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前に行って残せる強い馬を狙え!/チャンピオンズカップ

  • 2014年12月03日(水) 18時00分
■チャンピオンズカップ(G1・中京ダ1800m)フルゲート16頭/登録20頭

【コース基本情報】中京ダ1800m

・コース回収率
 [やや低め] 単勝65%・複勝72% 1番人気馬が圧倒的な強さを見せるコース

・馬連万馬券出現率
 [標準] 12.7%(平均値↑0.3% 馬連平均配当4969円)

・枠番別複勝率(16頭立て)
 [1枠〜2枠] 勝率 6.0% 連対率13.0% 複勝率22.4% 複回率 79% 枠番値+0.2
 [3枠〜4枠] 勝率 7.0% 連対率11.5% 複勝率18.5% 複回率 58% 枠番値±0
 [5枠〜6枠] 勝率 6.6% 連対率13.3% 複勝率16.6% 複回率 63% 枠番値-0.4
 [7枠〜8枠] 勝率 5.4% 連対率12.3% 複勝率17.8% 複回率 65% 枠番値+0.3
 ────────────────────────────────────
 [01番〜08番] 勝率 6.5% 連対率12.3% 複勝率20.4% 複回率 69% 枠番値+0.1
 [09番〜16番] 勝率 6.0% 連対率12.8% 複勝率17.2% 複回率 64% 枠番値-0.1
 →内外差が非常に少ないコースで枠番の影響はかなり小さいと思われる

・脚質別信頼度
 先行>逃げ>差し>>>追込 基本的にはかなり先行有利なコース

・推定ラップ&タイム
 [底力] 36.3-37.4-36.3=1.50.0 前後半のラップがほぼ同じ持久力勝負

 昨年までのJCダートが、舞台を中京へと移されて、レース名称も「チャンピオンズカップ」へと変更。開催コースは、左回りの東京ダ2100m→右回りの阪神ダ1800m→左回りの中京ダ1800mというのがこれまでの変遷だが、今回の中京ダ1800mが、外国馬のもっとも参戦しやすそうなコース設定といえる。

 直線に設けられた、上り坂の中腹あたりがスタート地点で、そこからコーナーを4つ回って1周するコース形態。最初のコーナーへと進入するまでに距離的な余裕があるので、序盤はそれなりに速く流れはしても、ポジション争いはそこまで激化しないはずだ。実際に枠番別成績を見ても、内外による成績差はほとんどナシ。ほんの少しだけ内枠が有利ではあるが、ココのレース予想で意識すべきほどのものではない。

 こういった非常にクセのないコース形態であるため、レースの紛れもなく、基本的には順当決着傾向。とくに1番人気の強さは驚異的で、トータル[55-33-17-53]で勝率34.8%、連対率55.7%、複勝率66.5%と、2番人気〜3番人気とは比べものにならない強さを見せている。ここを無理やり消すのは、さすがにナンセンスだ。

 ……というわけで、レースデータがアテにならない以上はコースデータに頼ろうと思ったのだが、そんな思惑を見事に打ち砕く「フツー」ぶり。無色透明というか、ここまでクセのないコースは珍しいほどである。ここは枠番などは気にせず、そのぶん出走馬の能力比較をキッチリ行うべきレースとなりそうである。

【参考レース情報】ジャパンカップダート(G1)

※00年〜07年の東京開催と、08年〜13年阪神開催とを分けて集計しています

・レース平均配当
 [東京] 単勝1263円 馬連2524円 3連複2万7310円
 [阪神] 単勝 778円 馬連4815円 3連複1万5613円

・1番人気馬成績
 東京 [3-3-0-1] 勝率42.9% 連対率85.7% 複勝率85.7%
 阪神 [3-0-2-1] 勝率50.0% 連対率50.0% 複勝率83.3%

・3番人気以内馬成績
 東京 [3-4-0-14] 勝率14.3% 連対率33.3% 複勝率33.3%
 阪神 [4-1-3-10] 勝率22.2% 連対率27.8% 複勝率44.4%

・4番人気〜6番人気馬成績
 東京 [2-2-2-15] 勝率 9.5% 連対率19.0% 複勝率28.6%
 阪神 [2-3-0-13] 勝率11.1% 連対率27.8% 複勝率27.8%

