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“オーナーさんをも元気にさせる”アップトゥデイト・林騎手&佐々木助手にインタビュー

  • 2016年01月12日(火) 18時00分
競馬の職人

アップトゥデイト



「意識がなかった状態の馬主さんも元気になって勝つ姿を見せることができ本当に良かった」

 あけましておめでとうございます。ちょっと遅い新年のあいさつですが今年初のコラムです。今年もみなさんに楽しんでいただけるようなコラムをお届けしたいと思いますのでよろしくお願いします。

 今年はとっても暖かで過ごしやすいお正月でしたね。皆さんはいかがお過ごしでしたか? 中山金杯は池添親子が制覇、京都金杯は6歳牝馬ウインプリメーラが優勝、そしてクラシックの登竜門シンザン記念はロジクライが力強く伸びましたね。浜中騎手はシンザン記念4勝目という相性のいいレースでの重賞制覇「おめでとうございます」

 ゴールドシップが引退した後の須貝厩舎でまたもや楽しみな存在として頑張ってくれそうなロジクライ。3連単67万1850円と大きなお年玉になりましたね。このレースは出世レースというくらい近年はGI馬が出走していますね。ジェンティルドンナやミッキーアイル、オルフェーヴルなどが活躍しています。春はロジクライから目が離せなくなりそうです。

 新年1回目のコラムは昨年末の中山大障害を制覇し王者の貫禄を見せつけたアップトゥデイトの関係者に。騎手最年長林騎手が障害GI春・秋連覇達成という大きなタイトルを手にした話と佐々木厩舎の佐々木助手の必話をたっぷりと聞いてきました。

 まずは、林騎手にインタビュー。

常石 連覇おめでとうございます。春秋連覇はすごいタイトルですね。

: ありがとうございます。これで最優秀障害馬は間違いないでしょう。僕よりもよく頑張ってくれたアップトゥデイトに勲章を挙げたいですね。本当によく頑張ってくれました。うれしいです。

常石 具合はどうだったんですか?

: 具合がちょうどいい時に使うことができてよかったですね。物見をする、とスタッフは心配していましたがレースに行くと大丈夫でした。跳びも上手いサナシオンという強い馬をマークし直線でとらえることができました。強かったですね。来年は今年と同じようなローテーションになると思うけど一番強い馬になるでしょう。

常石 そうですね、障害馬はたくましいので6歳になりますがまだまだ走ってくれるでしょうね。楽しみです。

: 引退はこれで伸びたかな? やっぱり強い馬に乗らないと勝てないよ。この馬で確信したよ。小倉では、8割くらいの力で勝てると思っていた。

常石 騎手をまだまだ続けてください。後輩たちのためにもお願いします。

: エイコーンパスもサナシオンも強いのでしっかりと乗らないとね。でも強い馬がいるとマークしてすすめられるのでレースが運びやすいね。パドックでも大あくびをするくらい余裕がありましたし、着差以上に強い競馬ができてよかった。ファンの皆さんに障害レースをもっと注目してもらえるような強い馬にしていきたいと思います。

競馬の職人

「ファンの皆さんに障害レースをもっと注目してもらえるような強い馬にしていきたい」と語る林騎手



常石 障害レースの面白さを楽しみ伝えていきたいですよね。ありがとうございました。

続いて担当の佐々木助手にもお聞きしました。

常石 おめでとうございます。中山グランドジャンプに続いて中山大障害優勝、お見事です。同じ馬での障害GI年内連勝はこの馬が初めてだと思います。勝ったらまた取材来てくださいね、と言っていただいていたので待っていました。早速お願いします。

佐々木 ありがとうございます。やりましたよ。やっぱりうれしいです。僕は1頭乗りなのでこの馬しかないないですからね。初めは、ちぐはぐでなかなか上手くいかなかったので悩みましたが、ぐっと我慢してじっくり調教してよかったです。調教は走るけどレースに行くと結果が出せなかったんです。昨年の9月から障害レースをさせることになり跳びが上手いのでいいかなと思っていました。

競馬の職人

佐々木助手とアップトゥデイト



常石 跳びの上手い馬に跨るのは騎手は乗り易くて助かります。

佐々木 障害2戦目で2着馬に2.5秒差をつけて楽勝し、オープンも勝つことができて障害で持っている力を発揮してくれましたね。普通に乗ってると物見が激しい馬で仕上がってくるともっとひどくなるんですよ。小倉サマーJで脚をぶつけて出血してしまい、その後球筋炎になってしまったこともあり走りがバラバラになってしまったので東京は無理に使わなく中山大障害に一本に絞りました。東京を使ってたら中山大障害は勝てなかったと思います。

