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今年は実績馬の二強対決/七夕賞

  • 2014年07月09日(水) 18時00分
■七夕賞(G3・福島芝2000m)フルゲート16頭/登録18頭

【コース基本情報】福島芝2000m Aコース使用
・コース回収率
 [やや低め] 単勝70%・複勝71% 人気サイドの信頼度が高く意外なほど堅い

・馬連万馬券出現率
 [やや低め] 10.5%(平均値↓1.9% 馬連平均配当5033円)

・枠番別複勝率(16頭立て)
 [1枠〜2枠] 勝率 5.5% 連対率11.6% 複勝率20.1% 複回率 70% 枠番値+0.4
 [3枠〜4枠] 勝率 7.3% 連対率13.4% 複勝率18.3% 複回率 67% 枠番値-0.2
 [5枠〜6枠] 勝率 7.3% 連対率15.2% 複勝率18.3% 複回率 67% 枠番値+0.2
 [7枠〜8枠] 勝率 4.9% 連対率 9.8% 複勝率18.9% 複回率 56% 枠番値-0.5
 ────────────────────────────────────
 [01番〜08番] 勝率 6.8% 連対率13.6% 複勝率19.8% 複回率 74% 枠番値+0.2
 [09番〜16番] 勝率 5.6% 連対率11.1% 複勝率17.8% 複回率 55% 枠番値-0.4
 →7枠〜8枠の連対率の低さが気がかり。1枠〜6枠はそれほど差はないか。

・脚質別信頼度
 先行>差し>逃げ>>>追込 差しも届くが基本的には先行勢優勢

・推定ラップ&タイム
 [平均] 34.8-50.2-35.3=2.00.3 やや前傾で適度に持久力が問われる流れに

 ラジオNIKKEI賞の舞台である福島芝1800mとは200mしか違わないのだが、比較すると意外なほど順当決着傾向が強い、福島芝2000m。コース全体での回収率は単複ともに70%前後で、馬連万馬券の出現率も10.5%と、全体平均値を下回っている。最初のコーナーまでが約505mと長いことで、いわゆる「展開の紛れ」が起きづらくなっている印象だ。

 枠番別成績を見ても、クセのないコースであるのは一目瞭然。7枠〜8枠の連対率が低いが、多頭数の外枠が不振なのは当然の結果である。競馬の基本に忠実な「内枠>外枠」のコースであるのは、回収率や枠番値からも明らか。しかも極端に内枠有利ではないという、なかなかバランスの取れたコースである。

 差し脚質が頭で来ることも多いコースだが、全体的にはかなり前有利。信頼度、回収率ともに先行脚質がぶっちぎりの優秀さで、軸馬はぜひ先行勢からチョイスしたいところ。展開的にもっとも有利なのは、当然「内枠から前に行ける馬」となる。この条件に該当する場合は、人気薄でもしっかり押さえておくべきだろう。

【レース基本情報】七夕賞(G3) 福島過去10年
・レース平均配当
 単勝1492円 馬連8209円 3連複2万5627円

・1番人気馬成績
 [3-2-1-3] 勝率33.3% 連対率55.6% 複勝率66.7%

・3番人気以内馬成績
 [4-3-7-13] 勝率14.8% 連対率25.9% 複勝率51.9%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [3-5-2-44] 勝率 5.6% 連対率14.8% 複勝率18.5%

・10番人気以下馬成績
 [2-1-1-46] 勝率 4.0% 連対率 6.0% 複勝率 8.0%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 11.1% [先行] 44.4% [差し] 22.2% [追込] 22.2%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 10.7% [先行] 28.6% [差し] 28.6% [追込] 32.1%

・年齢別成績
 [4歳馬] 0-2-0-4 連対率33.3% 複勝率33.3%
 [5歳馬] 4-3-5-31 連対率16.3% 複勝率27.9%
 [6歳馬] 4-3-3-25 連対率20.0% 複勝率28.6%
 [7歳↑] 1-1-2-43 連対率 4.3% 複勝率 8.5%

