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天皇賞秋は上位人気が高いレベルで拮抗してないと、何かが起こる。

  • 2015年10月29日(木) 12時00分


1着だけは勘弁して!
正のお願いはなかなか叶わないけれど、負のお願いは叶いがちということを改めて知らしめられた菊花賞でございました。
もちろん自分が有馬記念で聴くのを楽しみにしていたサブちゃんのまつり、つまりキタサンブラックのことです。

自分ではビジョンだと思っていたけれど、どうやらそれはビジョンではなく皮算用だったようです。

にしても恐るべきはヤナガワ牧場。これでコパさんにつづき、サブちゃんにも初G1を戴冠させてしまった(ビジョンやヤナガワ牧場については先週のコラム参照で)。
芸能関係の馬主さんからの問い合わせが、今頃ヤナガワ牧場に殺到しているのではないでしょうか?

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天皇賞秋は人気の先頭集団で決まる? 今年は5頭立てか? 7頭立てか?
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天皇賞秋は上位人気が集中しがちなレースだ。
それは単オッズに明白に示される。
5人気や7人気までの馬の単勝が売れて、離れて6人気以後や8人気以後の単勝が売れることがしょっちゅうある(このコラムでは去年紹介した)。

たとえば、13年は1人気〜5人気までがオッズの先頭集団を形勢していた。
1人気ジェンティルドンナ 2.0
2人気トウケイヘイロー  4.4
3人気エイシンフラッシュ 4.7
4人気コディーノ     14.9
5人気ジャスタウェイ   15.5
離れて、
6人気ダノンバラード   32.1
以下略。

で、1着5人気ジャスタウェイ、2着1人気ジェンティルドンナ、3着3人気エイシンフラッシュだった。
5頭の集団で決まった実質5頭立てのレースだったとも言える。

たとえば、去年は1人気〜7人気までが集団を形勢した。
1人気 イスラボニータ   2.8
2人気 ジェンティルドンナ 4.7
3人気 フェノーメノ    4.9
4人気 エピファネイア   8.0
5人気 スピルバーグ    11.0
6人気 デニムアンドルビー 18.7
7人気 マーティンボロ   19.1 
離れて、
8人気 ディサイファ    31.6
以下略。

で、1着5人気スピルバーグ、2着2人気ジェンティルドンナ、3着1人気イスラボニータだった。
結果的には5人気までで決まったけれど、オッズ視点では7頭の集団で決まった7頭立てのレースだったとも言える。

この10年で見ても、オッズではなく人気だけを見ると、
5人気までで決まったレースは5回、7人気までで決まったレースは4回あるから、天皇賞秋は5頭立てか7頭立てかを見極めるレースとも言えるわけだ。

だから今年もオッズを見て、先頭集団が何頭で形勢されるかをチェックし、5頭立てか7頭立てかを見極めれば、ほぼ一丁上がりとなる(応用の『0の層』の遊び方については去年のコラムでお願いします)。

では今年はどうか?
実はけっこうその判断が難しい。今年は例年と違って、はっきりとした人気上位グループが形勢されにくいように思えるからだ。

それは予想オッズを見てもわかる(水曜日午前)。

1人気 ラブリーデイ    3.4
2人気 エイシンヒカリ   4.9
3人気 イスラボニータ   5.6
4人気 ショウナンパンドラ 7.0
5人気 ディサイファ    7.7
6人気 アンビシャス    10.7
7人気 スピルバーグ    13.4 
8人気 サトノクラウン   13.9 
9人気 ステファノス    21.3 ←キーホース
10人気 ヴァンセンヌ    42.6 
11人気 ワンアンドオンリー 54.8
12人気 ラストインパクト  61.3
13人気 ダービーフィズ   64.5

以下100倍以上は略

このオッズのままならば、キーホースはステファノス。
この馬の動向で、先頭集団の数が決まりそう。8人気に近づいていくか、10人気に近づいていくか。
つまり通常7人気までで収まる先頭集団が8人気、もしくは9人気まで膨らむ可能性もあるし、20倍台、30倍台に満遍なく馬が現れて、人気の先行集団がくっきりと形成されない可能性もあるのだ。

