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波乱傾向の強いレースも今年は順当決着か/小倉記念

  • 2014年08月06日(水) 18時00分
■小倉記念(G3・小倉芝2000m)フルゲート18頭/登録17頭

【コース基本情報】小倉芝2000m Aコース使用
・コース回収率
 [やや低め] 単勝64%・複勝68% 11番人気以下はきわめて期待薄

・馬連万馬券出現率
 [やや低め] 10.8%(平均値↓1.6% 馬連平均配当5500円)

・枠番別複勝率(16頭立て以上)
 [1枠〜3枠] 勝率 7.7% 連対率13.6% 複勝率21.1% 複回率 75% 枠番値+0.2
 [4枠〜6枠] 勝率 5.7% 連対率11.9% 複勝率16.5% 複回率 60% 枠番値-0.2
 [7枠〜8枠] 勝率 3.8% 連対率 9.0% 複勝率14.7% 複回率 66% 枠番値±0
 →綺麗に「内>中>外」という順番で並ぶ。内枠はかなり有利といえそう。

・脚質別信頼度
 先行>差し>>逃げ>>追込 勝率が高いのは差し馬も信頼度は先行馬が上。

・推定ラップ&タイム
 [前傾] 34.5-48.0-34.9=1.57.4 速いラップが最後まで継続して刻まれる

 ホームストレッチ側のポケットからスタート。スタンド前を長く走ってから最初のコーナーへと入るコース形態であり、枠番による有利・不利があまりなさそうな印象を受ける。しかし、実際にはかなり内枠有利なコースであるのは、枠番別複勝率を見ればハッキリ。複勝回収率や枠番値も、内枠がいちばん高い。

 ひと癖あるコースだが、コース全体での回収率は単勝64%、複勝68%と低めの水準。これは、11番人気以下馬が[2-6-8-633]で勝率0.3%、連対率1.2%と大不振であるのが要因である。人気薄で狙えるのは10番人気までで、超大穴を狙うのはリスクが高まるばかり。馬連万馬券の出現率も全体平均以下で、ブンブン振り回すのはオススメしかねる。

 脚質に関しては明白に先行有利。アタマを決め打つなら差し馬狙いのほうがいいが、連対率や複勝率、複勝回収率などから判断するに、連軸には先行馬がベストであるはず。内枠からスッと出していける人気馬であれば、高い確率で馬券絡みが期待できそうだ。追い込み脚質は、小回りかつ直線が短いコースでもあり、評価をかなり割り引きたい。

 序盤からそれなりに速いラップが刻まれ、中盤でも緩まないまま勝負所に突入するという、持久力が要求される流れ。芝の中距離戦ながら前傾となるケースも多く、瞬発力特化型の馬だと、人気でもコロッと負ける可能性アリだ。必要なのは、速いペースでもしっかり踏ん張れる底力。その有無を、近走内容からしっかり見極めたい。

【レース基本情報】小倉記念(G3)過去10年
・レース平均配当
 単勝1327円 馬連8194円 3連複5万6493円

・1番人気馬成績
 [2-3-2-3] 勝率20.0% 連対率50.0% 複勝率70.0%

・3番人気以内馬成績
 [5-5-3-17] 勝率16.7% 連対率33.3% 複勝率43.3%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [4-4-5-47] 勝率 6.7% 連対率13.3% 複勝率21.7%

・10番人気以下馬成績
 [1-1-2-53] 勝率 1.8% 連対率 3.5% 複勝率 7.0%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 40.0% [差し] 40.0% [追込] 10.0% [マクリ] 10.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 3.3% [先行] 43.3% [差し] 33.3% [追込] 13.3% [マクリ] 6.7%

・年齢別成績
 [3歳馬] 0-1-0-1 連対率50.0% 複勝率50.0%
 [4歳馬] 1-3-0-14 連対率22.2% 複勝率22.2%
 [5歳馬] 6-2-8-31 連対率17.0% 複勝率34.0%
 [6歳馬] 1-3-2-33 連対率10.3% 複勝率15.4%
 [7歳↑] 2-1-0-38 連対率 7.3% 複勝率 7.3%
 ───────────────────────
 [5歳以下] 7-6-8-46 連対率19.4% 複勝率31.3%
 [6歳以上] 3-4-2-71 連対率 8.8% 複勝率11.3%

