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今年はかなり波乱含み!/天皇賞・秋

  • 2014年10月29日(水) 18時00分
■天皇賞・秋(G1・東京芝2000m)フルゲート18頭/登録20頭

【コース基本情報】東京芝2000m Bコース使用

・コース回収率
 [標準] 単勝62%・複勝80% 中穴人気の期待値が高く大穴はイマイチ

・馬連万馬券出現率
 [やや低め] 10.7%(平均値↓1.7% 馬連平均配当6276円)

・枠番別複勝率(16頭立て以上)
 [1枠〜2枠] 勝率 7.5% 連対率15.0% 複勝率22.5% 複回率114% 枠番値+0.1
 [3枠〜4枠] 勝率 6.1% 連対率14.1% 複勝率22.2% 複回率122% 枠番値+0.5
 [5枠〜6枠] 勝率 8.0% 連対率14.1% 複勝率17.6% 複回率 62% 枠番値-0.3
 [7枠〜8枠] 勝率 2.7% 連対率 5.5% 複勝率10.2% 複回率 53% 枠番値-0.2
 ────────────────────────────────────
 [01番〜09番] 勝率 6.5% 連対率13.6% 複勝率20.6% 複回率107% 枠番値+0.2
 [10番〜18番] 勝率 5.2% 連対率 9.6% 複勝率14.3% 複回率 62% 枠番値-0.1
 →外枠である7枠〜8枠の不利はやはり顕著で大幅な割引が必要

・脚質別信頼度
 差し>先行>>追込>逃げ 差し馬の強さは全コース中でもトップクラス

・推定ラップ&タイム
 [底力] 35.4-47.8-34.6=1.57.8 序盤からラストまで速い底力勝負の流れ

 天皇賞・秋の舞台となる、東京芝2000m。1コーナー奥のポケットからスタートし、直後に大きく左に曲がるという非常にトリッキーなコース形態であり、外枠が極端に不利となるのは自明の理。たった200mの違いでしかないが、毎日王冠などが行われる東京芝1800mとは大きく異なるコースといえる。

 このコース形態によって生まれる「紛れ」の影響もあり、全体での複勝回収率は80%と高め。ただし、最後の直線が長く、能力の裏付けなしには好走できないコースでもあるため、大穴の激走率は意外なほど低い。妙味が高いのは4番人気〜9番人気あたりの中穴ゾーンで、ここからいかに好走馬をチョイスできるかが勝敗を分ける。

 枠番については前述したように、外枠が極端なまでに不利。どれくらい不利かといえば、18頭立てのレースで「8枠から連対した馬が2009年5月以降は1頭もいないほど」である。もう、8枠に入ったという時点で消しジャッジを下してもいいくらいの強烈さ。8枠ほどではないが7枠もかなり不利であり、人気馬でも疑ってかかったほうがいい。

 ただし、6枠の成績は意外なほど良好で、分水嶺となるラインを引くなら「馬番1番〜12番」と「馬番13番〜18番」との間。また、複勝回収率や枠番値から見て内枠有利であるのは事実だが、内枠が圧倒的に有利というワケではない。「内枠のほうがベターだが12番までならセーフ、13番〜18番はアウト」というのが正しい捉え方である。

 脚質については完全に差し優勢で、その信頼度は先行勢と比較してもまったく見劣らない。さらに、1000万下〜重賞では回収率で差し馬がトップに立つという、通常のコースではまず見られない結果が出ている。ペースが速くなるG1ともなれば、その優位は「不動」といっても過言ではないほど。軸もヒモも、ここは差し馬重視で考えるべきだ。

【レース基本情報】天皇賞・秋(G1) 過去10年
・レース平均配当
 単勝1709円 馬連5983円 3連複2万6172円

・1番人気馬成績
 [4-3-1-2] 勝率40.0% 連対率70.0% 複勝率80.0%

・3番人気以内馬成績
 [4-5-6-15] 勝率13.3% 連対率30.0% 複勝率50.0%

・4番人気〜6番人気馬成績
 [4-1-2-23] 勝率13.3% 連対率16.7% 複勝率23.3%

・7番人気〜9番人気馬成績
 [1-3-1-25] 勝率 3.3% 連対率13.3% 複勝率16.7%

・10番人気以下馬成績
 [1-1-1-80] 勝率 1.2% 連対率 2.4% 複勝率 3.6%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 20.0% [差し] 80.0% [追込] 0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 3.3% [先行] 26.7% [差し] 56.7% [追込] 13.3%

