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『GI裏でいい馬が回ってきたけど…』5月の騎乗を振り返る!

  • 2014年06月03日(火) 18時00分
小牧太

松永幹夫調教師との意外な仲も明らかに!?


サトノルパンで挑んだダービーは、残念ながら14着に終わった小牧騎手。やはりサトノルパンに2400mは厳しかったようです。ダービーのお話は後日改めてお聞きするとして、今回は藤原英昭厩舎への久々の騎乗、池江寿厩舎での2戦2勝など、4月〜5月のレースをじっくりと回顧。松永幹夫調教師との意外な仲も明らかに!?
(取材・文/不破由妃子)


■民家の2階で松永幹夫調教師と寝泊まり!?

──「グレイトジャーニーをはじめ、池江泰郎厩舎には99年から数多く騎乗されていましたが、現在、池江泰寿厩舎に騎乗されるのも、お父様からのつながりですか?」という質問がきています。

小牧 いや、泰寿くんに限ってそういうのはないでしょう。シビアな先生やからね。乗せてくれているのは、単純に結果を出してるからだと思うよ。

──最近では、クラージュドール(5月11日・京都10R・桃山S)とトーセンソレイユ(5月18日・京都9R・パールS)の2頭に騎乗して、2戦2勝ですものね。しかも、どちらも勝ちっぷりが強烈でした。

小牧 トーセンはピタッとハマったね。追い切りで跨って非力なタイプなのはわかってたし、成績もワンパンチ足りないような感じやったから、中途半端に乗って着を狙うんやったら、一番後ろからハミを外して乗ってみようかなぁと思ってね。予想通りにハマってくれたわ。最後、届いた瞬間はうれしかったです。すごい脚でしたわ。

──去年の桜花賞で3番人気に支持された馬ですものね。

小牧 やっぱり底力を持ってるんやろうね。ようは、どこで脚を使わせるかだけで。ディープインパクトの妹でね。周りにいわれるまで知らんかったんやけど(笑)。だからレースでは、ディープインパクトをイメージして乗りましたわ。

──もう1頭のクラージュドールも、強烈な追い込みでした。

小牧 あの日はね、僕自身が苦しかったですわ。朝から立て続けに人気馬に乗って、4着ばかりだったでしょう。スタンドからの野次もすごくて…。藤原英厩舎の2頭もアカンかったしね。クラージュドールは、ゲートを出たからいい位置に付けようと思ったんやけど、向正面からもう手応えがなくなって。「ここもまたアカンのか…」と思いながら。

──確かにかなり早い段階で小牧さんの手が動いてましたね。

小牧 そうやねん。全然手応えがなかったんですわ。しかも、4コーナーでステッキを持ち替えたときに、手綱を落としてしまってね。落ちたまま2、3発叩いたら、急に伸び出したんやけど、結局最後まで右側の手綱はプランプランのままで。手綱を戻す暇もなく、馬がグイグイ伸びたからね。もう必死やったわ。その日、ようやく勝てたのもあって、ゴールしたときはホッとしましたわ。GIの裏でいい馬が回ってきていたから、本当はもっとポンポンポンと勝ちたかったんやけどね。勝つのはホンマに難しいね。

──さきほどお話に出た藤原英厩舎への騎乗は、調べたところ4年ぶりだったんですね。

小牧 そうやねん。2頭とも絶対に走ると思っていたから、あの日は余計にガックリきてね。なかでもハナフブキは、調教で跨った感触として、未勝利ではちょっとケタが違うなと思ってね。外枠からちょっと掛かったけど、それにしても負けすぎや…(14着)。外枠で仕方のないところもあったんやけど、なんか自分に腹が立ったわ。もう1頭のフラッシュバイオも、1番人気でいい競馬をしてくれたんやけど、最後に止まってしまって。走ると思ってた馬がアカンと、やっぱりショックが大きいわ。

──そういえば、5月18日の京都7Rで松永幹夫厩舎の馬(シェイクザバーレイ9着)に騎乗されてましたよね。それでふと思い出したんですけど、幹夫先生とはずいぶん昔からお付き合いがあるとか。

小牧 そうそう。僕が中央に移籍するもっとずっと前からや。幹夫くんが結婚したり、調教師になったりで、昔と同じようにはいかないけど、今でも仲はいいよ。

──仲良くなったきっかけはなんだったんですか?

小牧 幹夫くんのケガがきっかけやったんちゃうかな。馬に腎臓を蹴られて、それが治る過程で腰が動かんようになって。僕も馬に乗られへんくらい腰が痛くなったことがあったんやけど、そのときに治してくれたすごい先生がいてね。立っていられないくらい痛かったのに、その先生に看てもらったら、アッという間に立てるようになって。それから信者のごとく通ってたんやけど、誰かに頼まれて、幹夫くんにそこを紹介したのがきかっけやったと思う。

──整体院ですか?

小牧 うん。むっちゃ有名な先生で、もう4、5時間待ちは当たり前。夜中の2時くらいから並んでる人もおったわ。確かお相撲さんやプロゴルファーもきとったな。で、幹夫くんにそこを紹介して、一緒にそこで寝泊まりしてたんですわ。

──寝泊まり? 入院ということですか?

小牧 入院というか、普通の民家でやってはったから、その2階で幹夫くんと僕で雑魚寝してただけなんやけど(笑)。寝泊まりしてれば、翌朝待たずに看てもらえたんでね。あの頃は、よう飲みにも行ったわ。「幹夫くん、電車なんか乗ったことないやろ?」とか言いながら、あの“松永幹夫”を電車に乗せて十三まで連れて行ってたからね(笑)。園田のウチにも来たことがあったなぁ。

──濃いお付き合いをされてたんですね。

小牧 そうやね。幹夫くんが結婚してからは、もう飲みに行ったりはせんようになったけど。でも、いまだに「太くん、太くん」って感じやで。僕もついつい「幹夫くん」って呼んでしまうんやけど(笑)。彼はとにかく紳士や。僕と違って(笑)。

小牧太

幹夫くんはとにかく紳士や。僕と違って(笑)



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【次回の太論は?】
「岩田騎手の騎乗がネットで叩かれていますが、同じ騎手としてどう思いますか?」などなど、4月27日・東京10Rの岩田騎手の騎乗について、続々と質問が届いています。次回の『太論』では、同じジョッキーの立場から小牧騎手が大激白!
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

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