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ワンアンドオンリーは貫禄の横綱ではなく、スリリングな横綱かもしれない。

  • 2014年09月25日(木) 12時00分


神戸新聞杯
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ワンアンドオンリーをどこまで信用していいのだろう。
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【ダービー最先着馬が1番人気に支持されたら、2連レベルで絶大】
【ダービー最先着馬(目安5着以内)が1番人気以外だったら、3連レベルで信頼大】

去年はエピファネイアが1人気で1着した。
ダービー2着(最先着馬)の1人気で、それだけで信頼できたけれど、ダービー2着だけでなく皐月賞も2着しており、フロック的好走の要素も低かったから、絶大な信頼もできた。横綱相撲よりもっと格式のある土俵入りレースと見立ててみたけど、実際、よいしょ!ってな具合に危なげなく勝った。

今年はダービー1着のワンアンドオンリーが出走を予定している。
1人気も確定的だから、パターンで言えば『2連レベルで絶大』となろうか。

ちなみに過去12年で、
神戸新聞杯1人気は7-3-0-2
ダービー最先着馬の神戸新聞杯成績は7-4-1-0
ダービー最先着で、神戸新聞杯1人気は7-2-0-0
と、ダービー最先着馬の安定した強さがわかる。

つまり、ワンアンドオンリーは2連レベルでは相当信頼できそうといえるわけだ。
では、どこまで信頼していいのだろう?
信頼度MAX 土俵入り・直線で「よいしょ〜!」と合いの手を入れたくなるほどの楽勝
信頼度絶大 横綱相撲・貫禄の1着
信頼度大  連対・負けるにしてもタイム差なしの接戦

ワンアンドオンリー
ダービー3人気1着 皐月賞4人気4着

1人気1着した該当馬7頭
13年 エピファネイア ダービー3人気2着 皐月賞2人気2着
12年 ゴールドシップ ダービー2人気5着 皐月賞4人気1着
11年 オルフェーヴル ダービー1人気1着 皐月賞4人気1着
08年 ディープスカイ ダービー1人気1着 NHKマイル1人気1着
05年 ディープインパクト ダービー1人気1着 皐月賞1人気1着
04年 キングカメハメハ ダービー1人気1着 NHKマイル1人気1着
02年 シンボリクリスエス ダービー3人気2着 青葉賞1人気1着

1人気2着の該当馬2頭
10年 エイシンフラッシュ ダービー7人気1着 皐月賞11人気3着
06年 メイショウサムソン ダービー1人気1着 皐月賞6人気1着

2着に負けた2頭は、皐月賞、ダービーのどちらかで穴っぽい好走をしていた。1着馬たちが1人気で1着していたり、人気を背負って、好走していたのとは少し違う。
しかも負けた相手は、ダービー2着のローズキングダム、ダービー3着のドリームパスポートで、いわばダービーで凌ぎを削った馬に負けたわけだ。ちなみにどちらもクビ差2着だった。

ワンアンドオンリーは皐月賞4人気4着、ダービー3人気1着。皐月賞がほんの少し気になる。4人気ならば、人気以上に走って欲しかった気もする。
けれど、もっと大事なことはダービーで凌ぎを削った馬が神戸新聞杯に出走するかだろう。

今年神戸新聞杯に登録しているダービー出走馬はワンアンドオンリー以外に5頭いる。
スズカデヴィアス ダービー9着
サウンズオブアース ダービー11着
ハギノハイブリッド ダービー13着
トーセンスターダム ダービー16着
ウインフルブルーム ダービー出走取り消し

着順的にダービーで凌ぎを削り合った馬は1頭もいない。
強いてあげるなら、4角までは先行して、凌ぎ合ったトーセンスターダムか。
ただ皐月賞でも11着に負けており、過去歴からはなかなか推せない。
ならば、皐月賞で3着し、実際ワンアンドオンリーに先着したことになるウインフルブルームの方が戦法次第では面白そうとはいえる。
ダービーは出走取り消しで「まだわからない」部分を残しているからだ。

つまり、もし取りこぼすなら、相手は「まだわからない」ウインフルブルームか、
皐月賞、ダービーで、これまでの上がりを生かす競馬から先行競馬に突如戦法を変えて、惨敗したトーセンスターダムが、差しに戻して一変したときか。

とはいえ、そうは言っても、ウインフルブルームがダービーに出走できなかったことに変わりないし、トーセンスターダムが皐月賞・ダービーで惨敗したことにも変わりない。馬券圏内のチャンスがあるとしても、1着するのはそれなりのハードルにも思える。

定石どおりに考えれば、ワンアンドオンリーは信頼度絶大の横綱相撲、いや信頼度MAXの土俵入りを披露できる、いや披露せねばなるまい。そう思う。

しか〜し。しかしかしか〜〜〜し。

ワンアンドオンリーのデビュー以来の臨戦を見ていると、
ダービー最先着、それもダービー1着馬だとしても、なんだか胸騒ぎもする。ほちょ。

たとえば、過去のデータではあり得ないとしても、そのあり得ないデータを丸ごとぶっ壊す馬もいる。今ならディープインパクト産の強いのにそのパワーがある。
逆もまた真なり。いい意味でぶっ壊す馬がいるとしたら、よろしくない意味でぶっ壊す馬もいることになる。そういうものだろう。

ワンアンドオンリーで心配なのは、頼もしいはずの鞍上かもしれない。
メチャクチャ頼もしいけれど、同時にスリリングさもあるのが鞍上の横山典ではないか。

ダービーは、ワンアンドオンリーも強かったけれど、横山典のリスクを恐れない判断力と操縦技術が冴えた。皐月賞と同じ戦法ではイスラボニータを捕まえることは出来なかったはず。
その皐月賞では最後方から競馬をし、大外を突いて、4着だった。
自分には勝ち負けの競馬には見えなかった。何かを試す騎乗に見えた。もちろん、試すとは陣営の最大目標、悲願でもあったダービー制覇。実際、ダービーの手ごたえをつかんだという記事もあった。

つまり、絶対に勝ちたい目標レースでは頼もしいけれど、その過程、前哨戦においては頼もしさだけでなくある種の厳しさも同居しているように思えるのだ。
もし、陣営の大目標が秋は菊花賞だとしたら、どうであろう。
菊花賞を勝つための準備、確認作業なんぞを神戸新聞杯で仕掛けてくるかもしれない。うむ、やっぱり油断できない。

とはいえ、今回は間違いなく1人気だ。そうそうフリースタイルってわけにもいかないはずだ。だから正攻法で乗るのではないか?
そもそもワンアンドオンリーはデビューから一度も1人気になったことがない。当然、横山典が騎乗して1人気になったこともない。これまでは比較的自由に何かを試すことができていたかもしれないけれど、今回は違うのではないか。いくら菊花賞が目標だとしても、1人気の競馬もするのではないか。
そういう考え方もあろう。正直、そこは否定しきれない。

しかしどうであろう。
だとしても、どうなんだろう。

宝塚記念では1人気のゴールドシップを先行させ、外からねじ伏せるような操縦をした。でも宝塚記念はG1だし、点(取りあえず1回こっきり)の騎乗だった。結果的に札幌記念→凱旋門賞と線で騎乗することになったけれど、宝塚はその一点に集中した騎乗だったはずだ。

しかしワンアンドオンリーは違った。弥生賞の時からダービーまで任せる依頼だったとコメントにもあった。今回も少なくとも菊花賞まではお任せの依頼ではないか。
ゴールドシップにしても、線で騎乗するようになって、札幌記念では1人気にも関わらず、最後方競馬だった。何かを試みたようにも思えた。

それゆえにヒリヒリする。
過去のデータ上、1着する確率が相当高いはずなのに、なんだかドキドキしてしまう。
ダービー馬なのに、1人気なのに、ざわざわしてしまう。

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神戸新聞杯注目馬
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「本番が楽しみになる競馬をしてほしい」橋口師(デイリースポーツ)
このコメントからは、土俵入りとは言わずとも横綱相撲での勝ち負けを期待しているようにも読める。
でも同時にやっぱり大目標は菊花賞であることも読み取れる。
というわけで、ワンアンドオンリーには菊花賞を勝つために試しておきたいことがまだあると想定してみたい。それはつまり、2着付け、いや3着付けのドキドキを体感してみたいということだ。
頼むよん、横山典!

サトノアラジン 好みの臨戦。ここで3着だと菊花賞でも狙いたくなる。
トーセンスターダム 馬券圏内に飛び込むなら1着、負けるなら着外か。
キネオペガサス 四位騎手得意の権利取り競馬がはまらないか。
ウインフルブルーム 実績どおりならワンアンドオンリーと接戦を演じられる筆頭のはず。


オールカマー
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牝馬をどこまで信用していいのだろうか。
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オールカマーは『誰の挑戦でも受ける』がウリのレースだったはずだけど、牝馬の挑戦は少なかった。

この10年でも7頭しかいない。
7頭出走して、0-0-2-5。
3着が最高。
05年 6人気3着エルノヴァ
06年 6人気3着ディアデラノビア

しかし今年は5頭が登録して、4頭が現状出走可能。
11年、12年に2頭ずつ出走してるのが最多出走だから、4頭出走となったら、それは大量出走とも言える。
平坦・新潟、しかも内回りなら切れ味で牡馬と対抗できるのではないか? そんな見立てか。
と同時に54キロで出走しやすくなったのも大きいか(2年前から54で出走しやすくなった。それまでは55キロ)。

もしそういうことなら、今年の牝馬はスルーしにくい。
アロマティコ
ラキシス
エバーブロッサム
アドマイヤギャラン
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サウンドリアーナ(除外対象)

特にアロマティコとラキシスは、
54キロで牡馬相手の重賞で善戦しており、ここは別定戦だけどチャンスありと陣営が見立てていても不思議ではない。

アロマティコ 小倉大賞典(G3)54 2人気5着
       巴賞(オープン)54 3人気1着
ラキシス 中日新聞杯(G3)54 3人気2着

2頭の人気は予想では現在、
5人気アロマティコ
6人気ラキシス
で、
過去3着に来た2頭の牝馬(6人気)と同じような注目度合いで、
ちょーどいい。

新潟平坦・内回り2200ということで、今年は牝馬を信用してみることにした。

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オールカマー注目馬
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アロマティコ
ラキシス

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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