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秋華賞、ちゃぶ台のエチュード・信頼の2人気・1人気をひっくり返せるか?

  • 2014年10月16日(木) 11時58分


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秋華賞は2番人気VS1番人気。どっちが強いか見極めるレースである。
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面倒ならば2番人気から買えば、2連系なら10年で8回、3連系なら10年で9回も当たる。
実は極めて短考ですむレースでもある。
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だが、しかし。しかし、だが。だがしかしである。
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この出だしは去年とだいたい同じだ。
っていうか、秋華賞は1・2人気の吟味レースだから、替える必要もない。
そういいながら自分は、10年に1度来る1・2人気が同時に沈むときも待っている。だからいつだって、ちゃぶ台に手をかけて、それをひっくり返す準備もしている。
1・2人気同時ちゃぶ台返し……。あ〜寺内貫太郎ばりに豪快にひっくり返してみたい……。
だから、「だが、しかし」にはいつだって期待している。

今年はどうだろう?
今年も1・2人気馬(特に1人気馬)は強力そうだし、それでいて、わずかながらちゃぶ台指数を上げてくれそうな要素もなくはない(って、毎年そんな念仏を唱えている気もする。ぜんぜん返せてないけど。たはは…)。

その前に基本のおさらい。
この10年の1・2人気馬の成績。

2人気 6-2-1-1
(3着は10年のアプリコットフィズで、圏外は08年のレジネッタで8着だった)

1人気 2-1-3-4
(2勝しかしてないけれど、3着以内は6回あって、それなりの成績だ)

データ的には2人気が圧勝だ。何も考えないのなら今年も2人気から買えばいい。
ただし今年は1人気がはっきりしていて、2人気がはっきりしない年でもある。自分はレッドリヴェールを想定しているけど、そこもあやふやだ。
つまり今年は1人気の出番の年と考えてもいいようにも思える。

予想1人気
ヌーヴォレコルト 前走ローズS 4-4-4 1着(2人気)上がり33.6
予想2人気
レッドリヴェール 前走ローズS 6-7-6 6着(1人気)上がり34.1

ローズSは17頭立てだった。だから2頭ともに前走は先行競馬をしたとは言える。
先行して結果を出したヌーヴォレコルトと先行して味気なかったレッドリヴェール。
おそらく2頭ともに、秋華賞の内回り2000を想定して、前方競馬を試みたように思える。

成功したヌーヴォレコルト、成功とは言いがたいレッドリヴェール。

岩田はジェンティルドンナでも同じように操った実績がある(ローズSで先行させて1着させ、秋華賞で真ん中あたりにつけて1着させた)から、秋華賞では同じように真ん中あたりを追走させるのではないか?

逆に上手く弾けなかったレッドリヴェールは、今度は差しに回りそうな気配がする。
スイープトウショウは4角16番手から差し切ったけれど、その他の勝ち馬9頭はみな、4角で9番手以内にいた馬だ。はたして、中団、つまり4角で8〜9番手前後にいそうなヌーヴォレコルトを捕まえることはできるのか?

そう考えると、ここはヌーヴォレコルトでしょ。
今年は1人気が期待に応える番でしょ。
ふつうにそう思う。

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ヌーヴォレコルトの、だが、しかし。
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ヌーヴォレコルトは未勝利以外では1人気になったことはない。オークスもローズSも2人気だった。
そういう馬が1人気になって、本当に期待に応えられるのだろうか?

1人気馬が10年で2勝しかしてないのにはそれなりの理由があるからではないのか?
京都内回り2000は1人気馬に圧がかかりやすく、それゆえに勝ちきれない可能性はないのか?

この10年で1人気で勝った馬は2頭。アパパネとジェンティルドンナだ。どちらも春に二冠馬になり、秋華賞で三冠を達成した馬だ。はたしてヌーヴォレコルトにそこまでの強さはあるのだろうか?