常石 そのあたりの見極めが難しいですよね。故障なく出走させて来るのはなかなか難しいことだと思います。でも障害馬は、久々でも調子が良かったら飛越の時に息が入るので大丈夫と言われるでしょう。

佐々木 そうなんですよね。だからじっくり待ってよかったと思います。馬が自分で体を作ってくれるところもありますよね。この馬面白いんですよ。自分で気を抜くようなところがあったり競馬の前日の夜にカリカリせず横になって寝ているのでこの馬ホンマにサラブレットか? と思うぐらい落ち着いていました。(爆笑)。でも本当は気が小さくビビるところがあるんですよ。慎重なのがかえっていいのかも。僕が助手になって初めて手掛けた馬ですし、3年目でGIを2勝するなんて夢みたいですよ。信じられないくらいです。

常石 じっくり向き合った結果だと思います。

佐々木 今年は、厩舎の成績があまりよくなかったしキズナも引退になってしまい、ちょっと悔しい競馬になっていましたがアップトゥデイトのおかげでいい1年を締めくくることができました。

常石 キズナはとっても残念でしたね、豊さんももう1度乗りたい馬だとおしゃっていましたよ。仔どもに期待しましょう。この馬のお父さんは?

佐々木 クロフネですね。跳びが上手く最近は力を抜くところが上手くなってきましたね。僕は8月にトレセンに入って1年でこの馬に出会ってさっきも話したように3年目でGIを2勝させてもらい光栄です。

常石 ちょうど結婚されたときじゃなかったですか?

佐々木 子供が生まれたときに中山グランドジャンプを勝ったんです(笑)。

常石 それはおめでとうございます。奥様も“じーじー”の佐々木調教師も喜ばれたでしょう。お父さんであり調教師であるのはどんな感じですか?

佐々木 初めはいろいろ意見を言っても中々信用してもらえませんでしたが、この馬だけは僕に任せてくれたんです。春にも話しましたが、任されたからには責任もあるし自分でいろいろ考えて調教を変えたり工夫をしました。平地では目立たなかったけどとびが上手いしスタミナもあるので先行だけでなく追い込みも教えていきました。林騎手にも相談しながらすすめました。林騎手で勝ってくれて本当によかったです。

常石 障害馬は騎手がつくることが多いですよね。

佐々木 馬主さんも体を悪くし意識がなかった状態だったそうですが、奥さんがアップトゥデイトの応援に行かなくては駄目でしょうと必死に呼びかけたそうです。元気になって応援に駆け付けてくれ勝つ姿を見せることができ本当に良かったと思いました。馬の持つパワーというか生命力はすごいな、と思いました。

常石 そうなんですよね、僕もこうしているのは馬に生きる力をもらいましたね、
馬って不思議な力を持っているんですね。

佐々木 もっともっと強くなってもらい馬の持つパワーを発揮してほしいです。フアンの方にも応援してもらえるような馬をつくっていきたいです。芦毛でまっしろできれいでしょう。僕の自慢です。ゴールドシップみたいになってほしいですね。引退して残念だから同じ芦毛なので期待してます。(笑)

常石 芦毛って人気ありますよね。来年は、もっと楽しみが大きくなってきますよね。期待しています。佐々木調教師としてお父さんとしてのお話をお聞きしているんですよ。

佐々木 えーなんていったました。

常石 内緒(爆笑)。いえいえほめておられましたよ。

佐々木 (ちょっと照れくさそうに…)

***

佐々木調教師 (佐々木助手は)よくやってると思うよ。いいんじゃないかな。自分の思うようにやれるようになった。アップトゥデイトのオーナーが病気で1週間くらい意識がなかったそうなんだけど、馬の力で元気になってよかったです。オーナーにお返しができて本当に良かったですよ。厩舎もこのパワーをもらって頑張ります。孫も女の子でかわいいですよ。

競馬の職人

アップトゥデイトの状態を確認する佐々木調教師と林騎手



常石 来年も楽しみですね。

佐々木 障害馬は寿命が長いしスタミナがあるからね。まだまだ走ってくれるでしょう。6歳だもんね。ずっと平地でという意見だったからオーナーに説得が難しかったんですよ。だから走ってくれてよかったです。応援してやってよ!

常石 もちろんです。楽しみですね。また取材お願いします。ありがとうございました。

***

 1頭の馬にいろんな人がかかわって馬も人も育っていく過程がよくわかりました。佐々木調教師の目になったり父の目になったりしながら、若い助手が一生懸命に育っていく2人3脚の様子が伝わり熱い気持ちになりました。先生と息子さんの人柄がうらやましかったです。これからの馬づくり楽しみにしています。つねかつこと常石勝義でした

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常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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