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第3期に突入した(?)ウインバリアシオンの勝機と完成度

  • 2014年06月26日(木) 12時00分


宝塚記念は13頭立て以下だと単勝500円以下の人気馬が1着しやすく、14頭立て以上だと単勝500円以上のちょい伏兵系の馬が1着しやすい傾向にある。

14頭立て以上でも、2年前のオルフェーヴル(単320円)や10年前のタップダンスシチー(単350円)のように1人気の馬が勝つことはある。
しかし13頭立て以下だと単勝500円以上の伏兵馬が勝つことはこの10年でも、この20年でもない(勝ったのは22年前に13頭立てで逃げ切ったメジロパーマー。そこまでさかのぼらなければならない。9人気2310円だった)。

14頭立て以上なら伏兵から吟味し、13頭立て以下なら人気馬から吟味する。
どうしても穴を狙いたいならば、消えるように逃げられそうな馬がいないか検討する。
アプローチの入口としてはこれでだいたいじゃないか。

今年は登録の段階で13頭。噂ではマイネルラクリマは回避と言われているから、12頭立てになりそう。
ならば馬券アプローチの出発は単勝500円以下になりそうな馬からとなる。
自分はこう見えても、どう見えても、穴馬が大好きだし、少頭数レースであればあるほど逃げ馬を買いたい衝動に襲われる系だから、逃げそうな馬を検討するのは嫌いではない。むしろ好きで好きでしょうがない。

けれど、メジロパーマーが逃げ切ったレースでも2着は1人気カミノクレッセ、3着は3人気ミスタースペインだったことを思うと、まずは人気馬から検討し、ヒモで逃げそうな馬を検討すればいいのではないか?

というわけで、今年の宝塚記念は単勝500円以下になりそうな馬から軸を決める作戦を取ってみる。

netkeiba.comの予想では今のところ(水曜日夕方)

1人気ウインバリアシオン 2.3
2人気ゴールドシップ 3.3
3人気ジェンティルドンナ 4.4
4人気メイショウマンボ 9.5

となっている。
ジェンティルとメイショウマンボの間でけっこうな差があるから、概ね今年は、上記の人気3頭が単勝500円以下になると想定できそう。

自分は阪神競馬場ならば、去年の宝塚の実績、今年の阪神大賞典での実績からゴールドシップが1番人気になると思っていた。しかし現状では2人気………。

もしくは、
なんだかんだ言っても、G1・6勝(牡牝混合G1・3勝)のジェンティルドンナの人気は絶大で、場合によっては1人気、少なくとも2人気は外さないと思っていた。
なんせ5歳のこの時点でG1・5勝だったブエナビスタは、4歳時の宝塚記念で2着に敗れていたのに翌年再び1人気に支持されていたからだ(結局この年も2着だったけれど)。
しかし現状では3人気……。

だからウインバリアシオンの1人気はちょっとだけ意外だ。
たしかにG1未勝利の馬が宝塚で1着するエピソードは過去に何度かある。しかしゴールドシップ、ジェンティルドンナという実績馬がいるのにも関わらず、週中の予想とはいえ1人気になるとは思ってもいなかった。

最近は1億総馬場読み時代(競馬場読み時代)だから、東京で圧倒的に強さを発揮するジェンティルドンナが阪神で割り引かれるのはわからないでもない。でもゴールドシップはどうなんだろう。阪神4-1-0-0で、去年の宝塚も勝っていて、しかもファン投票第1位。ふつうなら1番人気ではないのか?

天皇賞春7着が嫌われたのか? でも天皇賞春の着差は0.5秒だった。出遅れなければ、もっと際どい闘いができたとも思わせる。なんせ去年の天皇賞春は5着だったけれど、着差は0.9秒もあった。それでも宝塚では巻き返した。天皇賞春で0.9差つけられたフェノーメノを宝塚では逆に0.7差つけて圧倒した。

なぜだ。なぜウインバリアシオンが中間とはいえ、1人気なんだ!!!
もしこのままの状態で週末を迎えて、締め切りを迎えてしまったら、ゴールドシップ、ジェンティルドンナがとても美味しそうじゃないか!(もちろん単500円以下という設定で)
特にジェンティルドンナの3人気はとてつもなく美味しそうじゃないか!!

