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一強ではなく上位拮抗の混戦!/菊花賞

  • 2014年10月22日(水) 18時00分
■菊花賞(G1・京都芝3000m外)フルゲート18頭/登録23頭

【コース基本情報】京都芝3000m外 Aコース使用

※今回は「京都芝2200m以上」の4コースを対象に集計を行っております

・コース回収率
 [やや高め] 単勝97%・複勝77% 人気薄の勝率が高く激走要警戒

・馬連万馬券出現率
 [やや低め] 11.0%(平均値↓2.4% 馬連平均配当5459円)

・枠番別複勝率(16頭立て以上)
 [1枠〜2枠] 勝率 9.1% 連対率16.8% 複勝率22.4% 複回率124% 枠番値+0.6
 [3枠〜4枠] 勝率 7.4% 連対率12.2% 複勝率20.0% 複回率 79% 枠番値±0
 [5枠〜6枠] 勝率 3.0% 連対率 8.3% 複勝率14.3% 複回率 72% 枠番値-0.2
 [7枠〜8枠] 勝率 4.5% 連対率10.3% 複勝率14.7% 複回率 73% 枠番値-0.4
 ────────────────────────────────────
 [01番〜09番] 勝率 7.3% 連対率13.3% 複勝率20.2% 複回率 95% 枠番値+0.2
 [10番〜18番] 勝率 4.3% 連対率10.1% 複勝率14.8% 複回率 76% 枠番値-0.3
 →内枠である1枠〜2枠が突出して好成績。内枠有利であるのは確実。

・脚質別信頼度
 先行>>逃げ>差し>>追込 先行勢優勢の傾向で追い込みはかなり厳しい

・推定ラップ&タイム
 [瞬発] 36.2-113.1-35.5=3.04.8 道中スローからの瞬発力勝負

 京都競馬場の芝は、2200m以上のコースはすべて外回り。開催レース数が非常に少ない芝3000mだけを対象としても無意味なので、今回は雑な分析になるのは承知の上で、芝2200m以上の4コース(2200m、2400m、3000m、3200m)を対象とした。

 まず言えるのが、意外なほど「人気薄の1着率」が高いということ。大穴での1着が回収率を大きく押し上げているとはいえ、4番人気〜6番人気の中穴ゾーンでも、単勝回収率は122%という高さ。7番人気〜12番人気における激走率の高さもなかなかのもので、イメージ以上に荒れている。

 馬連万馬券の出現率は全体平均を下回っているが、馬連平均配当自体は、ほぼ平均値。つまり「万馬券までは行かないがソコソコ高い」という配当が、よく出ている計算となる。人気サイドでのガチガチ決着を狙うよりも、ある程度は高めの配当を狙っていったほうが効率がいいコース。手広く買うのも十分アリといえそうだ。

 また、枠番別成績で、1枠〜2枠の「内枠」が図抜けた好成績であるのも、絶対に押さえておきたい特徴のひとつ。勝率、連対率、複勝率の高さも目立つが、複勝回収率124%、枠番値+0.6と、人気薄での好走率の高さはズバ抜けている。単純に内外で比較しても、内枠有利であるのは複勝回収率から明白。内重視のスタンスを推奨する。

 脚質については、基本的に先行有利。菊花賞は緩急の大きいラップで瞬発力勝負となりやすいが、だからといって大外一気がそうそう決まるモノではない。あのディープインパクトでさえも4角は7番手で回っているし、オルフェーヴルは4角3番手という積極策。直線で前を射程圏に入れていなければ、勝ち負けには持ち込めないのである。

【レース基本情報】菊花賞(G1)過去10年
・レース平均配当
 単勝1492円 馬連5362円 3連複2万3541円

・1番人気馬成績
 [5-1-1-3] 勝率50.0% 連対率60.0% 複勝率70.0%

・3番人気以内馬成績
 [5-3-5-17] 勝率16.7% 連対率26.7% 複勝率43.3%

・4番人気〜6番人気馬成績
 [1-5-2-22] 勝率 3.3% 連対率20.0% 複勝率26.7%

・7番人気〜9番人気馬成績
 [4-1-2-23] 勝率13.3% 連対率16.7% 複勝率23.3%

・10番人気以下馬成績
 [0-1-1-86] 勝率 0% 連対率 1.1% 複勝率 2.3%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 70.0% [差し] 20.0% [追込] 10.0% [マクリ] 10.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 6.7% [先行] 46.7% [差し] 33.3% [追込] 10.0% [マクリ] 3.3%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 勝率 6.7% 連対率13.3% 複勝率23.3% 複回率 86% 枠番値+0.9
 [4枠〜6枠] 勝率 3.3% 連対率 6.7% 複勝率11.7% 複回率 44% 枠番値-0.4
 [7枠〜8枠] 勝率 6.9% 連対率13.8% 複勝率15.5% 複回率 58% 枠番値-0.6
 ────────────────────────────────────
 [01番〜09番] 勝率 5.6% 連対率10.0% 複勝率16.7% 複回率 59% 枠番値+0.4
 [10番〜18番] 勝率 5.7% 連対率12.5% 複勝率17.0% 複回率 67% 枠番値-0.5

