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この舞台で二強は並び立たず/札幌記念

  • 2014年08月20日(水) 18時00分
■札幌記念(G2・札幌芝2000m)フルゲート16頭/登録15頭

【コース基本情報】札幌芝2000m Aコース使用
・コース回収率
 [標準] 単勝73%・複勝78% 中穴人気の期待値が非常に高く注目

・馬連万馬券出現率
 [標準] 13.8%(平均値↑1.4% 馬連平均配当6216円)

・枠番別複勝率(16頭立て)
 [1枠〜2枠] 勝率 6.6% 連対率16.8% 複勝率23.5% 複回率 99% 枠番値+0.1
 [3枠〜4枠] 勝率 9.2% 連対率14.8% 複勝率21.4% 複回率 78% 枠番値+0.4
 [5枠〜6枠] 勝率 4.6% 連対率 9.7% 複勝率15.8% 複回率 70% 枠番値±0
 [7枠〜8枠] 勝率 4.6% 連対率 9.3% 複勝率14.9% 複回率 65% 枠番値-0.4
 ────────────────────────────────────
 [01番〜08番] 勝率 7.9% 連対率15.8% 複勝率22.4% 複回率 88% 枠番値+0.2
 [09番〜16番] 勝率 4.6% 連対率 9.5% 複勝率15.4% 複回率 68% 枠番値-0.2
 →信頼度も回収率も綺麗に「内>中>外」の序列でハッキリと内枠が有利

・脚質別信頼度
 先行>差し>逃げ>>捲り>>追込 勝ち負けには4角9番手以内の位置が必要

・推定ラップ&タイム
 [底力勝負] 34.8-49.6-35.2=1.59.6 クラスが上がるほど前後半が均等に

 正面スタンド前の4コーナー奥ポケットからの発走で、最初の直線に入るまでの距離が約380mとかなり長め。さらにコーナー部分も函館に比べて格段に大回りと、いっけん枠番による有利・不利が小さそうな札幌芝2000m。しかし、実際にはかなり内枠有利であり、外枠に入った馬は大幅な割引が必要となる。

 それを証明するのが、16頭立てにおける枠番別成績。単純に内外を比較するだけでも、連対率で6%以上、複勝率では7%もの差が出ており、複勝回収率や枠番値などを見ても、内枠優勢であるのは明らかだ。なかでも好成績なのが馬番1番〜3番を引いた馬で、複勝率27.2%、複勝回収率120%という高期待値となっている。

 また、人気別成績で「4番人気〜6番人気」が異様なまでに強いというのも、当コースの特徴。人気の盲点となりやすいゾーンなのだが、その信頼度は上位人気と比較しても、まったく遜色がないほどだ。3番人気以内馬も悪くない成績ではあるが、過信は禁物。中穴人気から入る馬券のほうがベターといえる。

 最後の直線が短いコースなので、追い込み一辺倒の馬だと厳しくて当然。クラスが上がって道中のペースが速くなったとしても、前有利は歴然である。後方に置かれた場合は、3コーナーあたりから自力でマクリを打って、直線では前を射程圏に入れていることが、勝ち負けの必要条件。ハープスターにこの競馬ができるかどうかは、前例がないだけにけっこうビミョーだと思われる。

【レース基本情報】札幌記念(G2)札幌過去10年
・レース平均配当
 単勝1016円 馬連6960円 3連複6万1336円

・1番人気馬成績
 [4-3-0-2] 勝率44.4% 連対率77.8% 複勝率77.8%

・3番人気以内馬成績
 [4-4-6-13] 勝率14.8% 連対率29.6% 複勝率51.9%

・4番人気〜6番人気馬成績
 [3-2-1-21] 勝率11.1% 連対率18.5% 複勝率22.2%

・7番人気〜9番人気馬成績
 [2-1-1-23] 勝率 7.4% 連対率11.1% 複勝率14.8%

・10番人気以下馬成績
 [0-2-1-42] 勝率 0% 連対率 4.4% 複勝率 6.7%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 11.1% [先行] 33.3% [差し] 55.6% [追込] 0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 11.1% [先行] 44.4% [差し] 44.4% [追込] 0%

・年齢別成績
 [3歳馬] 1-1-0-7 連対率22.2% 複勝率22.2%
 [4歳馬] 3-2-2-16 連対率21.7% 複勝率30.4%
 [5歳馬] 4-4-4-22 連対率23.5% 複勝率35.3%
 [6歳馬] 1-1-0-23 連対率 8.0% 複勝率 8.0%
 [7歳↑] 0-1-3-31 連対率 2.9% 複勝率11.4%
 ───────────────────────
 [5歳以下] 8-7-6-45 連対率22.7% 複勝率31.8%
 [6歳以上] 1-2-3-54 連対率 5.0% 複勝率10.0%

