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キズナ、ハープスターが出走の京都記念を始め3重賞を分析

  • 2015年02月11日(水) 18時00分


キズナの追い切り後、馬場出口で待ち構えるカメラマンの数といったらまさにGI並み

 今週の注目はなんといっても京都記念。今朝11日の栗東に訪れた報道陣のほとんどはこの取材に来たのではないか、と思えるくらい。キズナの追い切り後、馬場出口で待ち構えるカメラマンの数といったら、まさにGI並み。いやはや、やっぱり人気というか、注目度の高い馬だと、あらためて感じさせられました。

 実は今週、この冒頭で触れておきたい馬がいます。それがミッキーアイル。NHKマイルCの優勝馬ですが、近2走はハナに立つことができずに凡走が続きました。4歳になった今年は「脚質転換」ということで、ハナに行かないで競馬することに専念するそうです。その第一歩として行っているのが「馬の後ろで我慢すること」。

ミッキーアイル(2月10日撮影)

ミッキーアイル(2月10日撮影)



 上の画像は10日の坂路でのキャンター。道中はダノンリバティの後ろにつけて、ウッドチップを被る練習をしました。顔にアイシールドという、ウッドチップが目に入ることを防ぐ馬具を付けていますが、ここにチップがたくさん付着しているのが分かると思います。「ポリトラックで普通キャンターを乗る時にも、後ろにつける練習をしているよ」と音無秀孝調教師。「ハナに行けないと惨敗、これでは競馬にならない。せっかくGIを勝つスピードがあるんだから、これを活かすにはどうするか。そこに主眼を置いて、調教をしているので、阪急杯では、その効果が実れば」と同師。

 あくまで現時点の個人的な印象ですが、この調教の変化は必ずレース結果につながるような気がしています。来週以降の追い切りが楽しみになってきました。

【京都記念/キズナ】

 天皇賞(春)の後、骨折が判明。戦線離脱を余儀なくされましたが、2月11日の時点までは順調に事を運んできました。これだけの長い休みということで、追い切り内容にもしっかりとした意図を持たせて、ここまでの本数を積み重ねています。その結果、徐々に走れる態勢が整っている、そんな印象です。

 最終追い切りは武豊騎手が跨って、CWでの単走。3コーナーでのゆったりとしたフットワークは2週前に同騎手が跨った時には見られなかったもの。直線、手前は替えなかったものの、脚色が一杯になるということはありませんでした。時計は6F79.1〜5F64.8〜4F50.8〜3F37.4〜1F12.4秒、なので文句なし。さすがに骨折明けの今回ですから「勝つ」というよりも「勝ってほしい」という言葉が個人的な気持ちですが、無事に回ってくれば、自然と結果がついてくるような気がします。

キズナ(2月11日撮影)

キズナ(2月11日撮影)



【京都記念/ハープスター】

 最終追い切りを見た感想としては「こんなに変わってくるんだ」というのが、正直な気持ち。帰厩当初は、普通キャンターでも行きたがるシーンが目についていましたが、追い切りをこなすたびに、そんなところが少しずつ解消。それでも、決して良い印象はなかったのが、2週前追い切りでしたが、単走の1週前追い切りでは、ちょっと変わってくるかも、そんな雰囲気でした。

 CWでの最終追い切りは、1周目のキャンターから雰囲気抜群。2周目の向正面、徐々に加速して、ラップを上げていき、直線へ。スピードに乗った馬体は「いつでもトップスピードに入りますよ」といったギア状態。最後までその状態を保ったままゴールしましたが、それでも時計は6F82.7〜5F67.4〜4F52.4〜3F38.1〜1F12.4秒。JC以来なら、この時計で文句ありません。レースでは3コーナーの下り坂で自然と加速できる、そんなイメージが沸く追い切り内容でした。

ハープスター(2月11日撮影)

ハープスター(2月11日撮影)