・厩舎所属別成績
 [美浦] 0-1-1-44 連対率 2.2% 複勝率 4.3%
 [栗東] 10-9-9-103 連対率14.5% 複勝率21.4%

・前走距離別成績
 [芝1600↓] 0-0-0-3 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝1800m] 1-0-0-12 連対率 7.7% 複勝率 7.7%
 [芝2000m] 2-2-3-31 連対率10.5% 複勝率18.4%
 [芝2200m] 0-3-2-41 連対率 6.5% 複勝率10.9%
 [芝2400m] 6-5-5-48 連対率17.2% 複勝率25.0%
 [芝2500↑] 1-0-0-6 連対率14.3% 複勝率14.3%
 [ダート戦] 0-0-0-7 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
 [中央G2] 8-10-7-87 連対率16.1% 複勝率22.3%
 [中央G3] 0-0-1-5 連対率 0% 複勝率16.7%
 [OP特別] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
 [条件戦] 2-0-2-51 連対率 3.6% 複勝率 7.3%

・注目出走パターン
 [特注] 前走神戸新聞杯[人気≦着順]で3着以内(連対率50.0%、複勝率60.0%)
 [買い] 前走で4コーナーを4番手以内で通過(単勝回収率172%)
 [買い] 前走で最速上がりをマーク(勝率16.7%、単勝回収率199%)
 [不振] 騎手が乗り替わる馬(1-3-1-55)
 [全滅] 前走セントライト記念4着以下馬(0-0-0-19)
 [全滅] 前走3番人気以下の関東馬(0-0-0-29)

 1番人気馬は[5-1-1-3]と強いが、2番人気〜3番人気はイマイチ。そのぶん非常に強いのが、トータル[5-6-4-45]で連対率18.3%、複勝率25.0%という4番人気〜9番人気馬で、単勝回収率233%、複勝回収率118%と、期待値の高さも相当なモノ。このゾーンの馬をどう買うかで、勝敗が決まるといっても過言ではない。

 中穴人気馬が強いのもあって、ふたケタ人気の超人気薄は[0-1-1-86]と低空飛行。平均配当は単勝1492円、馬連5362円、3連複2万3541円と、平均値に近い水準となっている。素直に1番人気を信頼して、そこから流すもよし。中穴から入って、高配当を狙うもよし。買い方の自由度が非常に高い重賞だといえる。

 脚質については、コースデータと同様に、完全に先行有利。過去10年で逃げ切った馬こそ出ていないが、勝ち馬の70.0%が先行馬というのは圧倒的な比率である。後方待機組も来るが、直線に入ってからでは間に合わないので、道中でマクリを打てるかどうかが重要。4角10番手以下から勝ち負けに持ち込むのは、非常に難しいレースである。

 枠番は、コースデータ以上に内枠有利。勝率や連対率では外枠のほうが上回っているのだが、これは人気馬が多く外枠に入ったのが理由だ。人気薄での好走率が圧倒的に「内>外」であるのは、枠番値の差からも一目瞭然。「1枠〜3枠に入った4番人気〜9番人気馬」は、もう盲目的に押さえてしまっていいかもしれない。

 関西馬が圧倒的に優勢であることや、神戸新聞杯組の強さは、よく知られている通り。なかでも、神戸新聞杯を[人気≦着順]で3着以内に好走した馬には、必ず注目しておきたいところだ。人気ではキッチリ勝ち、人気薄でも平気で突っ込んでくる絶好の狙い目。今年この条件を満たすのは、ワンアンドオンリー、サウンズオブアース、トーホウジャッカルの3頭。つまり、神戸新聞杯の3着以内馬がそのまま「買い」といえる。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 引き続きAコース。相変わらず時計が速く、軽さが要求される馬場状態。

・天候予測
 週末は好天に恵まれそう。パンパンの良馬場前提の予想でオッケイ。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率18.2% 連対率34.5% 複勝率43.9%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒◎、ハーツクライ産駒○、ネオユニヴァース産駒△、キングカメハメハ産駒△

 血統面に関しては、先週同様にディープインパクト産駒だけを高評価してもいいほど。ハーツクライ産駒やキングカメハメハ産駒なども好成績なのだが、連対率はハーツクライ産駒を10.0%を上回り、勝率はキングカメハメハ産駒のダブルスコア近いという、圧倒的すぎるほどの好成績。やはり、京都での強さはハンパではない。

 今週は水曜日に多少の降雨があったが、木曜日以降は週末まで好天が続く見込み。先週と同様、完全な良馬場でのスピード勝負となりそうだ。上がりの時計もかなり速くなりそうで、持ち時計の有無が問われるレースとなる可能性も。菊花賞らしいスタミナよりも、軽さと瞬発力のある血統を重視したほうが、好結果を呼び込めそうである。

★総論×各論

 まずは唐突だが、ショウナンパンドラを軽視してしまった秋華賞の反省から入ろう。本番にまったく繋がっていない「前走紫苑S組」とはいえ、今年は例年とは違って新潟開催だったことや、展開不向きなレースで2着に食い込んだという結果、さらにディープインパクト産駒であることなどから、もう少し高く見積もっておいてもよかったはず。タラレバだが、この教訓を次につなげたい。