・性別成績
 [牡馬] 9-7-10-97 連対率13.0% 複勝率21.1%
 [牝馬] 0-2-0-6 連対率25.0% 複勝率25.0%

・牡馬斤量別成績
 [48〜51キロ] 0-0-0-8 連対率 0% 複勝率 0%
 [52〜53キロ] 2-1-1-20 連対率12.5% 複勝率16.7%
 [54〜55キロ] 1-1-5-34 連対率 4.9% 複勝率17.1%
 [56〜57キロ] 5-3-3-30 連対率19.5% 複勝率26.8%
 [57.5キロ↑] 1-2-1-5 連対率33.3% 複勝率44.4%
 ────────────────────────
 [48〜55キロ] 3-2-6-62 連対率 6.8% 複勝率15.1%
 [56〜59キロ] 6-5-4-35 連対率22.0% 複勝率30.0%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 4-1-1-25 連対率16.1% 複勝率19.4% 枠番値+0.9
 [3枠〜4枠] 3-5-3-21 連対率25.0% 複勝率34.4% 枠番値+0.1
 [5枠〜6枠] 1-2-3-26 連対率 9.4% 複勝率18.8% 枠番値-0.9
 [7枠〜8枠] 1-1-3-31 連対率 5.6% 複勝率13.9% 枠番値±0
 ──────────────────────────────
 [01番〜08番] 7-6-6-53 連対率18.1% 複勝率26.4% 枠番値+0.4
 [09番〜16番] 2-3-4-50 連対率 8.5% 複勝率15.3% 枠番値-0.5

・厩舎所属別成績
 [美浦] 2-4-5-63 連対率 8.1% 複勝率14.9%
 [栗東] 7-5-5-40 連対率21.1% 複勝率29.8%

・前走距離別成績
 [芝1600m] 1-1-2-6 連対率20.0% 複勝率40.0%
 [芝1800m] 4-3-7-43 連対率12.3% 複勝率24.6%
 [芝2000m] 1-2-1-29 連対率 9.1% 複勝率12.1%
 [芝2200m] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝2400m] 0-0-0-4 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝2500m] 2-1-0-11 連対率21.4% 複勝率21.4%
 [芝2600〜] 0-1-0-4 連対率20.0% 複勝率20.0%
 [ダート戦] 1-0-0-4 連対率20.0% 複勝率20.0%
 ──────────────────────────
 [芝1600〜1800m] 5-4-9-49 連対率13.4% 複勝率26.9%
 [芝2000〜2400m] 1-2-1-35 連対率 7.7% 複勝率10.3%
 [芝2500〜3400m] 2-3-0-15 連対率25.0% 複勝率25.0%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 0-1-0-6 連対率14.3% 複勝率14.3%
 [中央G2] 1-2-1-20 連対率12.5% 複勝率16.7%
 [中央G3] 3-4-3-26 連対率19.4% 複勝率27.8%
 [OP特別] 3-1-4-32 連対率10.0% 複勝率20.0%
 [条件戦] 1-0-2-18 連対率 4.8% 複勝率14.3%

・注目出走パターン
 [買い] ハンデ56キロ以上の前走エプソムC組(連対率36.4%、複勝率54.5%)
 [全滅] 騎手が乗り替わりとなる7歳以上馬(0-0-1-28)
 [不振] 継続騎乗となるハンデ55キロ以下馬(0-2-2-26)
 [不振] ハンデ54キロ〜55キロの牡馬(1-1-5-34)
 [不振] 前走で芝2000m〜2400m戦に出走(1-2-1-35)

 コースデータでは順当決着傾向が強かったが、七夕賞のレースデータでは馬連平均配当が8209円にまで上昇。1番人気馬は強いが、それ以外の人気馬はかなりアテにならず、自然とヒモ荒れ決着が増えている。ふたケタ人気馬の激走例も多く、波乱傾向が強めのレースといえるが、来るパターンと来ないパターンはかなり見抜きやすい。

 目立っているのが、3着以内馬に占める「追い込み脚質」の多さだ。馬場コンディションがいい時期の開催ながら、4角10番手以下から馬券に絡んだ馬が7頭も出ており、意外に侮れない。1着に関しては先行脚質から出るケースがもっとも多いのだが、2着〜3着のヒモは脚質を問わず、後方からでも平気で突っ込んでこれるレースである。

 続いて年齢別成績。3歳〜6歳に関しては差がないのだが、7歳以上馬は大きな割引が必要となる。とくに騎手が乗り替わる7歳以上馬は大不振で、今回これに該当しそうなダイワファルコンは扱いが難しい。それなりに人気を集めそうなことを考えると、消したほうが美味しそうな印象だが、どうか。

 次にハンデだが、これはもう「背負っている馬が強い」で確定。軽ハンデの馬も来るには来るが、ハンデ56キロ以上馬が[6-5-4-35]で複勝率30.0%と、圧倒的に優勢である。ハンデ55キロ以下馬に関しては、ほかによほどポジティブな材料でもないかぎり手を出しづらい。

 驚いたのが枠番別データ。外枠不利についてはコースデータの解説でも触れたが、レースデータではそれに輪をかけて内枠優勢。1枠〜4枠と5枠〜8枠で比較しても、前者が後者を圧倒している。なかでも枠番値が+0.9と超優秀な1枠〜2枠は大注目で、ふたケタ人気馬でもヒモで押さえて損はないはず。かなり内枠重視の姿勢で予想を進めたい。