・7番人気〜9番人気馬成績
 東京 [1-0-4-16] 勝率 4.8% 連対率 4.8% 複勝率23.8%
 阪神 [0-2-1-15] 勝率 0% 連対率11.1% 複勝率16.7%

・10番人気以下馬成績
 東京 [1-1-1-44] 勝率 2.1% 連対率 4.3% 複勝率 6.4%
 阪神 [0-0-2-39] 勝率 0% 連対率 0% 複勝率 4.9%

・1着馬脚質シェア
 東京 [逃げ] 0% [先行] 42.9% [差し] 57.1% [追込] 0%
 阪神 [逃げ] 50.0% [先行] 16.7% [差し] 33.3% [追込] 0%

・3着以内馬脚質シェア
 東京 [逃げ] 0% [先行] 38.1% [差し] 57.1% [追込] 4.8%
 阪神 [逃げ] 16.7% [先行] 22.2% [差し] 44.4% [追込] 16.7%

・年齢別成績
 東京 [3歳馬] 3-0-1-15 連対率15.8% 複勝率21.1%
 東京 [4歳馬] 0-2-3-24 連対率 6.9% 複勝率17.2%
 東京 [5歳馬] 3-4-1-25 連対率21.2% 複勝率24.2%
 東京 [6歳馬] 1-1-1-15 連対率11.1% 複勝率16.7%
 東京 [7歳↑] 0-0-1-10 連対率 0% 複勝率 9.1%
 ─────────────────────────
 阪神 [3歳馬] 0-1-2-13 連対率 6.3% 複勝率18.8%
 阪神 [4歳馬] 2-1-1-14 連対率16.7% 複勝率22.2%
 阪神 [5歳馬] 3-1-0-19 連対率17.4% 複勝率17.4%
 阪神 [6歳馬] 1-2-2-16 連対率14.3% 複勝率23.8%
 阪神 [7歳↑] 0-1-1-15 連対率 5.9% 複勝率11.8%

・前走中央出走日本馬 前走上がり3F順位
 東京 [1位] 3-2-2-5 連対率41.7% 複勝率58.3%
 東京 [2位] 0-0-1-4 連対率 0% 複勝率20.0%
 東京 [3位] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%
 東京 [4位以下] 0-0-0-25 連対率0% 複勝率0%
 ─────────────────────────
 阪神 [1位] 0-1-1-6 連対率12.5% 複勝率25.0%
 阪神 [2位] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%
 阪神 [3位] 1-1-0-7 連対率22.2% 複勝率22.2%
 阪神 [4位以下] 3-1-2-23 連対率13.8% 複勝率20.7%

 新設重賞なので「分析不能」のひと言で片付ける手もあるが、そこを無理やり分析。ある推論に基づいて、過去に行われたJCダートを、00年〜07年の東京開催と08年〜13年阪神開催に分け、その両者を比較する──という試みを行ってみた。また、データは未掲載だが、同コースの重賞である13年〜14年の東海Sの結果も加味しているのをお伝えしておこう。

 まずは人気別成績だが、1番人気がとんでもなく強いのは、東京・阪神の両方に共通する傾向。そもそも、ダート重賞というもの自体が芝よりも順当決着傾向が強いので、その最強馬決定戦であったJCダートがこのような結果になるのも、当然といえば当然か。ただし、阪神よりも東京のほうが10番人気以下が馬券になっている回数が多いことを、しっかり覚えておきたい。

 劇的に異なるのが勝ち馬の脚質で、東京では馬券に一度も絡まなかった「逃げ」脚質が、阪神では大活躍。勝ち馬の50.0%が逃げ切りと、傾向がガラリ一変している。しかし、この傾向が今回の中京替わりでまた変わるのは間違いなく、コース形態などから考えると、東京開催時の傾向に近い方向に戻るのではないか──というのが、現時点での推察。少なくとも、阪神ダ1800mほど前が残るとは思えない。

 かといって、東京ほど瞬発力勝負になりやすいとも思えないので、そのへんのさじ加減が重要となりそう。東京ダ2100mのJCダートは「前走中央戦組は前走最速上がりの馬しか来ない」という極端なレースだったが、中京ダ1800mは「ソコソコ速い脚を長く使えるタイプ」に向くコースで、前走最速上がりの馬よりも、前々から2位〜3位あたりの上がりを使った馬のほうが向きそうな印象がある。

