◆サトノアラジンが3着だと思った人も多いのではないか
昨年のオークス、直線で人気のハープスター1頭だけにズームアップしたJRAのレース映像が批判されたことがあった。いわく、競馬は1頭だけでやっているのではないし、なるべく全体の馬の動きが見られるようにするべきだ、と。年々、PATでの売り上げ比率が増している今の中央競馬。現地で観戦せずに馬券を購入している人に対し、いかにストレスを感じさせないようにレース映像を見せるかは非常に重要な項目のひとつだ。
その点でちょっと気になったのが日曜(22日)の京都競馬。レース映像を見ていて何か妙な違和感があると思ったら…。いつもはゴールシーンを、ちょうど真正面にゴール板が映る位置のアングルで撮っているのが、この日だけはなぜか、通常より右側にズレ込んだところから映していた。これまでずっと同じアングルで見ていたため、ちょっとズレただけで違和感が拭えない。それ以上に、着差が際どいレースではこのアングルだと斜めから見る形になり、どっちが先着したのか判別しづらくなっていた。
最たる例がメーン11RのマイルCS。あの映し方ではサトノアラジンが3着に入ったように見えた人も多かっただろう(結果は3着イスラボニータにハナ差の4着)。この日のマイルCSは、勝負どころでラチの下から各馬を見上げるように映す映像も使われていた。これも正直、重要な局面で各馬の動きを見るうえで不必要に思えた。
競馬中継は馬券を買っているファンにストレスを感じさせず、全容がなるべくわかるように淡々と映すのが理想。細工をしなくても、白熱したレースなら自然とその熱気は伝わる。今週のジャパンCはそんなレース映像をお願いしたいものだ。
(栗東の坂路野郎・高岡功)