・年齢別成績
 [3歳馬] 0-3-2-12 連対率17.6% 複勝率29.4%
 [4歳馬] 5-4-3-30 連対率21.4% 複勝率28.6%
 [5歳馬] 4-3-3-41 連対率13.7% 複勝率19.6%
 [6歳馬] 0-0-2-26 連対率 0% 複勝率 7.1%
 [7歳↑] 1-0-0-34 連対率 2.9% 複勝率 2.9%
 ───────────────────────
 [5歳以下] 9-10-8-83 連対率17.3% 複勝率24.5%
 [6歳以上] 1-0-2-60 連対率 1.6% 複勝率 4.8%

・性別成績
 [牡馬] 7-7-7-136 連対率 8.9% 複勝率13.4%
 [牝馬] 3-3-3-7 連対率37.5% 複勝率56.3%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 勝率 6.8% 連対率11.9% 複勝率18.6% 複回率 83% 枠番値+0.6
 [4枠〜6枠] 勝率 5.0% 連対率15.0% 複勝率23.3% 複回率 92% 枠番値+0.5
 [7枠〜8枠] 勝率 5.6% 連対率 7.4% 複勝率 9.3% 複回率 16% 枠番値-1.2
 ────────────────────────────────────
 [01番〜09番] 勝率 5.6% 連対率14.6% 複勝率22.5% 複回率 86% 枠番値+0.6
 [10番〜18番] 勝率 6.0% 連対率 8.3% 複勝率11.9% 複回率 43% 枠番値-0.7

・厩舎所属別成績
 [美浦] 2-6-2-53 連対率12.7% 複勝率15.9%
 [栗東] 8-4-8-87 連対率11.2% 複勝率18.7%

・前走距離別成績
 [芝1700↓] 0-0-1-7 連対率 0% 複勝率12.5%
 [芝1800m] 5-3-3-52 連対率12.7% 複勝率17.5%
 [芝2000m] 2-2-2-18 連対率16.7% 複勝率25.0%
 [芝2200m] 2-4-1-43 連対率12.0% 複勝率14.0%
 [芝2400m] 1-0-2-17 連対率 5.0% 複勝率15.0%
 [芝3200m] 0-0-1-4 連対率 0% 複勝率20.0%
 [ダート戦] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [中央G1] 2-3-2-25 連対率15.6% 複勝率21.9%
 [中央G2] 8-6-6-105 連対率11.2% 複勝率16.0%
 [中央G3] 0-0-2-8 連対率 0% 複勝率20.0%
 [OP特別] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [地方戦] 0-0-0-4 連対率 0% 複勝率 0%
 [海外戦] 0-1-0-0 連対率 100% 複勝率 100%

・注目出走パターン
 [絶好] 外国人ジョッキー騎乗馬(連対率30.0%、複勝率40.0%)
 [絶好] 牝馬(連対率37.5%、複勝率56.3%)
 [買い] 前走2番人気以内かつ5着以内(複勝率36.7%、複勝回収率109%)
 [不振] 前走3番人気以下かつ6着以下(0-0-1-44)
 [全滅] 前走2着以下の6歳以上馬(0-0-0-49)
 [全滅] 前走京都大賞典で3番人気以下(0-0-0-10)

 過去10年の平均配当は、単勝1709円、馬連5983円、3連複2万6172円と「やや荒れ」といったカンジ。1番人気が[4-3-1-2]で連対率70.0%と好成績を残しているが、相手まで順当ではないのが天皇賞・秋というレースだ。近年はひと頃よりも順当決着傾向が強くなっているが、そろそろドカン!と来る可能性もある。

