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ここは前走の「格」がモノを言う!/毎日王冠

  • 2014年10月08日(水) 18時00分
■毎日王冠(G2・東京芝1800m)フルゲート18頭/登録20頭

【コース基本情報】東京芝1800m Aコース使用
・コース回収率
 [やや低め] 単勝62%・複勝67% 人気薄の激走率が低く順当決着傾向

・馬連万馬券出現率
 [低め] 6.3%(平均値↓6.1% 馬連平均配当4679円)

・枠番別複勝率(18頭立て)
 [1枠〜3枠] 勝率 6.4% 連対率 9.3% 複勝率15.7% 複回率 67% 枠番値+0.2
 [4枠〜6枠] 勝率 4.4% 連対率12.3% 複勝率17.6% 複回率 82% 枠番値+0.3
 [7枠〜8枠] 勝率 5.9% 連対率11.8% 複勝率16.7% 複回率 56% 枠番値-0.4
 ────────────────────────────────────
 [01番〜09番] 勝率 6.5% 連対率10.8% 複勝率16.0% 複回率 61% 枠番値±0
 [10番〜18番] 勝率 4.6% 連対率11.4% 複勝率17.3% 複回率 76% 枠番値±0
 →内外差はないが内枠の勝率の高さは要注目。開幕週ならばなおさら。

・脚質別信頼度
 先行>差し>追込>逃げ 差しも決まるが有利なのは好位組

・推定ラップ&タイム
 [瞬発] 35.2−37.0−33.8=1.46.0 勝負所から一気に加速する瞬発力勝負

 伝統の一戦・毎日王冠の舞台となる東京芝1800m。1コーナーと2コーナーの間にあるポケットから斜めにバックストレッチへと進入するという、やや特殊な形態のコースである。やや内枠が有利そうな印象を受けるが、実際にはそうでもなく、枠番別成績もおおむねフラット。大橋巨泉氏の「府中の千八、展開要らず」という格言通り、クセのない公平性の高いコースだといえる。

 公平性が高いということは、展開に紛れがなく、強い馬が順当に勝つ可能性が高いということ。それは、コース回収率の低さや、馬連万馬券の出現率の低さにもしっかり現れている。特に驚きなのが馬連万馬券の出なさで、レースの開催数やフルゲートの頭数から考えても、出現率6.3%というのは驚異的な低さ。ここまで紛れがないコースは珍しい。

 大回りなのでコーナー部分でもスピードに乗せられるが、勝負は全長525.9m、高低差2.7mの直線に入ってから。中盤ゆったり流れて、勝負所から一気に加速するという、瞬発力勝負の流れになりやすいコースだ。下級条件であれば逃げ切りも可能だが、上のクラスでの逃げ切りは困難。かといって徹底的に差し優勢でもなく、好位〜中団やや前あたりがベストポジションである。

【レース基本情報】毎日王冠(G2)過去10年
・レース平均配当
 単勝1234円 馬連5305円 3連複4万5340円

・1番人気馬成績
 [3-2-1-4] 勝率30.0% 連対率50.0% 複勝率60.0%

・3番人気以内馬成績
 [5-5-2-18] 勝率16.7% 連対率33.3% 複勝率40.0%

・4番人気〜6番人気馬成績
 [3-3-2-22] 勝率10.0% 連対率20.0% 複勝率26.7%

・7番人気〜9番人気馬成績
 [2-1-3-24] 勝率 6.7% 連対率10.0% 複勝率20.0%

・10番人気以下馬成績
 [0-1-3-39] 勝率 0% 連対率 2.3% 複勝率 9.3%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 40.0% [差し] 40.0% [追込] 20.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 13.3% [先行] 30.0% [差し] 40.0% [追込] 16.7%

・年齢別成績
 [3歳馬] 2-3-0-7 連対率41.7% 複勝率41.7%
 [4歳馬] 1-3-4-23 連対率12.9% 複勝率25.8%
 [5歳馬] 4-3-0-37 連対率15.9% 複勝率15.9%
 [6歳馬] 1-1-3-14 連対率10.5% 複勝率26.3%
 [7歳↑] 2-0-3-22 連対率 7.4% 複勝率18.5%

・性別成績
 [牡馬] 10-7-10-102 連対率13.2% 複勝率20.9%
 [牝馬] 0-3-0-1 連対率75.0% 複勝率75.0%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 勝率 4.7% 連対率11.6% 複勝率20.9% 複回率 83% 枠番値+0.3
 [4枠〜6枠] 勝率12.2% 連対率22.4% 複勝率30.6% 複回率148% 枠番値±0
 [7枠〜8枠] 勝率 4.9% 連対率 9.8% 複勝率14.6% 複回率 33% 枠番値-0.3
 ────────────────────────────────────
 [01番〜06番] 勝率10.0% 連対率16.7% 複勝率25.0% 複回率 82% 枠番値+0.1
 [07番〜12番] 勝率 5.6% 連対率16.7% 複勝率24.1% 複回率124% 枠番値+0.1
 [13番〜18番] 勝率 5.3% 連対率 5.3% 複勝率10.5% 複回率 32% 枠番値-0.5

