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デムーロの呪い?

  • 2014年10月09日(木) 12時00分


毎日王冠

3歳のロサギガンティアが出走しそうだ。
今年の3歳フジキセキ産はラスト世代だけど、いわゆる「あたり」と言われるくらい頑張っている。
もちろん、あたりの印象をけん引しているのはイスラボニータだろう。
けれど、G2のスプリングSを勝ったロサギガンティアの活躍もあるから、あたりの印象が強くなっているのは間違いない。1頭の活躍だけでは、たまたま出た大物として扱われてしまいがちだからだ。

イスラボニータ 社台RH 白老F生産(社台F系)
皐月賞1着・ダービー2着・セントライト記念1着・東スポ杯1着・共同通信杯1着
重賞4勝

ロサギガンティア 社台RH 社台F生産
スプリングS1着

今年の社台F系の大物3歳馬は、イスラボニータといい、ヌーヴォレコルトといい、秋のトライアルを人気でしっかり勝ち切っている。山元トレセンでの放牧が上手くいって、夏を順調に過ごせたのかもしれない。
ならば、同じように山元トレセンで過ごしたロサギガンティアにもちょっと期待したくなる。

イスラボニータは距離の融通が利きそうだけど(菊花賞にも意欲があったようだけど、結局、天皇賞秋で落ち着いた)、ロサギガンティアはフジキセキ産のイメージ通りに1600-2000くらいで力を発揮しそうなのが、春の成績から見られた。おそらく陣営もそう判断して、秋の始動を毎日王冠にしたのだろう。

しかし、心配事もある。
しかも、今年はその心配事が塊である。

理由は、この馬がスプリングSをMデムーロ騎乗で勝っているからだ。

スプリングSは今年を含めて、現在3年連続でデムーロ騎乗馬が勝っている。

12年 グランデッツァ Mデムーロ
13年 ロゴタイプ Cデムーロ
14年 ロサギガンティア Mデムーロ

12,14年はミルコ・デムーロ騎乗で、13年は弟のクリスチャンが騎乗して、1着。だからデムーロが3年連続で勝利中と言える。
Mデムーロは03年にもネオユニヴァースに騎乗して勝っているから、スプリングSを3勝していることになる。

デムーロのスプリングS成績
Mデムーロ 3-0-1-0
Cデムーロ 1-0-0-0

デムーロ・ファミリーで4-0-1-0。

特にMデムーロは騎乗機会4回でこの成績。
スプリングSの申し子といってもいいくらいだ。

しかし、どうしたことか、3歳春のこの時期にMデムーロで1着してしまうと、なぜかその後、成績が振るわなくなる。

グランデッツァ
スプリングS Mデムーロ 1着

皐月賞 Mデムーロ 5着
ダービー 池添 10着
長期休養
ポルックスS 戸崎 16着
アルデバランS 国分優 11着
都大路S 秋山 1着
安田記念 石橋脩 11着
函館記念 秋山 10着

MデムーロでスプリングSを勝った以後、オープンの都大路Sを勝ったのみ。重賞では馬券圏内にも入っていない。
長期休養という事情があったとしても、不振であることは否めない。
都大路Sを勝って、復活したと思いきや、安田記念11着、函館記念10着。不良馬場の安田記念は情状の余地があるとしても、函館記念は1人気で10着だ。オープンのレースを勝つために長期休養したわけでもないだろう。

ロゴタイプ
スプリングS Cデムーロ 1着
皐月賞 Mデムーロ 1着

ダービー Cデムーロ 5着
札幌記念 村田 5着
中山記念 Cデムーロ 3着
ドバイDF Cデムーロ 6着
札幌記念 村田 8着

CデムーロでスプリングSを勝って、皐月賞をMデムーロで勝った。
それ以後はCデムーロで1回3着しただけで、他は馬券圏内に入れずじまい。皐月賞までの走りを鑑みると、その後は不振と言わざるをえない。