 まずは年齢別成績だが、5歳以下馬であるのが好走する上での必要条件。6歳以上馬は[1-0-2-60]と大不振で、前走2着以下の6歳以上馬は過去10年、すべて4着以下である。もっとも信頼度が高いのが4歳馬だが、3歳馬や5歳馬との差がそれほど大きいわけではないので、強調材料にはならない。とにかく、5歳以下であることが重要なのだ。

 牝馬が強いレースであるのは周知の通りで、昨年もジェンティルドンナが2着に好走。エリザベス女王杯を使わず、ここにぶつけてくる時点で「賞賛アリ」と考えてよさそうだ。外枠の不利についてはコースデータ通りで、外枠である7枠〜8枠は複勝率9.3%、複勝回収率16%、枠番値-1.2と悲惨な成績。これでは、とうてい手が出せない。

 臨戦過程については、毎日王冠組や札幌記念組が強く、オールカマー組と京都大賞典組が弱いという、フツーの結果に。近年は宝塚記念からの直行が増えてきたが、信頼度自体はけっして悪くない。ただし、フェノーメノのように半年の休養明けとなると、正直けっこうビミョー。少し割り引いて考えたほうがよさそうだ。

 あとは、G1にしては珍しく騎手の乗り替わりがマイナスとならず、外国人ジョッキーへの乗り替わりは大幅なプラスであるのも、押さえておきたいファクター。イスラボニータは人気の中心となりそうだが、ダークシャドウとトーセンジョーダンはかなり人気薄のはずで、ほんの少しだけ押さえておいて損はない……かもしれない。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 今週からBコース替わりだが、Aコースでも前が残っていた。先行勢要注。

・天候予測
 日曜日に降雨予報。降り始める時間によっては渋る可能性もあるか。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率20.8% 連対率33.1% 複勝率41.5%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒◎、フジキセキ産駒○、ダンスインザダーク産駒△、ゼンノロブロイ産駒△、ダイワメジャー産駒△

 見た目には傷みが出てきている東京の芝コース。時計も開催序盤に比べるとかかるようになった印象だが、それでも前が意外に残る状況。今週からBコース替わりだが、さらに前が残るコンディションとなる可能性もありそう。土曜日の馬場チェックは、いつもにもましてしっかり行っておきたい。

 血統的にはやはりディープ産駒が強いが、ちょっと意外なほど優秀なのがフジキセキの産駒。連対率は14.3%と低めだが、複勝率は35.7%と非常に高く、複勝回収率も悪くない水準。ここをディープに続くナンバーツー評価としたい。あとは、ダンスインザダーク産駒やゼンノロブロイ産駒、ダイワメジャー産駒もプラス評価の対象だ。

★総論×各論

 天皇賞・秋で好走する上で必要条件となるのが「前走2番人気以内かつ5着以内」であること。ここで人気に推されるような馬であれば当然満たしておくべき条件なのだが、今年に関してはかなりビミョー。というのも、この基本条件を満たす登録馬が、イスラボニータとマイネルラクリマ、マーティンボロの3頭しかいないから、である。ジェンティルドンナもフェノーメノも、この条件を満たさない。

 また、上位人気の一角を占めるであろうエピファネイアとフェノーメノは、約半年の休養明け緒戦。ジェンティルドンナも宝塚記念以来の出走であり、休養明けをひと叩きして本番に臨んできている人気馬も、イスラボニータだけ。もうこの時点で、波乱の気配がプンプン漂ってくる。さらに、降雨予報が出ているのも、この予感を後押しする。

 というわけで、当データ分析でもっとも高い評価となったのは、3歳馬イスラボニータ。シンボリクリスエス以来となる、3歳での天皇賞・秋制覇が成る可能性は、かなり高いと見ている。古馬との能力比較はできないが、現3歳世代のレベルが低いとは思えず、セントライト記念を完勝してここに臨む臨戦過程も大きなプラス。もっとも順調に来ている実績馬で、鞍上ルメールというだけでも、ここは「買い」の一手だ。

