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GI惜敗3回のショウナンマイティに姿そっくり マイティドリーム「兄の分まで」/吉田竜作マル秘週報

  • 2016年06月08日(水) 18時00分


◆梅田調教師「馬房ではくるくる回ったりはするけど、基本的にはおとなしい。ただ…」

 栗東トレセンでは今月1日からEコースが改修工事に入った。これに伴いゲート練習&試験の場も2コーナー奥から4コーナー奥へと変更された。イメージしにくいかもしれないので補足すると、従来はバックストレッチの左奥から右へと進む形だったものが、しばらくの間はスタンド前の右奥から左へと進む形でゲート試験が行われている。

 ウッド、芝、ポリトラックは通常通り右回りの一方通行。しかしゲート練習や試験では何度か出ては戻ることを繰り返さなくてはならない。スタート地点に戻る時にはどうしても、(違うコースを走っている馬も含め)“対面通行”の形になってしまう。

「向正面でやっている時は戻る道が仕切られてあったけど、今は何もないところを内ラチに沿って戻っている。要はゲートからスタートする馬や、芝やウッドで追い切っている馬が前からやってくる形になるんだ。しかも正面にはカメラマンが詰める足場もあったりで、馬にとってはとにかく物見をする対象が多い。今のところどうもないけど、いつか事故が起きそうな気もする」と警鐘を鳴らす関係者がいる状況だ。

 JRAにしてみれば、北海道に分散することで調教頭数が通常より少なくなるこの時期を見計らって工事を行うなど、十分に注意を払って進めていることなのだろうが、せめて戻る道を仮柵で確保するなりの対策はできなかったのか。特に上半期の総決算、宝塚記念が行われる週には多数の記者、カメラマンが詰めかける。右も左もよくわからない2歳馬がパニックになり、人馬がケガ…という最悪の事態だけは避けてほしい。

「ウチはその点は大丈夫。2歳馬にはなるべく古馬を付けて行かせるようにするなど、いろいろ工夫しているからね」とは荒川キュウ舎の佐藤助手。マハロ(牡=父キングズベスト、母グリーンアイズII)はそうした対策を取ることで2日、無事にゲート試験に合格した。

「高木競走馬育成牧場(神奈川県)から来る馬は特にいいのかもしれない。前に受かったのも、この馬もそう。適度に人を頼ってくれる馬はホントやりやすいんだ。いいしつけをしてくれてますね。ゲート試験をスムーズに受かった馬が、今度は自身が古馬になった時に2歳馬をうまくリードしてくれる。そういういい流れをこれからも続けていきたい」(佐藤助手)

 小さなことの積み重ねが、キュウ舎の“伝統”を作る好例だろう。ちなみに荒川キュウ舎の2歳馬のトップバッターとなりそうなのがゴールドケープ(牝=父ワークフォース)。キュウ舎に初の2歳重賞タイトル(09年小倉2歳S)をもたらしたジュエルオブナイルの初子だ。「仕上がりの早そうなタイプで、スピードもある」なら、母同様に夏の2歳戦を大いに盛り上げてくれるに違いない。

 一方、「ゲートの中で暴れるんじゃなく、落ち着いてしまって、なかなか出ないんだよね」と梅田調教師が苦笑いしていたショウナンマイティの半弟マイティドリーム(父ディープインパクト、母ラグジャリー)はキュウ舎スタッフの尽力もあって3日、ゲート試験一発合格を果たした。

「馬房ではくるくる回ったりはするけど、基本的にはおとなしい。ただ体質の弱い血統なので、そのあたりに注意してやっていきたい。ショウナンマイティよりも少し小さくて460〜470キロくらいかな。でも同じ人が引っ張るとそっくりに見えるらしいんだ。兄の分まで頑張ってほしい」と大きな期待をかけている。

 GIへの挑戦はわずか4度ながら、13年安田記念2着、12年宝塚記念、14年安田記念3着と惜敗の連続。ポテンシャルは優にGI級ながら、ビッグタイトルは手にできなかった兄ショウナンマイティの夢の続きは弟のマイティドリームが見せてくれるのではなかろうか。

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