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荒れそうで荒れない不思議な重賞/エプソムC

  • 2014年06月11日(水) 18時00分
■エプソムC(G3・東京芝1800m)フルゲート18頭/登録22頭

【コース基本情報】東京芝1800m Cコース使用

・コース回収率
 [やや低め] 単勝63%・複勝68% ふたケタ人気馬は激走率&妙味ともにイマイチ

・馬連万馬券出現率
 [低め] 6.6%(平均値↓5.8% 馬連平均配当4790円)

・枠番別複勝率(18頭立て)
 [1枠〜3枠] 勝率 6.8% 連対率 9.4% 複勝率16.1% 複回率 70% 枠番値+0.3
 [4枠〜6枠] 勝率 4.2% 連対率12.0% 複勝率16.7% 複回率 82% 枠番値+0.4
 [7枠〜8枠] 勝率 5.7% 連対率12.0% 複勝率17.2% 複回率 59% 枠番値-0.5
 →いちばん安定感があるのはセンター枠番で内枠&外枠は一長一短な印象

・脚質別信頼度
 先行>>差し>追込>逃げ 東京芝ながら先行勢が圧倒的な強さを見せる

・推定ラップ&タイム
 [瞬発] 34.6-36.8-34.7=1.32.1 中盤が緩く上がりで急加速する瞬発ラップ

 波乱傾向が強い芝1600mとは違って、芝1800mは順当決着傾向が強いコース。同じ東京芝で距離も200mしか変わらないのだが、傾向は大きく異なっている。馬連万馬券出現率6.7%というのはかなりの低さで、当然ながら馬連平均配当も4790円とかなり低水準。ホームラン狙いでバットを振り回すのは、オススメしかねるコースである。

 枠番別成績では、内枠は勝率は高いが連対率が低く、外枠は複勝回収率や枠番値の低さが目立つなど、一長一短な印象を受ける。もっともバランスが取れているのが4枠〜6枠の「中枠」で、先週の競馬で馬場の内ラチ沿いが一気に荒れたことを考えても、ここがいちばん有利に立ち回れそう。外枠を引いた人気馬は、ちょっと割り引いて考えたい。

 次に脚質。差し優勢のイメージが強い東京芝だが、当コースは先行勢の強さが目立っている。中盤のラップが緩むことで道中で息が入れやすくなり、それが先行勢の踏ん張りに繋がっていると考えられる。今週の馬場バイアス次第ではあるのだが、土曜日の競馬で差し決着が頻発でもしていないかぎり、軸は先行勢から取るべきである。

【レース基本情報】エプソムC(G3) 過去10年
・レース平均配当
 単勝760円 馬連2168円 3連複1万1931円

・1番人気馬成績
 [3-2-3-2] 勝率30.0% 連対率50.0% 複勝率80.0%

・3番人気以内馬成績
 [5-9-5-11] 勝率16.7% 連対率46.7% 複勝率63.3%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [5-1-3-51] 勝率 8.3% 連対率10.0% 複勝率15.0%

・10番人気以下馬成績
 [0-0-2-83] 勝率 0% 連対率 0% 複勝率 2.4%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 70.0% [差し] 30.0% [追込] 0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 6.7% [先行] 46.3% [差し] 33.3% [追込] 10.0% [マクリ] 3.3%

・年齢別成績
 [3歳馬] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [4歳馬] 6-4-4-23 連対率27.0% 複勝率37.8%
 [5歳馬] 3-5-1-44 連対率15.1% 複勝率17.0%
 [6歳馬] 1-1-2-42 連対率 4.3% 複勝率 8.7%
 [7歳↑] 0-0-3-35 連対率 0% 複勝率 7.9%
 ────────────────────────
 [4歳以下] 6-4-4-24 連対率26.3% 複勝率36.8%
 [5歳以上] 4-6-6-121 連対率 7.3% 複勝率11.7%

・性別成績
 [牡馬] 10-10-10-135 連対率12.1% 複勝率18.2%
 [牝馬] 0-0-0-10 連対率 0% 複勝率 0%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 6-1-5-46 連対率12.1% 複勝率20.7% 枠番値+0.1
 [4枠〜6枠] 3-4-2-51 連対率11.7% 複勝率15.0% 枠番値-0.1
 [7枠〜8枠] 1-5-3-48 連対率10.5% 複勝率15.8% 枠番値+0.1
 ──────────────────────────────
 [01番〜09番] 8-4-5-73 連対率13.3% 複勝率18.9% 枠番値-0.1
 [10番〜18番] 2-6-5-72 連対率 9.4% 複勝率15.3% 枠番値+0.1

