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エイシンヒカリの全妹エイシンティンクル

  • 2016年01月20日(水) 12時00分
エイシンティンクル(牝 栗東・坂口正則 父ディープインパクト、母キャタリナ)
 本馬を産んだとき母はすでに19歳という高齢だったが、香港C(香-G1)、毎日王冠(GII)など3つの重賞を制したエイシンヒカリの全妹にあたる良血なので注目したい。他に重賞で入着経験のあるエーシンピーシー(父Fusaichi Pegasus/07年スプリングS-GII・3着)、エーシンクールディ(父Distorted Humor/11年根岸S-GIII・4着)を兄姉に持つ。「ディープインパクト×Storm Cat」は有名なニックス配合で、母方の奥に重厚なKey to the Mintが入るのは好感が持てる。「ディープ×Storm Cat」で重要なのは、残りの部分にHyperion-Alibhaiのようなブリティッシュトラッドの王道を添えること。たとえばキズナの場合、3代母FijiにHyperion≒All Moonshine 3×3という4分の3同血クロスがある。アユサンは4代母の父がYour Host。この馬はAlibhaiの息子で、Hyperionの父Gainsboroughを3×4で持っている。こうした血が入ることで大レース向きの底力を獲得するのだろう。Key to the Mintは底力の塊ともいえる重厚な血で、その父の母Flower Bowlはアユサンに入るYour Hostと4分の3同血。配合的には申し分ない。芝向きの中距離タイプ。

グレートウォール(牡 栗東・藤原英昭 父ダイワメジャー、母ガヴィオラ)
 母ガヴィオラは、ガーデンシティH(米G1・芝9f)など5つの芝重賞を制した活躍馬。Wildwook≒River Guide 3×3という4分の3同血クロス(Ride the Trails≒Lady Ann's Key 2×2という見方もできる)を持っているので繁殖牝馬として期待できる。父ダイワメジャーはDroneとニックスの関係にあり、カレンブラックヒル、ダローネガ、トーセンベニザクラ、メイショウタマカゼ、サンブルエミューズ、ダイワミストレスといった重賞勝ち馬・入着馬が出ている。「ダイワメジャー×Cozzene」はJRAで過去2頭出走していずれも勝ち上がり、そのうちの1頭はエピセアローム(セントウルS、小倉2歳S)。本馬はこの2つの成功パターンを併せ持っているのでおもしろい。芝向きのマイラー。

サトノジャスティス(牡 美浦・国枝栄 父ハーツクライ、母スーア)
 兄姉にソーマジック(父シンボリクリスエス/08年桜花賞-GI・3着)のほかサトノエンペラー(父シンボリクリスエス/09年青葉賞-GII・6着)、トーセンデューク(父ディープインパクト/現1000万下)などがいる。競馬場で走った7頭中6頭が勝ち上がっている。母スーアは現役時代に伊1000ギニー(G2)を制覇。繁殖牝馬としてコンスタントに活躍馬を送り出す能力は素晴らしい。母方にFairy Kingを持つハーツクライ産駒にはコーフィールドC(豪G1)を制したアドマイヤラクティがいる。少々晩成気味のところはあるかもしれないが、ポテンシャルは高そうだ。芝向きの中距離タイプ。

シルバーポジー(牝 栗東・池江泰寿 父クロフネ、母ビーポジティブ)
 トリップ(12年ジャパンダートダービー-JpnI・2着、12年弥生賞-GII・2着)の全妹にあたる。母ビーポジティブはトゥザヴィクトリー(01年エリザベス女王杯-GIなど重賞4勝)、サイレントディール(03年シンザン記念-GIII、武蔵野S-GIII、07年佐賀記念-JpnIII)の全きょうだいにあたる良血で、現役時代にクイーン賞(GIII)を勝った。父がクロフネで、母がトゥザヴィクトリーとサイレントディールの全きょうだい、という配合はバトードール(10年ユニコーンS-GIII・2着)と同じ。堅実に走ってきそうだ。芝・ダート兼用のマイラー。

レッドアルカナ(牝 美浦・国枝栄 父ディープインパクト、母シークレットジプシー)
 ディープインパクトは短距離タイプの繁殖牝馬と相性がよく、ドナウブルーとジェンティルドンナの姉妹、ヴィルシーナ、ミッキーアイル、リアルインパクトなど、このパターンの大物が目に付く。母シークレットジプシーはディスタフH(米G2・ダ6f)など3つの重賞を制したスプリンター。Mr.ProspectorとRahyを近い世代に併せ持っているので、ヴィルシーナの母ハルーワスウィートに似ている(同馬はRahyはないもののその全妹Morn of Songを持っている)。母の父Sea of Secretsは父ディープと相性がいいStorm Cat産駒。隠し味は「Burghclere≒Height of Fashion 3×5」という4分の3姉妹クロスで、あまりキツすぎると問題だが、このぐらいの強さであれば底力を強化して配合を引き締める効果が期待できる。芝向きのマイラー〜中距離タイプ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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