【京都記念/ハギノハイブリッド】

 前走日経新春杯は最終追い切り場所が坂路。これは京都新聞杯1着時と同じなので、決して悪くないことだと思いましたが、問題はその時計。4F56.3秒と全体時計が遅いにも関わらず、ラスト1Fは13.3秒と減速気味。レースでは中団から流れ込むままの6着に終わっており、動きが良化してくれば、もっとやれる印象でした。

 今回は1週前追い切りが坂路で、最終追い切りはCW。ハギノタイクーンを追走して、とても追いつきそうにない位置から、きっちり先着できたあたりは評価したいところ。ただ、時計が6F82.1〜5F66.6〜4F53.0〜3F38.9〜1F13.0秒だったように、最後はこの馬が伸びたというよりは、相手が止まった印象もあります。この先を見据える上で、期待したい4歳馬ですが、暖かくなってくれば、もっと良くなりそうな印象です。

ハギノハイブリッド(2月11日撮影)

ハギノハイブリッド(2月11日撮影)



【共同通信杯/ティルナノーグ】

 新馬、紫菊賞の連勝から、近2走の惨敗ですっかり信頼性が低下してしまいました。ひいき目なのかも知れませんが、京都2歳S、ホープフルSは敗因が明確というのが、個人的な見解だけに、正直、今回の舞台でどの程度走れるかというところが重要だと思っています。

 前走後も栗東に在厩のまま。その分、追い切りの本数は十分すぎるくらいに消化しています。1週前追い切りはCWで単走でしたが、かなり速い時計。最終追い切りも同様の内容を期待していましたが、時計的には少し不満の残る内容。どうせなら、前にいた2頭をあっさりと交わす勢いを期待したのですが。予想の印は他馬との比較の上、決めることになりますが、イメージ通りでなかった点はやっぱり評価から減点することになるでしょう。

ティルナノーグ(2月11日撮影)

ティルナノーグ(2月11日撮影)



【クイーンC/ロカ】

 前走はキャリア1戦ながら、新馬戦の勝ち方が強かったということで1番人気。ファンの期待するところが大きかったことは事実ですが、出遅れて、後方から直線大外回って8着なら、人気うんぬんではなく、上々の内容でしょう。

 グリーンウッドから帰厩しての調整は実にスムーズ。最終追い切りは全体時計は遅いものの、脚をためて、しっかり伸ばすことができていたと思いますし、併せ馬で追走した相手を抜いたことも評価したいところ。東京競馬場までの輸送があるとはいえ、今回は重い印を打ちたいというのが、個人的な評価です。

ロカ(2月10日撮影)

ロカ(2月10日撮影)



◆次走要注意

・2/7 東京 ゆりかもめ賞【エトランドル】(1人/10着)

 道中、13秒台のラップが続くようなレースをあれだけ後方から進めては話になりません。勝ち馬から1.0秒差とはいえ、全く収穫のないレースだったという印象です。
 次走も同じ距離のゆきやなぎ賞が予定されているようですが、最終追い切りをCWでラスト1Fが最速になるラップを踏むことができれば、巻き返すことは可能でしょう。

[メモ登録用コメント] [芝中長距離]最終追い切りCWでラスト1F最速ラップなら勝ち負け

・2/8 東京 早春S【メイショウカドマツ】(4人/1着)

 道中、楽に逃げ進めたとはいえ、2着に4馬身差の完勝。4歳時には天皇賞(春)の出走を期待した逸材ですから、このくらいは当然かも知れません。
 とにかく逃げて自分の形でレースをできる馬が少ない今の長距離戦線なら、主役も十分可能。次走も追い切り本数多く仕上げることができれば。

[メモ登録用コメント] [芝長距離]標準多めなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・京都記念【トウシンモンステラ】
 フォントルロイに先行する、CWでの併せ馬でしたが、前走時と比較しても、今回の方が断然に目立つ内容。追われてからのフットワークが目立っていましたし、勝ち負けはともかく、3着争いという意味では十分に面白い存在になりそうです。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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