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父の評価を上げる/函館記念

  • 2014年07月19日(土) 18時00分


距離はこのくらいの方が向く

 G3重賞の中ではレベルの高い組み合わせになることが多いレースらしく、今年はハンデ57キロ以上の馬が6頭もそろった。先週の七夕賞は3頭。

 といって、G3ならトップハンデ格に相当する57キロ以上の、いわゆる実績で勝るグループの成績がいいのかとなると、最近10年、57キロ以上のハンデ妥当とされて勝った馬はたった2頭だけ。夏の北海道シリーズのハンデ重賞であり、ここが夏の目標のひとつという馬はいっぱいいても、この重賞こそが最大目標の馬は少ない。

 秋に向けての展望を広げたい5歳ステラウインド(父ゼンノロブロイ)に期待する。

 ここまでフランスのドラール賞G2の1950m以外の17戦はすべて距離2000m以上を選んでいるが、もっとも成績がいいのは【3-1-0-2】の成績を残す2000mである。1800m級でもいいのではないかとも思える。

 父ゼンノロブロイは、秋の古馬3冠「天皇賞(秋)…ジャパンC…有馬記念を」3つとも完勝し、有馬記念は大レコードの2分29秒5で楽勝だった。サンデーサイレンスの有力後継種牡馬となった同馬への期待は大きく、最初から200頭前後の交配数をこなし、産駒もそれなりの活躍をしているが、産駒が3歳に達した2010年以降の種牡馬ランキングは「13、14、14、14、12位…」。他のサンデーサイレンスの有力後継種牡馬に遅れを取りはじめている。種付け頭数はどんどん減りそうである。

 ゼンノロブロイは2000m以上を平気でこなしたが、長距離型という血統背景ではなく、母方はスピード系にも近い。産駒に伝える影響力の強さとは関係なく、ゼンノロブロイが次代に伝えるのは万能の競走能力ではなく、マイラーに近い特質ではないかと思われる。このステラウインドも2000mを超す距離をやめ、2000mに出走したら1分58秒1(上がり34秒0)で勝った。サンテミリオン、今回対戦するバウンスシャッセは2400mのオークスで好走しているが、それは距離適性などとくに問われない3歳牝馬同士の春のこと。種牡馬ゼンノロブロイの評価が低くなりつつあるのは、その産駒を2000mを超す距離に挑戦させることが多いからではないか、とも考えられるのである。

 といって、軽快なスピード系ともいえないところにゼンノロブロイの案外な不振の原因がありそうだから難しいが、今回のステラウインド、バウンスシャッセはこの2000mでいいところを示し、父ゼンノロブロイの評価落ちに反撃したい。

 たまたまだが、日曜中京11Rのハートビートソング(父ゼンノロブロイ)も、最近連続した2000m以上ではなく、1800mに出走する。1800mではホッコータルマエと0秒5差の1分50秒2があるから、これも正解ではないかと思える。

 日曜福島8Rのレッドルシアン(父ゼンノロブロイ)は、2000m→1600m→1400m→1200mと距離短縮の試行で答えを出しかかっている。

 ネタに困っただけのこと。別に種牡馬ゼンノロブロイに肩入れする理由はないが、交配相手の牝馬にもっとスピード色の濃い牝馬を選び、父の競走成績にとらわれて産駒の出走レースも2000m以上にこだわったりしなければ、ウワサされるような種牡馬ゼンノロブロイの評価が急に低くなることはないと感じただけである。函館記念は、あっさりならグランデッツァだろうが、距離短縮に傾いた54キロの伏兵ステラウインドを買いたい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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