・性別成績
 [牡馬] 5-7-8-90 連対率10.9% 複勝率18.2%
 [牝馬] 4-2-1-9 連対率37.5% 複勝率43.8%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 勝率 7.7% 連対率11.5% 複勝率15.4% 複回率 51% 枠番値+0.1
 [3枠〜4枠] 勝率10.0% 連対率30.0% 複勝率43.3% 複回率160% 枠番値+1.7
 [5枠〜6枠] 勝率 8.8% 連対率14.7% 複勝率23.5% 複回率 97% 枠番値-0.2
 [7枠〜8枠] 勝率 2.8% 連対率 2.8% 複勝率 5.6% 複回率 8% 枠番値-1.3
 ────────────────────────────────────
 [01番〜08番] 勝率 9.9% 連対率19.7% 複勝率28.2% 複回率 94% 枠番値+0.7
 [09番〜16番] 勝率 3.6% 連対率 7.3% 複勝率12.7% 複回率 55% 枠番値-0.9

・厩舎所属別成績
 [美浦] 0-5-4-38 連対率10.6% 複勝率19.1%
 [栗東] 9-4-5-61 連対率16.5% 複勝率22.8%

・前走距離別成績
 [芝1600m] 0-1-0-3 連対率25.0% 複勝率25.0%
 [芝1800m] 3-3-1-16 連対率26.1% 複勝率30.4%
 [芝2000m] 3-2-3-55 連対率 7.9% 複勝率12.7%
 [芝2200m] 2-1-2-3 連対率37.5% 複勝率62.5%
 [芝2400m] 1-1-0-5 連対率28.6% 複勝率28.6%
 [芝2500↑] 0-1-3-14 連対率 5.6% 複勝率22.2%
 [ダート戦] 0-0-0-3 連対率 0% 複勝率 0%
 ────────────────────────
 [距離延長] 3-4-1-19 連対率25.9% 複勝率29.6%
 [同距離戦] 3-2-3-55 連対率 7.9% 複勝率12.7%
 [距離短縮] 3-3-5-22 連対率18.2% 複勝率33.3%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 3-3-4-12 連対率27.3% 複勝率45.5%
 [中央G2] 0-0-0-9 連対率 0% 複勝率 0%
 [中央G3] 6-2-5-57 連対率11.4% 複勝率18.6%
 [OP特別] 0-1-0-16 連対率 5.9% 複勝率 5.9%
 [条件戦] 0-1-0-2 連対率33.3% 複勝率33.3%

・注目出走パターン
 [特注] 前走宝塚記念出走馬(連対率37.5%、複勝率62.5%)
 [買い] 5歳以下の関西馬(連対率26.8%、複勝率36.6%)
 [買い] 前走G1出走組(連対率27.3%、複勝率45.5%)
 [買い] 牝馬(連対率37.5%、複勝率43.8%)
 [不振] 前走で重賞以外に出走(0-2-0-18)
 [不振] 前走G1以外で4角を2番手以内で通過(0-0-2-17)
 [不振] 前走4着以下の6歳以上馬(0-0-2-25)

 秋を見据えた実力馬が毎年のように出走してくる札幌記念。それだけに順当決着傾向が強そうなものだが、平均配当は単勝1016円、馬連6960円と意外に高い数値。1番人気馬は[4-3-0-2]で複勝率77.8%と高い信頼度を誇るが、それ以外の上位人気は、かなりアテにならない印象を受ける。

 道中で厳しいラップが刻まれることもある影響か、脚質についてはコースデータよりもかなり差せる印象。とはいえ、追い込み馬は大不振であり、4角を10番手以下で通過した馬は[0-1-1-37]と、馬券に絡むのすら難しい。また、逃げ切るのもかなり難しく、結果的に好走するのは好位勢と中団待機組がほとんどだ。

 年齢別では、5歳以下馬と6歳以上馬とで明暗クッキリ。5歳以下馬がトータル[8-7-6-45]で連対率22.7%、複勝率31.8%と好調なのに対して、6歳以上馬は連対率5.0%、複勝率10.0%と低空飛行。一昨年は6歳馬フミノイマージンが制しているが、これはきわめてレアケースだといえる。狙うなら断然、イキのいい5歳以下馬がオススメだ。

 あとは、牝馬が[4-2-1-9]と猛烈に強いのも、札幌記念の大きな特徴。それ以外にも、関西馬の強さや内枠の強さ、前走G1組の強さなど、馬券の対象を絞り込めそうなデータがいくらでもあるレース。好走する馬、凡走する馬のパターンがかなりハッキリしているので、出走馬をデータ面からふるいにかけるのも簡単なはずである。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 開催が進むもタイムは変わらず速く、良好なコンディションが続く。

