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メイショウコロンボが逃げ切り重賞初制覇/兵庫ゴールドT・園田

  • 2014年12月25日(木) 18時00分


◆今後の活躍の舞台が広がったメイショウコロンボ

 ハンデ戦でもあり、地方勢にもダートグレード勝ちがあって地の利もあるタガノジンガロのほか、中央時代にダートのオープンで入着実績のあるサクラシャイニー、同じくダートの準オープンで入着のあるジョーメテオがいてというメンバーで、どういう人気になるのかちょっと予想がつかなかったが、フタをあけてみれば、1番人気が重賞未勝利のメイショウコロンボで、2番人気がトップハンデのタイセイレジェンド。上位人気は割れ加減の微妙なオッズだったが、馬連複、馬連単のオッズを見ても、ほぼ単勝オッズどおりの人気だった。しかしその1、2番人気馬は明暗の別れる結果となった。

 逃げる可能性のある馬が、8番メイショウコロンボ、10番タイセイレジェンド、12番クリスタルボーイの3頭で、抜群のダッシュを決めたメイショウコロンボがすぐに先頭に立った。気合を入れて玉砕覚悟だったか、隣りのコアレスピューマが2番手につけ、枠順的にそのさらに外だったタイセイレジェンドは3番手から。クリスタルボーイは躓いたような感じのスタートで後方からとなってしまった。かつては逃げていて、近走は好スタートでも2、3番手に控えてというサマリーズも2番枠ということを考えると逃げの手も考えられたが、スタートが両脇の馬より半馬身ほど遅かった上に、鞍上が押して行く素振りも見せなかったので、内枠でもおそらくハナを取る気はなかったのだろう。

 メイショウコロンボが逃げたペースは、最初の3Fが36秒0で、1000m通過が60秒4と淀みのないもの。タイセイレジェンドにとっては、間のコアレスピューマがいなくてぴたりと2番手につけられていればまた違ったかもしれないが、息の入らない流れで3番手から。それでいて59kgを背負ってということではさすがに苦しくなり、3コーナー過ぎからは徐々に後退して圏外となった。

 向正面で早めに勝負に出たのが浦和のジョーメテオで、前走、笠松グランプリのときと同じような一気のまくりを今回も見せた。その前回の鞍上が東川公則騎手で、今回は兵庫の田中学騎手。コースを熟知する地元のベテランジョッキーが、ほとんど同じタイミングで勝負に出てという競馬。前回は3〜4コーナー中間でまくりきってしまったが、さすがに今回は相手が違った。3コーナー過ぎで一瞬、メイショウコロンボを交わしかける場面もあったが、4コーナーを回るところでは逆にメイショウコロンボがジョーメテオを振り切りにかかり、そのまま後続を寄せつけず逃げ切り勝ちとなった。

 勝ったメイショウコロンボは、登録当初の段階では補欠1位。それゆえ27日の中山・師走S(ダート1800m)への出走を考えていたそうだが、サウンドガガが14日の中山・カペラSに回ったことで繰り上がって出走権を得た。そもそもメイショウコロンボはこれまで芝も含めて1600m以上しか経験がなく、距離的なことでも、このレースよりも師走Sと考えていたのではないだろうか。いわばタナボタ的な勝利は、単なる重賞初勝利という以上に、メイショウコロンボにとっては価値のあるものとなった。まずひとつは、賞金を加算したことで、今後は地方のダートグレードに出走できる可能性が高くなること。もうひとつは、地方の1400m戦をこなせたということ。地方のダートグレードでは、コーナーを4つ回る1400mという設定のレースがたくさんある。そういう意味でも、今後の活躍の舞台が広がったといっていいだろう。

 殊勲は2着のジョーメテオだ。中盤からはみずからレースをつくり、勝利には至らなかったものの、交流重賞では初めての2着。予想でジョーメテオを無印にしてしまったのは、かつて輸送難があったことを聞いていたため。ゆえに浦和移籍後も関東圏から出たことがなく、それでも夏ごろから調子を上げてきていたため、移籍後初遠征となったのが前走の笠松グランプリで、しかしあっと驚く強さを見せた。とはいえ、一度浦和に戻り、今度はさらに遠い園田への遠征で、しかも中央馬の対戦となればそれほど簡単にはいかないだろうと見てしまった。それにしても、この秋の小久保智厩舎の活躍には何度驚かされたことだろう。

 3着には高知のサクラシャイニー、4着には地元兵庫のタガノジンガロで、地方馬が2〜4着に入るという健闘を見せた。2着のジョーメテオを含め、いずれも昨年から今年にかけて、中央の準オープンまたはオープンから地方に移籍した馬たち。中央のこのクラスのダートは除外のリスクも高く、番組的に使いどころが難しい。近年では、こうした活躍の場を求めての地方への移籍が目立ってきている。

 中央勢では、重賞初制覇となったメイショウコロンボとは対照的に、重賞実績のあるその他3頭は案外の結果だった。サマリーズ、セレスハントは中団からの追走で、ジョーメテオが仕掛けてペースアップしたときについていけず。サマリーズはタガノジンガロから2馬身半離されて5着で、この距離はやはり長かったのかもしれない。セレスハントはさすがに9歳という年齢ゆえだろう。定量のJBCクラシックで僅差の3着と好走したタイセイレジェンドは59キロが堪えたか。ダート交流戦線では、中長距離に比べ短距離路線はGII/JpnII以上の番組が限られている。そのためGIII/JpnIIIでは常に斤量を背負わされることになるGI/JpnI勝ち馬はレースの選択が難しい。

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1964年生まれ。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』解説。NAR公式サイト『ウェブハロン』、『優駿』、『週刊競馬ブック』等で記事を執筆。ドバイ、ブリーダーズC、シンガポール、香港などの国際レースにも毎年足を運ぶ。

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