スマートフォン版へ

ディサイファはジェダイか? ラーゼンはスダホークか?

  • 2016年01月21日(木) 12時00分


AJCCは、1人気が1着するか着外に敗れるかを吟味し、2人気が3連系の軸に成りえるかを検討し、その答えを正しく出せればだいたい当たる。だから今年も1人気の取捨からアプローチしてみる。

1人気の捉え方(過去13年・03-15)
■1人気は1着か着外
■1人気成績 4−0−0−9

1人気は負けることの方が多い。買うなら1着。
でも、ここからもうちょっと絞りこめる。

■過去に「重賞」で1人気の期待に応えたことのある1人気馬は、4−0−0−4。
勝ち負けは50:50。

■過去に「重賞」で1人気の期待に応えたことのない1人気馬は、0−0−0−5。
0:100で着外。

1人気が別定G2のAJCCで勝つには、人気を背負って勝った実績も求められるのだ。
去年の1人気はゴールドシップだった。
重賞1人気1着経験は、当時6−1−1−2と圧倒的だった。
1回でも1人気1着があればいいのに6回も勝っている。そんじょそこらの実績じゃない。
それでも負けた。
それもちゃんとデータどおりに着外(7着)で負けた。

1人気馬がAJCCを勝つには、重賞で1人気になって勝った実績が必要だけれど、その実績があったからといって100%勝てるわけではない。それをゴールドシップが改めてしらしめてくれた。

今年1番人気が予想される馬はディサイファかサトノラーゼンの2頭。

しかし、この2頭には重賞1人気1着の実績はない。
つまり1人気になった方が着外に負けてしまうというわけだ。

ディサイファは、直近4戦すべて重賞で1−2−0−1。
着外はG1の天皇賞秋だけ。他3戦はすべてG2戦だ。近況の充実度はナンバー1だろう。
1人気も当然だ。

しかし残念ながら重賞1人気での1着経験はない。
札幌記念1着時は5人気だった。
毎日王冠2着時は4人気だった。
金鯱賞2着時は1人気だった。

徐々に人気をあげつつ、実績を踏んで来ている気はする。ディサイファが取りこぼして、2着か3着するのは想像できるけれど、今回のメンバーで着外に負けることは実は想像しにくかったりもする。けれど、5人気から2人気までの階段の高さと2人気から1人気の階段の高さは違うはず。実際、過去の1人気馬たちの多くがそうやって着外に敗れてきたのだから、やっぱり1人気で好走するには高い壁があるとしたい。

小島太師はここを勝って、ドバイへ向かう青写真を描いているらしい。
ダーレーの馬がドバイを目指す。
ぜんぜん外連じゃない。競走生活のクライマックスがドバイだなんて、ロマンチックが止まらない感じだけれど、ダーレーの馬にとってはそれはむしろ使命だろう。今までそういう馬が現れなかったほうがおかしい。だからディサイファにはエールを送りたいくらいだ。
よし! 2人気になったら応援だ。ドバイへの帰還を馬券で応援だ。

サトノラーゼンが1人気になっても同じだ。
4歳だけにディサイファほどの重賞実績はないけれど、G1での好走実績はある意味、ディサイファ以上だ。
京都新聞杯G2 2人気1着
ダービーG1  5人気2着
セントライト記念G2 1人気7着
菊花賞G1   3人気5着

それでも1人気の壁は突破できないとしたい。
しかし、サトノラーゼンは4歳馬だから勢いで突破してしまう可能性もないとはいえない。だから念のため4歳の1着例をさらってみる。

4歳で1着した馬は過去13年で1頭しかいない。

07年 マツリダゴッホ 2人気

1人気ではなかった。
今回のテーマは4歳で1人気1着できるかだから、もうちょっとさかのぼってみる。

過去20年
07年マツリダゴッホ   2人気1着
00年マチカネキンノホシ 3人気1着
99年スペシャルウィーク 1人気1着(重賞1人気1着経験あり)
98年メジロブライト   1人気1着(重賞1人気1着経験あり)
97年ローゼンカバリー  3人気1着

過去20年で1着した4歳馬は5頭。1人気で1着している4歳馬は2頭いるけれど、どちらも鉄則を満たしていた。
鉄則を満たさずに1人気1着した馬はいないのか?
こうなったら意地だ。さらにさかのぼろう。

そういえば去年のAJCCでもさかのぼったっけ。有馬記念1人気だったゴールドシップの出走を受けて、過去に同じような有馬1人気馬の出走例がないかさかのぼってみたら、87年のミホシンザンまで行っちゃったんだった。

はたして、鉄則を満たさずに勝った4歳1人気1着馬はかつていたのか?

いた。30年前にいた。

90年サクラホクトオー  1人気1着(1人気1着経験あり)
86年スダホーク     1人気1着(1人気1着経験なし!)

87年のミホシンザンを超えたころにいた。
スダホークは、AJCCを勝つまでは重賞で1人気1着したことのない馬だった。しかし勝った。
以下はおおまかな重賞実績。
弥生賞 5人気1着
皐月賞 3人気6着
ダービー 2人気2着
神戸新聞杯 1人気5着
菊花賞 2人気2着
有馬記念 5人気4着

重賞勝利実績があって、ダービーと菊花賞で2着し、有馬でも4着していた。その世代のトップではないけれど、精鋭だったことがわかる。
サトノラーゼンはダービー2着、菊花賞5着。どうなんだ? 世代の精鋭なのか? 古馬との対決がないから不透明なところはある。セントライトで着外に敗れたのにもう一回中山で使う。池江厩舎だけにそこも怖い。ただ感覚としては、1人気を背負って、1着するのにはまだ何かが足りない気もする。

