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ワイルドフラッパーが人気に応え快勝 重賞3勝目/レディスプレリュード・大井

  • 2014年10月03日(金) 18時00分

(撮影:高橋正和)



本番も同じようなメンバーならワイルドフラッパーの天下か

 今年から牝馬限定戦となったブリーダーズゴールドCで、よもやの敗戦を喫したワイルドフラッパー。そのとき3馬身差をつけて勝ったサンビスタが今回も相手となったにもかかわらず、それでもファンはワイルドフラッパーを単勝1.5倍と信頼した。その前走が休み明けのプラス14kgで、本来の力を出してはいないと見たのだろう。そのとおり、ワイルドフラッパーは今回、きっちり巻き返しての勝利となった。

 松田国英調教師によると、前走は山元トレセンから函館競馬場へ輸送してという過程で調整が思い通りにいかなかったところがあったそうだ。そのレースから今回、わずか1kgしか減らなかった馬体重を心配するファンもいたようだが、「今回は重賞を勝った馬(ハギノハイブリッド)と3週間併せ馬で乗り込んで、それでマイナス1kgしか減らなかったところを見ると、まあ、うまくきていると思いました」と松田調教師。たしかに昨年秋にも520kg台で準オープンの観月橋Sを逃げ切って5馬身差の圧勝があり、続くオープンの2013フェアウェルSでもジェベルムーサの2着と好走していた。強めの調教で馬体重が変わらずというのは、むしろ状態上向きと判断すべきのようだ。

 1番枠に入って逃げると思われたサウンドガガがスタートで躓いてヒヤっとしたが、すぐに立てなおして出遅れというほどにはならず、難なくハナに立った。前5頭が中央勢で、うしろ5頭が地方馬。1コーナーに入る前に早くも力の差が見て取れた。1000m通過が62秒8で、7F目まですべて12秒台のラップを刻むという平均ペースは、どの馬も力を発揮できる流れだっただろう。それでもアレ?と思わせる場面はあった。3コーナー過ぎ、ワイルドフラッパーは蛯名騎手に懸命に追われ、ムチまで入れられていた。しかし直線ではじわじわと伸び、最後はサンビスタに1馬身3/4差をつけての勝利となった。

「この馬自身の力は出しているし、前走は相手が太かったんじゃないかな」という、サンビスタの岩田騎手のコメントからも、やはりワイルドフラッパーの前走はまったく力を発揮していなかったことがわかる。蛯名騎手はこれまでに一度、昨年10月の観月橋Sを勝ったときにワイルドフラッパーの手綱を取ったことがあり、そのときとの比較でも、「この馬の力はまだまだこんなものではない」と話していた。今春のエンプレス杯とマリーンCでは、ともに他馬をまったく相手にせずという圧勝だったが、やはりそれがワイルドフラッパーの本来の姿なのだ。

 迎えるJBCレディスクラシックでは、ダートも走る芝の重賞実績馬の参戦でもない限り、同じようなメンバーが相手では、ワイルドフラッパーの天下となりそうだ。

 個人的な予想の反省としては、スパーキングレディーCのレースぶりからサウンドガガを対抗にしてしまったが、直線馬群に飲み込まれて8着。決して厳しい流れではなく、マイペースで逃げての結果。この馬は距離的にはマイルが限界だったようだ。

 地方馬ではピッチシフターが最先着の5着。着順だけを見ると、ようやく掲示板を確保したかのようにも思えるが、タイム差がない2〜4着争いから2馬身差。6着のタッチデュールには5馬身差をつけている。もともと2歳時にはエーデルワイス賞で2着があり、昨年3歳時のJBCレディスクラシックは5着で地方馬として最先着。4歳になってのかきつばた記念では、4コーナーで先頭に並びかけようかという勢いがあっての4着。サマーチャンピオンは、勝ったエーシンビートロンからは離されたものの、3頭による接戦を制して2着。そして今回の5着は、勝ったワイルドフラッパーから4馬身ちょっとの差。ダートグレード戦線でも、条件や相手次第では十分に馬券として狙えることは覚えておきたい。かきつばた記念、サマーチャンピオンがそうだったように、狙いは道悪の小回りコースだろうか。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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