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ストロングリターンを兄に持つハーツクライ牝馬コートシャルマン

  • 2014年06月11日(水) 12時00分
キングリオ(牡 美浦・久保田貴士 父キングカメハメハ、母ウィキッドリーパーフェクト)
 2013年のセレクトセール1歳で落札価格1億円(税抜)。母ウィキッドリーパーフェクトは2歳時にアルシバイアディスS(米G1・ダ8.5f)を勝つなど北米で4戦3勝(2着1回)という好成績を残した。2代母Wickedly WiseはStorm Cat≒Cold Reception 2×2という配合構成。キングカメハメハ産駒は「Northern Dancer+Secretariat」の血統構成から成る血と相性がいい。前出のStorm Catはその典型で、短距離王ロードカナロアは母方にStorm Catを抱えていた。前出のCold Receptionもほぼ同様の血統構成なので、母ウィキッドリーパーフェクトは父と相性のいい血をダブルで抱えていることになる。母の父CongratsにはMr.Prospectorが含まれるので、本馬はMr.Prospector 3×4というクロスを持つ。父の産駒でこのクロスはダート向きに出る傾向がある。もとより母はアメリカのダートG1の勝ち馬なので、ほぼ間違いなくダート向きに出そうだ。いずれはダートのトップクラスで活躍するのでは、という期待が掛かる。

コートシャルマン(牝 栗東・松永幹夫 父ハーツクライ、母コートアウト)
 母コートアウトはスマーテア4×3という大胆な牝馬クロスと、相性のいいMr.ProspectorとNijinskyを近い世代に併せ持つ影響か、繁殖牝馬として高い能力を誇る。安田記念をレコードで制したストロングリターン(父シンボリクリスエス)、桜花賞2着馬レッドオーヴァル(父ディープインパクト)と、まったく違うタイプの父から一線級の活躍馬を誕生させているのは非凡だ。このほか、ダイワマックワン、ブレイクチャンス、ウィケットキーパーと、1頭の例外もなく少なくとも1000万条件には出世している。ハーツクライを父に持つ本馬も最低ラインがそのあたりで、重賞クラスに成長する可能性も十分考えられる。母方にMr.ProspectorとNijinskyを併せ持つハーツクライ産駒にはダービー馬ワンアンドオンリーや秋華賞2着馬キョウワジャンヌがいる。芝中距離でいいところがありそうだ。

ショウナンアデラ(牝 美浦・二ノ宮敬宇 父ディープインパクト、母オールウェイズウィリング)
 3代母Balbonellaはロベールパパン賞の勝ち馬、2代母Always Loyalは仏1000ギニー(G1)の勝ち馬と、代々フランスの大レースを制してきた名牝系。Always Loyalの半兄Anabaaはカルティエ賞最優秀スプリンターに輝いた快速馬で、カルティエ賞年度代表馬Goldikova(仏英米でG1を14勝)の父としても知られている。Anabaaの半兄Key of Luckは本邦輸入種牡馬アラムシャーの父。活力のあるファミリーだ。本馬の母オールェイズウィリングは父と相性のいいMr.ProspectorとNureyevの組み合わせに加え、Vaguely Nobleを持っている。いずれのパターンも父の代表的なニックスで、多くの活躍馬が誕生している。さらに、Alzao≒Touch of Greatness 3×3もおもしろい。素軽さを武器にマイルから中距離でいいところがありそうだ。

バードオブプレイ(牡 栗東・須貝尚介 父ステイゴールド、母ヘイハニー)
 母ヘイハニーは現役時代2戦未勝利に終わったものの、本邦輸入種牡馬ラムタラ(カルティエ賞最優秀3歳牡馬)と2代母が同じで、同じくBlushing Groomを持つなどポテンシャルの高さを感じさせる繁殖牝馬だ。2代母の父Polish Precedentは「Danzig×Buckpasser」なのでデインヒルに似ている。母方にデインヒルを持つステイゴールド産駒といえば天皇賞・春を連覇したフェノーメノや宝塚記念を制したナカヤマフェスタなどがいる。母の父Cherokee Runは現役時代にブリーダーズCジュヴェナイル(米G1)を制した馬力型のスピードタイプで、ダート重賞を勝ちまくったホッコータルマエの母の父でもある。ダート向きに出てもおかしくない配合だが、父ステイゴールドはこうした配合から芝向きの大物を出せるタイプなので期待したい。

マルカメテオ(牡 栗東・羽月友彦 父ネオユニヴァース、母イクスペクトトゥシャイン)
 全姉アイアムネオはフェアリーS(GIII)2着、フローラS(GII)4着などの成績を残した。母イクスペクトトゥシャインは「Mr.Prospector×Nureyev」という組み合わせ。これは日本ダービーを制したロジユニヴァースの2代母ソニンクと似ており、同馬は本馬と同じネオユニヴァース産駒なので全体の配合構成も似ている。2代母Frankovaは本邦輸入種牡馬アサティスの4分の3同血、という点で芝向きの素軽いスピードにやや難点はあるものの、仮にダート向きだとしても配合構成が優れているので頭角を現してくるはず。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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