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目が離せない今年の池江厩舎(山本武志)

  • 2016年07月05日(火) 18時00分


◆この中京開催も続々と素質馬がスタンバイしている池江勢

 新馬戦は関東、関西の主場では2開催目に入ったが、栗東では「大物系」の入厩が例年より遅い印象を受ける。個人的に現2歳世代への注目度の高い音無厩舎も「ディープ産駒はすべて秋以降」とトレーナーが明言している。

 その中で異色の動きを見せているのが池江勢だ。今年は4月の2歳馬取材会で「今月中に4頭入れる予定です」と池江調教師は説明していたが、その後も毎週のように2歳馬が入り、ゲート試験に合格した馬はすでに10頭以上。これまで03年の開業後、6月に新馬を使ったことはわずかに1度と早めに始動するイメージがなかっただけに驚いている。

 すでにデビューしている組も「速攻系」で片づけられない存在が多い。19日の阪神芝マイルに出走したプロキシマは春先から「牝馬でトップクラスの1頭」と期待していた存在。勝ち馬の逃げ切りは許したが、大外を回って追い上げての2着は素質の片鱗を感じさせた。同じ19日の東京芝マイルを勝ったサトノクロノスはディープインパクト産駒。レース後はひと息入れるだろうなと思っていたが、今後は中京2歳Sか新潟2歳Sを視野に調整されるという。当然、馬の状態ありきの話だが、池江厩舎の中で早めの賞金加算が持つ意味合いが大きくなっているように感じる。

 この後も続々と素質馬がスタンバイしている。24日の中京芝マイルには桜花賞3着のソーマジックを母に持つソーグリッタリングがホワイトJでデビュー。小倉や新潟ではブチコの全弟になるシロニイやサトノノブレスの半弟になるクライムメジャー、さらには春先に早々とゲート試験に合格したミラアイトーンも始動予定になっている。

 特に注目したいのが中京3週目だ。16日の芝マイルにはダノンオブザイヤーがホワイトJでデビューする。当初から「とにかくスケールが大きい」と池江調教師の評価が高かったが、入厩後も「いいフォームで走れている」と納得の表情を浮かべている。さらに、翌日の芝2000mではラブリーデイの全弟になるプレストが川田Jで初陣を迎える。「ラブリーデイより伸びがありそうな感じがする」とのこと。調教でも力強い動きを見せている。

 ただ、この中京3週目は強力なライバルも多い。今年のダービーを制した友道厩舎は芝マイルにルタンデュボヌール、芝2000mにトリコロールブルーの2頭を送り出す。藤岡厩舎はリトルアマポーラを母に持つエジステンツァを芝マイルに送り出す予定。さらに、梅田厩舎はショウナンマイティの下にあたるマイティドリームが武豊Jで芝2000mに出走する。特に梅田調教師のマイティは「動くね。素質はかなり高そう。脚元や気性にも全く問題ない」と力強い。中京3週目の2鞍は非常に熱い戦いとなりそうだ。

 ちなみに池江厩舎、牝馬で非常に評価の高かったコケレールの14(父ディープインパクト)も今月1日に栗東へ入ってきた。秋以降もトゥザワールドの下にあたるトゥザクラウンや「すごいよ」とトレーナーが絶賛するアルアインなども控えている。今年の池江厩舎は1年中、目が離せない。

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