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【2冠をめぐる物語 第三章】天馬の栄光と蹉跌〜トウショウボーイ Part2

  • 2014年05月30日(金) 18時00分
76年ダービー

▲4角まで悠々と逃げるトウショウボーイ



◆豊かなスピードがウイークポイントに

 皮肉なことに、トウショウボーイの持つ最大の能力、すなわち他馬を寄せつけないスピードと、加えて皐月賞を圧勝した事実とが、日本ダービーでのこの馬にとって大きなウイークポイントにも成り得た。

 ライバルたちが「あの馬さえ負かせばいい」と喧嘩を仕掛けてくることは確実だが、圧倒的なスピードでやすやすと先行するトウショウボーイは、そんな挑戦者たちには格好のターゲットとしてうつるだろう。陣営からは「馬体を併せられると怯むから」と、珍しく弱気なコメントも発せられた。

 また、トウショウボーイのデビューが4歳1月までズレ込んだのは、腰の甘さが原因。500kgを超える大きな馬体を支えられるだけの、しっかりとした骨格と筋肉の成長を待たざるを得なかったのである。蹄の小さい馬ゆえに脚への負担は大きく、その点に対するケアも厩舎は考えなければならなかった。

 使い出しが遅れたため、クラシック本番まで時間はなかった。おかげでトウショウボーイは、1月末のデビューから皐月賞までわずか3か月という短い期間に4つのレースを戦わなければならず、その道程でいちども負けられない緊張を強いられた。そこには、目に見えぬ疲労もあったかもしれない。

 さらにトウショウボーイの皐月賞は“恵まれたもの”だったとも考えられる。この年の皐月賞は

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