 ペースはそれなりに速くなるだろうし、その流れを好位〜中団で受けて、そのうえでソコソコ速い上がりを使えるキレと持久力を兼備するような馬を狙いたいところ。具体的にいえば、瞬発力の要求度が高すぎる東京・武蔵野Sよりも、先行力が要求される京都・みやこSのほうが、リンクしやすいと思われる。先行力だけでもダメ、瞬発力だけでもダメ。この両者のバランスが取れている馬を重視したい。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 ダート戦なので、土曜日の時計が速いかどうかをチェックしておけばオーケー。

・天候予測
 中間にひと雨ありそうだが週末は好天に。良馬場前提の予想で問題なさそう。

・勝利数トップ種牡馬
 シンボリクリスエス 勝率9.6% 連対率16.5% 複勝率24.3%

・著者の注目血統
 マンハッタンカフェ産駒◎、スペシャルウィーク産駒○
 Danzig系種牡馬の産駒▲、Seattle Slew系種牡馬の産駒▲

 レースデータがないレースでもあり、普段よりもかなり重視したいのが「血統」というファクター。どういった資質、どういった適性が要求されるコースなのかを考えるうえでも、これはかなり有意である。ではさっそく、中京ダ1800mで好成績をあげている種牡馬について見ていこう。

 勝ち星がもっとも多いのはシンボリクリスエス産駒だが、これは出走数の多さで稼ぎ出したものであり、内容に関してはマンハッタンカフェ産駒やスペシャルウィーク産駒のほうが、はるかに上。マンハッタンカフェ、スペシャルウィーク、ブライアンズタイムが当コースの「三強」種牡馬で、産駒はいずれも連対率25%以上、複勝率30%以上という、非常に高い信頼度を誇っている。

 また、系統別に見た場合に「サンデー系の信頼度がそれほど高くない」というのも、押さえておきたいポイント。トータル連対率14.7%、複勝率20.9%と「ソコソコ」でしかなく、Seattle Slew系に代表されるBold Ruler系や、Danzig系のほうがはるかに適性は高いのである。ちなみに、Bold Ruler系種牡馬の産駒は連対率21.4%、複勝率35.7%で、Danzig系種牡馬の産駒は連対率25.5%、複勝率34.0%という好成績だ。

 あとは、キングカメハメハ産駒やゴールドアリュール産駒なども悪くない成績を残してはいるのだが、ここまでに述べた血統と比較すると、一枚から二枚は落ちるという印象。インカンテーション、インペラティヴ、グレープブランデー、ベストウォーリア、ローマンレジェンド、ワイドバッハの6頭が、血統というファクターにおけるプラス評価組である。

★総論×各論

 春にはフェブラリーSを逃げ切り、この秋にはJBCクラシックも制したコパノリッキー。現在3連勝中で、前走のみやこSでは素晴らしい末脚を見せたインカンテーション。そのインカンテーションに、この夏のエルムSで1秒近い差をつけている古豪ローマンレジェンド。そして、昨年の秋〜冬はダート戦線の主役を張った実績馬ホッコータルマエなど、先週のJCにも負けず劣らずの、錚々たるメンツが登録してきた。

 どこからでも入れるが、最低限クリアしておきたいのが「前走4番人気以内かつ3着以内」というハードル。あとは、鞍上が「継続騎乗」もしくは「外国人ジョッキーへの乗り替わり」であるのも勝ち馬に関しては重要で、このあたりは中京に替わっても大きな変化はないはず。となると、賞金的に出走が叶いそうな馬では、この両者をクリアするインカンテーション、クリソライト、コパノリッキー、ナムラビクター、ローマンレジェンド、ワンダーアキュートの6頭が浮上する。

 さらに、過去のレース内容や血統からの後押しもあるのがインカンテーションで、当データ分析ではこの馬をトップに評価。中京ダ1800mで[2-0-1-0]と一度も崩れていないように、既にコース適性の高さを証明済みであるのも、非常にポイントが高い。前走にしても展開は不向きだったはずで、そこを地力で差し切ったのだから、ここにきての充実ぶりは、やはり顕著。G1でも十分、勝負になると見ている。