というわけで、サトノラーゼンも1人気だったら着外ってことにしよう。
今年も無駄にタイムスリップした気がしないでもないけれど、AJCCとは過去何十年もさかのぼらせる伝統と格式のG2ということでよしとしよう。

つまり、はれてこうなる。
今年1人気になった馬は着外に敗れる。

もちろん相手関係あってだし、ギャンブルだから100%なんてない。
でも、それでも1人気ならナイガシロにしたい。ナイガシロにできる要素がある以上、やっぱりナイガシロにしたい。

もし1人気で勝たれたら……
ディサイファはジェダイの騎士だった。それでいい。
サトノラーゼンはスダホークだった。うん、それでいいじゃないか。

では2人気はどうか?
この10年で2人気は3−3−2−2。
この13年で見ても4−3−3−3。
1人気 4−0−0−9
2人気 4−3−3−3
3連系の軸としては信頼性ありだ。

1人気候補がディサイファかサトノラーゼンなのだから、2人気は必然的に1人気じゃない方になる。
今年のメンバーに重賞で1人気1着したことのある馬は1頭もいない。
ならば、今年は「1人気じゃない方」を3連系の軸にしていいように思える。
ディサイファは2人気のジェダイだった。それでいい。
サトノラーゼンは2人気のスダホークだった。うん、それでいいじゃないか。

------------------------------------------
AJCC注目馬
------------------------------------------

1人気じゃない方とマイネルの3頭

マイネルディーン
マイネルフロスト
マイネルメダリスト

今年の中山は、最終レースで2回、芝2200が組まれていた。
勝った馬はどちらもマイネルの馬だった。

今の中山芝2200はマイネルのもんだ!
それだけでここも買いでいいと思う。ただそれだけだと少し寂しいのでちょっと付け足し。

1月11日 中山最終 芝2200
1着 マイネルサージュ Fベリー 5人気 16-16-14-14
2着 ブライトバローズ 内田博  3人気 7-7-7-6
3着 コティニャック  柴田善  1人気 2-2-2-1

8着 マイネルカレッツァ 柴田大 2人気 1-1-1-2
9着 ウインブルーローズ 松岡  13人気 13-13-14-14
14着 ウインティアラ   井上▲ 12人気 3-3-3-3

このレースは1着、8着、9着、14着の4頭が岡田繁幸氏を総大将とする岡田系の馬だった(便宜上、岡田系と表現)。
レースは、逃げた2人気の岡田系を1人気のコティニャックが4角で捕らえる展開だった。しかし捕らえるのが早すぎたか、コティニャックの末脚は直線半ばで甘くなった。そこへ最後方にいた5人気の岡田系が大外から襲いかかり、豪快に差し切った。
岡田系の布陣は、前方に2頭、後方に2頭だった。

前門の虎、後門の狼のような戦法で、1人気のコティニャックをやっつけた(ように見えるレースだった)。

1月17日 中山最終 芝2200
1着 マイネオーラム 柴田大 4人気 2-2-2-2
2着 ウインオリアート 松岡 11人気 5-5-5-3
3着 キズナエンドレス 丸田 10人気 4-4-4-3

5着 マイネルリード 丹内  13人気 6-6-6-6
7着 マイネルシュライ 大野 16人気 8-8-8-7
9着 ディスキーダンス 戸崎 1人気 8-9-9-9

岡田系は1着、2着、5着、7着の4頭。
逃げた馬を番手追走の岡田系が捕らえて1着。2着は1着馬の後ろにいた岡田系。前方にいた岡田系2頭のワンツーだった。
ただこのレースは別の展開になっていても岡田系が勝っていたように思う。

レース映像を見ると、それがよ〜〜くわかる。
レースは前方に5頭、離れて、後方に11頭、しかも縦長の展開だった。
つまり5頭立てのレースと11頭立てのレースがあったようなもんだった。
前方のレースで勝ったのは1着した岡田系で、4着までが前方にいた馬だった。惨敗したのは逃げた馬だけだった。
後方のレースで最先着したのは5着の岡田系の馬で、後方グループの先頭にいた馬だった。

こちらは前方の前門の虎、前方の後門の狼、さらに後方の前門にも虎二匹。そんな布陣だった。
で、前方の前門の虎、前方の後門の狼でワンツーした。

どちらのレースにも岡田系は4頭出走していた。
AJCCは3頭。
最終レースだから、前門の虎、後門の狼ごっこが成立したのかもしれない。
でも、今開催の中山芝2200で2つ成功している事実は無視できない。ビッグレッドな馬場になってる可能性もあるからだ。

前門の虎 マイネルフロスト 人気
中門の狼 マイネルメダリスト 人気薄
後門の狼 マイネルディーン 人気薄

こんな感じでどうだろう。
ポイントはもちろん虎のフロスト。この馬が前方でどんな立ち回りを演じるか?
金杯より人気も上がる。1人気馬もフロストをそうそう無視できまい。
金杯とは違って,今度は逃げないのではないか。でもどこかで早めに仕掛ける可能性もある。
フロストが人気馬を釣るか? 釣りきったところを、狼がドーン! いやドーンっと1着は無理かな? 人気もないしディーンでいい。ディーンっと3着で十分だ。

------------------------------------------
東海S注目馬
------------------------------------------
ナリタポセイドン
サージェントバッジ

ロワジャルダンが前方にいる強そうな馬インカンテーションとモンドクラッセを早めに捕らえに行ってくれると、ナリタポセイドンとサージェントバッジの末脚の出番もあるのではないか?
インカンテーションのデキがよく見えれば見えるほど、レース中の手応えがよく見えれば見えるほどチャンスは生まれそう。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング