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横山典が施したゴールドシップの仕掛け

  • 2015年12月24日(木) 12時00分


あなたの競馬が走り出す。わたしの世迷い言も走り出す。

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ゴールドシップがおそろしい。
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ジャパンカップのゴールドシップの走りを見ると、恐るべき仕掛けが施されていたんじゃないかと思えてしょうがない。もちろん有馬記念へ向けてだ。

JC 17-17-15-5 10着

これだけを見るとゴールドシップのいつもの競馬に思える。マクってみたけど、東京の直線は長くて、上手く走れませんでした。おしまい。
でも鞍上が横山の典さんだったことを思うと、意味ありげに思えてくるから不思議だ。

だってそうでしょう。
東京2400で3角から仕掛けるなんて、東京をわかっている騎手ならまずしない。したとしても少し動く程度だ。3角で仕掛けたら持たないことをみんな知っているからだ。しかし、東京を主戦としている横山の典さんがそれをやった。どう考えても「あえてした」としか思えない。だから恐ろしい。

ジャパンカップ後、池江師が「ゴールドシップが早めに仕掛けてくるとは思ったけれど、あそこまで早く仕掛けるとは思っていなかった」と語っていた。あの仕掛けがあったから「ラブリーデイも動かざるをえなかった」と。池江師といえば、レースの流れを的確に読んで、騎手と作戦を練るタイプの知将派でもある。その池江師が想定より早かったというのだから、ゴールドシップの仕掛けはやっぱり早すぎたわけだ。

だからこう思う。
横山の典さんは、有馬記念でいい競馬をするための準備、仕掛けを施したのではないか?
有馬記念では騎乗しないのにだ!

(横山典騎手の騎乗ははじめからジャパンカップだけと言われていた。有馬記念の騎手は未定だった。たしか内田博騎乗という公式発表はジャパンカップ後だったはずだ)

でもはじめから内々で決められていたとしたらどうだろう?ジャパンカップ・横山典、有馬記念・内田博と。

そう考えると合点がいくし、恐ろしさも際立つ。
■ジャパンカップの横山の典さんは有馬記念で勝つためだけのチューンナップ騎乗だった!?
■それもただ騎乗するだけではない。次に騎乗する内田博騎手を想定してチューンナップした!?

なんのために?わかりません。
でも横山の典さんのスケールならありだ。ぜんぜんありだ。

そう考えると3角スパートも納得できる。
「秘策がある」といって天皇賞春でその秘策を披露した騎手が、東京2400で勝ち負けできない騎乗をわざわざするわけがない。あれは秘策でもなんでもない。でも、中山の2500で勝つための「秘策」だとしたら納得できる。

マクりでゴールドシップを操った内田博騎手が有馬で騎乗することを想定して、3角からマクって最後まで全力で走ることをゴールドシップに思い出させる。そんな施し。

ならば、ジャパンカップから内田博騎手が乗ればよかったじゃん!!

いやそれは違う。あの騎乗は名手であればあるほどできない騎乗だ。しかも人気馬であればあるほどできないし、G1であればあるほどできない。その仕掛けに巻き込まれる陣営も出てきて、レース後に軋轢が生まれるかもしれないし、ファンに罵声を浴びせられるかもしれないからだ。何ものをも恐れない横山の典さんだからやれた騎乗だろう。

汚名はすべて俺が背負ってやろう。
なんのために?それはわかりません。
ひぃ〜〜〜〜!!!やっぱり恐ろしい!!!

須貝師は「最後は内田君で」とコメントしているけれど、勝負に貪欲な須貝師が引退レースとはいえ、参加することに意義あり的な精神で有馬に出走させるわけがない。

先週の朝日杯だって、2頭出しして、当初はムーアとルメールを押さえていた。貪欲だ。しかも二人が騎乗停止になったと見るや、今度は武幸、中谷を配置した。一般的イメージではすごい落差だ。それでも中谷騎手は結果を出した。1、2着馬との差はルメールでも逆転出来なかった着差だったろう。それを思うと11人気で3着は、実に美味しい3着だった(ごっつぁんです!)。

ルメールがダメなら調教をつけている中谷に託す。ぜんぜん人情依頼じゃない。勝利に貪欲な須貝師の緻密な戦略だ(後付じゃないですよ。念のため)。

だから思う。
「最後は内田君で」の背景には途方もない準備や仕掛けが施されていると。
そのための秘策がジャパンカップ=横山典だったと。
ひぃ〜!!!須貝師も恐ろしい〜〜!!!

