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ストレイトガール、レッドアリオンなど、セントウルS、京成杯AH調教分析

  • 2015年09月09日(水) 18時00分


この悪天候でハクサンムーンは最終追い切りを10日に変更。その内容はトレセンニュースでお伝えします

 9日の追い切り時間帯は最初から最後まで雨が降りっぱなし。そもそも、前日から強い雨が降り続けた影響で、運動場の砂も流れてしまい、水たまりというよりも、池か川のようになっている箇所が続出するほど。

 明日のトレセンニュースでも書くつもりですが、ウッドチップ馬場が軒並み時計を要する状態なので、芝馬場で追い切り頭数が激増しました。だからといって、決して良好な状態ではないため、芝生の塊が掘り返され、馬場は時間が経てば経つほど悪化。最後の1Fが13秒台は普通という、ちょっと異常な状況になりました。

 この天候を考慮して、セントウルSに出走予定のハクサンムーンやミッキーラブソングは最終追い切りを10日に行うことになりました。この内容については、明日のトレセンニュースでお知らせしたいので、ひとまずは9日に最終追い切りを行った馬の様子をお届けしたいと思います。

【京成杯AH/レッドアリオン】

 関屋記念で重賞2勝目を挙げて、今回が中3週での出走。過去の中3週はマイルCS14着、リゲルS8着と惨敗していますが、どちらも追い切り本数の多い状態でした。最近になって、レース間隔をあけた方が好走しているだけに、追い切り本数が多い状態での出走はオーバーワークになってしまうのかも知れません。

 そういった意味で今回の坂路追い切り4本はちょうどいい感じ。最終追い切りはキリシマホーマとの併せ馬でしたが、どっこいどっこいの感じで同入。時計は馬場差を考慮しても前走時より遅い気はしますが、状態に関しては前走時よりも下ということはないはずです。

レッドアリオン(9月8日撮影)

レッドアリオン(9月8日撮影)



【京成杯AH/ダローネガ】

 中京記念3着の後は、当初の予定通り、関屋記念をスキップ。ノーザンファームしがらきからの放牧明けですが、追い切り本数は順調に消化できました。先週時点では「ちょっと重いかも」と話していた担当の北岑幸司厩務員でしたが「週末と8日にCWを乗ったことで、きっちり絞れてきた」とのこと。確かに、追い切り前に馬体を確認しましたが、先週よりスリムに見えます。

 もともと速い時計を出す予定ではなかったこともあり、最終追い切りは坂路4F54.9秒。2回目のハロー明け、かなりの頭数が追い切った後ということを考えれば、このくらいの時計なのでしょう。馬場差を考慮すると、湘南S時よりも遅く、中京記念と同じくらい。レースの格の差を考えれば、今回の時計でも評価できますが、着順を見ると、やっぱり速い時計の方が評価できるというのが、客観的な見方になります。

ダローネガ(9月8日撮影)

ダローネガ(9月8日撮影)



【セントウルS/ストレイトガール】

 ヴィクトリアM以来の休み明けとなりますが、個人的には、先週のCWでの6F80秒を切る追い切りが実質的な最終追い切りだった印象を受けています。それだけに、9日はさほど強い内容を課してこないだろうと思っていたら、馬場の影響もあってか、芝馬場での追い切りを選択しました。

 過去に最終追い切りを芝馬場で行ったのはエルフィンS時ですが、当時とは年齢も状態も違うので、比較対象とするのはナンセンス。むしろ、過去にも芝馬場での追い切りを経験しているのは安心できる材料です。

 5F69.1秒と全体時計は遅くなりましたが、他馬が重い芝に苦しむ中、楽に1F11.9秒でまとめるあたりはさすがの脚力。過去にウッドチップ馬場で追い切った際は遅い全体時計で好走した例がないだけに、高い評価はできませんが、だからといって評価を下げる必要もないでしょう。

ストレイトガール(9月9日撮影)

ストレイトガール(9月9日撮影)



【セントウルS/バーバラ】

 デビューからずっと最終追い切り場所を坂路にしていましたが、前々走のバーデンバーデンCからCWでの最終追い切り。その後の結果が1着、4着と成績が安定している点からこのパターンは成功したと考えてよいでしょう。

 そして今回もCWでの最終追い切り。単走でしたが、前半をゆっくり、後半をしっかりという内容。6F86.6秒は前走時よりも遅い時計ですが、馬場差を考慮すると極端に遅くなったというほどではありません。ただ、もともと直線に坂のある阪神競馬場で実績のない馬が、トラック馬場で最終追い切りを行っているという点で個人的には評価できません。

【セントウルS/アースソニック】

 2013年に京阪杯を勝った時の最終追い切りが坂路4F54.7秒でしたが、もともと速い時計が出るタイプではありません。前走は結構速い時計が出たなあという印象で4F53.0秒。レース結果が3着ですから、このくらいの追い切りがベストといってよいかも知れません。

 ただ、9日は馬場も悪く、時計を要するだろうと思っていたら、4F53.6秒。しかもラスト1Fが12.8秒と我慢しており、見た目の動きも非常に軽快でした。今の体調を維持してレースを迎えることができれば、いい結果を得ることができそうなイメージが持てる最終追い切りでした。

◆次走要注意

・9/5 小倉 2歳未勝利【テイエムハヤブサ】(12人/6着)

 勝ち馬が後続を引き離したレースで、2着以降は混戦。そこで6着なので、現状の2歳未勝利では差のない力を持っています。
 坂路ではラスト1Fが最速になるラップを踏める馬ですし、阪神なら、より能力を発揮できるのではないでしょうか。

[メモ登録用コメント] [阪神芝]最終追い切りが坂路でラスト1F最速ラップなら勝ち負け

・9/6 小倉 小倉2歳S【ジュンゲル】(4人/11着)

 追い切りを見ていると、重賞だからといってここまで負ける馬には思えません。レース後のジョッキーコメントにあったように、緩い馬場が合わなかった、これを敗因と考えたいと思います。
 速い時計が出る良馬場なら巻き返し可能。特に平坦馬場がよいと思います。

[メモ登録用コメント] [芝短距離]最終追い切りでラスト1F最速ラップなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・2歳新馬【アマルティア】
 エスポワールシチーの半妹。ただ、最終追い切りを含めて、時計が地味ですし、出走予定の阪神芝1600mは血統的、ジョッキー的に人気しそうな馬がたくさん。そういった意味で、馬券的妙味があるとすれば今回でしょう。
 強調できるのは、前半ゆっくり走っても、後半でしっかり反応できる点。これはスローになる新馬戦の流れには重要な能力。9日のCWでの反応はこれまでで一番でしたし、この状態でレースを迎えれば。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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