・性別成績
 [牡馬] 8-9-9-102 連対率13.3% 複勝率20.3%
 [牝馬] 2-1-1-15 連対率15.8% 複勝率21.1%

・牡馬斤量別成績
 [51キロ以下] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%
 [52〜53キロ] 1-1-2-23 連対率 7.4% 複勝率14.8%
 [54〜55キロ] 3-3-3-39 連対率12.5% 複勝率18.8%
 [56〜57キロ] 3-4-2-28 連対率18.9% 複勝率24.3%
 [57.5キロ↑] 1-1-2-7 連対率18.2% 複勝率36.4%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 勝率 8.7% 連対率13.0% 複勝率19.6% 複回率 88% 枠番値+0.1
 [4枠〜6枠] 勝率 1.8% 連対率16.4% 複勝率20.0% 複回率 94% 枠番値-0.1
 [7枠〜8枠] 勝率10.9% 連対率10.9% 複勝率21.7% 複回率102% 枠番値+0.1

・厩舎所属別成績
 [美浦] 0-0-1-5 連対率 0% 複勝率16.7%
 [栗東] 10-10-9-112 連対率14.2% 複勝率20.6%

・前走距離別成績
 [芝1600m] 1-0-2-9 連対率 8.3% 複勝率25.0%
 [芝1800m] 2-2-4-35 連対率 9.3% 複勝率18.6%
 [芝2000m] 5-7-2-61 連対率16.0% 複勝率18.7%
 [芝2200m] 0-0-1-2 連対率 0% 複勝率33.3%
 [芝2400↑] 2-1-0-3 連対率50.0% 複勝率50.0%
 [ダート戦] 0-0-1-6 連対率 0% 複勝率14.3%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 1-1-1-2 連対率40.0% 複勝率60.0%
 [中央G2] 2-0-0-6 連対率25.0% 複勝率25.0%
 [中央G3] 6-7-3-65 連対率16.0% 複勝率19.8%
 [OP特別] 0-0-3-18 連対率 0% 複勝率14.3%
 [条件戦] 1-2-3-24 連対率10.0% 複勝率20.0%

・注目出走パターン
 [買い] 今回斤量増となる馬(連対率25.0%、複勝率37.5%)
 [買い] 前走ひとケタ人気の5歳以下馬(複勝率32.7%、複勝回収率153%)
 [不振] 前走ふたケタ人気馬(1-1-1-39)

 単勝1327円、馬連8194円、3連複5万6493円という平均配当を見てもわかるように、かなり波乱傾向の強いレース。1番人気馬は[2-3-2-3]で複勝率70.0%と高い信頼度を誇っているのだが、それでもアタマで来る確率は低め。人気薄が1着に激走する確率は、コースデータよりもかなり高いといえそうだ。

 脚質についてはコースデータと同じく「先行馬>差し馬」と考えてよさそう。逃げて馬券に絡んだのは2004年2着のメイショウバトラーだけなのだが、その直後に控える先行勢は非常に強い。それに次ぐのが差し馬だが、これが追い込み馬になると信頼度が一気に低下。こちらは基本「消し」がセオリーである。

 年齢別では5歳以下馬が圧倒的優勢。6歳以上馬との比較で、連対率にして10%以上、複勝率では20.0%も上回っているのだから、どちらを優先すべきかは言うまでもない。また、真夏の暑い時期のレースながら、それほど牝馬が強いワケでもないのも特徴。牡馬と牝馬の成績は、ほぼ互角である。

 問題なのが枠番で、6枠〜8枠に入った馬の勝率が妙に高い。コースデータとは傾向がガラッと変わっているのが、ちょっと気がかりだ。これだけを見ると外枠を買いたくなってしまうが、信頼度は母数の多いコースデータのほうが上。たまたま外枠の好走が多いだけで、実際には内枠有利・外枠不利だと結論づけたい。

 好走条件&凡走条件が多岐にわたっており、狙い目が非常に絞り込みづらいレース。そんな中にあって数少ないハッキリしているのが「ハンデが重い馬のほうが信頼できる」という点だ。ハンデの重さと好走率の高さが正比例しており、注目パターンにあげた「今回斤量増となる馬」も、かなり狙い目。斤量は、かなり重視すべきファクターである。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 まだ2週目で引き続き良好な馬場コンディション。差しも適度に決まる。

・天候予測
 週末まで雨が降り続く見込みで、不良馬場となる可能性も高そう。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率19.2% 連対率31.7% 複勝率33.7%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ハーツクライ産駒○、キングカメハメハ産駒▲

