうだというのも、距離を問題視しない理由のひとつだ。

 ただし、同馬が1997年のサニーブライアン以来まったく勝っていない「前走2番人気以下の関東馬」であるのは、正直なところ気がかり。あとは、信頼度がやや低めとなる「馬体重479キロ以下馬」という条件にも該当しそうで、これらの割引材料により最終的には三番手評価となった。

 トップ評価は「当日の馬体重が480キロ以上」であった場合のワンアンドオンリー。皐月賞では馬券圏内を外しているが、最速上がりで勝ち馬に0秒3差まで迫った内容は、いかにもダービー向きといえるもの。血統面での後押しや、悲願へ向けて橋口厩舎が渾身の仕上げで臨んでくれそうだという、きわめてアナログな材料もある。

 二番手に皐月賞2着のトゥザワールド。ある意味、馬券に絡む確率がもっとも高いのは、この馬かもしれない。スッと前々で流れに乗れるセンスのよさと、適度な末脚のキレが魅力で、大きな強調材料もないが割引材料もないという、いちばん買いやすいパターン。いかにも2着〜3着に来そうなタイプといえる。

 以下は、ハギノハイブリッド、レッドリヴェール、トーセンスターダム、ショウナンラグーン、ウインフルブルームという評価順。多少なりとも人気薄となりそうなところでは、ここにきてひと皮もふた皮もむけた感のあるハギノハイブリッドが断然の狙い目だ。ちなみにレッドリヴェールは、騎手の乗り替わりが大きなマイナスとなって、ここまで評価を落としている。

 あとは枠番待ちだが、今年のダービーはイメージ以上に接戦。それだけに、たとえ有力馬であろうとも、7枠〜8枠に入った場合は思いっきり評価を下げるべきだ。繰り返すが、もっとも有利なのは好位〜中団の内ラチ沿いで脚をタメられる差し馬。データ分析の上位馬であり、さらにこの条件を満たせる馬からの勝負をオススメしたい。

■目黒記念(G2・東京芝2500m)フルゲート18頭/登録19頭

 荒れそうで意外に荒れないのが目黒記念で、過去10年のうち8回が単勝3ケタ配当。単勝平均も808円とかなりの低さで、少なくとも1着馬に関しては、極端な穴馬が突っ込んでくるとは考えづらいレース。2着馬も基本的には人気サイドが来ることが多いので、大穴を狙うなら3着付けがオススメだ。

 ハンデ戦でもあり、まずは斤量から。過去10年の勝ち馬のうち、9頭までがハンデ57キロ以下馬。ハンデ57.5キロ以上馬は[1-2-0-18]で複勝率14.3%、平均人気6.2に対して平均着順8.6と、人気を大きく裏切っている。今年はアスカクリチャンとムスカテールがこれに該当するが、買いか消しかでいえば間違いなく「消し」で、残すとしても天皇賞(春)からのローテである、アスカクリチャンだけにしておきたい。

 いちばんアテになるのはハンデ56キロ〜57キロなのだが、こちらは前走ひとケタ人気であることが、好走する上での必要条件。また、ハンデ54キロ〜55キロ組については、前走でも重賞に出走していることを重視したい。それ以外では、若い馬のほうが強いことや、ゼンノロブロイ産駒がやたらと走ること(現在3年連続で馬券絡み中)もポイントだ。

 以上のような観点から、今年はコスモロビンステラウインドタマモベストプレイユニバーサルバンクラブイズブーシェラブリーデイの6頭を注目馬にあげておきたい。1頭選ぶなら、素直にラブリーデイか。

※コースデータ&血統データは2009年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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