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叩いて、仕上げて、ジャンケンポン!叩いて、叩いて、ジャンケンポン!

  • 2015年11月19日(木) 12時00分


マイルチャンピオンシップは、ディープインパクトという高級包装紙で包むレースだ。

では、どんな高級包装紙だろう?伊勢丹かな?バーニーズかな?なんて考えていたら京都在住の漫画家のグラサン師匠に「マイルチャンピオンは京都で行われるから、高島屋でしょ」と言われた。京都ではバラの包装紙の高島屋が高級な存在感を示しているそうだ。

などと、どうでもいいことを考えていたら、包装紙は正しかったけれど、その包装紙で包む相手を間違えた。

去年の出来事です。

自分はローエングリン産駒のロゴタイプを包んでしまった。しかしロゴタイプは7着。包まれたのはアグネスタキオン産駒のグランデッツァだった。アイタタタタタ。

にしても、去年も見事に包まれていた。ディープインパクト絵柄の包装紙は京都マイルチャンピオンシップで絶大な気がする。

2014年
1着 ダノンシャーク ディープインパクト産 牡6
2着 フィエロ ディープインパクト産 牡5

3着 グランデッツァ アグネスタキオン産 牡5

4着 トーセンンラー  ディープインパクト産 牡6
5着 エキストラエンド ディープインパクト産 牡5

1着2着、1つ飛んで4着5着がディープインパクト産駒(以後ディープ産駒)。うむ、包んでる感いっぱいだ。

2013年
1着 トーセンラー ディープ産駒 牡5
2着 ダイワマッジョーレ ダイワメジャー産駒 牡4
3着 ダノンシャーク ディープ産駒 牡5
4着 コパノリチャード ダイワメジャー産駒 牡3
5着 ドナウブルー ディープ産駒 牝5

13年はディープ産駒3頭でダイワメジャー産駒を2頭包んでいた。

京都マイルがディープインパクトのものであることは、前々から言われていたけれど、それでもここ2年の結果は圧倒的だ。圧倒的包装力だ。
だけど、1着〜3着の馬券圏内独占はまだない。あくまでも包む形だ。

ならばあれこれ考えずに今年も包むまで。そういうことだ。

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ディープ産の牡馬は、古馬になったらマイルチャンピオンシップを目指す。
ディープ産の牝馬は、古馬じゃなくてもジャパンカップを目指す。
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ここんところずっと書いている。
日本一の賞金のレース・ジャパンカップを日本一の種牡馬の牡馬が目指さないなんてナンセンスにもほどがあるからだ。
厳密にはそうとは言い切れないだろうけど、ざっくり言えばそんなところだ。

だが、しかし、そう言わざるをえない状況だ。

去年のマイルチャンピオンシップ出走のディープ産駒→6頭(すべて牡馬)
結果は前記どおり。
去年のジャパンカップ出走のディープ産駒→5頭(牡2頭・牝3頭)
結果は牡馬のスピルバーグ(6人気)が3着し、ディープ産駒で最先着したけど、人気はジェンティルドンナ(1人気)、ハープスター(2人気)のものだった。

では今年はどうか?
マイルチャンピオンシップ出走予定のディープ産駒→6頭(すべて牡馬!)
ジャパンカップ出走予定のディープ産駒→3頭(牡1頭・牝2頭!人気も間違いなく牝馬2頭!)

今年も去年とほぼノリはいっしょだ!
よし決めた!
今年もディープインパクト絵柄の高級包装紙をマイルチャンピオンで使おう。
そして包もう。安心して包もう。

出走予定ディープ産駒
予想人気順
2人気フィエロ
4人気サトノアラジン
6人気ダノンシャーク
7人気ヴァンセンヌ
8人気トーセンスターダム
18人気リアルインパクト

どの馬をチョイスすればいいか?それも簡単だ。

「京都は別ですから〜〜〜〜!!!!」

そんな馬を選べばいい。
去年(ダノンシャーク&フィエロ)も一昨年(トーセンラー&ダノンシャーク)もそれで一件落着だった。

フィエロ      京都1-4-2-0 
サトノアラジン   京都0-0-0-1
ダノンシャーク   京都4-4-3-2
ヴァンセンヌ    京都1-0-0-2
トーセンスターダム 京都4-0-0-1
リアルインパクト  京都0-0-0-4

