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巻き返すか? リアルスティールの最終追い切りをチェック!

  • 2015年10月21日(水) 18時00分


リアファルの弱みは「ハナに立たなかった時の危うさ」

 今週は菊花賞。出走馬すべてに該当する「初めての距離」がどのような影響を及ぼすのか、すでに距離適性について、向いている、長すぎるといった話題が出ていますよね。調教でこれを見極めるのは非常に難しいところですが、やはりポイントになるのは「折り合い」でしょうね。

 前半の2000mをいかに力まずに走ることができるか。これまでのレースでは、折り合っていた馬が、突如として「乱れる」のは、京都競馬場の3コーナーの下り坂だったりします。だから、スタート直後の下りを落ち着いて走った馬により大きなチャンスがありそうな気がしています。でも、その馬がどれかというのは、現時点では把握しきれていません。というよりも、枠順なども重要になるでしょうね。

 今日のトレセンニュースでサトノラーゼンを取り上げていますので、この馬に関してはそちらをご覧ください。ここに取り上げなかった、ベルーフやタンタアレグリアなど、皆さんも気になる追い切りがあったと思いますが、そのあたりに関しては頭数の都合で取り上げていないだけなので、なにとぞご了承ください。

【菊花賞/リアファル】

 1週前追い切りはヒストリカルとの併せ馬。4F52.0秒はテンから飛ばしていったものだっただけに、3000mという距離を考えると、決してプラスになる追い切りではないと判断しています。ただ、それだけスピードがある馬という点は変わりのない事実でもあります。

 最終追い切りはブラックスピネルとの併せ馬。4F51.6秒、1F12.9秒という時計のバランスや相手よりも併せ馬でやや見劣った点などは前走時とほぼ同じ。追い切り本数が減ったというわけでもなく、状態面に関しては特に気になるようなところはありません。ただ、個人的に心配するのはその戦法。

 ここ2戦は「ハナに行かなくてもよいと指示している」という音無秀孝調教師ですが、ハナに行ったからこそ、連勝したということはあるでしょう。また、それはジョッキーが一番掴んでいる感触でしょうから、万が一、ハナに立たなかった時の危うさは否定することはできません。

リアファル(10月20日撮影)

ハナに立たなかった時の危うさは否定することはできないリアファル(10月20日撮影)



【菊花賞/リアルスティール】

 今でも1週前のCWでの軽快な走りが脳裏に焼き付いています。そのくらいインパクトのある走りでしたが、いつも追い切りは動くといってしまえば、それまで。過大評価はできませんが、いつも通りの追い切りができた点はやっぱり評価すべきです。

 最終追い切りはアルスマルカートの後ろで我慢する内容でしたが、上手に折り合っていたという感じではありません。例えば日本ダービーの最終追い切りはトニーポケットの右隣で併走して我慢、この時も折り合っている感じではありませんでしたが、前が壁になっていない分、ストレスもなかったように思います。もしかすると、調教で我慢させて、本番で爆発させるという陣営の意図があるのかも知れませんが、ちょっと走り足りない感じを残して本番を迎えてしまうような気がするのは、余計なお世話でしょうか。

リアルスティール(10月20日撮影)

走り足りない感じを残して本番を迎えてしまうような気がするリアルスティール(10月20日撮影)



【菊花賞/ブライトエンブレム】

 1週前追い切りが併せ馬で、相手をぶっちぎる内容。個人的には、ここまでやるからこそ栗東滞在の意味があると感じていたので、非常に評価しています。その分、気合が乗っているという印象は、20日に坂路馬場で写真を撮っている際にも感じたことですが、騎乗していた小島茂之調教師がコンタクトをとりながら、調教しているシーンも印象的でした。