・厩舎所属別成績
 [美浦] 5-3-6-73 連対率 9.2% 複勝率16.1%
 [栗東] 5-7-4-72 連対率13.6% 複勝率18.2%

・前走距離別成績
 [〜芝1400] 0-1-0-14 連対率 6.7% 複勝率 6.7%
 [芝1600m] 4-4-2-30 連対率20.0% 複勝率25.0%
 [芝1800m] 1-2-3-30 連対率 8.3% 複勝率16.7%
 [芝2000m] 5-3-4-48 連対率13.3% 複勝率20.0%
 [芝2200〜] 0-0-1-18 連対率 0% 複勝率 0%
 [ダート戦] 0-0-0-4 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 0-1-0-10 連対率 9.1% 複勝率 9.1%
 [中央G2] 4-2-1-35 連対率14.3% 複勝率16.7%
 [中央G3] 4-3-4-41 連対率13.5% 複勝率21.2%
 [OP特別] 2-1-4-46 連対率 5.7% 複勝率13.2%
 [条件戦] 0-3-1-13 連対率17.6% 複勝率23.5%

・主要ステップ別成績
 [新潟大賞典] 4-2-4-28 連対率15.8% 複勝率26.3%
 [マイラーズ] 3-2-1-3 連対率55.6% 複勝率66.7%

・注目出走パターン
 [特注] 前走新潟大賞典で5番人気以内(連対率33.3%、複勝率44.4%)
 [買い] 前走での上がり3F順位が3位以内の5歳以下馬(複勝率33.3%)
 [不振] 前走6番人気以下の6歳以上馬(0-0-3-61)
 [不振] 前走4番人気以下かつ5着以下(0-1-3-91)
 [不振] 連闘〜中2週で出走の前走3着以下馬(0-1-0-29)
 [不振] 中8週よりも長い間隔で出走の前走3着以下馬(0-1-0-27)
 [不振] 前走勝ち馬から1秒以上の着差で敗北(0-0-1-49)
 [不振] 今回斤量減となる馬(1-7-1-40、勝率2.0%)

 コースデータでも順当決着傾向が強いと述べたが、レースデータではその傾向がさらに加速。1番人気馬は[3-2-3-2]で複勝率80.0%という高い信頼度を誇っており、対照的に8番人気以下馬は[0-0-3-102]で複勝率2.9%とサッパリの結果に終わっている。当然ながら配当も低く、馬連平均配当はなんと2168円という安さ。このレースで波乱決着を期待するのは、かなりの無理スジと言えそうだ。

 続いて脚質面だが、こちらもコースデータと同様に、先行勢の強さが目立っている。逃げた馬は不振なのだが、勝ち馬の7割が先行脚質という圧倒的なシェア。「先行→先行」決着や「先行→差し」決着あたりが、もっとも想定しやすい決着パターン。イメージよりも差せないレースなのだと考えておきたい。

 年齢別では、4歳馬の成績が飛び抜けて優秀。そこから5歳→6歳→7歳以上と年齢を重ねるごとに成績が低下していくので、若くてイキのいい馬が強いというのが基本的な傾向。3歳馬は過去のエントリー自体が少ないので何とも言えないが、出走してくれば意外にアリなのではないかと思われる。少なくとも、7歳以上馬を狙うよりもはるかにマシだ。
 あとは、外枠の勝率が低く少し割引が必要なことや、前走芝1600m〜2000m戦に出走しているのが好走の必要条件であること、前走で出走しているレースの「格」が問われないレースであることなども、押さえておくべきポイント。意外なところでは、前走から斤量減となる馬が[1-7-1-40]で勝率2.0%と、アタマではサッパリ来ないというのも、覚えておいて損はない。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 引き続きCコース。内ラチ沿いが一気に荒れたことで傾向が変化してきそう。

・天候予測
 木曜日まで雨模様が続くが、金曜日以降は曇天に。当日は良馬場まで回復するか。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率16.6% 連対率27.2% 複勝率39.1%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ハーツクライ産駒○、ダイワメジャー産駒▲、フジキセキ産駒△、ジャングルポケット産駒△