フィエロとダノンシャークとトーセンスターダムは文句なく「京都は別ですから〜〜〜〜!!」な馬だ。
サトノアラジンは1回だけの着外が菊花賞6着だから、まだわからない。京都は別ですから〜〜な可能性も十分だ。

リアルインパクトはここを使って、狙いは阪神Cだからふつうにスルーすると、残るはヴァンセンヌのみとなる。
ヴァンセンヌは毎日王冠、天皇賞秋と2回続けて注目した馬だ。毎日王冠での負け方を見て、いやな予感はしたけれど、「横山の典さんで馬券を買うこととはそういうことだ」と自分に言い聞かせて、天皇賞秋も注目したのだった。

しかし今回は川田騎乗。ここをどう解釈するか?
普通ならば、横山の典さんはクラリティスカイに騎乗するのだから、ヴァンセンヌを切り捨てていいと思える。だけど、毎日王冠の騎乗も天皇賞秋の騎乗も独特で(それまでのヴァンセンヌのリズムとは違った)、横山の典さんが何かを試し、そして残してるような気もしないでもない。長さんが作って、藤田が優勝させるみたいな(古いかな?読売巨人軍のことです)、ノムさんが作って、星野が優勝させるみたいな(阪神や楽天)、そんな何か。

錯覚かな?考えすぎかな?ヴァンセンヌはそもそも「京都は別ですから〜〜〜」な結果を残していない。でもそれは生まれ変わる前までのヴァンセンヌだ。
よし、保留しておこう。よくわからない馬は先送りしてしまえばいい。

つまりこうなる。

包装紙候補
フィエロ      京都1-4-2-0 Mデムーロ
ダノンシャーク   京都4-4-3-2 岩田
トーセンスターダム 京都4-0-0-1 武幸
サトノアラジン   京都0-0-0-1 ルメール

保留
ヴァンセンヌ    京都1-0-0-2 川田

阪神C
リアルインパクト  京都0-0-0-4 ボウマン

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叩いて、仕上げて、ジャンケンポン!
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今年の藤原英厩舎は得意技の「叩いて、仕上げて、ジャンケンポン」が上手くいっている。
春のストレイトガール(高松宮13着→ヴィクトリアマイル1着)、
秋のストレイトガール(セントウルS4着→スプリンターズS1着)
秋のステファノス(毎日王冠7着→天皇賞秋2着)

トーセンラーのマイルチャンピオン、エイシンフラッシュの天皇賞秋……、みんな「叩いて、仕上げて、ジャンケンポン」で狙いすまして勝った馬たちだ(パーかな?チョキかな?グーはないな…どれでもいいけど)。
少し足りないかな?もう終わったのかな?そう思われた馬をもう1段階上げるのが上手。それが藤原英厩舎だろう。

今年の流れなら、フィエロで十分だ。
去年2着して、今年はスワンSを2着しての参戦。
京都1-4-2-0の成績。
京都は別ですから〜〜な好成績を残しながらも、ちょっと足りない感もちゃんとある。
叩いて、仕上げて、ジャンケンポンの態勢は整っていると判断できる。

ただし心配事もある。
鞍上Mデムーロだ。出遅れ、出負けの心配だ。
このことはマイルチャンピオンシップのミルコ・クエストと称して、3年前にも書いた。そうあの頃すでにMデムーロはマイルチャンピオンでは出遅れ、出負けが心配だったのだ。

10年 トゥザグローリー 4人気 出負けして7着
11年 グランプリボス  6人気 出負けして13着
12年 マルセリーナ   8人気 出負け気味に11着
13年 レッドオーヴァル 11人気 出負けしたわけではないけど、後方待機で8着
14年 騎乗なし

伏兵馬ばかりだから、あえて一発勝負で後方待機に回ったのかもしれないけれど、好スタートがないのは間違いない。
フィエロが圏外に敗れるとしたら、出負けして、差して届かずではないか?

