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ルーラーシップ産駒の好配合馬スズカマイゲスト

  • 2016年04月06日(水) 12時00分
【2歳】
●スズカゼ(牝 美浦・伊藤正徳 父ディープブリランテ、母バレンソール)
 母バレンソールはアフリート産駒らしくダ1200〜1400mを得意とし、準OPまで出世した。産駒にはパワーを強く伝えており、芝向きのコンデュイットとの交配でダート長距離のスペシャリストであるシップウを産んでいる。父ディープブリランテは新種牡馬。現役時代は引っ掛かり癖を克服して日本ダービー(GI)を制したほか、道悪の東京スポーツ杯2歳S(GIII)を勝ち、皐月賞(GI)ではゴールドシップの3着となった。500kg前後の馬体はディープインパクト産駒としては大きく、産駒も総じてサイズが大きい。本馬にも母のパワーが強く伝わっているならダート中距離タイプとなりそうだが、牝馬なのでそうはならない可能性もある。いずれにしても母方にMr.Prospectorを入れたディープブリランテ産駒の配合は好ましく、本馬の場合、Miswaki≒アフリート5×2となるのでおもしろい。

●スズカマイゲスト(牡 栗東・橋田満 父ルーラーシップ、母アドマイヤビアン)
 母はこれまで4頭の子をデビューさせているが、いずれも中央では勝ち上がっていない。ただ、アドマイヤフジ(06年日経新春杯-GIIなど重賞3勝)、アドマイヤホープ(03年全日本2歳優駿-GI、03年北海道2歳優駿-GIII)、アドマイヤコスモス(11年福島記念-GIII)を兄弟に持つ良血の繁殖牝馬なので、配合が合えば大物を産む可能性は十分ある。父ルーラーシップはキングカメハメハ系の新種牡馬。現役時代に香港のクイーンエリザベス2世C(香G1)を楽勝したほか国内では金鯱賞(GII)など4つの重賞を制した。出遅れ癖によって取りこぼしたレースも多かったので、戦績以上に能力の高い馬だった。初年度の血統登録頭数は131頭。新種牡馬のなかではナンバーワンの数字で、サンデーサイレンスを含まないという血統的アドバンテージは大きい。本馬は母方にもサンデーサイレンスが入っていないが、相性のいいトニービンとCozzeneの組み合わせを持つので期待が持てる。芝向きの中距離タイプ。

●スズカロング(牡 栗東・橋田満 父ワークフォース、母スズカローラン)
 すみれS(OP)を勝ち、京都記念(GII)で2着となったスズカデヴィアス(父キングカメハメハ)の半弟。これまでデビューした4頭の兄姉のうち3頭が勝ち上がっているので、母スズカローランはなかなか優秀だ。2代母ローマンスズカIIはスズカフェニックス(07年高松宮記念-GI)の半姉で、3代母ローズオブスズカはドクターデヴィアス(92年英ダービー-英G1)の半妹、シンコウキング(97年高松宮杯-GI)の全妹にあたる良血。父ワークフォースは現3歳世代が初年度産駒で、ダイワダッチェス(16年フェアリーS-GIII・3着)、クィーンズベスト(16年チューリップ賞-GIII・4着)などを出している。本馬はSoviet Moon≒ローズオブスズカ2×3という相似な血のクロスを持っており、これが吉と出ればおもしろい。芝向きの中距離タイプ。

【3歳】
●アドマイヤヒナタ(牝 栗東・橋田満 父キングカメハメハ、母ロイヤルカード)
 アドマイヤデウス(15年日経新春杯-GII、15年日経賞-GII)、アドマイヤケルソ(14年アルゼンチン共和国杯-GII・4着)、アドマイヤドバイ(13年きさらぎ賞-GIII・3着)の半妹。母ロイヤルカードはアドマイヤラピス(97年ステイヤーズS-GII-2着)の娘で、近親には多くの活躍馬がいる。これまでロイヤルカードに交配してきた種牡馬のなかで父キングカメハメハは最も格が高いので期待できる。この時期に馬名登録されたように仕上がりは遅れてしまったが、すでに坂路に入って時計を出しており、デビューを果たせば即狙えるだろう。

●ロードアルペジオ(牡 栗東・笹田和秀 父キングカメハメハ、母レディピアレス)
 2代母オウリエットは現役時代ゲイムリーH(米G1)など3つの重賞を制した。NijinskyとBlushing Groomのニックスを持つ好配合馬で、産駒のミステリアスライトは脚部不安と闘いながら福島記念(GIII)5着、オールカマー(GII)6着などの成績を残した。母レディピアレスはPoint Givenを父に持つ持込馬。Point Givenは米年度代表馬に輝いた名馬だが、種牡馬としては期待ほどの成績は挙げていない。Mr.Prospectorクロスを持つキングカメハメハ産駒はダート寄りに出やすく、しかも母の父がパワー型のPoint Givenなので十中八九ダート向きだろう。父キングカメハメハはこれまで多くのダート巧者を出しており、この路線で大成することを期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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