 今週も先週に引き続きCコースで開催されるが、先週の土日が不良馬場でのレースだったのもあり、内ラチ沿いの馬場が一気に荒れた。安田記念のときには既に内ラチから3頭分ほどを空けて走っていたほどで、明らかに内有利・前有利だった先々週までとは、傾向が大きく変化している。

 また、関東地方でかなりの降雨量が記録されており、天候が回復するとはいえ、それなりに含水率の高い馬場になりそう。レース当日に良馬場と発表されたとしても、いわゆるパンパンの良馬場ではないはずだ。非力な面のあるディープインパクト産駒よりも、ややパワー型であるダイワメジャー産駒あたりのほうが、馬場にマッチしてくる可能性アリ。土曜日の芝レースでどんな種牡馬の産駒が好走しているかを、しっかりチェックしておきたいところである。

★総論×各論

 有力視されていたマーティンボロが、左後脚の飛節部分の腫れで出走回避。となると、ここはディサイファとマジェスティハーツが人気の中心となり、それにマイネルラクリマやカルドブレッサなどが続く──といった図式となりそう。いかにも「らしい」メンツで、人気薄を狙いたくてうずうずしてくる。

 しかし、エプソムCが非常に堅いレースであるのは、繰り返し解説した通り。しかもコースデータ、レースデータの両面からそう言えるわけで、ホームラン狙いの馬券がそうそううまくハマるとは思えない。繰り返すが、過去10年で8番人気以下は[0-0-3-102]で複勝率2.9%と、大不振なのである。

 それを踏まえた上で各馬の戦績をチェックしていったのだが、今年はケチのつけられる馬がとにかく多い。データ面で大きなマイナス材料が見当たらない馬となると、ディサイファとマイネルラクリマ、マジェスティハーツの3頭しかいないのである。そしてこの3頭は、いずれも人気を集めること確実というラインナップ。つまり、例年以上に堅く決着するケースもあるということだ。

 当データ分析からのトップ評価はマジェスティハーツで、これはもう「断然」と言える存在。前走、新潟大賞典に2番人気で出走し、上がり3F順位3位タイで2着に好走というのは、エプソムCで勝ち負けする上で最良といっても過言ではない臨戦過程である。さらに、4歳馬であることやハーツクライ産駒であるのも大きなプラスで、以前のように後方に置かれなくなっているのもポジティブな材料。本命は迷わず、この馬に進呈したい。

 そして、二番手にマイネルラクリマを評価。香港・チャンピオンズマイルからの臨戦過程で調整面に難しさがありそうだが、先行力や実績、前走芝マイル戦に出走していることなど、プラス評価が与えられる材料もかなり豊富。チーフベアハート×サンデーサイレンスという配合も、今の馬場に合いそうな印象を受ける。

 以下は、ディサイファゴールデンナンバー、シルクアーネスト、フェスティヴタローという評価順だが、シルクアーネスト以下は完全にどんぐりの背比べ。1着〜2着に関してはかなり堅いと思うが、3着のヒモ紛れで高配当が出現する可能性もけっこうありそうだ。いっそのこと、3着に関しては総流しをかける──というのも面白いかもしれない。

■マーメイドS(G3・阪神芝2000m)フルゲート16頭/登録15頭

 毎年のように軽ハンデの人気薄が激走するマーメイドS。ふたケタ人気馬はトータル[1-3-2-28]で連対率11.8%、複勝率17.6%と、異常なほど高い激走率をマークしている。ここまで荒れるレースも珍しいので、穴党ならばエプソムCではなく、こちらに全力投球が望ましい。

 昨年はマルセリーナ、アグネスワルツとハンデの重い馬が上位を占めたが、ハンデ54キロ以上馬はトータル[2-3-2-36]で勝率4.7%、連対率11.6%という信頼度の低さ。回収率の低さも相当なもので、買いか消しかで言えば間違いなく「消し」。今年はハンデ56キロのフーラブライドが抜けた人気を集めそうだが、マーメイドSはこういう馬が素直に来るタイプのレースではないので、過信は絶対に禁物である。

 狙いは、激走率の高いハンデ52キロ〜53キロの人気薄。今年の登録馬では、ウエスタンレベッカ、サンシャイン、ブリッジクライムあたりに期待がかけられそうだ。内回りコースでそうそう差せないことを考えると、イチオシはウエスタンレベッカか。

※コースデータ&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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