 ……という前振りをしたのも、今年はセントライト記念も新潟開催だったから。こちらも過去10年で1頭も勝ち馬が出ていないトライアルなのだが、そこで好内容を残していた馬に関しては、例年よりも好走できる確率が格段に高いと見るべき。データ的にはバッサリ切り捨てるべき対象であっても、前走セントライト記念組については、よ〜く考えてみる必要がありそうである。

 では、各論へと入ろう。人気の中心は間違いなく、ダービー馬ワンアンドオンリー。辛勝とはいえ、前哨戦である神戸新聞杯をキッチリ制してきたのは非常に大きい。ここで2着以下に敗れていればケンカも売りやすいのだが、勝った以上は相応に高評価する必要アリ。前走でマクリを打てたのもプラス評価の対象で、最大のライバルであるイスラボニータがいないレースで負けるわけにはいかない。

 そのワンアンドオンリーに神戸新聞杯でアタマ差まで迫ったのが、サウンズオブアースとトーホウジャッカルの2頭。いずれも「人気<着順」での好走であり、本番にしっかり繋がる結果だったといえる。特に期待できそうなのが、前走で最速上がりをマークし、鞍上も継続騎乗であるトーホウジャッカル。展開次第では、ワンアンドオンリーを逆転できる可能性を秘めている。

 続いて、セントライト記念の上位馬について。確実に人気を背負うが、やや信頼感に欠けるのがトゥザワールドだ。セントライト記念では2着に好走したが、そこまで道中のペースが厳しかったとは思えず、二番手追走ならもっと粘って欲しかった──というのが正直なところ。データ的にも強調材料がそれほど見当たらず、今回に関してはリターンよりもリスクのほうが大きい印象を受ける。

 セントライト記念組なら、差して3着まで来たタガノグランパのほうが魅力的。ダービーの結果をフロック視する向きもあったが、この結果であれが地力によるものだと見事に証明してみせた。うまく内枠を引いて先行でもできれば、ファンを再びアッと言わせる結果も期待できそう。前走セントライト記念組では、この馬をもっとも上に評価している。

 ここで、上位評価組の序列をまとめておこう。ワンアンドオンリーがトップ評価だが、二番手トーホウジャッカル、三番手サウンズオブアース、四番手タガノグランパとの差は意外なほど小さく、上位拮抗の混戦模様。ここまでの4頭が上位評価組で、以下は「別路線組」であるゴールドアクターとミヤビジャスパー、神戸新聞杯組のサトノアラジンとヴォルシェーブ、セントライト記念組のショウナンラグーンとワールドインパクトと続く。

 通常よりも多めの頭数をあげたのは、この後に「枠番」という非常に大きな取捨選択のファクターが残っているから。このコース&レースが圧倒的に内枠有利であるのは前述した通りで、コレ次第で評価の序列もガラッと入れ替わる。ぜひとも、さらに難解かつ面白くなるような枠番を期待したいものである。

■富士S(G3・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録18頭

 2年連続で14番人気の大穴が3着に突っ込むという荒れ模様。2011年こそソコソコ順当な決着だったが、その前年には13番人気と14番人気が馬券に絡むなど、富士Sはこのところ荒れに荒れている。ここで「今年こそは順当」と考えるか、「今年も荒れる」と読むか。いわゆる「ツラ目」が大好きな筆者は、今年も荒れると踏んでいる。

 東京芝1600mが舞台なので、コースの特性からも「差し優勢」の結果が出て当たり前。4角10番手以下から3着以内に好走した馬が10頭も出ているのだから、かなり差せると考えたほうがいい。先行勢がまったく買えないワケではないが、どちらに軸足を置いたほうがベターかといえば、間違いなく差し馬である。

 昨年もしっかり機能したのが、年齢による取捨選択。そもそも富士Sは5歳以下馬が非常に強いレースであり、6歳以上馬は過去3年で一度も馬券に絡めていない。近年好走しているのは「前走6番人気以下の6歳以上馬」だけであり、人気の中心となるであろうダノンシャークが、データ的には「消し」扱いに。東京マイル実績も十分ある馬だが、それでも傾向的には買いづらい。高齢馬を狙うなら、もっと人気薄のほうがいいレースだ。

 5歳以下馬に関しては、前走中央4場>前走ローカルで明暗ハッキリ。同じ前走新潟組でも、前走が「ローカルの新潟」だったマジェスティハーツよりも、「中央4場の代替開催」だった組のほうが期待できる。また、人気馬も穴馬も、騎手の乗り替わりがマイナス評価の対象であるのを、しっかり押さえておきたい。

 人気薄では、インパルスヒーロー、シェルビー、シャイニープリンス。そして人気サイドでは、キングズオブザサン、ブレイズアトレイル、ミトラ、レッドアリオンの4頭を、好走パターンに合致する注目馬としてあげておきたい。

※コースデータ&血統データは2009年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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