ダノンシャークは去年1着したのに予想6人気というのがそそる。
たしかに7歳だし、今年はいらない感満載だ。トーセンラーも1着した翌年(去年)4着に負けている。
だけど、ふつうに成績を眺めていると、今年いらない馬には思えない。
マイルチャンピオン以後、勝ち星どころか馬券圏内にも走ってないけれど、京都では一度も走っていない。前走の毎日王冠も叩き台としてなら上々だ。叩いて、仕上げて、じゃんけんに臨む姿勢は十分に感じられる。

去年勝った岩田も騎乗している。それでいて予想6人気。むしろそそられる。
先週のエリザベスでは「ニッポンのイン突き名人」と煽ってみたけれど、外から上手く持ってきて、ヌーヴォレコルトを2着に持ってきた。むしろ中途半端に内にこだわった世界のイン突き名人ムーアが墓穴を掘ったかたちだ。

でも先週違ったからといって、イン突き名人の称号が消えうせるものではない。実際去年のマイルチャンピオンも岩田のイン突きで勝ちとったようなもんだ。だから今年もナイガシロにはできない。岩田とムーアのイン突き対決はいつだって継続中だ。

とはいえ、それはあくまでも人気がなさそうだから成立する「買い材料」だ。4、5人気になるならやっぱり心配だ。

サトノアラジンとトーセンスターダムの池江勢2頭にも心配事はある。
マイル以下の重賞でほとんど勝ち星のない池江厩舎というのが心配だ。

マイルG1の勝利はドリームジャーニーが勝った朝日杯しかない。それだって2歳時のもので、その後ドリームジャーニーは成長して、宝塚記念、有馬記念を勝つ馬になる。G2勝利はマイラーズCを勝ったワールドエースの1勝のみ。ワールドエースは去年のマイルチャンピオンでも4人気で8着だった。出遅れたから負けたという情状の余地はあるけれど、勝てなかったのは事実だ。オーストラリアに行っても勝てなかった。他にG3で4つマイル以下のレースを勝っていえるけれど、みんな開業間もない頃の1着だ。重賞52勝中46勝が1800以上、マイル以下の重賞勝利は6つしかない。

池江厩舎は2000以上のG1を勝つことを念頭に馬を選び、馬を調教していると思えてならない。牝馬で勝てないと言われながら、今年ミッキークイーンでその呪い(ジンクス)を解除した池江厩舎だから、マイルG1でもディープ産駒で解除する可能性はある。ルメール、武幸騎手という名手と意外性騎手の配置も絶妙に思える。だけど、全幅の信頼はやはり置きにくい。

それぞれに少しずつ心配事あり。
だから今年は包装紙を使わない!ということではない。
思えば、去年も一昨年もちょっとずつ心配事はあった。トーセンラーは2人気だったけれど、初マイルを心配する声が業界内ではいっぱいあった。ダノンシャークは心配されまくりゆえの8人気だった。

心配されつつも、何頭かはそれを払拭する走りを見せて、馬券になる。それがディープ産駒ってことだろう。

だから心配しつつも、今年もやっぱり高級包装紙として、ディープ産駒に期待しようというわけだ。

人気のあるフィエロとサトノアラジンの2頭が有力かなと思いつつも、現状伏兵系のダノンシャークやトーセンスターダムの絡みに期待するそんな包装紙フォーメーション、略して、包メーションを組んでみたい。

フィエロとサトノアラジンはMデムーロとルメールが乗る。どちらかが出遅れる可能性もいっぱいだ。Mデムーロの出遅れ・出負けについて書いたけれど、マイルチャンピオンは出遅れ、出負けする外国人騎手が多い。ムーアだって例外じゃない。

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マイルチャンピオンシップ・注目馬
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包装紙 フィエロ・サトノアラジン&ダノンシャーク・トーセンスターダム

何を包むか?

ふつうに考えるとイスラボニータだけど、
ふつうに考えないならヴァンセンヌ。

イスラボニータが1人気になるなら、蛯名騎手の仕掛けのポイントは、ふつうに考えれば先週のマリアライトよりも前になりそう。1人気の競馬をきちんとするのが蛯名騎手と思うからだ。そうなると逃げ先行馬は苦しくなって、ディープ産駒の差しが生きて、イスラボニータを包みこんでゴール。うん、ぜんぜん無理がない。

ヴァンセンヌの前走の天皇賞秋の11-11-4-4という競馬は東京では展開がスローでも絶対に持たない競馬だ。もし、言われるように直線では無理をしなかったとしたら、まだわからない。叩いて、叩いて、やっと仕上がって、ようやくジャンケンの態勢が整ったなんてことになっていないか?
もともと暴走モードを搭載している馬。マイルでペースが流れれば、ここ2戦よりも確実に我慢は効くはず。だから騎手は替わってももう1回狙ってみたい。

包装紙としては買いにくいけれど、包装される側でなら、ヴァンセンヌは買える。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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