 あとは、圧倒的に西高東低であることや、距離延長組が非常に強く、前走で芝2000m〜2400m戦に出走していた馬の信頼度が低いのも、ぜひ押さえておきたいポイント。ふるいにかけられるファクター数が多いので、波乱傾向の強いレースながら、買い&消しのジャッジはスムーズに進められるはずだ。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 引き続きAコースで時計もそれなりに速め。まだ先行勢&内枠有利の状態か。

・天候予測
 台風の進路と速度次第も中間の降雨量はかなりのもので、回復するかは微妙。

・勝利数トップ種牡馬
 ステイゴールド 勝率11.8% 連対率13.7% 複勝率17.6%

・著者の注目血統
 チーフベアハート産駒◎、ハーツクライ産駒○、ロージズインメイ産駒▲、ゼンノロブロイ産駒△、ジャングルポケット産駒△

 やはり気になるのが台風8号の影響だ。勢力を弱めつつあるとはいえ、このままいけば本州を直撃するルート。福島に関しては、土曜日の競馬開催が危ぶまれる部分もある。また、福島競馬場近辺では現在でもかなりの降雨量をマークしており、これが土曜日まで降り続くと、一気に泥んこ馬場へシフトするかもしれない。

 血統に関しては、何より重視したいのがディープインパクト産駒の不調だ。2011年以降でのべ63走して[1-8-6-48]で勝率わずか1.6%。連対率や複勝率も、ディープインパクト産駒としては低い水準である。福島芝が不得手であるのは間違いなく、昨年ダコールが人気を裏切った(2番人気5着)のも当然の結果。今年も、過剰な期待は禁物と見る。

★総論×各論

 宝塚記念にも登録していたマイネルラクリマだが、予定を延ばして、昨年も制しているこのレースへと矛先を向けてきた。香港帰りの前走エプソムCでも2着に好走しており、その能力や適性から、宝塚記念に出ていても好走できたのではないか──と思えるほど。当然、ここも好走必至と見ている。

 58キロのトップハンデを背負うが、七夕賞が「背負った馬が強いレース」であるのは、すでに説明した通り。臨戦過程から血統に至るまで、プラス評価となった項目のオンパレード。もし関西馬であれば、その評価は冗談抜きで100点満点になっていたところだ。これで内枠を引き当てれば、軸には迷わずこの馬を指名したい。

 二番手評価にラブリーデイ。こちらも、大きな割引材料はいっさい見当たらず、それでいてプラス評価の項目が多いという好走必至のパターン。マイネルラクリマのほうが頭ひとつ高い評価となったが、三番手以下は大きく引き離している。当データ分析では、マイネルラクリマとラブリーデイの「二強対決」という図式となった。

 以下は、三番手評価にメイショウナルトで、四番手にダコール。ここまでが上位評価組で、押さえにマデイラとアドマイヤブルー。人気の一角となりそうなダイワファルコンは、プラス評価の項目数がもの足りず、今回に関しては「消し」ジャッジとなった。コスモバルバラ、ステラウインドあたりも「買い」にはちょっと材料が足りない印象だ。

 というわけで、今年は順当決着となりそうな七夕賞。多少なりとも高配当を狙うなら、3着のヒモ荒れを狙うか、1枠〜2枠の人気薄を片っ端から買うかだろう。いずれにせよ、1枠〜4枠を重視する姿勢だけは崩さないほうがいい。

■プロキオンS(G3・中京ダ1400m)フルゲート16頭/登録40頭

 中京ダ1400mで開催されるようになって、今年でようやく3年目を迎えるプロキオンS。今年も大挙40頭が登録しており、フルゲートとなるのは確実だ。人気を集めるのは、ベストウォーリア、ノーザンリバー、シルクフォーチュン、コーリンベリー、キョウワダッフィー、アドマイヤロイヤルあたりと思われる。

 まずはコースの特徴だが、ダートの短距離戦としてはかなり差し優勢。未勝利戦だとさすがに前で決まるが、クラスが上がると差し馬が一気に台頭してくる。東京ダ1600mあたりと比較しても見劣らないほど、高いレベルの瞬発力が要求されるコースである。実際にこのレースで好走しているのも、その多くが差しタイプだ。

 この理由から、前に行きたいコーリンベリーやスリーボストン、サクラレグナム、サマリーズ、メイショウコロンボなどは割り引いて考えたいところ。一昨年はトシキャンディが人気薄で逃げ切っているが、それ以外は人気馬がキッチリ上位に来ているレース。今年のメンツで一昨年の再現を願うのは、かなり難しいと思われる。

 というわけで、今年の上位評価組はキョウワダッフィーノーザンリバーベストウォーリアアドマイヤロイヤルの4頭。人気薄では、ワイドバッハとゴールスキーの2頭を注目馬にあげておきたい。かなり雑な分析だが、この6頭ですんなり決まる確率は、けっして低くないはずである。

※コースデータ&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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