・厩舎所属別成績
 [美浦] 5-4-5-46 連対率15.0% 複勝率23.3%
 [栗東] 5-6-5-54 連対率15.7% 複勝率22.9%

・前走距離別成績
 [芝1400m] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝1600m] 3-7-3-35 連対率20.8% 複勝率27.1%
 [芝1800m] 1-0-1-11 連対率 7.7% 複勝率15.4%
 [芝2000m] 2-2-2-27 連対率12.1% 複勝率18.2%
 [芝2200m] 3-0-4-19 連対率11.5% 複勝率26.9%
 [芝2400m] 1-1-0-6 連対率25.0% 複勝率25.0%
 [芝3200m] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
 [ダート戦] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 7-6-3-37 連対率24.5% 複勝率30.2%
 [中央G2] 0-2-1-17 連対率10.0% 複勝率15.0%
 [中央G3] 1-1-6-39 連対率 4.3% 複勝率17.0%
 [OP特別] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%
 [条件戦] 1-0-0-3 連対率25.0% 複勝率25.0%
 [海外戦] 1-1-0-0 連対率 100% 複勝率 100%

・注目出走パターン
 [特注] 3歳馬ならびに牝馬(連対率50.0%、複勝回収率185%)
 [買い] 馬番01番〜08番に入った馬(複勝率28.8%、複勝回収率127%)
 [買い] 前走中央G1で4番人気以内(勝率26.7%、連対率53.3%)
 [不振] 前走G1組と前走海外組をのぞく、前走4番人気以下かつ4着以下(0-0-1-26)
 [不振] 前走馬体重459キロ以下馬(0-1-0-11)

 平均配当は、単勝1234円、馬連5305円と、ちょうど平均値あたり。中穴ゾーンである4番人気〜9番人気の好走率が高く、ふたケタ人気からも4頭が馬券絡みと、波乱も適度に期待できそうな内容である。コースデータは驚くほど堅かったが、毎日王冠というレースはそれよりは幾分、堅くはないといえそうだ。

 脚質については、コースデータの場合よりも、やや差し優勢になっている印象。逃げ切った馬は過去10年で1頭も出ておらず、やはり好位〜中団やや前あたりがベストポジション。後方からでも届かなくはないのだが、開幕週の馬場コンディションを考えると、追い込み一辺倒というタイプはちょっと狙いづらい。

 続いて枠番。毎日王冠は少頭数となるケースも多いので比較が難しいのだが、注目したいのが内枠の勝率の高さ。これはコースデータでも同様の傾向が見受けられており、外よりも内のほうがいいのは間違いない。馬番13番〜18番に入った馬が、連対率5.3%、複勝率10.5%と低空飛行であるのも、それを裏付けている。

 年齢別や性別で目立っているのが、3歳馬と牝馬の強さだ。これは、陣営が「毎日王冠にぶつけて勝負になる馬」を、しっかり吟味したうえで送り込んできているということ。他に出走できるレースがあるのに、強敵の集うここを使ってくるというのは、それでも好勝負できるという自信があってこそ。今年も、高く評価すべきだろう。

 中心となるのは「前走G1組」や「前走海外遠征組」で、前走G3〜条件戦に出走しているようでは厳しいレース。安田記念や宝塚記念からの出走が、もっとも信頼できるパターンである。ただし、3着馬に関しては「前走G3組」がいちばん多いというのが、このレースの特徴。連対馬は「格」で、3着馬は勢いで選ぶのがよさそうだ。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 開幕週のAコース。絶好の馬場コンディションで、内枠&先行有利か。

・天候予測
 またしても台風襲来。しかも台風19号は超強力で、週末直撃の可能性も。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率17.9% 連対率28.5% 複勝率40.8%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ダイワメジャー産駒○、フジキセキ産駒▲

 2週連続で台風襲来。しかも台風19号は「猛烈」な強さで、現在の中心気圧なんと900hPaという、シャレにならない勢力である。現在のところ、11日の15時には九州の南部に接近するという予測で、週末の3連休を直撃する可能性が大。特に12日(日)と13日(祝)に関しては、競馬どころではないというケースもありうる。台風の進路とスピード次第だが、ある程度の馬場悪化があると想定しておいたほうが、よさそうな状況だ。

 血統面は、ディープインパクト産駒が超優秀。集計期間内32勝と、勝利数2位のシンボリクリスエスやフジキセキに20勝もの大差をつけている。しかも179走もしていながら、複勝率40.8%という驚異的な信頼度の高さ。その適性の高さは「ぶっちぎり」といっても過言ではない。

 それ以外では、ダイワメジャー産駒とフジキセキ産駒もプラス評価の対象。それには見劣るが、ジャングルポケット産駒やアグネスタキオン産駒、ダンスインザダーク産駒、ゼンノロブロイ産駒なども好成績である。

★総論×各論

 長かった新潟開催が終わり、待ち遠しかった秋の東京開催が到来。台風の影響が気になるところだが、こればっかりは予測不可能。無事に開催できることを祈りつつ、論を進めていきたい。