そういう心配事を相殺するのが名手であり、岩田なのかもしれない。なんせこの6年で3勝もしている。11人気・2人気・1人気とバラエティーに富んだ人気で勝っている。騎手に頼りがいはある。
でも馬の資質が1人気の競馬に耐えられるのか、少なくとも京都2000で耐えられるかはわからない。ローズSで先行競馬で1着し、秋華賞仕様にしたはずのジェンティルドンナでも秋華賞ではハナ差勝ちだった。一番苦戦した三冠レースだった。

この10年で450未満の馬の勝利はない。ヌーヴォレコルトはローズSではオークス444キロからマイナス6キロで438キロだった。馬体重は対戦相手との比較も重要だから、450を切ると不利だとは一概には言えない。ただヌーヴォレコルト自身に肉体的成長はなかったとは言えそうだ。

全成績4-1-1-1で安定感はある。でも、1人気で1着できるかとなるとそれなりに心配事は発生する。

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レッドリヴェールの、しかし、だが。
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一方、福永騎手が騎乗して、ダービー12着、ローズS6着だったレッドリヴェールはもう終わってしまったのだろうか?
っていうか、自分は2人気に想定しているけれど、本当に2人気に支持されるのか? そもそもそこも心配だ。

レッドリヴェール
新馬  ウィリアムズ 4-3-3 1着 3人気
札幌2歳 岩田 10-12-8-4 1着 2人気
阪神JF 戸崎 7-8-8 1着 5人気
桜花賞  戸崎 13-13-15 2着 2人気
ダービー 福永 10-13-13-12 12着 4人気
ローズS 福永 6-7-6 6着 1人気

レッドリヴェールもローズSまで1人気になったことがなかった。でもここで気にしたいのはそこではない。

気になるのはダービー、ローズSでの負け方だ。
ダービーは4角を12番手で回って、12着だった。
ローズSは4角を6番手で回って、6着だった。

直線で伸びてない。
でも、直線で抜かれてもいない。
いや、正確には抜かれたり、抜いたりしているのだろうけど、結果的には4角の位置と同じ着順だ。
要は直線でぜんぜん弾けてないと言いたいわけだ。

そこが気になる。大いに気になる。
4角で垂れていたら、何の疑いも持たずに「馬に走る気なし」「終わった」と決めつけられる。
だけど、伸びも抜かれもせず、ただ弾けなかったとしたら、ちょっと事情は変わってくる。

スイッチ(ゴーサインのスイッチ)が入ってないだけの可能性もあるからだ。
岩田や戸崎では入ったスイッチが福永ではまだ入ってないだけで、終わったわけではない!? とも考えられるからだ。

4角を回った位置と同じ着順で負けがちな馬をよくダンスインザダーク産で見る。
そういう馬は直線でのスイッチが入りにくいだけで、終わったわけではなかったりする。だから上手くスイッチが入ったと思しきときには好走する。

たとえば、それは背中が痒いときに似ている。

背中が痒いなぁ〜。よし、どこかのカワイコちゃんに掻いてもらおう。
もうちょっと右、もうちょっと右、も〜うちょっとだけ右、そこ、そこそこ………もうちょっと強く……もっと強く……アイタタタタ…ちょっとだけ弱めで………、みたいなことってあるでしょ!?(ありますよね?)、
そんな感じ。え? よくわからない? すんません。

とにかく、レッドリヴェールのスイッチもちょっとわかりにくいところにあって、もしくは強めに押されないと反応しにくいところにあって、直線でのスイッチ・オンが上手くいってないだけではないのか? と思ったりしている。

そもそもデビューから、ウィリアムズ・岩田・戸崎とある種のハードさを感じさせる外国人&地方出身騎手たちが騎乗していた。福永騎手は牝馬の騎乗が上手いフェミニストな感じの騎手だから、ソフィスティケートな柔らかさがレッドリヴェールのスイッチを押し切れてなかった可能性もある。もちろん、断定はできない。ただそんな想像もできなくはない。

もしスイッチ・オンが原因だとしたら、まだわからない。名手は3回乗ったら結果を出す。福永騎手が名手ならば、今度はスイッチを押せるはずだ。押せたら弾ける可能性はある。だからレッドリヴェールは気になる。2番人気でなくても気になるし、今回の場合はむしろ人気は落ちたほうがいいかもしれない。