 二番手にはマーティンボロを抜擢。真の一線級と戦った実績がないだけに難しさはあるが、このコースに向くいい末脚のキレを備えているのは間違いなく、血統的にも高い適性があって当然。小倉記念の前にしっかり休養しており、その上で新潟記念からという余裕のあるローテにも好感が持てる。過剰評価は禁物だが、買う価値は十分ある。

 そして、三番手にジェンティルドンナ。この馬にとっては次のJCこそが「本番」なのだろうが、東京適性の高さと輝かしい実績から、やはり無視はできない存在。それに、同じ休養明けでも宝塚記念以来であり、フェノーメノやエピファネイアと同列には扱えない。前走の敗北で人気を落とすようであれば、逆に美味しい存在となる。

 ここから少し差があって、四番手評価がマイネルラクリマ。今年のオールカマーは新潟開催であり、例年よりも本番に繋がるレースとなった可能性を無視できない。前が残る馬場になった場合にいかにも穴をあけそうなタイプでもあり、6歳馬といえども無視できない存在だと判断した。

 ここまでが上位評価組で、以下は「超」大混戦。スピルバーグ、ラブイズブーシェ、ダークシャドウ、ディサイファ、デニムアンドルビー、エピファネイアといった序列であり、フェノーメノはその次。というのも、道悪がからっ下手な同馬にとって、現在の雨予報が、非常に大きなマイナスとなりそうだからだ。

 もっとも、枠番が決まらないと何も言えないのが、天皇賞・秋というレース。トップ評価であるイスラボニータでさえ、外枠に入った瞬間に評価は「押さえ」まで下がる。ただでさえ波乱含みの今年は、枠番による影響が例年よりもさらに大きくなりそう。果たしてどの馬がどの枠に入るのか──今から楽しみでならない。

■スワンS(G2・京都芝1400m外)フルゲート18頭/登録18頭

 昨年、マイラーよりもスプリンターを買え!と力説した上に、そこで後の高松宮記念勝ち馬・コパノリチャードをマイラーに分類するという失態を犯した、スワンS。さらに、2着のダイワマッジョーレ、3着のサダムパテックもマイラーという恥ずかしい結果で、合っていたのは「荒れる」という読みだけだった。

 しかし、昨年にしても結果的にはスプリンターが勝っているワケで、先行力と持久力のあるスプリント戦向きのタイプが買いというのは、間違っていないはず。マイラーを買うとしても、狙うべきはやはりミッキーアイルのような先行脚質だ。

 というわけで、今年もサンライズメジャーやフィエロ、サダムパテックなどにケンカを売りつつ、ガルボやサクラアドニス、ビウイッチアスにベルカントなど、それなりの先行力を備えたスプリンター寄りの馬を推奨。なかでも注目はベルカントで、スプリンターズSで示した能力からも、ここは要注目である。

■アルテミスS(G3・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録19頭

 過去2回はいずれも人気馬が制し、ヒモに4番人気〜7番人気の中穴が来るという結果となっている、アルテミスS。過去のデータが少ないだけに何ともいえない部分はあるが、注目したいのが1戦1勝馬の成績だ。人気に推された馬が少なかったのも事実だが、その信頼度は[0-1-0-8]とイマイチ。ステラスターライトやシャルール、フローレスダンサーが大人気となるようであれば、疑ったほうが面白そうだ。

 また、前走1800m戦出走組も同様にイマイチで、昨年も4番人気に推されたマイネグレヴィルが6着に敗退。今年は札幌2歳S組のレッツゴードンキが登録しているが、これも推奨はしかねる出走パターン。3戦〜4戦のキャリアがあり、1400m戦〜1600m戦でそれなりに速い時計を残している馬。コレが、一応の「買いパターン」である。

 というわけで、人気サイドでは無難にスマートプラネット、人気薄ではハナモモを注目馬にチョイス。今年の登録馬からは、過去2年よりもさらに紛れる要素が大きそうな印象を受ける。ある程度は高配当を狙いに行くスタンスのほうが、好結果を呼び込めそうだ。

※コースデータ&血統データは2009年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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