 水はけのいい小倉の芝コースだが、日曜日まで延々と雨が降り続くとなると、かなり重い馬場になる可能性が高そう。土曜日のレースで一気にダメージを受けて、小倉芝としてはかなりパワーが要求される馬場になるかもしれない。土曜日のレース結果と天候の変化を、当日までしっかりチェックしておく必要アリだ。

 好走率の高さはディープインパクト産駒、ハーツクライ産駒、キングカメハメハ産駒が当コースの「三強」。ディープインパクト産駒とハーツクライ産駒に至っては連対率30%以上であり、その適性の高さは図抜けている。ネオユニヴァース産駒やマンハッタンカフェ産駒も悪くはないが、三強との比較ではかなり見劣る。

★総論×各論

 小倉記念が波乱傾向の強いレースであるのは前述した通りだが、登録馬から判断するに、今年はけっこう堅めの決着になるのでは──というのが現時点での見解。というのも、重いハンデを背負う実績馬が、その他の項目でもプラス評価を多く獲得しており、対照的に穴馬の評価が伸びていないからである。

 トップ評価は、天皇賞(春)以来となるラストインパクト。スッと好位につけられるセンスのよさが光っており、ハンデも57キロとしっかり。4歳馬であることやディープインパクト産駒であることなど、好材料が目白押しである。休養を挟んだゆったりしたローテも、このレースについてはプラス評価の対象。好勝負可能と見る。

 二番手評価に、前走の七夕賞でその力を再確認したメイショウナルト。気ムラなところがあるので今回も過信は禁物だが、トップハンデ57.5キロと前走から「斤量増」で、こちらも前々で粘り込むタイプ。昨年の勝ち馬でもあり、夏の時期に強いのもよく知られていること。こちらもやはり、高く評価してしかるべきだ。

 三番手評価は、中日新聞杯を制して勢いに乗るマーティンボロ。こちらもメイショウナルトと同様に数少ない「斤量増」であり、ディープインパクト産駒の5歳馬であるのもプラス評価の対象だ。重い馬場がネガティブな方向に出てしまいそうだが、このところの充実度は本格化を感じさせるもの。小倉芝実績も十分で、やはり怖い。

 ここまでの3頭が上位評価組で、以下は、サトノノブレス、タガノグーフォ、ローゼンケーニッヒ、ダコール、ニューダイナスティといった評価の序列。人気サイドの勝率が低いレースなので過信は禁物だが、それでも「わりと順当」に決着する公算が、今年に関しては高いと思われる。

 あとは「1枠〜3枠から先行できる馬」という条件に、どの馬が該当するか次第。これに、ソコソコの斤量を背負う中穴人気馬が該当してくれるようだと面白い。レースデータでは外枠が好調も、実際には内枠有利・外枠不利であるというのが、当データ分析のファイナルアンサー。最終的なジャッジは、かなり内枠重視の姿勢で行うつもりである。

■レパードS(G3・新潟ダ1800m)フルゲート15頭/登録22頭

 2009年に新設され、今年で6年目を迎えるレパードS。その最大の特徴が「アホほど順当に決まる」ということだ。3番人気以内馬はトータル[5-3-3-4]で、連対率53.3%、複勝率73.3%という超高信頼度。7番人気や12番人気が3着に来たケースもあるが、荒れるか荒れないかでいえば「ものすごく荒れない」部類のレースといえる。

 その要因は、ジャパンダートダービー組と古馬1000万好走組しか来ないこと。これらの条件を満たす時点で、人気を集めるのは確実だからである。昨年も、前走で古馬1000万下を勝っていたインカンテーションとサトノプリンシパルのワンツーで、3着はジャパンダートダービー3着のケイアイレオーネである。

 今年はそこにユニコーンSの好走馬も付け加えるべきだろうが、問題はそこで12着に大敗していたアジアエクスプレスの扱い。今回も人気の一角となりそうだが、データ的に「買い」といえる材料は見当たらず、新潟ダ1800mに向く先行力もそれほど備えていない。よって「消し」で勝負をオススメしたい。

 上位評価組は、前走で古馬1000万下を制しているアスカノロマンスピナッチ、ジャパンダートダービーで僅差の4着だったノースショアビーチ、ユニコーンSを制したレッドアルヴィスの4頭。押さえで「1000万下好走組」であるアナザーバージョン、グレナディアーズ、ジャッカスバーク、メイショウイチオシまで。ひねらず素直に買うのが、このレースで好結果を呼び込むコツといえる。

※コースデータ&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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