予想オッズはあくまでも予想だから、実際の人気やオッズとは違う。しかし、おおまかなイメージは掴めるし、この予想は自分の抱くイメージとあまり変わらない。

ならばどうするか?
この10年、常に人気の先頭集団が形勢されていたわけではない。それでも5頭立て、7頭立てのレースが多かったのだから、ここでも概ね、それに則って買えばいい。ただ、先頭集団が8頭や9頭とはっきりするのならば、7人気を8人気、9人気まで広げて、買ってもいいはずだ。買い方を工夫すれば(たとえば人気馬同士の組み合わせを切れば)点数は絞れる。

仮に、8頭縛り、9頭縛りになった場合はどう絞ればいいか?
実はこの10年、人気がどのように構成されても変わらない決め事「のようなもの」がある。
発売中の競馬大的中でも紹介しているちょっとしたオバケポイントだ(天皇賞秋は本当にオッズ鑑賞度の高いレースだ!)。

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天皇賞秋は3人気まで見れば、だいたいわかる!
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「単オッズ4.9以内に3頭いたら、その3頭の内の2頭は3着以内に走る」

「単オッズ4.9以内に2頭だったら、その2頭の内の1頭は3着以内に走る」

俄かには信じられない人もいるかもしれないので、少し詳解。

07年
単4.9以内に2頭 だから馬券圏内に1頭は来る(以下略)。
メイショウサムソン 2.9 1着
アドマイヤムーン  3.8 馬券圏外

08年 3頭だから2頭以上。
ウオッカ      2.7 1着
ダイワスカーレット 3.6 2着
ディープスカイ   4.1 3着

10年 2頭だから1頭以上
ブエナビスタ    2.2 1着
アーネストリー   4.9 3着

12年 3頭だから2頭以上
フェノーメノ    3.4 2着
ルーラーシップ   4.5 3着
カレンブラックヒル 4.7 圏外

13年 3頭だから2頭以上
ジェンティルドンナ 2.0 2着
トウケイヘイロー  4.4 圏外
エイシンフラッシュ 4.7 3着

14年 3頭だから2頭以上
イスラボニータ   2.8 3着
ジェンティルドンナ 4.7 2着
フェノーメノ    4.9 圏外

ほら、この通り。
抜けてるところは4.9以内に1頭しかいなかった年だ(それについては後述)。

まずはこの「決めごとのようなもの」を予想オッズに照らしわせてみる。

4.9以内の馬は、今日の予想では2頭!
1人気 ラブリーデイ    3.4
2人気 エイシンヒカリ   4.9

つまり、このままならば少なくともラブリーデイかエイシンヒカリのどちらかが馬券圏内に走ることがわかる。
どっちだ!! どっちもか!!
いやどっちかはここでは問題ではない。要は先頭集団が8頭や9頭に膨れてしまったときの馬券的効率をこの2頭を中心に据えることで上げられればいいからだ。

だが、しかし、エイシンヒカリの4.9はギリギリだな…。
ちょっと揺らげばすぐに5.0倍以上だ。
4.9以内に1頭だけになってしまうぞ!

「単オッズ4.9以内に1頭だけだったら、何かが起こる」

そう何かが起こるんであります。
それはどんな何かか?

05年 4.9以内に1頭
ゼンノロブロイ   2.2 2着

1着 ヘヴンリーロマンス 75.8 14人気
2着 ゼンノロブロイ   2.2  1人気
3着 ダンスインザムード 53.9 13人気

1人気は圏内に走ったけれど、1着は14人気のヘヴンリーロマンス。
まさにビッグサプライズ!!
おまけに3着も13人気!