 二番手評価に、そのインカンテーションをエルムSで下しているローマンレジェンド。そのレースから4ヵ月ぶりというローテがどうかだが、あのねじ伏せるようなレースぶりは、やはり印象的。当コースでは、過去にジュライCをレコードで圧勝(トウショウフリークに6馬身差)しており、適性の面でも脚質の面でもプラスに評価できる。この舞台変更がいちばんプラスなのは、この馬かもしれない。

 三番手にコパノリッキーで、今年4戦の結果からも、これ以上は軽く扱えないはず。勝ち負けに持ち込めて当然であり、順当に高評価する。そして四番手に、アメリカのインペラティヴ。外国馬に関しては試金石となる一戦だが、この条件下でこの程度の実績馬が来た場合に、どのような結果となるのかを興味深く見守りたいところ。いかにもアメリカンな先行馬ではなく、マクリ脚質というのも面白い。

 ここまでが上位評価組で、以下はワンダーアキュート、ホッコータルマエ、ナムラビクター、クリソライト、クリノスターオーといった評価順。本当に難解な一戦であり、まだまだ好勝負になっておかしくない馬がここはゾロゾロいる。人気もかなり割れることだろうし、最後の最後までしっかり悩み、しっかり楽しみたいものである。

■金鯱賞(G2・中京芝2000m)フルゲート18頭/登録22頭

 毎日王冠を制したことで、その評価が著しくアップしたエアソミュール。「次走は結局どこになるんだ!?」と注目を集めたが、最終的に選ばれたのが、実績馬ウインバリアシオンやラブリーデイ、ラストインパクトなど、なかなか濃いメンツが顔を揃える予定である、この金鯱賞となった。

 現在の開催条件となってから今年で3回目だが、パンパン馬場で先行して粘り抜ける持久力と、前々で流れに乗ったうえで発揮できる瞬発力の両方が問われるレースとなっている印象。ところが、今年の登録馬のなかに「前走で速い上がりを使っていた馬」が、非常に少ないのである。

 出走できそうな馬で「芝での前走上がり順位3位以内」という条件を満たすのは、ウインバリアシオン、エアソミュール、ラストインパクトだけ。しかも、この3頭の前走上がりはいずれも「3位」であり、最速上がりの馬は1頭もいない。となると、ある程度の位置を取りに行ける馬のほうがいいのは確実。差せるコースだが、差せる「展開」になるかどうかは微妙と思われる。

 そういう理由もあり、もっとも高く評価したのはラストインパクト。二番手にエアソミュール、三番手にラブリーデイ、四番手にウインバリアシオンという評価順となった。実績ならば断然ウインだが、こちらの本番は有馬記念。叩き台であるここは、それほど怖くないのではないかと読む。

■ステイヤーズS(G2・中山芝3600m)フルゲート16頭/登録20頭

 昨年は1番人気のデスペラードが人気に応えて快勝したものの、2011〜2013年トウカイトリック、2011年イグアスなど人気がない馬の好走もあり波乱の結果に。一昔前は1番人気が毎年のように連対していたのだが、近年はやや波乱傾向を強くしてきている。

 好走馬の過半数を「前走アルゼンチン共和国杯組」が占めており、ここをどのように料理するかが勝負の決め手。アルゼンチン共和国杯で上位人気に推されていた馬であれば、アレコレ考えずに素直に買いが正解だ。5番人気以内に推されていた馬なら、その信頼度は非常に高い。今年の該当馬は、クリールカイザーとホッコーブレーヴ、マイネルメダリストの3頭だ。

 また「イキのいい3歳馬も強いが高齢の7歳以上馬も強い」のがこのレースで、年齢はとくに気にする必要ナシ。あとは「前走から斤量減となる人気薄」の好走率も高く、これに該当するアップルジャックやケイアイチョウサン、スズカデヴィアス、フェデラルホールあたりも激走可能か。

 前走レースの「格」を信頼して、ここは素直にクリールカイザーをトップ評価。勢いのある3歳馬スズカデヴィアスを二番手に抜擢するが、今年の登録メンバーであれば、そう大きな波乱はなさそうだと見たい。

※コースデータ&血統データは2012年以降、レースデータは2004年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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