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ジャスタウェイをナイガシロにできるか。雨は降るか。

  • 2014年06月05日(木) 12時00分


1人気はおそらく、いや間違いなくジャスタウェイのはず。
巷では世界一の称号が踊りに踊っている。
たとえ鞍上が替わっても、このムードはほとんど揺らぐことなくそのまま1人気になるのではないか。

しかし安田記念は基本的には1人気をナイガシロにした方がいいレースでもある。
なんせ10年で2回しか勝っていないだけでなく、馬券圏内もその2頭しかいないからだ。

はたして、ジャスタウェイは1人気の期待を背負っても勝ち負けできる馬なのか?
そもそもジャスタウェイはデビュー以来1人気で勝ったことのない馬のはず。
ふつうは新馬や未勝利で1人気1着があったりするけれど、ジャスタウェイにはそれもない。
ドバイで何番人気だったかはわからないけれど、たとえ1人気だったとしてもマークはあきらかにゆるかった。

ただでさえ1人気に厳しいレースで、1人気を背負って勝つレースをしたことのない馬がここ数戦同様の強さを発揮することができるのだろうか?
ちなみに去年はロードカナロアをナイガシロにできなかった。今年はどうなんだろう?

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今年も1人気馬をナイガシロにしていいか?
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春のG1、1人気ナイガシロ指数第1位は天皇賞春。
この12年で1人気は1-0-2-9。もはやディープインパクト級でないと勝ち負けできない、1人気にたいへん厳しいレース。今年のキズナはその壁を越えていくかと思われたけど、ダメだった。

ではナイガシロ指数第2位はどのレースか?
もちろん安田記念。
この10年で2-0-0-8。天皇賞春に合わせるなら、この12年で2-0-1-9。
1人気に厳しいことがわかる。
勝ったのはウオッカとロードカナロア。天皇賞春がディープインパクト級でないと勝ち負けできないとするならば、安田記念はウオッカ、ロードカナロア級でないと勝ち負けできないとなる。

ディープインパクト級と言われると、とにかくすごい馬とイメージできるけれど、ウオッカ、ロードカナロア級と言われると、すごいのはすごいけれど、ディープインパクトのそれとは若干イメージが違う気もする。

こういう場合は1人気馬に整列してもらって、それを眺めるにかぎる。

過去10年の1人気馬と着順
04年 ローエングリン 5着
05年 テレグノシス 6着
06年 オレハマッテルゼ 10着
07年 スズカフェニックス 5着
08年 スーパーホーネット 8着
09年 ウオッカ 1着
10年 リーチザクラウン 14着
11年 アパパネ 6着
12年 サダムパテック 9着
13年 ロードカナロア 1着

じ〜っと見つめてみる。やっぱりウオッカとロードカナロアとそれ以外の馬とは格の違いがあったように思える。
なんだろうこの納得感は。
むしろなぜ1人気だったの? そう思える馬も何頭かいる。

ウオッカとロードカナロアは、安田記念1人気の時点ですでに国内G1を2つ以上勝っていて、さらに海外遠征をしていたという特徴がある。
(ウオッカはG1・5勝で牡牝混合G1を3勝、ロードカナロアは国内G1・2勝で香港スプリントも勝っていた)
海外遠征経験のある馬は上記の馬の中にもいっぱいいるけれど、安田記念1人気時点で海外遠征をしていた馬は、ウオッカ、ロード以外だとテレグノシスとローエングリンくらいしかいない。
テレグノシスはNHKマイルを勝っていたから、国内G1も勝っていたけれど、G1勝利はその1つのみ。そこがウオッカ、ロードカナロアほどの強さのイメージを抱けない理由か?
アパパネもその時点でG1を5勝していたけれど、すべて牝馬限定G1で、海外遠征もその時点ではなかった(結局、アパパネは牡牝重賞は勝てなかった)。

今年の1人気予定のジャスタウェイを上記4頭と並べてみる。

ウオッカ
ロードカナロア
テレグノシス
アパパネ
ジャスタウェイ

イメージ的にはもうすでにウオッカ、ロードカナロア側にいるようにも思える。
天皇賞秋の圧勝、ドバイでの圧勝がすでに風格を纏わせたか。

ジャスタウェイは国内G1(天皇賞秋)を1つ勝ち、海外遠征もしている馬。
国内G1勝ちは1つだけで、テレグノシス側に思えるけれど、海外遠征でG1を圧勝している。それを加えるとG1を2つ勝ったことになる。
ここをどう捉えるかだけど、天皇賞秋とドバイデューティフリーの勝ち方は圧倒的で、イメージだけなら、ウオッカ、ロードカナロア側とやっぱり思えてしまう。