 最終追い切りは最初のウォーミングアップの調教師から田辺裕信騎手に乗り替わりました。ダークフォース、デピュティプライムを追走するCWでの併せ馬でしたが、直線は最内から楽に並びかけて、少し前に出てフィニッシュ。時計的には遅めでしたが、折り合いを欠くわけでもなく、走り足りないという印象もなかったので、よい形で本番を迎えることができそうです。

ブライトエンブレム(10月21日撮影)

よい形で本番を迎えることができそうなブライトエンブレム(10月21日撮影)



【菊花賞/キタサンブラック】

 前走時に併用していた坂路追い切りはなく、この中間はCWだけの追い切り。本数が多いわけでもなく、いつも通りの調整に徹しました。よって、最終追い切りも併せ馬で外から前を捕まえるという内容。

 相手が2歳未勝利ということもあり、馬なりで並びかけて同入。時計の6F85.2秒、1F12.0秒は少し遅すぎる感じもしますが、このあたりは距離を考慮されてのことでしょう。終いの軽快な感じは好調時のそれでしたし、少し急仕上げ感のあった前走とは全く違う仕上げにはなっています。

キタサンブラック(10月21日撮影)

前走とは全く違う仕上げになっているキタサンブラック(10月21日撮影)



【菊花賞/スティーグリッツ】

 2004年の覇者、デルタブルースと同じ九十九里特別を勝って出走するというローテーションなので、注目を集めているのでしょう。当時よりもレース間隔があいて、中3週なので、個人的には最低でも5本以上の追い切りを消化すると想定していました。ところが、21日の最終追い切りを含めて、4本での出走になりそう。これは中2週だったデルタブルースの本数よりも少なく、この時点で魅力が薄くなりました。

 さらに、最終追い切りは坂路。これは同じ中3週で京都芝外回りを使った時の萩S(4着)と同じ。時計的には今回の方が速く、2歳秋との比較はナンセンスのような気もしますが、好走時と同じCWで最終追い切りを行った方がよいという理論は私のコラムを読んでいただいている方ならお分かりのはず。もちろん、1週前追い切りの時計が速く、今週はやりすぎることに注意したのでしょうが、それで勝てるほどG1は甘くないような気がします。

スティーグリッツ(10月20日撮影)

今週の追い切りで勝てるほどG1は甘くないような気がするスティーグリッツ(10月20日撮影)



◆次走要注意

・10/17 東京 プラタナス賞【クインズサターン】(5人/4着)

 慣れない芝スタートに加えて、前半3Fが33.8秒というハイペースに流れたレースだったので、最初は離れた最後方。これで走る気が失せたと思いましたが、勝負どころからはきっちり前を捕まえる競馬。
 最後は末脚の限界で、4着止まりでしたが、走ることが確実に分かったレース。来年のユニコーンSはこの馬で決まったのでは。

[メモ登録用コメント] [ダート中距離]追い切り本数多い併用系統なら勝ち負け

・10/18 京都 2歳新馬【マカヒキ】(1人/1着)

 1週前追い切りでM.デムーロ騎手が「コドモ」と表現したことが衝撃的で、あの動きでコドモなら、本格化したら、どんだけ動くのだろうと思っていました。最終追い切りはドゥラメンテの追い切りを見ているような軽い内容。それでも結果を出したところに大物感を感じます。
 この先も最終追い切りは馬なり単走、これがいいかも知れません。ただ、レース条件によってはしっかり併せ馬をした方がよいかも。

[メモ登録用コメント] [芝中距離]最終追い切りが馬なりなら勝ち負け

◆今週の追い切り特報

・2歳未勝利【クリノカルカソンヌ】
 来週デビュー予定のシャイニーダストを追走していましたが、とにかく楽な手応えで外から前に並びました。6F83.2秒はごく普通の時計に見えますが、通った位置取りや時計を要する馬場状態を考えると高く評価できます。
 先週の追い切りでも非常に素軽い動きが目立っていただけに、ようやく本格化モード、と期待したいのはPOG指名しているからでしょうか(笑)。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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