とはいえだ。ゴールドシップはどうなんだろう?いくら周囲が綿密なプランを立てたとしても馬に走る気がなければどうしようもない。しかしゴールドシップの過去を振り返ると、今回は大丈夫な気がしてしようがない。ゴールドシップは決めつけられない馬だ。それはわかっている。だとしても今回の臨戦はこわい。最近では一番怖い。

ジャパンカップは10着だった。けれど着差は0.4秒だった。3角からのマクりでこの着差で踏ん張ったのは、走る気力が衰えてないからに思える。
以下はゴールドシップ巻き返しの過去歴だ。0.4差なら頑張れることがよくわかる。

13年
天皇賞春 5着 着差0.9

宝塚記念 1着

ジャパンカップ 15着 着差1.4

有馬記念 3着

14年
天皇賞春 7着 着差0.4

宝塚記念 1着

凱旋門賞 14着 着差よくわかんないけど、いっぱい

有馬記念 3着

15年
AJCC 7着 着差0.5

阪神大賞典 1着

基本的には着差に関係なく、気分で巻き返せるのがゴールドシップだ。けれど、着差が1秒以内なら1着で巻き返す確率が高いのもわかる。
今回は0.4差。
十分だ!十分こわい!

もうみんな怖い。
横山の典さんも須貝師もゴールドシップもみんなこわい!トリプルこわい!

橋口師も最後の有馬だけど、ワンアンドオンリーには騎乗せずにゴールドシップを選んだ内田の博さんもこわい。いくらゴールドシップの引退レースだからって、いくらかつてのパートナーだからって、かつて降ろされたことには変わりない。な〜んも考えずに「はい、わかりました」と返事できるほど簡単じゃない。内田の博さんだって、勝算がなければ騎乗しないだろう。だからこわい。内田の博さんもやっぱり怖い。

にしてもこの交替劇は実にスムーズだった。根回しが行き届いていたとしか思えない。その証拠に阪神Cで内田の博さんはワンアンドオンリーとほぼ同じコンビ・橋口師&前田オーナー(ノースヒルズ)のクラレントに初騎乗する(もちろん大注目)。ああ〜実にスムージーだ。やっぱり前々から走り出していたプロジェクトに思えてならない。

とにかくゴールドシップを取り巻く関係者はみんなこわい。引退レースに花を添える執念に満ち溢れていそうでマジ怖い。ZOKKON怖い!
って、わけのわからない世迷言に猪突猛進しているお前が一番怖い!まったくその通りでございます。ヒャッホー!

有村の架純さまのおっしゃる「あなたの競馬が走り出す」の集大成が有馬記念だというなら、わたしの妄想が走り出したとしてもしょうがない。どうしようもない。

にしても今年はずいぶんとゴールドシップについて書いてきた。アメリカJCC、天皇賞春、宝塚記念、最後もゴールドシップで着地するのも悪くない。もちろんゴールドシップを買うことが喝采か絶望の紙一重であることは十分に認識している。でも幸いなことに今回は1人気になりそうにない。たとえなったとしても、単勝以外の馬券はけっこう美味しいはずだ。

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有馬記念注目馬
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サウンズオブアース Mデムーロ
リアファル     ルメール

Mデムーロは、難しい馬をムズカシイ馬ネェ〜と言いながら、爆発的に乗る。
ルメールは、難しい馬をムズカシイとはおくびにも出さず、上手に乗る。

先週ここで書いたことだ。
で、Mデムーロは朝日杯FSでリオンディーズを爆発的に走らせた。
勝利インタビューで、調教を失敗したことを自ら語り、笑いを誘っていた。ムズカシイ馬ネェ〜と語っていたようなもんだ。

ルメールは阪神JFをメジャーエンブレムで勝った。この馬が難しい馬であることをルメールが語らずとも、そのコメントを読み解けば十分わかった(阪神JF週のコラムにて)。

もちろんここで言うムズカシイ馬とは、ムズカシイけれど上手に乗れば勝ち負けできるポテンシャルのある馬のことだ。

サウンズオブアースが、デムーロにとってムズカシイ馬かよくわからない。
わからないけれど、京都大賞典2着→ジャパンカップ5着からの臨戦はそそられる。
わからないけれど、菊花賞3着だったゴールドアクターが人気であることを思うと、菊花賞2着のサウンズオブアースも基本性能では劣ってないことはわかる。

たとえ爆発的な走りができなくても、内枠でじっとして、スルスルと抜けてきて2着か3着。それでもいい。

リアファルはきっと難しい馬だ。ルメールが2戦続けて逃げたことからも自然に伝わってくる。自分が書くまでもなく菊花賞は強い競馬だった。っていうか、ルメールでなければ惨敗していたのではないか?そう思うほど厳しい競馬だった。

今回は3歳ばかりの菊花賞とは違って、スタイルがほぼ完成されている馬たちが集う有馬記念だ。むしろ競馬がしやすくなるのではないか?スムーズに走れたときの強さは神戸新聞杯で証明済みだ。

というわけで、ゴールドシップとサウンズオブアースとリアファルをベースに置いてみた。ゴールドシップがマクりきれるとレースは乱れるかもしれない。そうなってもMデムーロとルメールは上手に騎乗するのではないか?

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菊花賞の前から有馬記念こそがサブちゃんの唄う場所に相応しいと書いていたけれど、菊花賞を勝たれて、唄われてしまったので、少しテンションは下がってしまった。でも相応しいことには変わりない。横山の典さん騎乗か…………。逃げるのかな?逃げたら面白いけれど、番手でも面白いな。ルメールが逃げたら、番手で突っつきそうだな。ルメールとの2人で大逃げになったらもっと面白いな。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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