今度は1人気馬の単勝配当も追記してみる。

04年 ローエングリン   5着 410円
05年 テレグノシス    6着 580円
06年 オレハマッテルゼ 10着  570円
07年 スズカフェニックス 5着 360円
08年 スーパーホーネット 8着 410円
09年 ウオッカ      1着 180円
10年 リーチザクラウン 14着  400円
11年 アパパネ      6着 220円
12年 サダムパテック   9着 660円
13年 ロードカナロア   1着 400円

単勝配当を見ると、より納得できる。

もっとわかりやすくするために支持率順に並べてみる。

09年 ウオッカ      180円 1着
11年 アパパネ      220円 6着
07年 スズカフェニックス 360円 5着
13年 ロードカナロア   400円 1着
10年 リーチザクラウン  400円 14着
04年 ローエングリン   410円 5着
08年 スーパーホーネット 410円 8着
06年 オレハマッテルゼ  570円 10着
05年 テレグノシス    580円 6着
12年 サダムパテック   660円 9着

アパパネの220円でも6着、ロードカナロアの400円でも1着した。
けれど、基本的には単勝支持率が高い方が着順は上がりやすいことはわかる。
むしろ多くの馬が押し出された1人気で負けたようにも思える。

ジャスタウェイの予想オッズは現在、2.0倍(水曜)。
これを上記に当てはめるなら、こうなる。

09年 ウオッカ    180円 1着
14年 ジャスタウェイ 200円
11年 アパパネ    220円 6着 

鞍上が柴田の善さんに乗り替わると発表されたあとの予想オッズで2.0倍。
この10年で2回しか1人気が馬券内に入ったことのないナイガシロ指数の高いレースだけど、この予想オッズを見ると、勝ち負けできそうな領域に入っているように思える。

つまりこうだ。
ジャスタウェイの実績は、当時のウオッカやロードカナロアよりは少し落ちるけれど、アパパネ、テレグノシスよりはちょっと上に思える。
ジャスタウェイの予想支持率は、当時のウオッカよりは少し落ちそうだけど、アパパネよりはちょっと上になりそう。

なんだか去年同様に今年もナイガシロにしにくい気がしてきた。
では騎手はどうなんだろう?

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善さんのジャスタウェイ騎乗は一世一代かもしれない。
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柴田の善さんに鞍上が決まった。
ジャスタウェイには2回騎乗していて、0-2-0-0。
どちらも毎日王冠2着だ。

しかし12人気2着、6人気2着と人気馬での2着ではなかった。
今回はおそらく1人気、しかもG1だ。

善さんのG1勝利は8勝。この中に1人気での勝利はない。
実際、G1で1人気には6回騎乗して成績は0-1-0-5と決して良い成績ではない。
これだけ見ると、危うさしか見えて来ない。

しかし、もうちょっと踏み込んでみると、なかなか捨てたもんではないこともわかる。

善さんのG1・1人気成績(カッコ内は2人気の配当オッズ)
89 安田記念 ホクトヘリオス       4着 単360円(700円)
93 スプリンターズS ヤマニンゼファー  2着 単220円(430円)
99 フェブラリーS ワシントンカラー   6着 単450円(470円)
00 フェブラリーS キングヘイロー   13着 単510円(540円)
06 安田記念   オレハマッテルゼ   10着 単570円(580円)
07 朝日杯FS スズジュピター       5着 単420円(430円)

たしかに1人気ではすべて裏切っている。
しかし(カッコ内)の2人気のオッズもあわせて見ると、4着したホクトヘリオス、2着したヤマニンゼファー以外の4頭は400円以上の支持で、2人気とも差がなく、抜けた支持でなかったことがわかる。
いわゆる押し出された1人気だったとも言える。押し出された1人気馬の危うさについては言わずもがなだ。

ちゃんとした1人気だった単2.2倍のヤマニンゼファー、単3.6倍のホクトヘリオスでは2着、4着しており、G1・1人気未勝利だとしても、1人気馬のクオリティーが低かっただけとも言える。もし、今回のジャスタウェイのオッズが予想どおり2倍前後になるとしたら、こうなる。

ジャスタウェイ 2.0倍(予想)
ヤマニンゼファー 2.2倍 2着
ホクトヘリオス 3.6倍 4着

善さん史上最高の支持率でのG1騎乗じゃないか! うは!