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ヌーヴォとレッドの、だがしかし、しかしだが。
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1人気は間違いなくヌーヴォレコルトだろう。
2人気は流動的で、レッドリヴェールはあくまでも有力候補の1頭だろう。

この流れを加味すると、今年は1人気のヌーヴォレコルトを信頼したくなる。
だが、しかし、
1人気で勝ったことのある馬はこの10年で三冠牝馬になったアパパネとジェンティルドンナ以外はいない秋華賞のコースには1人気が苦しくなる何ものかがあるのではないか?
だとすると、未勝利以外では1人気になったことないヌーヴォレコルトにとっては多少なりとも重責のかかるレースになる可能性がある。

それゆえに、まだわからない。ヌーヴォレコルトで万全とは言いにくい。

2人気は圧倒的に強い秋華賞だけれども、その2人気が読みにくい。
こういうときは、むしろ押し出された2人気になってしまう可能性もある。押し出されるのは何も1人気ばかりではない。1人気が圧倒的なら、2人気が押し出されてしまうことも多々あり。押し出された2人気はもちろん危ない。

だが、しかし、
レッドリヴェールならばまだわからない。ここ2戦の福永騎手での負け方にはまだ希望が垣間見える。3回目の騎乗でスイッチが入ればまだわからない。

ただレッドリヴェールの場合は2人気だから、どうのこうのではない。むしろ人気が下がるならこしたことはない。

つまり、1人気ヌーヴォレコルトと2人気の馬を比べたら、安定感では1人気のヌーヴォレコルトに軍配が上がりそうだけど、2着、3着、場合によっては4着の可能性もないとは言えないわけだ。まあ4着は薄いかもしれないけれど、3着は十分に考えられる。

と同時に押し出された2人気馬がふつうに凡走する可能性は大いにある。2人気がレッドリヴェールならば、まだわからないが、そのリヴェールにしても完全にスイッチが入るかはわからない。

というわけで、
今年の秋華賞は2連レベルでは荒れる可能性がある! かもよ!!
ちゃぶ台に手を添えて、ひっくり返す準備をしてもいい! かもよ!!
それが週の真ん中の自分の妄察。

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革命のエチュードを奏でるのはフラワーC組か?
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毎年書いているし、桜花賞でもオークスでも書いているけれど、秋華賞は桜花賞・オークス以上に馬体重の軽い馬が走らない傾向にある。

馬体重とはその年のメンバー構成の比較にも左右される。それはわかっている。わかっているけれど、今年は人気馬に軽い馬が多いから、やっぱり気にかけたい。

予想1人気ヌーヴォレコルト 前走438
予想2人気レッドリヴェール 前走420
予想3人気ショウナンパンドラ 前走440
予想4人気ブランネージュ 前走462
予想5人気レーヴデトワール 前走452

3人気までが450を切りそうな気配だ。

この10年の秋華賞で、450未満で馬券圏内に入った馬は3頭のみで、全馬3着だった。

ニシノナースコール 426 3着
アプリコットフィズ 428 3着
リラコサージュ   414 3着

これだけで、2連レベルのちゃぶ台指数は上がる。
一応、今年の主要レースの結果も見ておく。

チューリップ賞
1着 ハープスター 476 デカイ
2着 ヌーヴォレコルト 438
3着 リラヴァティ 438

フラワーC
1着 バウンスシャッセ 516 デカイ
2着 マイネグレヴィル 464 まあまあ
2着 パシフィックギャル 498 デカイ

桜花賞
1着 ハープスター 478 デカイ
2着 レッドリヴェール 418
3着 ヌーヴォレコルト 438

フローラS
1着 サングレアル 414
2着 ブランネージュ 458
3着 マイネオーラム 458

オークス
1着 ヌーヴォレコルト 444
2着 ハープスター 474 デカイ
3着 バウンスシャッセ 514 デカイ

ローズS
1着 ヌーヴォレコルト 438
2着 タガノエトワール 440
3着 リラヴァティ 446

紫苑S
1着 レーヴデトワール 452
2着 ショウナンパンドラ 440
3着 マイネグレヴィル 468 まあまあ

G1では470台のハープスターが抜けていることがわかる。
基本的には今年は小さい馬ばかりなこともわかる。
角4つのレース、フラワーCとオークスでは大きい馬が頑張っているのがわかる。
特にフラワーCは唯一、ハープスター以外のデカイ馬が頑張ったレースである。