06年 4.9以内に1頭
スイープトウショウ 3.9 圏外(5着)

1着 ダイワメジャー   7.0 4人気
2着 スウィフトカレント 16.9 7人気
3着 アドマイヤムーン  6.0 2人気

7人気までで決まったけれど、1人気は5着に沈んだ。

09年 4.9以内に1頭
ウオッカ      2.1 3着

1着 カンパニー     11.5 5人気
2着 スクリーンヒーロー 31.4 7人気
3着 ウオッカ      2.1 1人気

7人気までで決まったけれど、単31.4倍で先頭集団にいなかったスクリーンヒーローが2着した。1着馬は8歳馬のカンパニー。
8歳の1着はこの10年でカンパニーのみだし、天皇賞秋が2000Mにった1984年以後、8歳以上の馬が馬券圏内に入ったのは、カンパニーとサイレンススズカに不幸が起きたときに1着したオフサイドトラップの2頭のみ。

11年 4.9以内に1頭
ブエナビスタ    2.8 4着

1着 トーセンジョーダン 33.3 7人気
2着 ダークシャドウ   5.7 2人気
3着 ペルーサ      8.2 6人気

7人気までで決まったけれど、単33.3倍の、これまた先頭集団から大きく引き離された(ペルーサまで先頭集団)トーセンジョーダンが1着。ヘヴンリーロマンスに次ぐ単勝サプライズだった。

単30倍以上の馬が馬券圏内に入ったのは、過去10年で5頭のみ。
そのうちの4頭が、単4.9以内に1頭しかいなかったときに走っていた。
(もう1頭は単30.5で2着したアグネスアーク)

つまりこういうことだ。
天皇賞秋は、おおむね人気上位の馬で着順が決まるけれど、ときどき単勝でサプライズが起こる。その前兆は、上位人気の馬が高いレベル(4.9以内)で拮抗してないときではないか!?

だから言い切る!
単4.9以内に1頭しかいないときは、何かが起こる!

だから今は願いに願っている。
単4.9以内に1頭しかいないことを。

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天皇賞秋注目馬
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単4.9以内に2頭いたら、1、2人気のはずのラブリーデイかエイシンヒカリを軸にして、小島太厩舎のディサイファやMデムーロのアンビシャスなどの人気の先頭集団にいるはずの馬に流して、静かに天皇賞を観戦する。

単4.9以内に1頭しかいなかったら、何かが起こることを期待してみる。何かとはもちろん単30以上の馬の好走だ。

ダービーフィズ 
ヴァンセンヌ

ダービーフィズは札幌記念組。ビッグサプライズが起こるときは札幌記念出走組が絡みがち。ヘヴンリーロマンスもトーセンジョーダンもアグネスアークもダンスインザムードも札幌記念出走組だった。
本当は札幌記念1着からの参戦がいいけれど、去年ラブイズブーシェは函館記念1着→札幌記念4着から天皇賞秋で4着した。16人気だった。
ダービーフィズは函館記念1着→札幌記念3着からの参戦。4着したっておかしくない。それをCデムーロの技術でもうちょっと着順を上げてもらえれば、1着はわからないけれど馬券にはなる。

デムーロ兄弟はG1をいっしょに走るとテンションが上がる気がする。日本人だとテンションは上がらない方がいいけれど、イタリア人はそれがいい方に出るのかもしれない。もしママが観戦に来ていたら、さらにテンションアップだ!(ママ情報はわからない)

ヴァンセンヌは前走毎日王冠で期待した馬。横山典から買うということは、よくわからない結末になったとしても横山典が連続騎乗する以上は買い続けることなり、そんなビジョンを持って買った馬……あ〜ヤバイ! またビジョンとか書いちゃった。でもたとえそれが皮算用だとしても、人気ガタ落ちのここで買わないなんて皮算用界の風上にも置けない!

ところで、ディサイファとダービーフィズはどちらも小島太厩舎の馬。
小島太師といえば、言わずとしれた東のコメント大将。最近は、昔ほど(いい意味で)外連のあるコメントをしないけれど、2頭も出走とあっては期待せずにはいられない。
そう思って、netkeiba.comに掲載されていた小島太師のコメントを読んだ!

「GIではまだ戦う力はないかもしれないですけど、今ならばという感じで送り出したいと思っております」

おっととっと、ちょっととっと!
控えめだ! なんだってそんな〜〜!! っていうくらい控えに控えてる!!

たとえ太刀打ちできないと思える馬でも、もしかしてなんとかなるんじゃないかとアガるようなコメントをしてくれるのが小島太師ではなかったのか!?

ん〜〜〜!?

ん〜〜〜〜〜〜〜!?

怪しい…………。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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