安田記念は単2.0倍前後ならば勝ち負けできる可能性があることは前項目で記したとおり。
安田記念も善さんも押し出された系の1人気が多く、結果が出てなかっただけで、ちゃんとした1人気ならばまだわからない。ぜんぜんわからない。

あれ? やばいな。
1人気馬をどうナイガシロにしてやろうかと思っていたのに、今年も1人気をナイガシロにしてはいけない方向に進んでいるように思えてきた。

でもしょうがない。善さん史上G1最高単勝支持率というのならば応援したい。
安田記念の過去10年からは「勝ち:負け」が「2:8」だとしても、1人気のクオリティーと善さんの過去データと感情的騎乗論を詰め合わせると、勝ち:負けは5:5、フィフティー・フィフティーにまでは持っていける。注目はもちろんリアル単勝オッズで善さん史上最高の支持(2.1倍以下)を集められるかだ。

正直、1人気馬に対して50:50って、ギャンブル的にはぜんぜん的を射てないように思う。しかも単オッズが支持されれば支持されるほど馬券的旨味は消えていく。まったくもってなってない。矛盾だらけだ。

でもそれでいい。そうだ、軸にしよう。馬単の軸だ。しかもマルチだ。1着を期待しながら裏の2着も買う。そもそも矛盾してるのだから、ここも矛盾でちょーどいい。
1着ならブラボーと喝采を送り、2着なら無念感を共有しつつも、美味しい馬券をちょうだいしよう。

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雨が降ったら香港の馬で太刀打ちできないか
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これは何度も書いているけど、香港の馬は前半3Fがそろっと、ゆったりと入った年にしか連に絡んでない。
過去14年で前半3Fが遅かったベスト3は、14年前の34.9、8年前の34.8、6年前の34.6。
香港馬はこの遅かった3回でのみ連対している。2勝2着1回。
(9年前のサイレントウィットネスは前半33.9のレースで3着)

つまりポイントは前半3Fが34秒台後半になるかどうか。
今年「なる」と思えば買えるし、「ならない」と思えば買えない(ってここ3年毎年書いている。というより毎年待っている?)。

ちなみに直近5年はすべて前半33秒台で、香港の馬は全滅。
昨今の前半から速い競馬の東京ではなかなか買いにくいのが現状だ。
ただ今年はどうだろう?
東京ももうすぐ梅雨入りしそうだし、週末は金・土・日と3日間雨が降りそうな予報だ。一番降りそうなのは金・土だけど、日曜も降水確率60%と予報されている。
逃げる馬もミッキーアイルしか見当たらない。

ミッキーアイルは前走のNHKマイルを前半34.6秒で逃げた。今回は重量が3キロ減でもうちょっと速く逃げるかもしれないけれど、馬場が重くなっていれば、33秒台にはならないのではないか?(ミッキーアイル自身もまだ前半33秒台で走ったことはない)

ホエールキャプチャが3年連続でヴィクトリアマイルを1:32:4で走ったと話題になっているけれど、
グロリアスデイズも安田記念を1:32:4、1:32:2で走っている。

1:32:4で走るホエールキャプチャが予想6人気で、
1:32:2〜4で走るグロリアスデイズが予想16人気。

週末の雨次第(土曜日のレース中に雨が降るかが一番の注目ポイント)では、久しぶりに前半34秒台後半になる可能性あり。
ならば1:32:4で走れる馬の台頭もあるかもしれない。
日本の馬場だし、ホエールキャプチャに期待するのが本道かもしれないけれど、ぜんぜん人気がないのならばグロリアスデイズを買いたくもなる。
2年前は3人気に評価された馬が14着、去年は11人気で11着と連続で惨敗した。
なのに今年も参戦してきた。

なぜだ。
梅雨待ちか?

一昨年も去年も雨を待っていたのかもしれない。でも降らなかった。去年は週中に60%の降水確率が出ていたけれど、結局降らなかった。
雨で時計がかかれば勝ち負けできるという自信、自負みたいなものがあるのか? でないと3年連続でやって来る理由がよくわからない(大人の事情とか言わないでね。それがどんな事情かはわかならないけれど)。


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安田記念注目馬
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ジャスタウェイ・単2.1倍までなら2連系の連軸で超期待。単2倍台までなら馬券圏内で期待。3倍以上で圏外の期待。

雨が降ったら(理想は前半34秒台後半)、もしくは1分32秒4前後の決着になりそうだったら、
グロリアスデイズに大穴の期待をしつつ、お馴染みのホエールキャプチャにも注目。

その他
クラレント・カレンブラックヒル
お互いに番手、3番手でやり合わなければ展開が味方しそう。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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