今年の紫苑Sは新潟開催で角2の競馬だった。例年以上にレベルが高かったかもしれないけれど、ここで2着したショウナンパンドラは角4のフラワーCでは5着だった。
もし、角4の内回りの秋華賞でデカイ馬にチャンスが生まれるとしたら、それはフラワーC組ではないか?

フラワーC
1着 バウンスシャッセ 516 デカイ
2着 マイネグレヴィル 464 まあまあ
2着 パシフィックギャル 498 デカイ

バウンスシャッセのここ2走の成績を見ると不安しか残らない。ただ函館記念は古馬・牡牝混合戦だし、紫苑Sは苦手な不良馬場(札幌2歳Sも不良で14着と惨敗した)で、情状の余地はある。

角2成績 0-0-0-2
角4成績 3-0-1-3

角4の着外3つは、不良の札幌2歳、皐月賞、函館記念と情状ポイントあり。
それを考えると、この馬はやっぱり角4競馬の方が得意な可能性あり。走る気が戻っていれば、まだわからない。

マイネグレヴィルも角2競馬よりも角4競馬の方が得意の馬で、札幌2歳S2着、フラワーC2着から、大回りより小回りの方が得意な可能性がある。

角2成績 0-0-1-2
角4成績 1-2-1-3

それゆえに角2で直線の長い新潟での紫苑S3着は、逃げて、差し返してのもので、価値を感じる。
ペイシャフェリスかリラヴァティが逃げて、番手にマイネグレヴィルがいる展開は柴田大の得意パターンでもあり、展開次第ではまだわからない。

パシフィックギャルのオークスからのぶっつけ出走はさすがに狙いづらい。いくら調教技術が上がったとはいえだ。
アルテミスS・メンディザバル→フラワーC・シュタルケ→オークス・ウィリアムズ→秋華賞・勝浦。
この鞍上配置をどう捉えるか? う〜〜む…………え? 額面通りに受け取れ? 了解!

バウンスシャッセは予想7人気
マイネグレヴィルは予想12人気

うむ、いい人気だ。ちゃぶ台に手をかけといていい人気だ。
そういえば、1・2人気が同時に吹っ飛んだ年の勝ち馬ブラックエンブレムもフラワーC1着馬だった。

抽選組ではハピネスダンサーに角4の臭いがする。勝ち星が角4競馬だけだし(2勝)、京都でも良績(1-0-1-0)があるからだ。もし紫苑Sが中山で開催されていたら、権利を獲得できたのではないか? 紫苑Sは478キロだった。肉体的にも合格だ。
予想人気は15人気。やったー!

というわけで、ちゃぶ台候補は
バウンスシャッセ522・マイネグレヴィル468・ハピネスダンサー478(抽選)
にしてみた。
奇しくもみな450キロ以上あって、心強い。

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秋華賞注目馬
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1人気ヌーヴォレコルトは馬券圏内では信頼できそうだ。だから馬券的敬意は払いたい。
ただし、このコースが1人気に厳しいコースであることには変わりない。
ちょっとした展開のアヤでレースの流れも変わりそうで、レースの即興性が高まるかもしれない。
だから、1人気がその即興に対応しきれなければ、2人気もいっしょにひっくり返る可能性もある。それに備えて、ちゃぶ台にも手をかけておきたい。

上位系
レッドリヴェール 福永3度目でスイッチ・オンできるか!? 人気は下がるほどいい。
ブランネージュ 上位人気馬で一番大きい馬。京都成績(1-1-1-0)も悪くない。もしかしたら隠れた角4ホースかもしれない。

ちゃぶ台候補
バウンスシャッセ
マイネグレヴィル
ハピネスダンサー(抽選組)

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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