 トップ評価は、ここも人気を集めるであろうワールドエース。この春には、屈腱炎から立ち直ってマイラーズCを快勝と、やはり力のあるところを見せている。東京コースは3戦していずれも4着以下だが、ダービー4着と安田記念5着ならば問題なし。ディープ産駒らしいマイルに向く末脚のキレで、好勝負が期待できそうだ。

 二番手評価に、3歳馬ロサギガンティア。NHKマイルCでは4着に終わったが、最後方から最速上がりで0秒1差まで詰め寄ったのだから、その性能は相当なモノ。開幕週で後方からの競馬となりそうな点を懸念して評価を少し割り引いたが、中団で流れに乗れるのであれば、ワールドエースを逆転できる可能性も秘めている。

 三番手評価はディサイファ。東京芝で4勝をあげており、春には今回と同コースのエプソムCを快勝と、コース適性の高さはバツグン。ディープ産駒らしい瞬発力の高さとセンスのよさで、この相手関係でも好走できる素地はある。前走の勝ちで詰めの甘さを払拭できたならば、さらなる前進があって驚けない。

 ここまでが上位評価組で、以下はスピルバーグ、ダークシャドウ。ウインマーレライ、グランデッツァといった序列。ダイワマッジョーレは意外に気がかりな点が多く、ロゴタイプもプラス評価となった項目が少なく、評価が伸び悩んだ。あとは、直前で枠番での評価の上げ下げをキッチリ行いたいところ。「馬番01番〜08番」ならばプラス、09番〜18番ならばマイナス評価である。

■京都大賞典(G2・京都芝2400m外)フルゲート18頭/登録13頭

 秋の天皇賞を目指して、G1馬トーセンラーとメイショウマンボを筆頭に、デスペラードやヒットザターゲットといった実績馬がここから始動。頭数が揃わないのはいつものことで、今年も少頭数でのハイレベルな一戦が期待できそうだ。

 前走で出走していたレースの「格」がモノをいうレースで、前走G1〜G2出走組を順当に高く評価すべき。なかでも強いのが前走宝塚記念組で、こちらは連対率37.5%、複勝率43.8%という高信頼度だ。それとは対照的に、前走でG3〜条件戦に出走していた馬は、トータル[3-1-4-37]で連対率8.9%、複勝率17.8%と低調。かなり割り引いて考えたい。

 また、5歳以下馬[10-5-7-43]で6歳以上馬[0-5-3-38]と、年齢別では5歳以下馬のほうが圧倒的に優勢。とくに1着候補については、5歳以下馬をかなり重視したほうがいい。また、速い上がりを使えることも好走の必要条件で、先行して粘るのはかなりキツいレース。中団から鋭い脚で差せるようなタイプを、ここは積極的に狙いたい。

 そうなると、もっとも買いやすいのはトーセンラーだが、6歳馬であるのがどうかというところ。ヒットザターゲットもまったく同じで、上位評価組ではあるのだがアタマでは買いづらい面がある。ここを1着ではなく2着や3着に固定し、その上でメイショウマンボフーラブライドラストインパクトあたりに流す馬券が、ここは面白そうである。

■いちょうS(新設重賞・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録13頭

 2歳重賞の路線整備にともない、今年から重賞への昇格を果たした、いちょうS。長らくオープン特別として親しまれてきたレースで、過去2年は1800mで開催されていたのだが、再び1600m戦に変更された上での重賞昇格となった。開催時期も少し早まり、秋の東京開催の開幕を告げるレースへとチェンジ。今後は、暮れのG1を目指す馬の登竜門として、さらにファンを楽しませてくれそうである。

 ところが、今年は登録が13頭と少なめで、オープンでの勝ち星があるのは、クローバー賞を制したトーセンラークのみ。札幌2歳Sで1番人気に推されたミッキーユニバースなども出走するが、やや小粒なメンバー構成といえそうだ。今回は、1600mで行われた2003年〜2011年のデータを元に、分析を進めたい。

 もっとも注目すべきは芝コースの新馬戦を勝ってきた1戦1勝馬で、トータル[5-3-4-12]で連対率33.3%、複勝率50.0%と絶好調。なかでも人気馬は非常に強く、3番人気以内に推された場合は連対率58.3%、複勝率75.0%という強烈な成績を残している。キャリア2戦の馬も成績は良好で、基本的に「レースキャリアが浅ければ浅いほどいい」という傾向にある。

 また、2歳戦ながら人気サイドが猛烈に強いというのも、このレースの特徴。集計期間内の連対馬はすべて5番人気以内で、6番人気以下馬はトータル[0-0-2-37]と惨憺たる成績。今年は少頭数でもあり、なおさら順当に決着する可能性が高いと思われる。大穴を狙って、ブンブン振り回すのには向かないレースなのだ。

 さらに、前走での上がりなども加味して考えると、サトノフラムネオルミエールの2頭が上位評価組で、人気薄ではオープンザウェイグァンチャーレマイネルグルマンの3頭が面白そう。ミッキーユニバースは上位人気が確実なだけに扱いが難しいが、ちょっと強調材料に欠ける印象である。

※コースデータ&血統データは2011年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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