・天候予測
 中間で多少の降雨があるも週末は晴れ〜曇り。おそらく良馬場か。

・勝利数トップ種牡馬
 マンハッタンカフェ 勝率13.2% 連対率20.8% 複勝率30.2%

・著者の注目血統
 マンハッタンカフェ産駒◎、ステイゴールド産駒○、ディープインパクト産駒▲、ジャングルポケット産駒△

 開催が進むも、今のところ札幌芝は良好なコンディションを継続中。好タイムのレースが多く、しかも週末の天気が曇り〜晴れとなると、札幌記念でもかなり速い時計で決着しそうである。パワーよりも末脚のキレが要求される、洋芝にしてはかなり軽い馬場コンディションといえそうだ。

 種牡馬別では、勝率トップがマンハッタンカフェ産駒で、連対率トップがステイゴールド産駒、そして複勝率トップがディープインパクト産駒。洋芝でもあり、パワー型種牡馬の産駒が強さを見せるかと思われたが、素直に末脚のキレる血統を狙ったほうが効率がいいコースのようだ。それ以外では、人気薄での激走率が高いジャングルポケット産駒も注目株。9番人気以下での連対が3回もあるように、コース適性はかなり高そうである。

★総論×各論

 秋には凱旋門賞へ出走予定のゴールドシップとハープスターが登録してきた、今年の札幌記念。例年以上に注目を集めそうで、この2頭が人気の中心となることは間違いない。それに続くのが、トウケイヘイローやエアソミュール、ロゴタイプなど。伏兵も多く、かなり面白いレースが期待できそうだ。

 問題は、そのゴールドシップとハープスターの扱い。札幌芝2000mというコース、そして札幌記念というレースも展開的にはかなり前有利であり、後方待機組には「鬼門」といっても過言ではない条件。後方からでもマクリが打てるゴールドシップはともかく、徹底追い込み脚質であるハープスターに向いているとは絶対にいえない。

 ……というわけで、ハープスターはサクッと「消し」扱いに。「5歳以下の関西馬」「牝馬」「ディープインパクト産駒」「前走G1組」など、買い材料がいくらでも出てくる出走パターンではあるのだが、あの脚質によるマイナスの大きさはそれでも補いきれない。その能力の高さは認めつつ、ここは無印で勝負したいところである。

 トップ評価はゴールドシップ。こちらも脚質的には危なっかしい部分があるのだが、前走・宝塚記念で見せた新境地から、ここでも能力を発揮できると判断。先行さえ叶えば、宝塚記念で見せた能力の高さが黙っていない。また、過去に札幌での好走歴があり、馬場に対する不安がないのもプラス材料。1番人気ならば、ここは負けられない。

 あとは、エアソミュールトウケイヘイローの2頭も上位評価組。以下の評価順は、ロゴタイプ、ホエールキャプチャ、ラブイズブーシェ、アドマイヤフライト、タマモベストプレイといった序列となった。ハープスター以外はそう大きく紛れることはあるまい──というのが、当データ分析による現時点での見立てとなる。

 もっとも、札幌記念は枠番による影響が大きいレース。内枠に入るか、それとも外枠を引くかで、最終的な評価は大きく変わる。警戒すべきは、内枠から距離ロスなく好位〜中団で立ち回れそうな人気薄の存在。この条件に合致するような馬なら、人気薄でも一気に評価を上げてしかるべきである。

■北九州記念(G3・小倉芝1200m)フルゲート18頭/登録22頭

 昨年も6番人気のツルマルレオンと5番人気のニンジャで決着するなど、人気馬の信頼度の低さを見せつけた北九州記念。3番人気以内馬がトータル[1-4-4-15]で勝率4.2%という見事なまでのコケっぷりで、人気の中心となる前走重賞組も[2-1-5-63]で複勝率11.3%というとんでもない弱さ。当然、今年も穴狙いをオススメする。

 簡単に紹介すると「4歳以下」「牝馬」「前走条件戦」「ハンデ54キロ以下牡馬」「外枠」あたりが、このレースの好走条件。逆に「前走重賞組」「ハンデ56キロ以上牡馬」「7歳以上馬」「内枠」などが凡走条件で、狙うべきパターンは通常の重賞とはまるっきり異なっている。ひと言で表現するなら「若くて軽くて勢いのある外枠」を狙うべきレースが、北九州記念なのである。

 そういった視点から好走が期待できそうなのは、アイラブリリ、アルマリンピア、ニンジャ、メイショウイザヨイ、メイショウスザンナ、ワキノブレイブなど。なかでも、ハンデ54キロの4歳牡馬であるワキノブレイブには、特に注目したいところ。人気馬を目をつぶって消しつつ、前述の買い条件に合致する馬を積極的に買って、美味しい配当にありつきたいものだ。

※コースデータ&血統データは2009年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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