ジェンティルドンナは4人気以下に落ちたことがなく、最低人気は3人気まで。オークスと3歳時のジャパンカップがそれで、どちらも1着している。
ジェンティルドンナの人気別成績
1人気 4-2-1-1
2人気 2-0-0-1
3人気 2-0-0-0

3人気はジェンティルドンナにとっては、プレッシャーから解放されて、のびのびと走れる人気なのではないか。だとすると怖い。
56キロを背負って1着したことがない(56で0-1-1-1)のは気になるけれど、56キロ時はすべて1人気でもあった。今回も56キロ。
ただ重量はキツくても、人気は軽くなりそう。
鞍上の川田も春は1人気の圧の中で闘うことが多かった。1人気でもおかしくない馬が3人気で出走できるとなれば、川田の解放感も相当ではないか!? 

3人気のジェンティルドンナ……これだけで怖い。

実はウインバリアシオンを持ち上げようと思っていた。
まずは予想2人気か3人気を確認するところからスタートして、ウインバリアシオンについて書こうと思っていた。
ところがどっこい予想1人気。
予定が大きく狂った。ただまだわからない。まだ週の真ん中だ。週末にかけて、ゴールドシップやジェンティルドンナに関する影響力のある情報が駆け巡るはずだ。そこに期待だ。

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ウインバリアシオンと岩田のナチュラル・チューン
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ウインバリアシオンは大きく分けて、3つの期を過ごして来ていると思っている。
今も現役続行中だから、この先、別の期に入るかもしれないけれど、今のところ第3期に突入しているという解釈だ。

第1期 先行系正攻法時代
福永騎手主戦で、先行系正攻法競馬でデビューから2連勝を飾るも、その後、重賞・トライアルで賞金の上乗せ、もしくは権利獲得を逃す。

第2期 末脚爆発時代
安藤勝己騎手主戦で、直線までできるだけ仕掛けを我慢し、末脚を爆発させる競馬で、青葉賞を1着し、ダービー、菊花賞等でオルフェーヴルの2着してシルバーコレクター的キャラを確立させる。
3歳時ジャパンカップで11-15-2-2という定跡からは逸脱した競馬をするも5着に踏みとどまり、潜在能力の高さもチラりと見せたのもこの時期。

武豊騎手が2回騎乗して、差し競馬で日経賞2着、天皇賞春3着。
岩田騎手が騎乗して、宝塚記念4着。

ここから屈腱炎を発症し、1年5ヶ月の休養に入る。

第3期 岩田マクリ時代
復帰初戦を藤岡康騎手で差し競馬で3着。つづく有馬記念を岩田騎手でオルフェーヴルの2着する。ここから本格的な岩田マクリ時代に突入。

岩田騎手とウインバリアシオン
休養前の宝塚記念 13-11-8-6 4着
有馬記念 9-11-12-4 2着
日経賞  10-12-11-3 1着

岩田騎手が騎乗するようになって、3角からマクっていることがわかる。
休養前の宝塚記念では11→8→6と向こう正面からちょっとずつ進出したけれど、この初騎乗で何かを掴んだのか、休養後の有馬記念、日経賞と向こう正面では動かず。3角から4角にかけてマクる競馬をするようになった。
有馬記念ではオルフェーヴルに8馬身もつけられたが、ゴールドシップには先着した。

日経賞は1人気に支持され、有馬記念と同じように大胆にマクって、フェノーメノを完封した。この勝利は、3歳春の青葉賞以来で、実に3年ぶり。マクリの型が完成に近づきつつあるようにも思われた。
しかし、それはあくまでも内回り競馬で適した戦法で京都外回りでは噛み合ないのではないか? とも思った。しかし天皇賞春でもマクって2着。ウインバリアシオンの根本的強さも垣間見えた。