スプリングSをMデムーロ騎乗で、その後も馬券圏内に入る走りを見せたのは、3着だったドリームパスポートと、1着して、その後もほとんどをMデムーロが騎乗したネオユニヴァースの2頭。

06年 ドリームパスポート3着 Mデムーロ

皐月賞2着 高田潤 
ダービー3着 四位 
菊花賞2着 横山典

03年 ネオユニヴァース 1着 Mデムーロ
皐月賞1着 Mデムーロ
ダービー1着 Mデムーロ
(スプリングS以後、Mデムーロは引退するまでの9戦中8戦で手綱を取った。Mデムーロ以外の騎手が乗ったのは神戸新聞杯の福永の1回のみ。3着だった)

スプリングSをデムーロ騎乗で1着した馬は、その後もデムーロが騎乗しないと走らなくなると決めつけたくなる。

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たとえるなら、ヤギやベーブ・ルースやカーネル・サンダースか…
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ヤギの入場を禁止してからワールドシリーズに出場できなくなったシカゴ・カブスはヤギの呪いと言われた。
ベーブ・ルースをヤンキースに放出してから、ワールドチャンピオンになれなくなったレッドソックスは、かつてバンビーノの呪いと言われた。
カーネル・サンダースを道頓堀に投げ入れた以後、優勝できなくなった阪神タイガースはカーネル・サンダースの呪いと言われた。

そんな都市伝説的言い方を借りるなら、
「デムーロの呪い」とでもなろうか?

ただ、2回だけじゃ足りない。3回は必要だ。
3回偶然が重なると、オカルトが生まれやすくなるのはパチンコの世界でよく耳にする光景だ。ガロのST後100回転以内はよく当るとかルパンの時短抜け後50回転以内は当りやすいとかは、偶然が重なり合って生まれたオカルトだろう。え? 3回もいらない? 2回で十分? いろんな意見がございましょう。でも自分は3回を採用したい。

それゆえにロサギガンティアの走りには大いに注目している。
前記したようにロサギガンティアはMデムーロ騎乗で、スプリングSを勝った。しかもグランデッツァ、ロゴタイプにつづき、3年連続の3頭目だからだ。

実際、ロサギガンティアはスプリングS1着後の2戦で馬券圏内に入れていない。
スプリングS 1着 Mデムーロ

皐月賞 10着 善さん
NHKマイル 4着 善さん

休養

毎日王冠 善さん

「スプリングSにデムーロが騎乗して1着すると、以後、勝てなくなる」は今も継続中なのか?
デムーロの呪いとして本採用していいのか?
毎日王冠のロサギガンティアはそういう意味でも注目せずにはいられない。

っていうか、今年は、
グランデッツァ5歳・ロゴタイプ4歳・ロサギガンティア3歳
とデムーロ騎乗のスプリングS1着馬がそろい踏みしている。
それだけでワクワクだ。
デムーロの呪いをまとめてチェックするにも好都合だ。
(あれ? 心配だったはずなのにいつの間にかワクワクに変わっている。おかしいな…)

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とはいえ、呪いとは、表裏一体である。
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今回の騎手は
グランデッツァ 秋山
ロゴタイプ 三浦
ロサギガンティア 善さん

予想人気
グランデッツァ 4人気
ロサギガンティア 5人気
ロゴタイプ 7人気

正直、マイ想定よりちょっとずつ人気を集めている。
これならば、ぜんぶ「呪い」でひとくくりにして、消したくなる。
あ、いや、デムーロの呪いを掲げるならば消すのがスジだろう。

けれど、その一方で、毎日王冠ならば、頑張れるのではないか?
そんな希望も持ってしまっている。

え? 呪いなのに希望? 矛盾ではないか?
いえいえ、ここでいう「呪い」とはそういうものでしょう。

カーネル・サンダースの呪いだって、他球団のファンがヤジ根多にしていたというより(それもあったとしても)、優勝を願う阪神ファンが自虐的に使っていた根多の1つで、むしろ真意は呪いの解除、優勝だったはず。
だから同じように、ここで封印が解除されることはないか? ともついつい考えてしまう。

では、なぜ毎日王冠なら封印解除の期待が持てるのか?

