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ブランネージュ、ムーンエクスプレス、サングレアルなど3重賞の調教分析

  • 2015年03月11日(水) 18時00分


フィリーズレビューなど3重賞に出走する注目馬の最終追い切りを分析!

「調教再審査」という言葉を聞いて、オルフェーヴルの名が思い浮かんでくるあなたはさすが。阪神大賞典で、思わぬ逃避をしたことにより、天皇賞(春)に出走するためには、調教再審査を受けて、合格しなければいけませんでした。これは重賞だからというわけではなく、未勝利でも当然起こりえる現象。オルフェーヴルのように、明らかに逃避した、わかりやすいケースもあれば、「これで調教再審査?」という類もあります。

 それが共同通信杯のダノンメジャー。理由は「競走中に異常歩様となったことについて平地調教再審査」ということ。いつもは坂路小屋で調教を見守る橋口弘次郎調教師も、この時は厩務員スタンドの2F、私のいつもいる場所のすぐそばで一緒に、D.バルジュー騎手が跨る追い切りを見ました。

 スタート直後「速い…」と呟くしかないストップウオッチの表示。前半3Fが34秒って、ダート短距離のレースですよね。結局、6F70.4秒、1200mを1分10秒4でフィニッシュ。ほんと、ダートのオープンでも通用しそうな時計。普通なら速すぎる、って怒るところだと思いますが、そこは御大。「遅くなるより、いいじゃないか」と笑顔。いや〜、それにしても速かった。

ダノンメジャー(3月11日撮影)

ダノンメジャー(3月11日撮影)



【中山牝馬S/ブランネージュ】

 過去2勝は1600mと1800mで挙げていますから、適性距離は2000m以下と考えるのが妥当。前走は秋華賞の激戦の疲れ、2200mの距離を敗因にしてよいと思います。今回は休み明けですが、4歳馬ですし、個人的には成長も期待していました。

 そういった意味では個人的に物足りなさを感じる今回。オークスで◎を打った時は本当にはち切れそうな馬体で輝いていました。時期的なこともあると思いますが、良くなってくるのは、これを使ってからという印象。最終追い切りDPでは、ステッキが入って、1F11.1秒と速い数字が出ましたから、これは評価すべき。ただし、一杯に追われて惨敗したのが前走だけに、この判断は難しいところでしょう。

ブランネージュ(3月11日撮影)

ブランネージュ(3月11日撮影)



【中山牝馬S/シャトーブランシュ】

 ローズS2着や夕月特別勝ちなど、夏から秋にかけての好走例が多い馬だけに、この季節がどうかと思っていましたが、ユートピアSでの強烈な末脚から、愛知杯4着の成績を見るかぎり、寒くても特に問題ないのでしょう。特にこの中間は中2週ながら、追い切り本数が多くなっています。

 これは夕月特別の時と同じ。よって、勝ちパターンの調教内容ですし、最終追い切りもラスト1Fが減速してしまいましたが、大きく減点するほどの失速ではなかったと思います。坂路での動きを見ていても、脚をためた方が弾けることは間違いないので、あとはジョッキーがどんな競馬をするか。今回は重賞制覇に向けて、楽しみな状態にあると思います。

シャトーブランシュ(3月11日撮影)

シャトーブランシュ(3月11日撮影)



【フィリーズレビュー/ムーンエクスプレス】

 阪神JF4着後は宇治田原優駿Sで鋭気を養い、2月18日に栗東へ帰厩。レースまで間隔があったにも関わらず、あまり追い切り本数はこなしておらず、1週前追い切りは併せ馬で遅れ。この内容から、個人的には仕上がり状態に関して心配していました。

 ただ最終追い切りを見ての結論は、そこまで心配することないかも。11日の坂路はそれなりの時計を要する馬場でしたが、そこで1F12.4秒の動きができるのであれば、走れる状態に仕上がっているのかも知れません。

ムーンエクスプレス(3月10日撮影)

ムーンエクスプレス(3月10日撮影)



【フィリーズレビュー/ダノングラシアス】

 前走はメンコを着用しての最終追い切りで、動きも悪くありませんでしたが、ややフラついた走りを見せるなど、ちょっと物足りない内容だったことは確か。それに比べると、今回は追い日以外にも坂路に入っているように気性的に落ち着きが出た印象を受けますし、10日の登坂時は闘志十分の表情が見られました。

 だからなのか、最終追い切りでは坂路4Fの自己ベストを更新。前走ハナでレースしたことは今回に活きてきそうですし、楽しみの方が多い一戦となるでしょう。また、1週前追い切りに福永祐一騎手が跨り、馬なりで古馬に先着した動きも評価したいところです。

ダノングラシアス(3月10日撮影)

ダノングラシアス(3月10日撮影)



【中日新聞杯/サングレアル】

 エリザベス女王杯惨敗後、放牧に出されて、ノーザンFしがらきから栗東へ帰厩したのは1月31日。かなり早目に帰厩していますが、その分、しっかりと追い切り本数を積んでいるのが今回。1週前追い切りではさほど目立つ動きではありませんでしたが、11日は岩田康誠騎手が跨ったこともあってか、見栄えする内容。

 ディファーストを追走しましたが、4コーナーで外を回りながらもしっかりと先着。全体的な時計も速く、これなら狙ってみたくなる、そんな追い切り内容でした。もともと左回りで重賞を制しているくらいですから、馬体が減るようなことがなければ、休み明けでも楽しみは十分でしょう。

サングレアル(外・3月11日撮影)

サングレアル(外・3月11日撮影)



◆次走要注意

・3/7 中山 3歳500万下【ドラゴンパイロ】(3人/4着)

 4番枠でインをロスなく追走する道中。あとは直線で前を捌けば、という展開も、結果的に前を捌くことができず、外から脚色のよい勝ち馬に差されてしまいます。
 器用に競馬ができたことを考えると、やはりコーナー4つの競馬がよいのでしょう。そのうち巻き返してくるはず。

[メモ登録用コメント] [ダート中距離]最終追い切りでラスト1F最速ラップなら勝ち負け

・3/8 阪神 3歳500万下【ハナズプルメリア】(6人/4着)

 1番枠ということもあり、一旦後方まで下げて、直線大外に出すという、いたってシンプルなレースぶり。いくら馬場が悪かったとはいえ、これでは届かなくて当然でしょう。
 ただ、直線半ばでは、やったかと思えるような脚色。次走人気するようだと馬券的には妙味がありませんが、次に使う時は外差し馬場になっていると思うので、そのあたりのバランスを考えれば、おいしい馬券になるはず。

[メモ登録用コメント] [芝短距離]最終追い切り坂路でラスト1F最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・昇竜S【メイショウワダイコ】
 500万下を勝った後、放牧に出ての休み明け。それでも中間の追い切り本数は十分に足りており、むしろ、3歳馬らしい成長を感じる動きを見せています。
 最終追い切りには池添謙一騎手が跨りましたが、2F目から3F目に一気に加速したにも関わらず、最後の4F目が最速ラップ。スピードの持続力も申し分ありません。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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