天皇賞春は岩田の騎乗停止や直前のシュタルケの負傷で、急遽、武幸に乗り替った。
その武幸の操縦は、13-14-14-8で2着。
岩田騎手が仕込んだマクりを実直に実戦したかのように見える騎乗だった。

自分は、こと宝塚記念という観点で見れば、シュタルケではなく、武幸だったことが幸いしているのではないか?
そう思っている。
シュタルケ騎手からは13-14-14-8の騎乗はどうしても見えてこないからだ。
想定できるのはフェノーメノをマークするような競馬か先行して持たせる競馬のどちらか。
そういう競馬が悪いとは思わないし、正しかったかもしれないけれど、宝塚で岩田騎手に戻るのならば、武幸騎手の競馬でよかったのではないか? と今は感じる。

この岩田式マクリがどこのコースでも通用する万能戦法とは思わないけれど、宝塚記念ではハマる可能性アリと思っている。ハマるとはもちろん1着するという意味だ。
理由は07年に岩田騎手で宝塚記念を勝ったアドマイヤムーンとダブって見えるからだ。

アドマイヤムーン 11-12-13-6 1着

岩田騎手がウインバリアシオンにアドマイヤムーンのイメージを持っているかはわからない。
ただただ右回りの内回り競馬を勝つための戦法として、自然に湧き出た騎乗かもしれない。岩田騎手のナチュラル・チューンナップ。
しかし結果的に有馬記念、日経賞と中山の内回り競馬をマクって2着、1着して、武幸騎乗で京都外回りをマクって2着した。
ここまでは、岩田騎手の仕込みは間違っていないと言えるし、このスタイルでG1を勝つなら、宝塚記念か有馬記念しかないはずだ。

というわけで、
自分は、宝塚記念は岩田式マクリが成熟しつつあるという理由で、ウインバリアシオンに勝機あり!
と見立ててみた。

誤算は、ウインバリアシオンが予想だけど現在1人気なこと。
確かにG1に手の届かなかった馬が宝塚記念で勝つエピソードはいっぱいある。
けれど、1人気ではなかったことが多い。
アドマイヤムーンも国内G1・初勝利が宝塚記念だったけれど、3人気だった。
ドリームジャーニーも2歳(朝日FS1着)以来のG1勝利が宝塚記念だったけれど、2人気だった。
アーネストリーも6人気だった。
メイショウドトウも2人気だった。
1人気初勝利馬がいないわけではない。ダンツフレームは1人気1着で初G1勝利だった。

噂では、ゴールドシップの調教は素晴らしいらしい。
おそらくこの情報がさらに大きく膨らんでいけば、当日はゴールドシップが1人気になるかもしれない。ていうか、なって!
ガンバレ〜、ゴールドシップゥ〜〜。

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ちなみに
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ゴールドシップの鞍上の横山典は最近、重賞のテン乗り初戦で6着になることが多い。
デスペラード アルゼンチン共和国杯6着→ステイヤーズS1着
ワンアンドオンリー 東京スポーツ杯6着→弥生賞2着
マジェスティハーツ エプソムC6着

そんなのばっかりじゃないよ!
おっしゃる通りです。テン乗り初戦でも1着している馬もおります。

ジャスタウェイ 中山記念1着 2人気
スマートオリオン オーシャンS1着 3人気

横山典の重賞テン乗り初戦は、1着か6着の2択!
これでどうでしょう。

1人気ならば6着系で、1人気じゃなければ1着系で、そんな2択。
もちろん今はウインバリアシオンの1着することをイメージしているから、
1人気ゴールドシップ
2人気ウインバリアシオン
であって欲しいと願っている。

ジェンティルドンナについては、前記したとおりです。3人気のジェンティルドンナ……やっぱり怖い。
こちらも2人気になるように頑張ってもらおう。

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宝塚記念注目馬
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ウインバリアシオン・岩田式マクリが宝塚記念で完成するイメージ。1人気でないと嬉しい。

ゴールドシップ、ジェンティルドンナについては人気が上がることを願うけれど、それ以上は今は考えない。蓋をしてしまおう。

ヒモ
ホッコーブレーヴ・直近で2回もウインバリアシオンに食らいついているから。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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