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ハッピースプリントと共に!目指すはGI東京大賞典

  • 2015年12月08日(火) 18時00分
宮崎光行騎手

宮崎光行騎手(左)と2歳時にハッピースプリントを管理していた田中淳司調教師(右)



宮崎光行騎手「東京大賞典では、これまでになかったくらい積極的なレースをしたい」

 大井のハッピースプリントの主戦である、道営所属の宮崎光行騎手にお話を伺いました。

赤見:浦和記念制覇、おめでとうございます!

宮崎:ありがとうございます。今回はメンバー的にも勝たなければいけないレースだと思っていたので、結果を出せて嬉しいです。GI級の馬たちはチャンピオンズカップに出てましたから、これまでの実績的にも勝ちを意識した強気なレースをしました。

赤見:3番手追走から、4コーナーではサミットストーン(2着)を捉える積極的な競馬でしたね。

宮崎:そうですね。初めての浦和の小回りだったし、ある程度の位置に付けたいですから。2番人気でしたけど、僕の中では勝って当たり前の馬だと思っていました。返し馬ではまだ少し硬さが残っているなと感じましたけど、スタートも決まったし、道中も流れに乗っていい競馬ができました。

浦和記念

昨年の東京ダービー以来の勝ち星を上げた浦和記念(撮影:武田 明彦)



赤見:まだ硬さが残っていたということは、さらに良くなる余地があると?

宮崎:まだ絶好調ではなかったですよ。それに、状態だけではなくて、まだこの馬は成長の余地があるんです。普段からすごく大人しい馬で、いつものほほ〜んとしてて。「グレードレースでもこのテンションなの?! 走る気ある?」って感じなんですよ(笑)。でももっと体がしっかりしてくれば、気持ちも前向きになって来ると思いますね。

赤見:今後が本当に楽しみですね!

宮崎:次は東京大賞典の予定ですから、チャンピオンズカップ組も参戦して来てかなり強いメンバーになります。でも、浦和記念を勝てたことは本当に大きくて。これまで、僕が乗せてもらった時の話ですけど、GIとなると勝ちに行くレースというよりも、強いメンバー相手にどれだけやれるかみたいなレースをして来ました。それで、3着に入ったり掲示板に載ったりしてたわけですけど。でも浦和記念を勝ち切れたことで、精神的に吹っ切れたというか、「GIでも勝ちに行くレースを」という気持ちになりました。だから東京大賞典では、これまでになかったくらい積極的なレースをしたいと思っています。

赤見:ハッピースプリントとは門別時代からコンビを組んでいるわけですけれども、南関東に移籍して、再びコンビを組む日が来ると想像していましたか?

宮崎:全然していなかったです。強い2歳がシーズンを終わって移籍してしまうのは、北海道の宿命ですからね。それがあるからこそ、道営競馬は生き残って来られたんですから。もちろん、誰もが自分のところで走らせたいって気持ちはありますよ。でも道営は賞金が少ない上に冬場の5か月競馬がないんですから。そこは割り切っていかないと。だから僕も、全日本2歳優駿を勝った時「これで僕の役目は終わった」と思いました。もちろん淋しいですし、その後も乗りたいという気持ちもありましたけど、南関東に移籍した後にもずうずうしく「乗せてください」なんて、ちょっと言えないですよね。

全日本2歳優駿

宮崎光行騎手とのコンビで優勝した2013年の全日本2歳優駿(撮影:高橋 正和)



赤見:一度手を離れて、再び声が掛かった時はどんなお気持ちでしたか?

宮崎:素直に嬉しかったです。馬の気持ちを変えたいということで、たまたままた僕に声を掛けてもらったわけですけど、まさかと思いました。地方ナンバー1の馬だし、プレッシャーよりも楽しみの方が大きかったですね。久しぶりに乗ったのはかしわ記念だったんですけど、僕はマイルの流れはちょっと忙しいと思うんです。その中で差のない競馬が出来たので、改めて力のある馬だなと実感しました。

赤見:2歳の頃から完成されている馬だと仰っていましたけど、その辺りはいかがですか?

宮崎:そうですね。2歳の頃から若馬とは思えないほどおっとり落ち着いていたし、調教に関しても素晴らしい走りでした。何十年乗っていても、これほどの馬にはなかなか出会えないですね。デビューから期待通りの走りをしてくれて、南関東に移籍した後も東京ダービーを勝って。でもね、さっきも言いましたけどまだ上があるんですよ。例えば、休み明けの南部杯で調子が良くなかったように、まだひ弱なところがあるんですよね。基本的に休んだ後は体調が回復していると考えがちですけど、この馬は良くなっていくのにかなり時間が掛かるんです。そこが解消されれば、僕はGIでも十分勝負できる馬だと思っていますよ。

全日本2歳優駿

2歳時からおっとり落ち着いていたハッピースプリント(写真は全日本2歳優駿のレース後)



赤見:今、道営競馬はシーズンオフですけれども、もしやすでに1歳の調教をしているんですか?

宮崎:してますよ! もうね、年を取ると本当に怖いですよ(苦笑)。初めてハミを付ける、初めて鞍を付ける、初めて人が乗る、という馴致をしていくわけですけど、まだバンビみたいな仔馬だし、ピョンピョン跳ね回りますからね。まぁ〜大変ですよ。でも、他の競馬場では乗り馴らしなんてやらないでしょう。今は育成牧場の技術が発達しましたし、道営でデビューして経験を積んだ馬たちが移籍して行きますから。手が掛かる子供たちですが(笑)、その分若馬たちへの思い入れは深いですよ。若馬に関しては中央にも負けないと思ってますし、実際に結果を出してますからね。

赤見:それでは、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。

宮崎:いろいろな方のお力添えで、道営所属の僕がハッピースプリントと一緒に戦えること、とても感謝しています。いつもたくさんのファンのみなさんに応援していただいて、本当に有難いです。東京大賞典は強いメンバーが揃いますが、ハッピースプリントと共に頑張りますので、ぜひ応援して下さい!

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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