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ラブイズブーシェ、フルーキー、グランデッツァなど中山金杯、京都金杯分析

  • 2015年01月02日(金) 18時00分


直前の馬体重に注意

 2015年の栗東トレーニングセンター馬場開きとなる、1月2日。トレセンニュースでもお伝えしたように、雪の影響を受ける幕開けとなりました。調教実施の有無や開始時刻など、各厩舎の判断に任されているので、様々な行動が見られました。

 朝一番に角居勝彦厩舎は坂路馬場を駆け上がり、それに続いて、池江泰寿厩舎、今野貞一厩舎や吉村圭司厩舎など登坂。高野友和厩舎はいつも通りに坂路を2本乗るなど、状況を見極めながら、普段と変わりない調教に努めていました。一方、藤原英昭厩舎や友道康夫厩舎は今週末のレースに出走予定の馬だけ馬場での調教を行う方法を選択。

 また、厩舎によっては全馬、調教馬場では乗らないというパターンもありました。「乗らなければよかった」という事故を防ぐためには賢明な判断なのかも知れません。しかし、1日が全休だったため、2日に調教していないと、実質2日間、調教を休んだことになります。これがどのような影響を与えることになるのか。わかりやすいのは、レース当日の馬体重ということになると思うので、そのあたりが気になる方は、直前の馬体重発表に気を配る必要がありそうです。

【中山金杯/ラブイズブーシェ】

 前走後は一旦放牧に出されて、12月9日に宇治田原優駿Sから栗東へ帰厩。もともと、有馬記念に出走希望だったこともあり、帰厩早々から調教のピッチを速めて、仕上げられてきました。追い切り本数は多くなくても、その分、中身が出来ているように思います。

 ただ、12月31日の追い切りは地味。いくら追走したとはいえ、2歳未勝利のコパノチャーリーに手応えで劣勢。時計は標準レベルなので、過小評価なのかも知れませんが、とにかく見た目にはこれまでの実績を信頼しにくい追い切り内容だったことは間違いありません。

井内利彰

見た目には実績を信頼しにくい追い切り内容だったラブイズブーシェ(1月2日撮影)


【京都金杯/フルーキー】

 既報の通り、12月28日の追い切りで軽い外傷を負ったので、通常なら12月31日に追い切るところを、年明け2日に追い切ると陣営が明言。その追い切りが2日に行われたが、フルーキーは開門で一番最初の登坂。その時計は4F61.7〜3F44.4〜2F29.5〜1F14.8秒。追い切ったというよりも、普通に乗ったら、この数字になったという感じ。

 ウッドチップが凍っているのか、走りやすい馬場状態だったこともあり、見た目はバネが利いて軽快な走り。ここまでの中間でしっかり追い切り本数を重ねているので、最後の追い切りが軽い内容でも問題ない、と言いたいところ。しかし、過去3走の好走はすべて最終追い切りで併せ馬で追走しており、この違いが微妙に気になります。

【京都金杯/グランデッツァ】

 マイルCSでの走りを見るかぎり、京都芝外回りのレースでは安定感のある走りができる印象を受けます。そして今回は前走と同じ中5週。参考になる調教は前走時のものですが、本数が3本で、1週前追い切りの段階で併せ馬に先着している点は同じ。

 よって、今回も力を出せる状態と判断するべきなのかも知れませんが、気になるのは最終追い切りの内容。坂路での4F時計が54.4秒というのは、この馬にしては遅く、それにもかかわらず、ラスト1F13.2秒。これは3F目のラップで一気に加速してしまったことが原因だと思いますが、これは意外に重要な好走時との相違点なのかも知れません。これに付随することで、1月2日の坂路調教を終えて、厩舎へ戻る際にも煩い仕草を見せており、ややテンションが高い点も気になります。

井内利彰

ややテンションが高い点も気になるグランデッツァ(12月30日撮影)


【京都金杯/エキストラエンド】

 昨年の覇者。昨年は休み明けというローテーションでしたが、今年はマイルCS5着から。ただ、中間は社台F山元トレセンに放牧に出されており、帰厩したのが12月17日でした。この厩舎ですから、追い切り本数は多いものの、栗東近郊の牧場ではなく、山元に出されていたという点は気になるところ。

 12月28日の坂路では、同レースに出走するフルーキーとの併せ馬で先着。これを考えると、思っている以上に中身が出来ていると判断すべきなのでしょうが、前走時の最終追い切りは坂路4Fの自己ベストをマーク。それだけしっかりやって、GIで5着の結果が出た馬が、今回は日程の関係で15-15程度の追い切りで最後の仕上げを行って、力を出せるかどうかという点に疑問は残ります。

【京都金杯/ウインフルブルーム】

 前走の敗因を「+12キロの馬体重増」と考えるか、「逃げなかったこと」と考えるか。これによって、今回の取捨選択に大きな影響を及ぼすと思います。というのも、この中間の追い切り本数を考えると、馬体重が一気に10キロ以上減るということがなさそう。よって、太目残りが敗因なら、今回も太目が残るということになるかも知れません。

 しかし個人的には、太目というよりは馬格に見合った馬体重の成長だと考えています。よって、前走の敗因は逃げなかったこと、というのが私の考え。今回はきっちり逃げるでしょうし、12月31日の追い切りでは、好走時と同じラスト1Fが最速になるラップを踏めていたので、前走からの巻き返しは必至です。

井内利彰

前走からの巻き返し必至のウインフルブルーム(12月30日撮影)


◆次走要注意

・12/27 阪神 2歳未勝利【ピースオブジャパン】(3人/6着)

 これまでの実績を考えると、3番人気は当然。ただ、レース内容はやや出負けしたとはいえ、いつも通りに先行できず、後ろから差す競馬。一見すると、流れに乗れなかったように思いますが、それが次走以降の「布石」というのが私の考え。
 行き脚がつかなかったのは、疲れがたまっているから。もし、続けて使うようなら、次走は凡走の対象でしょう。ひと息入れれば、いつでも勝てる能力はあると思いますが。

[メモ登録用コメント] [芝]2ヶ月以上の休み明けなら勝ち負け

・12/28 阪神 カウントダウンS【トウカイオーロラ】(11人/4着)

 馬券総合倶楽部で狙い馬として取り上げました。ハンデ戦で、追い切り本数が多く、時計の掛かる芝2000m。好走条件が揃っていただけに、これで馬券に絡めなかったのは残念ですが、同じような条件なら、再び好走できるはず。
 追い切り的には、最終追い切りでラスト1Fが最速になるようなラップを踏む、トラック追いがあれば大丈夫。

[メモ登録用コメント] [芝2000m]ラスト1Fが最速になるトラック追い切りなら馬券圏内

◆今週の追い切り特報

・福寿草特別【レントラー
 12月31日のCWでは、3頭併せで最後方から追走して、直線は大外で持ったままの最先着。もともと、追い切りでの動きが目立っていたタイプとはいえ、2ヶ月ほどの休みで、再び成長したような気がします。

【次回公開日変更のお知らせ】
 次回の「調教Gメン研究所」更新は変則開催のため1月8日18時の公開となります。予めご了承くださいますようよろしくお願い申し上げます。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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