理由は「距離1800」だから。

グランデッツァ 1800成績 4-1-0-0
ロゴタイプ 1800成績1-0-1-2
ロサギガンティア 1800成績2-0-0-1

ロゴタイプの着外2回は札幌2歳S4着とドバイDF6着で、ロサギガンティアの4着は函館の新馬4着。つまり2頭の馬券圏外は2歳早期とドバイでのものだった。だからそこを除くと、3頭ともに1800成績は優秀になり、実は一番好物な距離かもしれないのだ。

実際、スプリングS以後に馬券になったのは2回で、どちらも芝1800だった。
グランデッツァ 京都・都大路S 1着 秋山 1:43:9 レコード
ロゴタイプ 中山・中山記念 3着 Cデムーロ

スプリングS以後、日本でこの3頭が芝1800に出たのは上記2回しかない。つまり1800なら、まだわからないとも言える。デムーロの呪いではなく、デムーロ・1800ミステリー、もしくはデムーロ・1800コンフィデンシャルだった可能性もある。

ゆえに、3頭まとめて、塊で期待してしまうし、心配もしてしまうわけだ。
もし、ここで馬券圏内に走れれば、今後の走りに期待が持てるようになる(たとえ1800のレースだけだったとしてもいい。1800重賞は他にもある)。

ただもし、ここで馬券圏外に敗れるならば、今後はMデムーロが再び乗るか、オープンのレースでしか期待が持てなくなる。
そして、ロサギガンティア、お前もか? となって、デムーロの呪いを正式に認めざるをえなくなる。ひぃ〜こわい〜〜!!

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毎日王冠注目馬
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今年はデムーロの呪いが都市伝説系の根多として、ほんまもんか、バッタもんかのチェックに重きを置くことにした。
もし、3頭が揃って敗れれば、しばらくその根多で3頭に触れられるし、来年のスプリングSの材料にもなる(もっともMデムーロが騎乗すればの話だけれど)。

それゆえに3頭を購入したい。
理由は前記したとおり。呪いとは期待の裏返しだからだ。

ロサギガンティア
グランデッツァ
ロゴタイプ

3頭の単勝と3頭を組み合わせた馬券をいくつか買ってみたい。
だから人気は下がるだけ下がってほしい。できれば8-12人気がいい。

ちなみに毎日王冠のフルゲートは18頭だ。でもフルゲートの毎日王冠なんて、27年間の競馬歴で一度も見たことない。
でも今年は20頭も登録している。どう見ても登録だけっぽい馬がいるので、18頭のフルゲートは期待できないかもしれないけれど、16頭くらいは期待できるかもしれない。

11頭立て…一番多い頭数。基本的には本命サイド決着が多い。
14頭-16頭立て…少し乱れるねずみ色ゾーン。1・2人気も来るけれど、8-12人気も来る。
17頭立て…うんと乱れる深ねずみ色ゾーン。
18頭立て…未知の世界。

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京都大賞典注目馬
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タマモベストプレイ…晩年のフジキセキ産は距離の融通が利く? 去年とは違う流れになりそうだし(去年は仕掛けどころが速かった)、そうなればこの馬の先行力が生きるかもしれない。
ヴィクトリースター…トーセンラーやラストインパクトといった人気のディープインパクト産に引っ張ってもらえないかな?

昨日発売された競馬王11月号の鉄板競馬という漫画でオッズの臭いの嗅ぎ方について、一席打たせてもらいました。最近の天皇賞秋のオッズは特殊な傾向(オッズ・バイアス)になりがちで、そのあたりについても打たせていただきました。興味のある方も、ない方もぜひ。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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